マブラブオルタナティブ   作:地獄の一丁目

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バイストン・ウェル覚えています〜

と言うかボトムス・AT系のネタは出尽くした感が有るので皆殺し富野の世界観を。


マブラヴオルタネイティヴ転生 第6話

「武、何をやっているのだ?」

 

 武は日課となっている早朝ランニング→朝食→母・日向の見送りの後、純夏の「武ちゃんと遊びたい」のお強請りを断った後、自室のパソコンの前に齧りついて離れない。

 

 只管一心不乱にキーボードを操作し続ける。

 

「ああ冥夜か、なんでもない」

 

「何でもなかろう、純夏が落ち込んでいるぞ!」

 

「冥夜は、もうすぐ御剣家から迎えが来るんだろ?今度こそ家に真っ直ぐに帰るんだぞ」

 

 武は冥夜との会話を打ち切りパソコンを操作し続ける。

 

「武、そなたの悪い癖が出でおるぞ、何故そうまでして一人で抱え込もうとするのだ、もう少し純夏を構ってやったらどうなのだ?あれでは可哀想であろう」

 

「・・・・・・・・」

 

「武、聞いておるのか?」

 

「聞いている……」

 

「いいや、聞いていない、……電源抜くぞ!」

 

 中々話を聞かない武に業を煮やした冥夜は、パソコンの電源を抜こうとする。

 

「おい止めろ冥夜、パソコンの電源を抜くな!」

 

 武はBETAの対小型種対策の兵器を思案中だった。

 

 BETAの中で一番厄介なのは、やたらと数が多く小回りと俊敏性に長けた戦車級。この戦車級の為にどれだけ戦術機乗りや戦車兵が犠牲になったのか、数えるだけでも馬鹿馬鹿しかった。BETAの他の種、突撃級、要撃級、要塞級、光線属種を倒しても、弾切れや推進剤切れが原因で戦車級に包囲され、取り憑かれて、戦術機や戦車が擱座しては、多くの戦術機乗りや戦車兵が犠牲になった。何しろ小回りと俊敏性が効く戦車級は多少の地形の起伏を物としない。軽快に難所を乗り越えては、戦術機や戦車に襲い掛かって来る。無論後方の司令部、砲兵、工兵、補給部隊もどれだけ餌食にされて来た事か……。

 

 突撃級、要撃級、要塞級、光線属種対策を一通り立てて父親に戦術機の性能向上を目的とした改修案、新兵装を含む支援装備一式の開発案を設計図と製造データーを父・影行に託して来た。

 

 その父・影行からの連絡で帝国陸軍少佐巌谷榮二の協力を得られたとメールでパソコンに入っていた。

 

「ならば、話しを聞かないか武」

 

「……はあ、分かったよ……」

 

「分かればよい、……ならば何をやっているのだ?」

 

「……BETAの対小型種用戦術機の構築だよ冥夜……」

 

「小型種用の戦術機の構築だと?」

 

「そうだよ冥夜、……あの忌々しい戦車級の為に、戦術機の運用が狭められているか知っているだろう……」

 

「ああ、そうだな……」

 

「はっきり言って従来の戦術機で戦車級を相手するのは、時間と労力と弾と燃料の無駄遣いだ、なら、戦車級や小型種用の小型戦術機を作った方が良いと思ったのさ」

 

「大きさは?」

 

「全長5mから6mかな」

 

「戦術機の三分一程度の大きさか……」

 

「そうだ、安価、自動車並みに大量生産が出来て、荒れ地や起伏な地形を物とせず、小型種を一手に引き受けられる戦闘力と稼働時間を持つ小型戦術機をだ」

 

「衛士はどうする?人数が足りぬであろう?」

 

「いや、車や軽トラックの運転出来れば、誰でも操縦出来る用にしたい。10歳程度の子供でもだ。それなら衛士でなくても問題ないし、普通の歩兵を完全武装1個小隊並の戦闘力を持たせられる」

 

「確かにそれならば、十分な数の操縦者の確保は可能だな」

 

「ぶっちゃけた話し、対BETA戦では歩兵の大半が役に立たないでいるのが人類が苦戦している原因だ。もし彼等歩兵にBETA小型種と互角以上に戦える力を与える事が出来れば、戦術機と衛士の負担は大きく激減する……」

 

「確かにそれは妙案ではあるな、だがそんな物がそう簡単に出来るとは思えないぞ?」 

 

