DOG DAYS 〜The Demise Hero〜   作:セラフィエル

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どうもお久しぶりです。
セラフィエルです。

先日文化祭があったのですが、信じてた友達に裏切られました。

非リア充だと思ってたのにッ!
非リア充だと思ってたのにッ!

何か・・・彼女できてました・・・。

何故だッ⁉︎
何故俺にはできないんだッ⁉︎

違いますよ!
これは涙なんかじゃありませんから!


第24話 愛と共に前へ

純白の世界。

完全な無音。

一面真っ白な空間に和斗は漂っていた。

いや、正確には何かに抱きかかえられているようだ。

 

暫くすると、その世界が色付き始めた。

しかし、それでも周りの景色はモヤがかかっているようにハッキリとは見えない。

 

純白の光が視界の中央に集まる。

それが棒状の形に変形した。

それも、二本。

電灯・・・だろうか?

 

俺を抱いている何かに力が込もる。

苦しくはなかった。

とても暖かい。

その暖かさは俺に安らぎを与えた。

 

すると、何かが電灯らしき光を遮った。

誰かが俺を覗き込んでいるようだ。

 

誰だ・・・?

 

その顔もやはり、モヤがかってハッキリと見えない。

だが、男性であることは分かる。

そして、俺と同じ黒髪であることも。

 

お前は・・・誰なんだ?

 

そう言おうとするも、声が上手く出せない。

まるで、まだ話す事を覚えていないように。

 

目の前にある顔に触れようと手を延ばす。

その手はとても小さく、ぷっくりとした赤ん坊の手だった。

 

まさかこれは・・・赤ん坊の時の記憶なのか・・・?

 

俺を抱きかかえている男性は手を延ばす俺を見て、微笑んだ。

 

 

 

その微笑みは・・・何処と無く懐かしい感じがした。

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりと目を開けると、眩い光が俺の目を突き刺す。

暫くして目が慣れると、そこは医務室だということが分かった。

窓から差す陽光が俺の顔を照らし、温もりを生み出していた。

 

思い通りに動いてくれない身体を起こそうとすると、目の前に桜色の綺麗な髪が揺れた。

 

「和斗さん!目を覚まされたのですね!」

 

「・・・ひ、姫様?」

 

嬉しそうに尻尾をパタパタと振る姫様がベッドに身を乗り出し、満面の笑みで俺に顔を近づけていた。

 

ち、近ぇ・・・!

 

思わずズイッと身を引く。

そこで姫様も自分がどんな体勢か気付いたのだろう。

恥ずかしそうに頬を赤らめながら、椅子に座り直した。

 

「わ、私っ、皆さんを呼んできますね!」

 

姫様が慌ただしく部屋を出て行く。

俺はそれをボーッと見つめていた。

 

さっきの姫様・・・可愛かったなぁ・・・。

 

 

 

数分後。

俺のベッドの周りには姫様に始まりビスコッティからはシンク、リコッタ、エクレール、ユキカゼが、ガレットからは七海、ガウル、レオ様、ジェノワーズが、そして、パスティヤージュからはレベッカ、クーベルが集まっていた。

一見元気そうではあるが、まだ腕を固定していたり、包帯を巻いていたりと、怪我が完治した訳ではないようだ。

 

「お目覚めになって本当に良かったであります!」

 

リコッタの言葉に皆がうんうんと頷く。

その表情は一様に安堵していた。

 

「俺は・・・どれくらい寝てたんだ?あの魔物は?戦いはどうなったんだ?皆無事なのか?」

 

目を覚ましてから脳裏をよぎる疑問を次々と捲し立てる。

 

「お、落ち着きなよ、和斗。慌てなくても大丈夫だからさ。」

 

七海が苦笑いしながら、俺を宥める。

いや、落ち着けって言われても・・・!

