何度か短編を書いたガレ魔女の前作、ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団で一作。
初見プレイ中に頭を過ってしまったネタを形にしてみることにしました。
ガレ魔女ともども知名度上がれ……上がれ……(布教者並感)。
※なお原作の重度なネタバレ含みます。
※あと今回ギャグです。原作の雰囲気とはかけ離れてます。キャラ崩壊にもご注意を。
「───ぐ、ぅ…………イサ、ラ…………っ」
小さな馬車小屋の中に、掠れた呻き声が零れ落ちた。
無残にも床に撒き散らされた、つい先刻まで暖かな湯気を立てていた食膳たち。
蹴倒された家具に埋もれるように、苦悶に歪めた顔で倒れ伏す黒髪の女性。
「ど……ドロニアさまーーっ!?」
一瞬遅れて、夕闇に包まれた街に悲痛に染まった童女の悲鳴が響き渡る。
和やかな夕食時に突如として訪れた恐ろしき惨事に理解が遅れた彼女は、それでも自身に可能な全力で女性の元へと駆け寄って。
「う、うぅ……ドロニアさまぁ……」
されど身体を揺さぶる小さな手に込められた想いが、最早彼女に伝わることはなく。
幼い身ながらも、次第に事態を理解してしまった童女の瞳から、大粒の涙が溢れて、落ちた。
「ルカが……ルカがなんとかしますから……絶対に……っ」
鼻をすすり、頬を歪めた童女が呟き、念じる。
閉じた瞼の奥、
「どうか、もう一度───!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ドロニアさまー、ごはんができましたー。今日はおいしいおいしいスープですよー」
「ああ……もうそんな時間か……む?」
「? どうかしましたか、ドロニアさま?」
「今、何か違和感が……いや、気のせいだな」
小さな馬車小屋の中。年季の入ったテーブルに並べられる暖かな食膳。
鼻歌混じりに
「……そういえば、今日は美味しいキノコが買えたとか言って喜んでいなかったか? 見たところこれに入っているようには見えないが……」
「え!? あ、あれは、そのー……お料理の途中で失敗しちゃいまして。えへへ……」
「何をやっているんだ……。まあ、どうでもいいがな」
「そ、そうですよ。食べましょう、ドロニアさま! よーく噛んで食べてくださいねー!」
「何だその物言いは……お前はいったい何の立場で……いや、もういい」
いそいそと、食器を手にして椅子に座るルカに、溜息を吐きつつ食卓につくドロニア。
形は一般家庭と異なれど、食事を囲むその姿は和やかな団らんの場───
「……がっ、ぐぅ!?」
「……ええっ!? ど、ドロニアさま!?」
突如。
湯気の立つ食事を口に運んでから暫し、喉を押さえたドロニアが苦し気に唸る。
他方、
「ぐ、ぁ……喉、に…………息、が……ッ!?」
二度、三度。呼気を求めたドロニアの手が虚空を掻き泳ぐ。
それでも瞬く間に蒼白に染まったその顔が、血色を取り戻すことは終ぞ無く。
「ぐ、ぅ…………イサ、ラ…………っ」
やがて小さな馬車小屋の中に、掠れた呻き声が零れ落ちる。
無残にも床に撒き散らされた、つい先刻まで暖かな湯気を立てていた食膳たち。
蹴倒された家具に埋もれるように、苦悶に歪めた顔で倒れ伏すドロニア。
「そ、そんな……
一拍遅れて、静まり返った小屋にルカの悲嘆が響き渡る。
涙と悲しみにくしゃりと歪んだその顔は、しかしどこか遠い彼方を覗くような目をしていて。
「うぅ……ルカがなんとかしますから……もう一度……!」
目を閉じ、念じる。
閉じた瞼の奥、
「次は、絶対に───」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ドロニアさまー、ごはんができましたよー。よーく噛んで食べてくださいねー」
「ああ……って、何だその物言いは。お前はいったい何の立場で───」
「よく、噛んで、食べてください、ねっ!!」
「っ……あ、ああ……?」
小さな馬車小屋の中。年季の入ったテーブルに並べられた暖かな食膳。
妙な圧を込めて迫る
どこかおかしな気迫を込めて食器を握るルカに、目を白黒させつつ食卓につくドロニア。
形は一般家庭とは全く異なれど、食事を囲むその姿は和やかな───
「……がっ、ぐぅ!? ……イサ、ラ…………っ」
「なんでですかドロニアさまぁ!!?」
倒れ伏すドロニア。悲嘆の声に
隠せる余裕がなかった童女の
「…………もう一回! もう一回です! 次こそは───!!」
「ドロニアさまー、ごはんができましたよー。よーく噛んで食べてくださいねー」
「……噛むもなにもドロドロなんだが……なんだ? お前は赤ん坊でも育ててるのか?」
「…………その方がよっぽど楽でしたね」
「ルカ? おい今なんと言った? ルカ???」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「───全く、あいつは自分の命を省みない行動が多すぎる。そうは思いませんか、ルカさん」