「実はそうでもないぞ冥夜、此れを見てくれ?」

 

 武はそう言うとパソコンに人差し指を指す。

 

「ん?」

 

「未だ基本原案だけど、こんな物を考えている」

 

「なんだ此れは、本当に小型戦術機なのか?」

 

「まあ見た目はそう見えないよな……」

 

「なんかこう、私が知っている戦術機と言う寄りも、鳥を人型にした様な……」

 

「やっぱり変か冥夜?燕を意識したんだが」

 

「いや、変と言う訳ではないが……、両腕に付いているのはフックと言う寄りもアンカーか?」

 

「正解、市街戦や狭隘な地形でアンカーを射出して、敵のBETAの突進をやり過ごしたり、態勢を立て直す為に使ったりするんだ」

 

「固定武装は無いのだな?」

 

「武装は全て取り付け型の予定だ、四連装小型ロケットランチャー二基、高周波刀二基、突撃機関砲は20ミリか25ミリとかを考えている」

 

「跳躍ユニットは無しか?」

 

「いや、跳躍ユニットは背中に取付け、四枚の可変型翼で一定時間の跳躍飛行を可能としたい。ただ問題がある」

 

「問題とは?」

 

「推進剤タンクを何処に設置するかだ、出来るだけ外部に露出させたくない」

 

「そうだな、被弾や損傷した時の事を考えると、外部に露出させたくはなかろうな」

 

(@ー@・コンバーターが実用化出来れば、この問題あっという間に解決出来るのにな、どうやら時間が掛かるな)

 

「装甲はどうするんだ?」

 

「複合装甲だと重たくなるから、俺が考案した形状記憶発泡金属装甲を考えている」

 

「形状記憶発泡金属装甲?初めて聞くぞ?」

 

「形状記憶発泡金属装甲なら、複合装甲と同じ強度を保ちなかまら、重量は3割軽くなるはずなんだ」

 

「それは凄いな……」

 

「父さんの会社で出来るだけ早く開発実用化させたいと思っている」

 

「そう言えば武の父親は、光菱重工で戦術機開発の責任者だったな」

 

「その通りだ、帝国軍が所有している全ての戦術機開発に何かしら関わっているよ」

 

「それは凄いな、なのに武家社会では評価が低いのは何故なんだ?」

 

 やはり2人は元軍人で戦術機乗り、純夏をそっちのけで小型戦術機開発案に没頭してしまう。

 

「武ちゃんの馬鹿!」

 

 武や純夏位の年齢なら遊びたい盛なのだが、一番遊んで欲しい武からは無視されて不貞腐れていた。

 

「武ちゃんどうしちゃったんだろう……、純夏の事が嫌いになったのかな」

 

 京夏家の中庭には自噴している水源が在り、その水源を利用して水槽を作り鯉や金魚を飼育していた。

 

 純夏はしゃがみ込んで水面を覗く。そこへ……

 

「どうしたよですか鑑純夏さん、この様な場所で」

 

 京夏家当主京夏亜真音(11歳)が純夏に尋ねる。

 

「……武ちゃんが遊んで暮れないんです」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「最近の武ちゃん変なんです」

 

「どの様に?」

 

「最近純夏と遊んで暮れなくて、純夏には全く分からない兵器や戦術機とかばかり調べて……」

 

「…いつ頃からですか?」

 

「去年の10月の終わり頃から…」

 

「そうですか……」

 

 亜真音にしても武の変化は感じており、何処か切羽詰まって余裕の無さを感じていた。何かに急かされて追われている感じがしてはいた。

 

「武君には何か果たせねばならない使命をお持ちなのでしょう」

 

「使命?」

 

「ええ、とてつもない使命が。この国を救う為の使命…」

 

「でもそれって、武ちゃんがしなくては行けない事?」

 

「使命とは誰かに与えられるのではなく、自分から見つけ出して進むべき道だと思うのです。武君は自分で進むべき道を見付けたのだと」

 

「……純夏には分からない」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「だって私も武ちゃんも未だ子供なんだよ、武ちゃんがやろうとしている事って、本当は大人達がすべき事でしょう?」

 

 そう言われると亜真音も言葉が見付からない。

 

 そして亜真音自身も忸怩たる思いだ。

 

 自分も武と同じく小学生だが、五摂家に近い有力親藩武家の頭領ながら、生まれながらにしての病弱の身故、果たすべき事を何一つとして出来ない。

 