 

「その通りだよ、和斗。心配いらないから。」

 

「シンク・・・」

 

俺がその名前を言うと、シンクはフフッと笑った。

 

「な、何だよ・・・」

 

「何だか嬉しくて。和斗がやっと僕の事、名前で呼んでくれるようになったからさ」

 

シンクが微笑みながら、俺の目を見つめる。

俺は少し照れ臭くなって目を逸らした。

 

「『和斗×シンク』かぁ・・・うん、イイかも・・・」

 

「ベッキー、お願いだからそんな目で僕らを見ないで。妙に寒気がするんだ」

 

「奇遇だなシンク。俺もだ」

 

レベッカが目を輝かせながら、俺とシンクを交互に見る。

背筋を走るこの悪寒。

是非とも気のせいであって欲しい。

じゃないと・・・イロイロ大変そうだからな。

 

「話を戻そうかの、お主ら」

 

レオ様が僕らの会話を聞いて、やれやれと呆れながら言った。

 

「う、うん!そうだね!」

 

と言いつつも妙な輝きを帯びたレベッカの目は俺とシンクを見ていた。

 

「和斗さんはあの戦いから十日ほど眠っていたんですよ。」

 

「十日、か・・・」

 

随分長い間寝ていたものだ。

皆がこうやってここにいるという事は戦いは無事に終わったのだろうが・・・。

 

「それで・・・戦いは?勝ったのか?」

 

俺の質問に皆が顔を見合わせる。

何かおかしい事でも言っただろうか?

 

「戦いはワシらの勝利じゃが・・・お主、覚えとらんのか?その時の事を」

 

レオ様が微かに眉をひそめながら俺に尋ねる。

その言葉を受け、記憶を探ってみるが、思い出せそうで思い出せない。

まるで触ることのできないカーテンに覆われているかのように。

 

思い出せないのが顔にでも出たのだろうか、姫様が俺の肩に手を掛けて言った。

 

「ご心配なく、和斗さん。私からお話いたします」

 

姫様は語った。

瀕死の俺が立ち上がり、何かを叫んだ事。

その瞬間、謎の紅い魔法陣が出現し、黒い物質が俺に纏わりついた事。

禍々しい黒衣を纏い、大剣を携えた俺が現れた事。

 

そして・・・俺が恐ろしい絶対的な力で魔物を屠った事。

 

「俺が・・・魔物を倒したのか・・・?」

 

「はい。それはもう凄まじい気迫でした」

 

俄かに信じられない。

この役立たずの俺が、シンク達でさえ壊滅寸前にまで追い込まれた魔物を倒したなんて。

もう一度、記憶を探ってみる。

すると、今度は記憶を覆うカーテンが少し開かれたような気がした。

 

「・・・あ・・・」

 

俺の口から小さな吐息が漏れる。

ボンヤリとだが、思い出したのだ。

確かに俺が倒した。

高い空の上から、逃げ惑う魔物に渾身の一撃を放ち、その身体が灰燼と化すのをこの目で見た。

 

そして・・・心の中でずっと溢れていた感情。

コイツらがどうしようもなく大好きだという感情。

その感情が俺を突き動かし、その感情が瀕死の俺を立ち上がらせた。

 

「俺が・・・この俺が・・・」

 

両手を見つめる。

この手で魔物を倒し、ここにいる皆を救ったのだ。

 

「俺達は実際に見てはいねぇが・・・話には聞いてるぜ。お前が、満身創痍のお前が俺達を助けようと死ぬ気で頑張ってくれたってな。礼を言わせてもらうぜ。ありがとな」

 

「ウチらパスティヤージュの者達もお主に感謝しておるのじゃ!お主がいなければウチらはここにはおらんかったからの!」

 

ガウルとクーベルが俺に笑いかける。

その笑顔は俺の心に深く深く染み込んでいく。

 

「まぁ・・・少しばかり悔しいが、今回は感謝する。お前のおかげで助かった」

 

「見事な諸行にござる、和斗殿。拙者らオンミツも感謝しているでござるよ」

 

「私からもお礼を言わせていただきます。私達を助ける為に頑張ってくれてありがとうです!」

 

エクレールやユキカゼ、姫様の一言一言が俺の目頭を熱くする。

そして、シンクが口を開いた。

 

