DOG DAYS 〜The Demise Hero〜 作:セラフィエル
中間テストやっと終わった!と思う間も無く、テスト返却です。
毎回思うのですが、テストは返さずに先生の方で燃やして欲しいです。結構マジで。
え?点数?ナニソレ?ウマイノ?
さっきのって・・・。
蒼と白の戦闘服を纏った高槻 七海は困惑していた。
なぜなら、つい今し方、シンクの上に人が落ちてきたのだ。
しかも、それはシンクを憎んでやまないあの黒神 和斗だったのだ。
一体、どうして彼が・・・・。
まさか、シンクが呼んだとか?
いや、まさかあり得ない。彼がシンクの言うことを聞くとは土台思えない。
でもでも、それ以外考えられないし・・・。
私が頭を悩ませていると、背後から凛とした声が響いた。
「七海よ、困惑するのは分かるが、今は戦に集中するのが先決であろう。黒神 和斗といったか?彼奴ならば今頃ミルヒが対応しておる。何も心配する必要はあるまい。」
「うん・・・そうだね。ゴメンね、レオ様。」
そう言いつつ、後ろを向く。
風になびき、陽の光の下で輝く長い銀髪。整った顔立ちに、羨ましいくらいのグラマラスな身体。猫を思い立たせる猫耳と、こちらは猫というよりはライオンのそれに近い尻尾。そして、その肩には巨大な<魔戦斧グランヴェール>が担がれている。
彼女の名前は、レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ、通称レオ様だ。
「分かればよい。今日は特に頑張ってもらわねばなるまいからな。なんせ、ガウルの領主としての初陣じゃ。なんとしても勝たねば。」
今まではレオ様が、ガレット獅子団領の領主だったのだが、春休みにその座を弟であるガウルに譲ったのだ。
ただ、グランヴェールだけはまだ手放したくないらしく、もうしばらくレオ様が扱うようだ。
「まったくだ。初陣で負けたら姉上に見せる顔が無えよ。」
少し大人びた低い声が聞こえた。
この声は・・・
「ガウル!お仕事は終わったの?」
姉のレオ様と同じ銀髪に勝ち気そうな双眸。
その身には、深蒼の戦闘服を纏っている。
ガレット獅子団領の領主、ガウル・ガレット・デ・ロワだ。
「ああ、やっと一段落ついたところだ。ったく、忙しいったらありゃしねぇ。」
ガウルが首を振りながら、愚痴をこぼす。
最近ではその仕草も大人びている。
「愚痴をこぼすでない、ガウル。これからもっともっと忙しくなるというのに。この程度で弱音を吐いていては、体が持たんぞ。」
「うげぇっ、マジかよ。んじゃ、バナードとビオレの燃えっぷりも激しくなんのかよ。冗談じゃねぇ。」
「へぇ〜、あの二人も熱くなったりするんだ。」
なんというか、意外である。
バナードとビオレはどちらかというと、冷静な方なのだが。
「熱いなんてもんじゃねぇよ。ありゃもうゴドウィン以上だ。あんな二人初めて見たぞ。」
「うわぁ・・・」
ゴドウィンはガレットの将軍なのだが、熱血漢であることでも有名だ。
そのゴドウィンを超えるくらいの燃えっぷり・・・。
是非とも見てみたいものである。
「まぁ、つーわけだから、お前ぇにゃしっかり働いてもらうぜ。我が国の勇者様よ。」
ガウルがニッと笑いながら、私の肩に手を乗せる。
初めて会った時より、大人になったガウルはなんというか・・・こう・・かっこ良くなった。
だから、こうやって体に触れられたりすると、妙にドキドキする。
「う、うん。」
「どうかしたか?顔赤ぇぞ。」
ガウルが私の顔を覗き込んでくる。
ち、近い・・・!
「ううん!何でもない!そうだね!頑張って勝たなきゃ!」
「フフッ、お主らはなかなかに良いコンビじゃなぁ。これからが楽しみだ。」
何かを察したのか、レオ様がニヤニヤしている。
「た、楽しみって何がですかーっ!これは・・その・・・違うからね‼︎」
自分でも顔が真っ赤になっているのが分かる。
うう・・・恥ずかしい・・・。
「ハハハッ!さあ、我々もそろそろ出るとしよう!」
「レオ様のばかーーっ‼︎」
「お前らは一体何を言ってるんだ?」
ガウルが私達のやりとりが分からないとでも言わんばかりに首を傾げていた。
目の前に迫り来る棍棒を屈んで躱す。
頭上を棍棒が唸りをあげながら、通り過ぎる。
髪を掠ったのだろう、髪が引っ張られるような感覚が神経を撫で回す。
それだけで体中から冷や汗が湧き出てくる。
視線を上に向けると、既に敵が第二撃を用意していた。
「ックソがァァッ‼︎」
させまいと右手に握った剣を気合いと共に斬り上げる。
攻撃を用意していた敵は、躱そうとしたが間に合わず、左脇腹から右胸を切り裂かれた。
ボンッと敵がダマ化し、丸っこいネコダマへと変わる。
「・・・ハァ・・ハァ・・・。」
息が切れている。緊張がとけて、崩れそうになる足をなんとか踏ん張る。
呼吸を整えたいというのに、既に前方には新たな敵がこちらへ雄叫びを上げながら接近していた。
「チッッ!ッざっけんなッ!」
休む間も無く四人目の敵へと、和斗は剣を構えた。
遡ること数十分前。
姫様と戦の様子を見物していた時、ふと姫様が俺に聞いてきたのだ。
「良ろしければ、和斗さんも戦に参加してみませんか?」
確かに興味はあった。
だが、すぐに俺は思い出した。
俺は、何をやらせても駄目なドクズだということを。
俺が参加したところで何の役にも立てないだろうし、さらに言えば、迷惑をかけてしまうだろう。
だから、俺は首を振った。
「いや・・・俺が出ても無駄なだけだろう。逆に迷惑をかけてしまうかもしれない。それに・・・俺は、イズミほど強くもない。」
そうだ・・・出しゃばらない方がいい。
今まで出しゃばって、いい事なんて無かった。
いつもいつも辛い思いをしてきた。
出しゃばっていいのは・・・イズミみたいな奴だけなんだ。
だというのに、姫様は俺に微笑んだ。
「和斗さん。心配しなくてもいいんですよ。この戦にはいろんな方たちが参加するんです。その中には普段あまり目立たない方だっています。この戦は、自分を輝かせるための場所でもあるんです。」
姫様が俺の手を握る。
その手は温かく、俺の心さえも包み込んでいった。
まるで、俺の懊悩を、その深奥さえも知っているようだった。
「ですが、やる前から諦めていては輝けるものも輝けません。大切なのは、勇気を出して前へと進む事です。どんなに小さな一歩でも、頑張ればいつか辿り着くはずです。だから和斗さん・・・まずは、一歩を踏み出してみましょう。」
「・・・俺は・・・・」
初めてだ。こんなにも温かく、優しい言葉が心に染みたのは。
だからこそ、どうすればいいのかわからない。
俺は、進んでもいいのだろうか?