 家は母が取り仕切り、親藩武家頭領の仕事は日向が、そして武が日本帝国を護る為に、戦術機や支援装備の開発へと動き出した。

 

(私は何をしているのでしょう…)

 

 斑鳩家は五摂家の中で開放的で開明派の立ち位置だ、才能が有ると見れば斯衛軍に積極的にスカウトし、才能と実力に見合う地位と立場を与える。

 

 斯衛軍の組織は然程大きくはなく、主力部隊は僅か6個連隊しかない。当然の事ながら、各連隊は五摂家の強い影響化に置かれている。

 

 崇宰家・斯衛軍第一連隊(機甲戦術機第一大隊、第二大隊、第三大隊)

 

 煌武院家・斯衛軍第二、第三連隊(機甲戦術機第四大隊、第五大隊、第六大隊、第七大隊、第八大隊、第九大隊大隊)

 

 斉御寺家・斯衛軍第四連隊(機甲戦術機第十大隊、第十一大隊、第十二大隊)

 

 九条家・斯衛軍第五連隊(機甲戦術機第十三大隊、第十四大隊、第十五大隊)

 

 斑鳩家・斯衛軍第六大隊(機甲戦術機第十六大隊、第十七大隊、第十八大隊)

 

 と、

 

 その中で一般の黒の斯衛の比率が高いのは斑鳩家派だ。

 

 斑鳩家が斯衛軍の中で門戸が開かれ、実力主義、結果主義を標榜しているのが分かる。

 

 その分他の摂家の保守派や伝統派や老中派に嫌われているのだが何処吹く風だ。

 

 影行と日向の身分違いの結婚が認められたのも、斑鳩家の後ろ盾が有ればこそとも言える。

 

 日向は雛子に一度ならずとも保守派、伝統派、老中派の神経を余り逆撫でしない様苦言を言ったのたが、

 

 「今更宗旨変えした所で、あの石頭共と斑鳩家が仲良く出来ると思う?」

 

 逆に雛子に開き直れてしまう。

 

 だが逆に言えば例え武家で合っても、求められる才能と実力が無ければ、重用される事はない。

 

 そんな斑鳩家派内で歴代斑鳩家の重鎮だった京夏家の評価と立場は芳しくはない。寧ろ苦しい。京夏家名代を務める日向の存在が無ければ、海千山千、魑魅魍魎達達に食い散らかされていただろう。

 

 斑鳩家は京夏家の問題に関しては、寛容さを見せたいのか不干渉を決め込むが、帝国が置かれている状況が悪化し、BETAの帝国本土侵攻が始まれば、京夏家や亜真音に対して寛容も不干渉とはいかない。最悪当主交代を命令に等しい要求を突き付けて来るやもしれない。

 

 実は亜真音自身もその方が良いのではと思う事がある。

 

 そうなって来ると義理の従兄弟に当たる武の存在が否が応でも増す。その証拠に正月の斑鳩家派の新年の挨拶の会合で武を斑鳩家次期当主斑鳩崇継に引き合わせると、雛子が日向にそう言い渡したと言う。

 

(来るべきものが来た)

 

 昨夜日向からそう言われた時、丸っきり衝撃が無ければ嘘になるが、亜真音本人は病弱な自分ではなく、健康優良人を絵に描いた武の方が、斑鳩崇継の側近として役に立つと見ているから。

 

(もしお父様がご顕在で私が健康体だったら、日向さんは京夏家に戻って来る必要はなかった)

 

 そう考えると亜真音の気分は陰々滅々になって来る。

 

 何れは軍に復帰するとしても、復帰先は斯衛軍ではなく帝国軍で、白銀家の近くに在る帝国軍の衛士訓練校で、訓練教官に当たっていたかもしれない。

 

「亜真音、余り長時間外に居ますと、身体に障りますよ」

 

 母・黎子の声を聞いた亜真音の身体は一瞬ビクッと震えた。

 

「お母様……」

 

 亜真音は自分の母・黎子が武と日向の母子の事を京夏家乗っ取りを警戒して嫌っているのを知っている。

 

 武も日向もそんな気は無いのだが。この母子の存在を疎ましく思っている保守派、伝統派、老中派は警戒心を隠そうとはしない。ここ数日の騒動で心中穏やかではないは、母・黎子の纏う空気だけで察し余る。

 

「・・・・・・・・・」

 

「分かりました……」

 

 亜真音はもう少し純夏と話しをしたかったが、母親の無言の圧力に負けてしまう。

 