「そうですねー」
「僕の剣にも碌に反応も出来てなかったくせに、態度ばかり大きくて……あれじゃ、いつ死んでもおかしくない……」
「うんうん、その通りですよー」
「…………あの、ルカさん。聞いてます?」
「ちゃんと聞いてますよー、ネルドちゃん」
童女の傍ら、まるでその身を守る騎士のように付き従う貴族然とした出で立ちの青年、ネルド。
数奇な出会いを経て、ドロニアには隠さぬ隔意をルカにはおくびにも出さず。果ては幼女趣味の疑惑を掛けられた謎多き彼は今、ルフランの街を勝手知ったる足取りで歩く彼女の傍にいた。
態度の端々で親愛を顕にする彼に、されど当の童女からの態度は少々
「急いでお使いを済ませないと、またドロニアさまが悪い物を拾って食べちゃいますし」
「……拾い食いなんかするのかあいつ……いや、魔女なら毒物の類いにも明るいんだろうが……」
「そうですねー。『これは食べてもちょっとした刺激があるだけだ』なんて言って……今月だけでも8回やり直して……ちょっと目を離すとすぐに……ぶつぶつ……」
「……ルカさん? いったい何を言って…………まさか!?」
一応は声を潜めつつ、誰が聞いても意味不明だろう言葉を呟き、ルカは彼方に目を向ける。
沸いた当然の疑問から一転、過たず
「───躓いて転んで頭を打つこと20回……路地裏で危ない人に喧嘩を売って17回……魔法の途中でくしゃみして暴発した魔法で5回と、くしゃみの拍子に舌を噛んだり腹を打ったりで合計13回……暑いからって肌着で過ごして風邪をひいて3回……これは触っちゃいけない毒草だってルカに説明しながらべたべた触って4回……寒いからって密閉した小屋の中で暖炉を焚いて2回……これぐらい義足でも大丈夫って言ってちょっと高い所から飛び降りて23回……魔法で相手を操ろうとしておかしな命令を出して2回……違う意味でアブナイ人に連れ込まれた教会でぺろっと食べられて1回……危険な毒薬を作ってるのに換気を忘れて7回と、ちゃんと窓を開けてたのに薬の鼻先で深呼吸して2回に食べ物を喉に詰めたのが昨日のを合わせて───」
「る、ルカさん!? なんか黒い魔力が立ち上ってますよ!? ルカさん!!?」
顔だけは普段通りの笑顔のまま、何やら
一旦は怖気づき、しかし首を振って気を取り直した彼は、怒れる童女へと憤然といった面持ちで追い縋った。
「落ち着いてください、ルカさん。何か悩みがあるなら、僕が貴方の力になりますから」
「……っ、ネルドちゃん……?」
「貴方には、僕がいる。ですからもう、ひとりで戦わなくともいいんです。ルカさん」
「…………」
「147回」
「…………え」
ほんの一瞬、ネルドの
訪れた沈黙の中、彼女の
「……なんでもないです。さあ急ぎますよー」
「え、あ……ま、待ってください、ルカさーんっ!!?」
「ああ、帰ったか、ルカ。ちょっとこの包丁を───がっ!? ぐ、ぅ……イサ、ラ…………っ」
「ギャー!? ドロニアさまーーーっ!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……どうしてお使いに包丁を持って行くんですか、ルカさん?」
「気にしないでください、ネルドちゃん」
「ああ、ルカ。ちょっとこの火掻き棒を───がっ!? ぐ、ぅ……イサ、ラ…………っ」
「ギャー!!? ドロニアさまーーーっ!!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「…………ルカさん? お使いに包丁と火掻き棒は要らないと思うんですが……」
「きにしないでください、ねるどちゃん」
「ああ、ルカ。ちょっとこの錬金釜を───がっ!? ぐ、ぅ……イサ、ラ…………っ」
「…………ぎゃー、どろにあさまーっ」
棺の間のイサラさん「毎回、断末魔に私の名前呼ぶのやめないか?www」
Ifルート:ドロニアさまがス〇ランカー体質だった世界。ルカちゃんの胃と情緒は〇ぬ。
サブタイトルの元ネタは言わずもがな「吸血鬼すぐ死ぬ」より。
雰囲気ブチ壊しだけど思いついちゃったらしょうがないよねごめんなさい(土下座)。
でもDeadEnd三回目ぐらいで似たようなこと考えたプレイヤーは作者だけじゃないと思うの。
マジで死亡フラグ立てすぎなのよドロニアさま。何回やり直したんだろうね原作ルカちゃん。
なお未プレイの方の為にことわっておきますが、原作はもっとお労しい世界観です。間違ってもこんなギャグ調ではありません。
またディスガイアの〇本一さんには珍しくゲームバランスが銀河の彼方に旅立たない系RPGでもあるのです。加えて探索・育成についても中々に骨太。
気になった方は、ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団、プレイしましょう。
次作、ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団もセットで是非々々。