【完結】TS〜朝目が覚めたら万能執事長はダメイドになってました〜 作:ラットマンΣ
「で、考えた末に
「……はい」
現在時間夜の8時。
私、クリス・フォスターは恥もかなぐり捨てて現在別居中の姉、メアリー・フォスターの家に来ていた。
無論、風呂を借りる為に。
屋敷にも風呂はある、当然あるとも。
しかし男湯と女湯で分かれている。
まぁつまりどっちに入ればいいかわからない、と言うか入っていいのこれ? って感じだったのだ。
だって中身は男だけど外見はまごう事なき女性だ。
それに自分の体とはいえ女性の裸体を見るのはちょっと……いや、だいぶアウトな気がする。
「と言うことで、お風呂貸してください……」
「いや、私は構わないけど冬香がどう言うか次第ね」
冬香、蒼葉冬香さんはアキルの姉。
現在、姉を半ば強奪してこの家に住んでいる……。
完全に頭から外れていた……絶対めんどくさい事になる。
「わぁ! 本当にクリスくんたら女の子になっちゃったんだ! アキルから写真送られて来てたよ! 涙目でピースしてるやつ!」
「ははは、ソウデスカー……」
マジで今日一日でアキルに対するヘイトが溜まりまくってるな?
人をおもちゃみたいにして……ニャルラトホテプのこと言えないからな!
「で、お風呂使いたいんでしょ? いいわよ! 何ならお姉さん達も一緒に入ろうか? なんちゃって」
「いえ、結構です。はい」
ただでさえ自分の裸体を見るのに戸惑ってる人間が他の女性と一緒に入れる訳ないだろ!
やっぱり蒼葉の家系ってイタズラ好きなのか?
そう言うタイプなのか?
「とにかく、お風呂お借りしますね!」
そう言ってさっさと風呂場に行く。
ふぅ……クリスよ、今から行う行為は決してやましい行為ではない。
ただ身体を清潔に維持する為に必要な行為だ。
だから、色々見えちゃったりしてもしょうがないし私は何一つ悪くない。
うん、よし行こう!
硬い決断の元、服を脱ぐ。
白く柔らかい肌があらわになる。
……と言うかすごいスベスベしてて柔らかいな。
じゃなくて!
とりあえずシャワーを浴びてできるだけ目を閉じて髪と身体を洗う。
私は元々長髪だから髪を洗うのには時間がかかる。
執事たるもの身嗜みには気をつけなければならない。
そこは妥協できない。
そうして一通り洗い終わった後、湯船に浸かり天井を見上げる。
こうすればあまり身体に目はいかない。
「いつ戻るんだろ……これ……」
不意にそんな言葉が溢れる。
この状態がいつまで続くのか、認めたくはないが身体能力はかなり下がっている。
こんな状態じゃアキルを守れない。
人のことをおもちゃみたいに扱うとは言え、私にとっては大切な人だ。
だからこそ守れる力が欲しくて身体を鍛えた。
それが今やこれか……。
空気を掴んで拳を天に上げる。
「悔しいなぁ……」
そうしてしばらく風呂に浸かった後、風呂から出て身体を拭く。
無論、できるだけ目を閉じて。
そうして髪を乾かす。
姉と冬香さんに礼を言って屋敷への帰路に着く。
ただ、この時の私は危機感が薄かった。
場所は予玖土町、そして夜中に女性が一人。
ゴンっと言う音を最後に私の意識が消えた。