「鑑さん、大丈夫ですよ。武君が、貴女の事を、嫌いになるはずがありませんから。ある意味鑑さんが羨ましいです」

 

 何処か寂しげに微笑む亜真音だった。 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【白銀家最新調査報告書】

 

 帝都内の親藩武家の一室に集まった面々は白銀家に関する最新の調査報告書を見て、ほぼ全員が苦虫を噛み潰したよう顔をしていた。

 

 白銀家は数代前まで白の外様武家で、煌武院家の流れを組む分家筋の家紋だった。

 

 それだけならまだ苦虫を噛み潰したよう顔をしないが、問題は白銀武が煌武院家と城内省に公認はされていないが、直系の血筋で唯一の男子の可能性が白銀家に関する最新の調査報告書に記されていたからだ。

 

「間違いの可能性は無いのかね?」

 

 武家社会最大勢力で五摂家筆頭と言うべき現煌武院家の当主は未だ8歳の女の子で、誕生日が白銀武と同じと来た。

 

「間違いではないよ、数代前に白銀家は煌武院家の忌子の男子を養子として引き取り、武家の位を返上して自分から関東へと都落ちをした家だ」

 

「何故白銀家は煌武院の忌子を引き取ったのだね?家督を継ぐ子供は居なかったのかね?」

 

「調査報告書には、当時の白銀家には子供は3人居たが、全員娘だったそうだ」

 

「ああそう言う事か、現代とは違い、あの時代では女が武家の家の家督を継ぐのは不可能だ」

 

「だからか……」

 

「武家の位を返上し都落ちはしても、元武家の矜持は捨てられなかったと見える」

 

「だがどうする、公認されていないとは言っても、白銀武が煌武院家の直系の血筋の可能性は無視出来まいよ」

 

「白銀家と京夏家はこの事を知っているのか?」

 

「いいや、知らない様だ。だが斑鳩家は知っている可能性は高いであろうよ。どうやら当時の白銀家の者達はこの秘密を墓場まで持って行った」 

 

「まあ其処は褒めてやるべき所だが、だが最近その白銀武だが、何やら色々と動いている情報が入っている」

 

「ほう、どんな動きをしている」

 

「次期総理大臣と名高い榊外務大臣と、帝国陸軍将道派の頭目彩峰少将と京夏家で会っていたと言う話しだ」

 

 室内の空気がざわつく。何故なら両者共古い親友で、共に煌武院家派に属しているからだ。

 

「何が狙いだ?」

 

「8歳の子供に何が出来ると言うんだ?気にし過ぎだ皆」

 

「過小評価は禁物だぞ、あの鎧左近があの小僧の周辺を嗅ぎ回っていてもか」

 

「何だと、それは本当か?」

 

「事実だ、しかも現代の忌子と白銀武を接触させた」

 

「鎧め、何を企んでいる?」

 

 一人の男が忌々しげに吐き出す。

 

「煌武院悠陽が若くして不慮で亡くなった場合、現代の忌子と白銀武の存在が大きな意味を持つ」

 

「なるほど、食えん男だな」

 

「兎に角だ、白銀武への監視は今まで以上に、しなくてはなるまいよ」

 

「だが下手に手は出せんぞ、何しろ白銀武には、斑鳩家が24時間体制で影の護衛を付けているからな」

 

「「「「ふう〜〜〜〜〜〜〜」」」」 

 

「そう言えば、当時の白銀家の3人娘はどうしたのだ?」

 

 誰かが疑問を口にした。

 

 多分知れば引っ繰り返るだろう、3人の娘は煌武院家の推挙で京夏家、月詠家、真壁家に嫁入りしたのだから。

 

 当時の白銀家当主夫妻は娘3人の親藩譜代武家の嫁入りを前提条件に、一卵性双子の弟の方を白銀家の長男として受け入れた。あくまでも遅く産まれた夫婦の実子として。そして煌武院家への家督の野心を持たない意思表面の為に武家の位を返上し、市井に降り関東・相模に都落ちをした。

 

 3人の娘達は煌武院家で数年の花嫁修行を得て、煌武院家の推挙で京夏家、月詠家、真壁家への嫁入りを果たす。

 

 その一報の報せを受けた白銀家夫妻は涙を流し、以降は京と煌武院家とは一切の連絡を取らず、全ての秘密を市井のまま墓場に持って行ったと言う。

  

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 《帝都近辺某所帝国陸軍基地》

 

