DOG DAYS 〜The Demise Hero〜   作:セラフィエル

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どうもセラフィエルです。
憂鬱です。
私、高1なのですが、学生となれば躱すことのできない関門があります。
そう!定期テストです。
嗚呼、恐ろしい。


第6話 認めない

「ーーーーーーッッ⁉︎‼︎⁉︎」

痛ぇぇぇぇッッ⁉︎頭がッ‼︎頭がカチ割れたようにぃぃぃぃ‼︎‼︎

天使の像に触れた瞬間、金色の光に包まれ、気がついたら空にいた。なぜか。

そのまま重力に従って、落ちていったのだ。そこまでは良かった。始めからそのつもりだったのだから。

しかし、地面に激突しようやく死ねるかと思いきや、頭に途轍もない衝撃を感じ、そのまま地面に倒れこんだ。

・・・・・なのに、生きていた。

途方もない痛みを残して。

だが、そんな痛みも次に起きたことに比べれば、些細なことだった。

一体何なんだと思いつつ、後ろを向くとそこには一人の少年が俺と同じように頭を抱えながら、こちらを向いていた。

見たことのある黄色髪、見たことのある快活そうな眼、間違いないシンク・イズミ。

俺が憎んでやまないあの男。

「・・・黒神君ッ⁉︎どうしてここに⁉︎」

「・・・イズミィッ‼︎テメェの仕業か‼︎」

「「・・・・・・」」

見事にハモった。

ってか、なんで生きてるんだ?

俺が落ちたのはかなりの高さがあったはずだ。

普通ならば俺も、俺に激突したイズミも即死する高さだ。

なんでコブ一つできてないんだ?

まあ、ものすごい痛みだったが。

ってか、ここどこだ?

なんでイズミはあんな中二病みてぇな格好してんだ?

あぁっもう、訳がわからない。

その時、イズミがこちらに来て、尋ねてきた。

「黒神君。どうやってここに来たんだい?」

その目は明らかに困惑していた。

「知るかよ。こっちが聞きてぇぐらいだ。」

吐き捨てるように答える。なんでコイツなんかと・・・

イズミは考えるような素振りをしてから、俺の腕を掴んだ。

「ッ!離しやがれッ‼︎クソ野郎‼︎」

俺が振り離そうとすると、イズミはさらに力を加えてきた。

「いいから!とりあえず来て!」

有無を言わせず俺の腕を引っ張るイズミ。

なんだ?なぜお前はそんなに必死になってるんだ?

困惑する俺をよそにイズミは指笛を音高く鳴らした。

すると、どこからか何かがこちらに向かって来る音が聞こえてきた。

ドスドスドスドス・・・ズザァッ!

「んなっ⁉︎」

素っ頓狂な声をあげる俺。

だが、それも仕方ないだろう。

イズミが呼び、俺の目の前にいるのは見たこともない生き物だった。

馬みたいだが、嘴や翼のようなものが生えている。

もしかして新種の馬⁉︎いや、鳥と馬の合成⁉︎

呆気にとられる俺を見て、イズミは気がついたようだ。

「あぁ、この子はセルクルっていうんだよ。」

うん、聞いたことない。

「って、そんなことはいいから早く乗って!」

「は⁉︎」

乗れだと⁈・・・・・どうやって?

すると、イズミは何かを思い出したように頭を掻いて俺の襟首を掴んだ。

そして、

「フッ‼︎」

「ぅおッ⁉︎」

放り投げた。セルクルとかいう生き物の上に。

・・・・・結構、フカフカしていた。

直後、イズミもセルクルに飛び乗り、脇腹を蹴った。

高速で走り出すセルクル。俺はセルクルの体にしがみつくのがやっとだった。

いつしか俺は、自分が自殺しようとしていたことを忘れていた。

 

「・・・・おい、どういうことか説明しろ。」

セルクルに揺られること数分。

俺は妙な建物に運ばれていた。所々にピンクの旗が掲げられ風になびいている。国旗かなんかだろうが、あんなのは見たことがない。

それに・・・冷静になって周りを見てみると、明らかに人間の様子がおかしい。なぜか、人の耳ではなく、犬耳が生えている。そして尻には犬尻尾。

一体何なんだ、ホント。

俺の問いに困ったように頭を掻くイズミ。

「ゴメン、僕はすぐに戻らないといけないから、詳しいことは姫様に聞いて。それじゃ!」

「・・・・・」

いや、姫様て。それすらも分からないのに。

まさか、人に聞けと?コミュ障の俺に?

イズミに対する悪口雑言を胸の中で呟いていると、肩をポンポンと叩かれた。

「んあ?」

後ろを向くと、そこには一人のメイドがいた。

「はじめまして。私はメイド長のリゼル・コンキリエと申します。勇者様からお話は伺っておりますので、どうぞこちらへ。」

・・・・ついて行くしかねぇな。

俺は、ハァと溜め息をつくとリゼルというメイドの後について行った。

 

「姫様。お客様をお連れいたしました。」

開け放たれたドアの前で深々と頭を下げるリゼル。

このドアの向こうに姫様がいるのか。

まあ、イズミのオトモダチなんだろうから、どうせ碌でもねぇ奴なんだろう。

リゼルが手を前で上品に組んだまま、ドアの前から退く。

入れって意味か。

さて、どんな奴なのやら。

半ば興味を抱きつつ、ドアの向こうへ。

瞬間、

 

「はじめまして。黒神 和斗さん。」

 

