日常?パートの難しさを実感しています。
「そうであったか、……私の他に伊隅大尉と速瀬中尉の2人が前世の記憶持ちであったか……」
武は日向の出勤を冥夜と一緒に見送った後、離れ宅から人払いした後、自室で冥夜と一緒に冬休みの宿題をしながら互いの近況報告をしあった。
「ああ、お前と同じ反応炉の爆発が原因で、前世の記憶と人格が今の身体に転生をしたんだろうな……」
「では武はどうなのだ、やはり反応炉の爆発で戦死をしてしまったのか?」
「……俺の場合は話せば長くなるが、……冥夜、宿題の手を休めるなよ。……今の俺達は小学生なんだぞ。学校の成績が落ちたら、衛士以前に会う事すら出来なくなるぞ」
「ああすまない武、…順を追って話して貰えると助かる」
冥夜は苦手な算数に悪戦苦闘していた。
取り敢えず御剣家からは使用人が冥夜の勉強道具と外泊一式を取り添えて持って来た、冥夜の様子から無理矢理御剣家に連れ戻しても又家を飛び出し攝ないと判断されたからだ。
況してや飛び出した先の家が斑鳩家の筆頭とも言うべき家が京夏家では、対応は慎重を余儀なくされてしまう。
何れは斑鳩家とも話し合うともしても、
「そうだな、…俺の場合は3人とは状況が異なるんだ」
武は理科の参考書を捲りながら話し出す。
「状況が異なるとは?」
「うん、冥夜は『虚数空間』と言う言葉を知っているか?」
「いや、知らぬぞ? なんだ? その『虚数空間』と言うのは?」
「簡単に言えば、『記憶領域』の向こう側に存在している情報の世界だ」
「情報の世界?」
冥夜は首を傾げる。
「簡単に言えば何百、何千もの俺、つまり白銀武の情報が蓄積された俺だけの情報帯なんだ······」
「······そんなのあるのか······」
「多分、冥夜にもあると思うぞ」
「本当か、武?!」
「ああ、最も情報帯にアクセス出来るのは夜寝ている時、夢と言う形でしかアクセス出来ないが」
「······」
「冥夜も不可思議な体験をしたりしないか?」
「どのような形でだ」
「夢の中で今まで会った事すらない人と話しをしたり、一度も行った事がない場所なのに、何故か此処に来た記憶が合ったりしたとかさ」
「あるな······」
「人は単なる偶然とかで片付けたりしてはいるけど、でもそれは虚数空間に存在している何百、何千もの御剣冥夜の体験に基づく記憶でもあるんだ」
「······」
冥夜は唖然として武の話しを聞く。
「この俺の場合は、夜寝ている時に、記憶領域を通じて虚数空間へのアクセスが可能で、そこから幾百、幾千もの白銀武の体験や記憶を情報として引き出せる······。そこから冥夜達の事も知ったんだ······」
話し終えた武は溜め息を吐く。
「その聞いていいか武······」
「なんだ冥夜、遠慮なく聞いていいぞ」
「その幾百、幾千もの白銀武の傍には、私は常に存在しているのか?」
「当たり前だろう、どの世界の白銀武に取っても、御剣冥夜は替えが効かない存在だぞ」
「そ、そうか、それを聞いて安心したぞ武」
「更に言えば、今の俺は幾百、幾千もの白銀武の意志と情念を彼らの記憶を受け継いた存在なんだ。だから明確には、冥夜と一緒にBETAと戦った白銀武とは言えないんだ……」
「な、なるほど……、それでも目の前の武は私の事を知ってはいたのだろう。それだけでも私は嬉しい。うん」
頬を赤らめる冥夜だが、ニブチンの武は気付かない。
「……なあ冥夜、お前はこの世界でも、みちるさん達と同様に衛士に為ってBETAと戦うつもりでいるのか?」
「当然だ! 私がBETAと戦わない理由は存在していない」
胸を張って堂々と答える冥夜。
「そうか……、でも出来る事なら、安全な場所で第二の人生を謳歌して欲しいのが本音なんだが……」
「武!?」
武の逸話ざる本音だった。
「俺はBETAを帝国本土に上陸させる気はないんだ……」
そう武は気付いてしまった。BETAを帝国本土に上陸をさせての本土決戦は日本帝国に取って集団自殺行為なのを。
「冥夜、俺はこの数ヶ月色々と調べた結果気付いてしまったんだ……」
「何に気付いてしまったんだ武……」