「まさかこれ程とはな、新OS・XM2……」

 

 帝国陸軍少将彩峰萩閣は武から新OS・XM2のサンプルα版を受け取ると、翌日自分の基地の戦術機部隊が扱うシミュレーター数機を使い運用試験を実施した。

 

 最初は機体反応の良さと機体操作の遊びの無さに戸惑い機体を転倒させてしまうが、暫くしXM2の操作に熟れて来ると機体を自由自在に操れる様になる。するとどうだろう今まで出来なかった機体の連続操作、硬直時間が殆ど無くなった事でアクロバット跳躍しながらも射撃や長刀切込みが可能となった。選抜された4人の衛士は歓喜の声を上げる。

 

 これを見ていた他の衛士達も、

 

「おい、自分達の番は未だか?」

 

「おい、いい加減代われよ、十分楽しんだろうが!」

 

 やいのやいのと言い出した。

 

 何よりも効果的だったのがキャンセル、キャンセルを駆使する事で、レーザーの狙撃を回避出来る様になり、硬直時間が殆ど無いに等しい利点を最大限に活かし、次のレーザー照射迄の間に光線属種に接近、突撃砲と長刀でBETAの光線属種を撃破した。しかも第一世代機撃震で。

 

 無論腕利き揃いだから出来た事だが、新OS・XM2を使えば旧式の第一世代機でも、光線属種吶喊が誰でも可能になる現象は衛士達のやる気を俄然として引き出した。

 

「彩峰閣下、このOSの開発者は誰ですか?」

 

 シミュレータールー厶で汗を掻きながら、大量のデーター取りとバグの処理を行っている技術者数人の一人が彩峰萩閣に問い質す。

 

「残念だが、今は話せない。最早このOSを開発した事で、我が軍の最重要機密に該当する人物になった」 

 

 彩峰萩閣は武とその家族に24時間態勢で、身辺警護を付ける事にした。だが最も斑鳩家の方で鑑家とは違う影の護衛は付けてはいたので、後の一悶着が。

 

「そうですね……」

 

「全く信じられませんよ、まさかOS一つの書き換えだけで全ての戦術機の即応性が2割も上昇するだなんて、まるで狸に化かされた気分ですよ」

 

 戦術機の即応性を数分上げるだけでも劇的な事なのに、一気に2割も上げるとなると技術的革新に等しい。

 

「ですが、今使っているCPUでは容量が不足しています。基地シュミレーターだから、シミュレーター・ルー厶のコンピューター補正でXM2の機能を引き出せてはいますが」

 

「ではどうしたら良い、CPUの容量不足が原因で新OSは使えないは皆を納得させられないぞ」

 

 そう日本帝国政府は国連からの強い要請で、中国戦線と東南アジア戦線への派兵を決めている。派兵時期は早ければ1992年4月中、どんなに遅くても6月中旬には大陸派兵が実行に遷される。

 

 それに伴い日本帝国政府は徴兵年齢(20歳から18歳への)の引き下げの検討を、年明けから始める予定だ。

 

 彩峰萩閣は大陸派兵部隊の全戦術機には、それ迄にはXM2を搭載させたかった。実際に新OS・XM2の存在が帝国軍中に知れ渡るのは時間の問題だし、衛士達が知れば自分達の機体への搭載を強く望むだろう。

 

 実際に主機を交換しなくても、即応性2割上昇は余りにも魅力的過ぎるのだ。これをCPUの性能不足が理由で使えないでは、帝国軍衛士達に合わせる顔がない。

 

(白銀君、君は全くとんでもないOSを開発したね。これは開発企業の尻を蹴飛ばしてでも、XM2を活かせられるCPUを開発させなくては)  

 

 重装甲の撃震が嘘のように蝶の様に舞い、華麗な機動での最新鋭機89式陽炎を次々と撃破して行く光景を見て心底思う。

 

「不知火用に開発中のCPUなら、XM2を使う事が可能なのでしょうが、あれが実用化されるのは後2年近くは掛かりますが」

 

「そんなに待てない。何とかならないか?多少の強引も認める」

 

「それでしたら、今使っているCPUを二つ繋げて並列処理で使うのはどうでしょうか?それなら可能かも知れません」

 

「そんな事は可能なのかね?」

 

「エラーが怖いですね、エラーが原因で機体が動作不良を起こして、戦術機が撃破され衛士が戦死するなんて目も宛てられませんから」

 

