【完結】TS〜朝目が覚めたら万能執事長はダメイドになってました〜   作:ラットマンΣ

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チョコレートの様に甘く

 本日は2月14日、年に一度のバレンタインデー! 

 いつもなら皆さんに振る舞う為に手を尽くすところですが、今年は違う。

 今年はアキルのためだけに作りたい。

 だが、今の俺は全てがポンコツのダメイド……果たして上手くいくかどうか……

 いや、悩んでも仕方がない! 

 とにかくやってみるだけやってみよう! 

 まずはチョコを湯煎で溶かして……

 

 

 2時間後

 

 

 

「ワァ……ァ……」

 

 できたのはチョコレートにあらず。

 そう、例えるなら暗黒物質(ダークマター)

 なんか変な瘴気を放っているし絶対やばい。

 多分人1人は殺せる……

 

「はぁ……結局ダメか……」

 

 思わず涙がこぼれる。

 我ながら情けない、チョコレート一つろくに作れなくなってしまった。

 そんな時、不意に肩を叩かれる。

 

「クリス、何作ってるの?」

 

「アキル?! いや、これはその……」

 

「もしかしてチョコレート? 誰にあげるの?」

 

「……いえ、これは失敗作です。捨てようかと」

 

「ふーん、じゃあ食べていい?」

 

「ダメです! こんなもの食べたら体に悪いですよ?!」

 

「けど、クリスが頑張って作ったチョコレート食べてみたいのよね。いい?」

 

 アキルは優しい笑顔でそう告げる。

 ……ずるい。

 そんなの断れないじゃないか! 

 

「……いいですけど、危ないと思ったらすぐ吐き出してくださいね?」

 

「わかってるわよ。いただきます!」

 

 ガリッとアキルはチョコレートに噛み付く。

 音はザクザクで到底チョコとは思えない。

 やっぱり失敗作だ……

 

「……刺激的な味ね」

 

「無理して食べないでください! 身体を壊しますよ?!」

 

「やだ、全部食べる。クリスが怪我しながら作ったチョコレートだもの」

 

「!!!」

 

 アキルは俺の手を見てそう言う。

 俺の手は絆創膏だらけで無様な手だ。

 アキルはそれに気づいていた。

 アキルは最後の一欠片まで食べ尽くすと俺を抱きしめる。

 

「クリス、ありがとう。きっと私のために作ってくれたんだよね? クリスは今は何もできないって思ってるかもしれないけど、そんな事ないよ」

 

「アキル……」

 

「ふふ、今度はこっちの番だね! 部屋で待ってて、クリス。後でチョコレートあげるからちゃんと食べてね? 約束よ?」

 

 そう言ってアキルはエプロンを着ける。

 俺は厨房を後にして部屋に戻る。

 アキルからのチョコレート、か。

 嬉しい事この上ないな……

 あぁ……本当にアキルは優しい、こんな俺を受け入れてくれるんだから。

 その後しばらくしてアキルからチョコレートを渡された。

 ハート型の可愛らしいチョコレートはいつもよりも数段甘く感じた。

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