「人口密度が高く、食料、資源、エネルギーの自給率が低いこの国での本土決戦は、この国の国民に多大な犠牲を要求する事になるからだ……」
「武……」
冥夜も武が言いたい事を理解した。元来のこの国の国民性は農工民族で地元意識が高い。例え台風が無くても、BETAの帝国本土侵攻に伴う日本国民の避難が順調かつ適切に行われるとは思えないのだ。
「斯衛軍と帝国軍本土防衛軍は、BETAの帝国本土侵攻が合っても、本土決戦で勝てると豪語してはいるが、今の装備では満足な条件が揃っていても勝ち目はない。その事は彩峰少将閣下も認めている」
「!?彩峰少将に会ったのか武?」
冥夜は驚いた目で武を見る。
「ああ、昨夜会ったよ、榊外務大臣ともね……」
「そうか……」
「その席で彩峰少将はBETAの帝国本土侵攻から日本帝国を守るには、全ての戦術機が第三世代機で、俺が提示した電磁加速砲やその他の兵器、装備が潤沢にして、それを長期に渡って維持できる生産力と兵站が必要だと」
冥夜は冬休みの宿題の手を止めて、俯きながら話す武を黙って見ている。
「だから俺はBETAを帝国本土に上陸させる気はない。マンダレー、ウランバートル、チョルウォンハイヴをフェイズ1で破壊するか、降着ユニットを破壊するつもりだ。その為の作戦案の概要を新OS・XM2のデーターと一緒に私たんだ。……榊外務大臣の方には帝国国民6000万人の国外を含む非難計画書の概要を渡した……。だが帝国国民に多大な犠牲を要求する帝国本土決戦をやる気はない。だから父さんと母さんに迷惑を掛けるのは百も承知の上で、第3世代機や電磁系兵器や装備の開発を前倒しにする予定でいる。そして少なくとも、BETAを朝鮮半島で喰い止めて帝国に上陸させる気は更々もない」
武はそう言うと両拳を握りしめる。武からしたら、BETAの上陸を許した時点で、負け戦にしか見えない。結果として香月夕呼との利害関係が衝突しようとも、BETAの帝国本土侵攻を阻止したかった。
一度BETAの帝国本土侵攻を許せば、日本国民3600万人が死に、2002年迄に帝国軍将兵100万を失う。
2002年帝国政府の財政は最早デフォルト半歩手前で物価はハイパーインフレーション秒読み段階、経済に疎い武でもBETAの帝国本土侵攻は悪夢のシナリオでしかない。
「ならば私にも手伝わせてくれ武」
「冥夜、俺が言った事を聞いていないのか?」
冥夜はそっと武の両拳に手を添える。
「聞いて言っている。私も武と同じ気持ちだ。BETAの帝国本土侵攻を防げるのなら、それに濾した事はない。ならば私もそなたの手伝いをさせてくれ、1人寄りも2人の方が武が遣ろうとしている事の実現性は高まるはずだ」
「それに水臭いぞ武、そなたの計画には速瀬中尉、伊隅大尉が参加するのであろう。ならば私だけ安全な場所に居られるはずがなかろう」
「冥夜……」
「私も共に武と一緒に戦いたいのだ」
「ッ……」
武は冥夜の一途にして真っ直ぐ、決意に満ちた思い遣りの瞳に気圧される。
「すまない冥夜、お前の前世では俺はお前を殺してしまったのにな……」
「良い、気に致すな武。……少なくとも私はあのままBETAに慰みものにされてしまう寄りも、そなたに討たれて良かったと思っている……」
「冥夜……」
武と冥夜の視線は絡み合い、武は無意識に冥夜の両拳を握り締め、2人はそっと背伸びして口付けをしようとするが。
「武様、お勉強中に失礼をします」
「「ハッ、ひゃ、ひゃい」」
襖の外から日向付き家中が声を掛け、武と冥夜は間抜けな返事をしてしまう。
「門の前に武様宛のお客様がお二人お目見えに為っています」
「2人ですか?誰と誰です?」
「はい、月詠真那様と鑑純夏様のお二人です……」
武の反応は一瞬の無になる。
「……何で純夏が京都にいるんだ?……、それに月詠真那さんはこの時期から、冥夜の御傍役だったのか?」
武はヒソヒソを冥夜に聞く。
「いや、……月詠が私の御傍役になるのは、もう少し先のはずだ」
「じゃあなんで、2人が一緒なんだ?」
「し、知らぬぞ」
冥夜も慌てる、この一件で月詠真那が自分の御傍役に為ってしまえば、武に合うにも色々と制限が掛かる。