 技術者全員が頷く。

 

「例え其れが上手く行きましても、コクピットの中の設置場所も問題になります」

 

 課題は山積だった。新しいOS=直ぐに戦力増強とは繋がらないからだ。

 

「ならば其れで行こう。君達に余計な苦労を掛けるのは十分に承知の上で言う。XM2が使える様、全戦術機の改良に取組んで暮れ、全ての責任は私が負う」

 

「……分かりました、彩峰閣下にそこ迄言われたら、全力を上げて取り組みましょうXM2が使える様に」

 

「済まない頼む」

 

 彩峰萩閣は技術者全員に頭を下げた。自分が頭を下げる事で帝国軍の生還率が上昇するのなら、幾らでも頭を下げるし土下座もしよう。安い物だと彩峰萩閣はそう割り切る。 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 その頃みちると水月の2人は、横浜で体力作りに専念と言うか没頭していた。

 

「はあ〜〜〜しんどい、小学生の身体が恨めしい」

 

「そう言うな速瀬、でないと95年のマンダレー・ハイヴ攻略に参加出来ないぞ」

 

「分かっていますよ、間に合わせてみます。ですが本当にマンダレー・ハイヴ攻略なんて出来るんでしょうか?」

 

 武の狙いはマンダレー・ハイヴ、ウランバートル・ハイヴがフェイズ1の段階で攻略し、BETAの東進の意図を打ち砕いて、東南アジアとオセアニアの戦略資源の安定供給を確保しつつ、北方からの圧力を激減させる事にある。

 

「あいつがやると言う以上、どんな手を使ってでも、間違いなく遣るだろうな。もう既に榊是近外務大臣と帝国陸軍彩峰萩閣少将との接触に成功し、好感触を得たそうだからな」

 

「はあ〜〜〜、白銀の奴も頑張っているんですね。それと話しは変わりますが、やっぱり他の連中は駄目ですか?せめて横浜に住んでいる柏木や遥達もと、期待していたんですが」

 

「駄目だな。私達見たいに前世の記憶持ちになるには、G元素を大量に含んだ反応炉の爆発が必要だからな。そうでない柏木や涼宮達は、前世の記憶持ちになれない」

 

 みちるにしても前世の部下達が今の自分達の同士になって暮れれば、こんなに心強い事はなかった。だが現実はそう簡単に甘くはなく、見通しは明るくはない。

 

「まあ御剣が前世の記憶持ちで、私達の同士になって暮れただけでも良しとしよう」

 

「そうですね……」

 

「じゃあ訓練を再開するぞ」

 

「はいみちるさん」

 

(対BETA戦の推移に変更無しか…)

 

 水月は前世の記憶を得た直後から、世界情勢と対BETA戦の情報を集めていたが、前世と変わらない状況に何処か安堵もしていた。

 

(不謹慎だな私、今もこの瞬間にでも大陸では誰かがBETAに襲われて死んでいるかもしれないのに)

 

(やはり白銀は香月博士と接触する気はないか…)

 

 みちるは武が純夏を00ユニットにしたくない余り、香月夕呼との接触を極力避けているのは知っていた。

 

 だが2人の不仲は人類の危機を招きかねないとの懸念をみちるは持ってもいる。

 

(白銀は98年の冬、BETAの帝国本土侵攻を完全に阻止出来たと確信するまでは、香月博士とは接触しないと言うが)

 

 武が持つ未来情報は貴重だ、武が言う虚数空間に行けば00ユニットや淒乃王に関する設計図と製造データーは今すぐにでも手に入ると言う。

 

(やはり2人が鑑を巡って不仲なのは不味い、自分が何とかするしかないのか)

 

 しかしだからと言っても妙案が直ぐに思いつかない。

 

(2人がきちんと話し合い、方向性の一致を見出せれば、或いは今度は何とかなるかもしれない。でないと同じ事の繰り返しが起きてしまう)

 

 それでは救いようがなかった。香月夕呼が創ろうとしている00ユニットは、BETA由来の技術に依存している。

 

 その依存の結果、00ユニットを経由して人類側の情報はBETAにダダ漏れとなってしまい、強引過ぎる程の強引差で満足な準備を整えられずに桜花作戦が実行され、純夏を含む207B分隊全員が戦死してしまう。それが武のトラウマとなり香月夕呼との接触を拒む理由付けになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




聖戦士ダンバインでは戦艦ゴラオンが一番のお気に入り。
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