「君があの時戦わなかったら、立ち上がってくれなかったら、僕らはこうして誰一人欠ける事なく帰って来ることはできなかったよ。君のその努力が僕らを救ったんだ」

 

暖かい。

俺の周りがこんなにも暖かい。

温もりが全身から染み込み、俺の中で渦巻き、顔をクシャクシャにしてしまう。

 

「和斗。僕らの為に、あんなに頑張ってくれてーーー」

 

 

嗚呼・・・。

 

 

「本当に、本当にーーー」

 

 

嗚呼・・・。

 

 

 

 

 

「ーーーありがとう」

 

 

 

 

 

涙が・・・止まらない。

 

やっと、やっと報われた。

 

『ありがとう』

 

この言葉がこんなにも優しく、暖かく、嬉しいものだなんて・・・。

 

シンク達の愛が俺の心を満たしていく。

幼い頃からずっとずっと欲しかったもの。

それが欲しくて、何度も何度も努力した。

だけど、結局どれも失敗に終わった。

孤独と嫌悪を俺に残して。

 

あぁ、でも、やっと手に入れた。

やっと掴み取った。

 

あぁ・・・本当に・・・。

 

 

 

 

「・・・頑張っで、良がっだ・・・!」

 

 

 

 

以前流した涙とは違う、喜びの涙。

それは窓から差す陽の光にキラキラと煌き、ベッドのシーツに染みを作っていく。

暫く見失っていた本物の愛のカタチ。

それが俺の側にある。

 

もう、絶対に失わない。

 

もう、絶対に離さない。

 

その為には・・・もっともっと強くなろう。

この手で皆を守れるように。

 

涙を腕で拭い、呟く。

 

「・・・シンク」

 

シンクが首を傾げながら、俺を見る。

俺は深々と頭を下げて言った。

 

「俺は・・・お前に、いや、お前だけじゃなく皆にも沢山迷惑を掛けた。俺の身勝手な行動のせいで。本当に、済まなかった」

 

「和斗・・・」

 

顔を上げ、シンクの瞳を見つめる。

 

「厚かましいかもしれない。おこがましいかもしれない。それでも、俺は変わりたい。もう、弱い自分は嫌なんだ。もっともっと強くなりたい。だから、頼む!俺に、輝力の使い方を、武術を・・・教えてくれ!」

 

シンクは一瞬驚いたような素振りを見せると、フフッと微笑んだ。

 

「うん!もちろん!一緒に頑張ろう!」

 

他のメンツも、笑いながらうんうんと頷いている。

 

この命も棄てたもんじゃない。

だって、俺の目の前に広がる世界は、こんなにも明るく輝いているのだから。

 

俺は目尻に溜まった涙を拭うと、ニッコリと笑った。

今までに無い最高の笑顔で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

和斗達がいるフィリアンノ城から遠く離れた場所に"彼"はいた。

鬱蒼とする森の中で奇妙に開けた場所。

幾つもの古ぼけた柱が空に背を伸ばし、その中心に翼の折れた天使の像が静かに佇んでいる。

そして、その像の前に黒いバグのような"彼"はいた。

"彼"は像に手を触れて、呟いた。

 

『良かったね、皆。やっとここから出る事ができて。待っててね。もうすぐだから。そう遠くない内に・・・』

 

"彼"は空を見上げ、フッと笑った。

そこには宝石をばら撒いたような満天の星空が何処までも広がっていた。

 

『後は君次第だ、黒神 和斗。僕は君に力を授けた。だから、君は僕の夢(・・・)を叶えてくれ』

 

"彼"の顔の下部が真っ赤な三日月に裂け、そこから漏れ出る静かなる狂気が世界をゆっくりと蝕んでいく・・・。




次回から、しばらくは和斗達の日常を書こうと思います。
おバカな事をやるつもりです。

キチンとオチが書けるかどうか・・・心配です。

追加
期末考査が間近になってきたため、次の更新は7月9日以降となります。
楽しみにしていただいている皆様、申し訳ありません。
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