「あの、武様、……どうなさいますか?」
「い、今、門前に行きます」
「はい、かしこまりました」
武としては此処で冥夜と2人を会わせる訳にはいかない。
「此処が武ちゃんのお母さんが住む家なんですね」
純夏は自分の身長の3倍近い高さの有る門を見て目を丸くしていた。
「ああそうだが、まさか本当だったとはな……」
月詠真那が純夏と出会ったのは偶然だった。偶々此方に用事が合って、それを済ませた後に家路に付こうとしたら、迷子に為ってなきべそをかいていた純夏を見付けた。
純夏を宥めた月詠真那は、純夏が家族に内緒で冬休みの間京都の母親の実家に訪ねて来たのだが、初めての土地も合って土地勘もなく迷子になり、「武ちゃん何処に居るの」と泣いていたのを月詠真那が見付けた。
泣き止んだ純夏から事情を聞いた月詠真那は純夏を放置も出来ない為、純夏を京夏家にまで連れて来た訳。
「だがそなた、親に内緒で京都に来て良かったのか?」
聞けば、純夏は親に内緒で京都に来たと言う。
「だって、武ちゃんと毎日一緒に居たいんだもん」
「……そうなのか……、だからと言って親に心配かけさせる事をするのはどうかと……」
月詠真那は横浜から京都迄の旅費は何処から出ているのかも心配だった。
「お姉ちゃん、 道案内ありがとう」
根が素直な純夏は月詠真那に頭を下げる。
その時に真那の心が一瞬ときめく。
(こ、こら、落ち着け私、この程度で何動揺している)
月詠真那がショタに目覚めた瞬間である。
「もう、いいですよ」
「いや、そういう訳にもいかぬ。特に用事も無いから最後まで付き合おう」
真那は万が一の事を考えて付き合う事に。
それが修羅場の始まりの目撃を見る事態だとは気付かずに(合唱)
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そして武の実母京夏日向は自分の主人にして上官にして五摂家の当主斑鳩雛子の執務室に呼ばれていた。
「年始の斑鳩家派の集まりに、影行さんと武も一緒に参加させるのですか?」
「ええそうよ、特に武君には、1人息子の崇継と初顔合わせをさせたいのよ」
そう言う雛子の顔は笑ってはいるが、目は笑って居らず真剣そのものだ。
「武と崇継様との初の顔合わせは未だ早いのではありませんか?」
斑鳩崇継は斑鳩家の跡取り息子(18歳)で、年明けの3月には斯衛軍男子士官学校を首席で卒業予定。卒業後には帝国斯衛軍第16大隊に入隊し、20歳の成人後に晴れて斑鳩家の当主に成る。
日向も幾度か斑鳩崇継の指導を当たったが、軍人として戦術機乗りとして、他者を大きく引き離していると見ており、将来性が期待が高い。
斑鳩崇継の御傍役には、京夏家、月詠家に並ぶ有力武家の一つ真壁家の6男真壁助六郎が内定しており、斑鳩崇継と一緒に斯衛軍男子士官学校を十番以内に卒業するだろう。
それ以外にも五摂家の一つ崇宰家次期当主崇宰恭子を始めとして、西園寺家、九條家の次期当主も斯衛軍士官学校の卒業を迎える。
日向は斑鳩崇継を始め、次期当主達が正式に五摂家の当主や斯衛軍の責任有る立場に立てば、何かと閉鎖的な武家社会や斯衛軍内に新しい風が吹くのではと期待を寄せる。
「そんな事はないわよ、息子も武君と会い違っているし、竹君が15歳の元服で日向の生家の家督(風祭家)を継ぐのはもう決まっているんだから。それに……」
「それに?」
雛子の顔は一瞬にして憤慨に変わる。
「最近あの鎧左近が武君の周りを何かと嗅ぎ回っていると言うじゃない!」
「ッ」
鎧左近は情報省の役人だが、五摂家の筆頭と言うべき煌武院家寄りの立場を取り、本人も其れを隠そうとはしない。
怪しげな忍術や暗殺術を使う事でも有名で、どちからと言えば国益寄りも煌武院家の利益の為に動くと見られており、あちらこちらから煙たがれる。
「あの男は武君の立場が中途半端なのを利用して、煌武院家に引き込む気でいるのよ。誰がそんなの認めるものですか!」
「雛子様、その武の事でお話しがあるのですが……」
日向は昨夜に関する事で雛子に打ち明ける事に。
「あら、何かしら?」
次回はもっと早く投稿したいです。