【完結】TS〜朝目が覚めたら万能執事長はダメイドになってました〜 作:ラットマンΣ
感覚があやふやになる。
出血しすぎたせいだ。
でも、死ぬならそれでも良いか。
だって……
「眩しい……」
見覚えのある天井だ、どうやら俺は死にぞこなったらしい。
「良かった、クリス! 目が覚めたのね!」
声の主はアキルだ。
アキルは涙目になりながら俺の手を握る。
「アキル……昨日は、その……」
昨日のことがうまく謝れない。
いや、怖いんだ。
アキルに嫌われたんじゃないかと思うと口がうまく動かなくなる。
「大丈夫、気にしてないよ。私の方こそごめん。クリスの気持ちをちゃんと考えてなかった」
アキルは頭を下げて謝る。
……俺はやっぱり卑怯だ。
「いえ、私の方こそ申し訳ありませんでした……せっかく助けていただいたのに、あんな態度をとって……」
それを聞いたアキルは優しく微笑んでいた。
「よし、これでこの話はおしまい! クリスを早く戻す為にもリリスのやつをとっ捕まえるわよ!」
「アキル……ええ、ええ! 私も私にできる限りのことをします!」
「さぁて! ……とは言ったものの、リリスに1番近いシェリーが逃げたのよねぇ……まずはシェリーをとっ捕まえるかアメリカまで飛んでリリスを直接とっ捕まえるか……どうしたものか……」
アキルは神妙な顔でそう語る。
俺が知らないうちにシェリーさんが逃げていたのか……
なら、当分は男に戻れないのか……
でも、せめて今の自分にできることをしよう。
そう……
「と言うことで、執事長改め新米メイドのクリスです!」
執事服は当分は封印だ。
今の俺は新米メイドのクリス……なんだが……
「服もうちょい無かったんですかね?! スカートの丈が短いし、色々とフリフリだし……!」
メイド室のクローゼットにあったはずのクラシックなメイド服がなぜかなくなっており、代わりにコスプレじみたメイド服だけがあった。
更に一通の張り紙がこれみよがしに置いてあった。
『クリスちゃんへ、可愛いの用意しときました。シェリー』
あんの吸血鬼モドキ、マジで許さねぇ……
逃げるだけに飽き足らず、こんな置き土産をしていくとは……
捕まえたらシバく、絶対シバく!
「えっと……似合ってる、わよ? うん」
なんとも言えない表情でアキルが答える。
「むぅ……まぁ、まだ
と言うことで今日から俺は新米メイドとして蒼葉邸に勤めることにした。
これは俺なりのケジメの付け方だ。
アキルを悲しませてしまった償いだ。
その為ならメイドでも何でもやってやる!