言葉を失った。

何て言えばいいかわからなかった。

目の前にいる少女は美しかった。

それだけなのに、それだけなのに、

言葉が出ない。

俺が呆然と立ち尽くしていると、少女は首を傾げた。

「あの・・・どうかいたしましたか?」

その声にハッとする。

「あ・・いや、なんでもない・・・です。」

自然と敬語になった。敬語を使うなんて、いつ以来だろうか。

すると、少女はフフッと微笑んだ。

「敬語は使わなくて、結構ですよ。気楽に行きましょう。どうぞ、座ってください。」

「じ、じゃあ、失礼して・・・」

示された椅子に座る。少女は俺の向かいに座った。

何を喋ればいいのか分からない。緊張で少女の方を見れない。とりあえず、最初に思ったことを言ってみた。

「えっと・・・あなたが姫様・・・?」

何言ってんだ俺。

ここにこの人しかいないんだから、姫様に決まってんだろ。ああ絶対この人バカだって思われてる。

「はい!ビスコッティ共和国代表領主 ミルヒオーレ・F・ビスコッティです!分からないことは何でも聞いてください!」

無垢な表情で答える姫様。

やめてくれ・・・そんなピュアな瞳で俺を見ないでくれ・・・・

マイナス思考を頭から振り離し、再び質問する。

「んじゃ、早速なんだが、ここはどこだ?なんでイズミがここにいる?」

「えっとですね・・・・」

 

数分後

 

「まあこんな感じです。お分かり頂けましたか?」

「ふむ・・・ここの事はおおよそ分かった。にわかには信じられんが。」

「それは何よりです。」

ニッコリと笑う姫様。

・・・・・可愛い。

「んじゃあ、最後の質問なんだが、俺はどうしてここに来たんだ?」

「えっと・・・それはよく分からないんです。」

「分からない?どういうことだ?アンタらが呼んだんじゃないのか?」

召喚するのに地球とこの世界での同意が必要だということは先程聞いた。ならば、俺がここに来たのはこっちの誰かが俺を呼んだということになる。

・・・・まあ、俺は強制的にこっちに呼ばれたと言った方がいいかもしれんが。

「いいえ。私達は召喚の儀を行っていません。一番可能性があるのはビスコッティ、ガレット、パスティアージュ以外の他の国が召喚を行った、ということです。」

「じゃあ、なんでここに落ちて来たんだ?」

「ごめんなさい。私にはなんとも言えません。ですが、召喚の儀に詳しい者はおりますので、後ほど聞いてみてはどうでしょう?」

「むぅ・・・分かった。そうしよう。」

すると、姫様はシュンと顔を俯けた。

「本当に・・・ごめんなさい。私はこの国の領主なのに・・・もっともっと知っていなきゃダメなのに・・。」

姫様の目がジワっと潤む。

ま、まずい!なんとか慰めないと!

「い、いや、他の質問にはちゃんと答えてくれたし!いくら領主だからって、何でもかんでも知る必要はないと思うから!すっごい感謝してるから!」

ズズッと鼻を吸う姫様。

う、なんか罪悪感が・・・。

その時、ふと思った。

なんで俺・・・こんなに必死になってるんだ?

前までなら、たとえ目の前で女子が泣いていようと知ったことかと無視していたのに。

「・・・ありがとうございます。お優しいですね。」

違う。俺は優しくなんかない。俺は、どうして・・・。

しかし、その思考は歓声によって中断された。

「そろそろ戦もかなり盛り上がってきたみたいですね。」

少し目の赤い姫様が空を見上げる。そこには半透明な巨大なキューブが浮かんでおり、戦の様子を映していた。

地球でいうテレビと言ったところか。

そして・・・そこにはアイツが映っていた。

純白のマントを羽織り、棒を片手に戦場を駆け抜けるイズミ。その姿はまさに勇者そのものだった。

「・・・・アイツが勇者、ねぇ・・・。」

まぁ、確かにアイツの身体能力とあのイケメンぷりなら頷けないこともない。認めたくはないが。

「なぁ、姫様。イズミって凄い勇者なのか?」

何気なく質問すると、姫様はこちらがびっくりするくらいの勢いでまくし立てた。

「はい!それはもう!とってもすんごい勇者様なんですよ!優しいですし、強いですし、いっつもナデナデしてくださいますし!それに、シンクが初めてこの世界に来た時なんかこの国を救っていただきましたから!」

「お、おう・・・。」

「みんなみーんなシンクが大好きなんです!」

そう言って再びキューブを見上げる姫様。

その目には周りの景色は映っておらず、戦場で戦うイズミだけが輝いていた。

「・・・・ッ」

俺もキューブを見上げる。

そこではイズミが、敵の攻撃を華麗に躱し、棒一本で次々と敵を薙ぎ倒していく。

まぁ・・・仕方ないよな。あんなの誰だってかっこいいと思うよな。

イズミは倒した敵など見向きもせず、前へ前へと進んでいく。

 

まるで弱い奴には用は無いかのように。

 

再び渦巻く憎悪。

アイツは何も分かっちゃいない。アイツは知ろうとすらしない。

ギリッと歯軋りをし、拳を握り締める。

イズミ・・・。やっぱり俺はアンタを認めない。

たとえこの世界の人間全てがお前を肯定しようと、俺だけはお前を否定し続ける。

 

イズミ。シンク・イズミ。お前は、お前だけは・・・!

 

睨めつける俺をよそに、シンクは再び拍手喝采を浴びていた。




皆さんにお知らせがあります。
前書きでも述べましたように、もうすぐ定期テストがあります。
ですから、次の投稿は恐らく、中間テストが終わってからになると思います。
すみません。必死こいて頑張ってきます。
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