もちろん、不安ではある。
だが、それ以上にこの人なら、姫様なら、信じてもいいような気がする。
その時、姫様と目が合った。
その瞳の奥には、美しく、温かく、俺が見たことのない優しい光が浮かんでいた。
やってみる価値はあるかもしれない。
「・・・分かった。やってみる。いや・・・やらせてくれ。」
もしかしたら・・・俺は、この場でなら、輝けるかもしれない。
今は・・・この人を、信じてみよう。
姫様は心底嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「はいっ!それでは、早速準備いたしましょう!リゼ・・・」
「お呼びでしょうか、姫様。」
「⁉︎早っ!あんたさっきまでどっか行ってたろ!」
姫様がこいつの名前を言い終わる前に、ドアが開いた。
いくらなんでも早すぎるだろ・・・。
「何をおっしやっているのですか?姫様のお呼びにはたとえ行為中でも馳せさんずるのが、我らメイド隊のお役目です。」
その行為中とは何なのかは、あえて聞かないでおこう。
「姫様。ご用件をお申し付け下さい。」
リゼルが恭しく礼をする。すげぇなここのメイド。
「和斗さんに見合う服を用意してください。それと、武器も。お願いしますね。」
「かしこまりました。直ちにご用意致します。和斗様、こちらへどうぞ。」
その後、服の採寸やら、武器選びやらに追われ、今に至る訳である。
ちなみに、服は白地に黒の刺繍が入った騎士団の服を貸してくれた。武器はシンプルなデザインの片手剣。これを選んだ理由は、なんだか手に馴染んだ気がしたからである。
そして、その剣は今、敵の剣を弾き、軽やかな金属音を響かせていた。
「ハァァッ‼︎」
硬直状態の敵の胴体を真一文字に斬り裂く。
ダマ化した際噴出する煙を掻き分け、近くに敵がいないことを確認する。
そして、膝から崩れ落ちる。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」
もはや息切れである。脇腹がキリキリと痛み、足の筋肉は悲鳴をあげている。剣を振るう腕も鉛のように重い。
情けない。
戦に参加してから三十分以上経っているはずなのだが、未だ倒した敵は四人である。
しかも、四人倒しただけでこの有様だ。
自分の体力の無さに改めて落胆する。
イズミならば、こうしている間にも武器片手に戦場を駆けているというのに。
嗚呼、情けない。
ちらりと姫様のいる本陣を見る。
何かあってはいけないと、本陣からあまり離れていないここで、前線から漏れてきた敵を始末するのが俺の役目である。
漏れてきたといっても、前線が硬いためか敵はかなり少ない。
だから、ここからでも本陣の展望台から戦場を眺める姫様がよく見えるのだ。
姫様はどうしているだろうか。
目を凝らして見ると、姫様は斜め上を見上げていた。
イズミが映っているキューブを。
嬉しそうに。
幸せそうに。
「・・・ッ」
目を逸らす。
当然なのだ。
誰が見るだろうか。
怒涛の進撃を見せるイズミではなく、チマチマと敵を倒す俺なんかを。
だがーー
姫様なら、俺の背中を押してくれた姫様なら、もしかしたらーーー
頭を振る。
何を考えているのだ。
姫様だって、イズミの戦いっぷりを見たいのだ。
この俺なんかよりも。
だけど、だけど、あの姫様に見てもらえたら・・・どんなに良いだろうか。
イズミではなく・・・俺を見てくれたら。
その時、体を素早く右に移動させる。
次の瞬間、ほんの数センチ横を棍棒が通り過ぎた。
「・・・ッオオァッ‼︎」
すかさず得物を、棍棒を振り下ろした直後の敵の首に叩きつける。
ギリッと奥歯を噛み締める。
もっとだ。もっとだ。もっともっと倒せば、きっと・・・!
次なる敵を求め、和斗は、大きく一歩を踏み出した。
最前線へと。
俺は・・・この時から間違っていたのかもしれない。
レオ様ご登場です!
19歳のレオ様ですよ!
きっとさらに魅力的になってるんでしょうね。
一度見てみたいものです。
これからもっと原作組を登場させるつもりですから皆様、
お楽しみに!