非単一な短編まとめ   作:非単一三角形

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※元小説ID:301902 投稿日:2022年11月08日(火) 13:26 一部改稿あり


連載中のヒロアカ二次の息抜き兼布教用としてサクッと書きました。
"童話系個性"、あると思います。

月光条例でハーメルン全作品検索したら二件しか出なかった衝撃を込めて。



Fairy tale Hero ~AKA ZUKIN~(原作:僕のヒーローアカデミア × 月光条例)

 

 

 ―――むかし、むかし、或いは現在。

 

 それは、とある洋上での出来事です。

 

 

「……これで乗り合わせたヒーローは全員だな、っと」

「ぐっ……」

 

 男の手でどしゃり、と投げ出されたヒーローが呻き声を上げます。

 血溜まりに沈むその姿に、目撃してしまった人々から悲鳴が零れました。

 

 此処は、沖合の洋上を進む遊覧船。

 金持ちの道楽と揶揄される巨大な船の中、その評価に違わぬ調度品が血飛沫に染まります。

 

「くそ……何が目的なんだね、君達は……っ」

「目的? そんなもん決まってるだろ。ブクブク肥えた成金共が」

 

 優雅な船旅を彩るはずだった純白のテーブルクロスに腰を下ろすのは、物々しい銃器を手にした粗暴な大男。

 質の良い燕尾服の上から荒縄で縛られた男性の問いかけに、にやにやとした笑いを顔に貼り付けたまま返答します。

 

「てめえらの身代金……なんぞ要求したって、そのうち空を飛べるヒーローでも集まってきて制圧されるだけさ。謙虚な俺たちは適当に金目の物かっさらってトンズラするのよ。頭良いだろ?」

「…………」

 

「……ケッ! そのぐらいなら良いか、って顔しやがって……この辺の花瓶一つで俺達が何日生きられるか分かってんのかよ、お前らは」

 

 縛られた怒りの中に僅かな安堵を滲ませた男性に、大男が悪態を吐きまして。

 何かこの苛立ちをぶつける矛先がないかと、縛り上げた人質達を眺めていた彼は、ある一点で目を止めます。

 

「……へえ、金持ちのガキでもこういう本は読むんだな」

「やっ……! か、返して!?」

 

 縛られた少女の鞄から角を覗かせていた一冊の本。

 貧富の差も無く誰もが知っているそのタイトルを見掛けた大男がそれを引っ張り出せば、大切な本を取り上げられた少女が悲痛な声を上げました。

 

「い、いやぁ! わたしの本っ!?」

「む、娘に何を……!?」

「騒ぐなよ。ちょっと借りただけじゃねえか」

 

 母子の訴えを聞き流しながら、大男はどこか懐かしい気分でそれを開きます。

 

 赤い帽子のおちびさん。

 手にした籠にはワインと干し肉。

 おばあさんへのお使いの途中、狼に会って道草を。

 

「はは、俺たちゃさしずめ狼さん、ってか―――」

 

 

 笑おうとした大男の声が、不意に途切れました。

 不思議に思ったのは、人質に銃器を向けて威嚇していた彼の部下達。

 それぞれ前方に意識を割きつつも、大男が居た方向へと視線を動かします。

 

 

 

『―――だああああむ』

 

 

 

 赤い頭巾のおちびさん。

 手にした籠にはワインと干し肉。

 真っ赤なブーツをちん、と鳴らし。

 

 頭巾の下から覗いた瞳が、ぎょろりぎょろりと彼らを睨む。

 

 

 

『ですとろおおおおい』

 

 

 

 

 

 

 ―――分類されるは"異形系"。中でも特異な"童話系個性"。

 誰もが知って、誰もが愛する。そんな『彼女』になった彼女は、何処にでもいる普通の少女。

 

 

「悪い子は……みぃんな―――」

 

 

 遠い海の向こう、創作盛んなある島国で、とんでもない『彼女』が生まれるまでは。

 

 

ですとろおおおおおおい(Destrooooooy)

 

「「「ぎゃあああああッ!!?」」」

 

 

 銃器を持った男達が、紙吹雪のように飛んでいく。

 ここはまさしく漫画(コミック)の、はたまた童話のワンシーン。

 

 

「撃ち殺す気マンマンのぉ! 猟師さーん!」

 

「「「ひいぃいいッ!!?」」」

 

 ズドンズドンと銃声を鳴らし。

 ガトリングの如く猟銃をぶっ放すは、少女の背中から湧き出る髭面の猟師。

 

 

「殴り殺す気マンマンのぉ! お婆ちゃーん!」

 

「「「うぎゃあああッ!!?」」」

 

 ボグシャドゴシャと生々しい音を響かせ。

 筋骨隆々の拳を振るうは、少女の背中から湧き出る凶悪な形相の老婦人。

 

 

「う、撃てっ! 撃てぇ!?」

「わけわからんガキだが多分ヒーローだ! 撃ち殺せぇ!」

「対トップヒーロー用のロケットランチャー持って来たぞ!」

「「でかしたっ! 撃てぇ!」」

 

 立ち向かう気概のあった者達が、集められるだけの銃器を集めて一斉射撃。

 自身に向かう無数の弾丸を、彼女はニヤリと笑って立ち尽くし。

 

 

「だあああむ」

 

「「「…………へ?」」」

 

 少女の身長の三倍ほどに膨れ上がった顔面。

 あるべき眼球が消え、洞穴のように広がった片方の眼窩が、打ち込まれた弾丸を吸引し。

 

「ですとろおおい」

 

「「「ええぇぎゃああっ!!?」」」

 

 パチリと開かれたもう片方の眼窩から、呑み込まれた弾丸が男達に向けて降り注いだ。

 ……そうはならんやろ。

 

 

 

 

「なんっ……なんだ!? 何なんだアレはぁ!?」

 

 仲間達の悲鳴に背を向け、一人逃げ出した男がいた。

 尤も彼の仲間にも、一部始終を見ていた人質達にも、その醜態を責める者はいなかったが。

 

 船の一室、分厚い扉を備えた部屋へと駆け込み、必死の思いで扉を閉める。

 重厚な音を立てて閉じたそれに、彼は寄りかかる様にして座り込む。

 

「はぁ……はぁ……あ、あんなヒーロー、聞いたこと―――」

 

 乱れた息を整えながら、彼は空転する思考を回して、そして気付く。

 彼の知る知識の中に、確かにアレに相当する情報が有ったことに。

 

「ま、まさか……あれが……」

 

 聞き覚えはあったのだ。

 

 曰く、誰もが愛するあのキャラクター(登場人物)に似る"個性"。

 そのキャラクターを知っている人々の認識が、そのまま力となる"個性"。

 

 『超人社会』以後、世界中に散見されるようになった"童話系個性"の、異端児。

 系統共通能力である「モデルとなった本を媒介に移動できる」性質を活用し、世界中に『出没』するようになった期待の新星。

 

 

『だあああああむ』

 

「……っ!?」

 

 聞こえた声に、身を竦める。

 コツコツと、コツコツと、ブーツの足音が彼に近付く。

 

 逃げた彼の位置を分かってでもいるのか、足音は確かに彼が座り込む扉の前で途切れた。

 

(だ、だだだ大丈夫だ。この扉は見たところ分厚い鋼鉄製……そう簡単に破れは―――)

 

 サクリ、と。

 そんな彼の思考をも裂くように、視界に映ったのは巨大な耳。

 

「…………はへ……?」

 

 鋭い刃物と化した耳が、サクリサクリと扉を切り開き。

 

 

ですとろーんぐっどばい(Destr (l)ooong goodbye)

 

 

 彼の意識を切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 ―――フィンランドNo.1ヒーロー。『童話ヒーロー(Fairy tale Hero) AKA ZUKIN』

 公用語たる英語にて Little Red Riding Hood と、彼女が名乗らない理由は一つ。

 

 

「だあむですとろ……私の知ってる赤ずきんと違う(It's different from what I know)……」

 

 

 げに恐ろしきは、クレイジージャパン。

 





 誰か、続き、書いて。


"個性"『赤ずきん』

・赤ずきんっぽいことが何でもできるぞ!
・「赤ずきん」の本を媒介にして世界中に移動できるぞ!
・某国某漫画の影響で「赤ずきんっぽい」の基準が大変なことになったぞ!


「赤ずきん」 出典:月光条例

 作者の知る限り、古今東西の赤ずきん史上最もクレイジーな赤ずきん。
 作中の初登場シーンでは、連続爆破殺人事件の犯人として爆発炎上するビルを背景に「だむですとろい」の決め台詞。どういうことなの……

 ちなみに藤田先生曰く、「だむですとろい」自体に深い意味は無いそうな。

 知名度補正的な強さがあると思われる同作品中でかなりの強キャラとして描かれている。
 そのうちシンデレラとニコイチで扱われるようになったが、こちらも負けず劣らずクレイジー。


・能力その1 「猟師さん」

 赤ずきんの背後に現れるスタ○ドその1。
 猟銃を容赦なく機関銃の如くぶっ放す。どういうことなの……


・能力その2 「お婆ちゃん」

 赤ずきんの背後に現れるス○ンドその2。
 スター○ラチナばりのラッシュで相手を殴り殺す。どういうことなの……


・能力その3 「顔面巨大化」

 どういうことなの……

 コマ一杯に顔を巨大化させ、眼球があるべき場所は空洞になる(しないことも出来る)。
 人間、気体、超音波と何でも飲み込み、もう片方の目から発射できる。どういうことなの……


・能力その4 「耳を刃物化」

 巨大化させる顔に合うようなサイズに耳を巨大化させて刃物にする。
 その切れ味は鉄をバターのように切り裂くほど。どういうことなの……



 実にぶっ飛んだキャラクターなのだが、作中では屈指の涙腺破壊キャラ(他多数)でもある。
 どういうことなの……

 気になった方は、月光条例、読もう。
 ちなみに作者的にクリティカルだったのはフランダースの犬のパトラッシュ。

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