《1992年3月上旬・帝国陸軍富士裾野演習場》
「裕唯よ、正直に言って夢でも見ていると言いたい」
「榮二よ、それは私も同じだ。だがこれは現実で新しいOS一つで、ああも戦術機が化けるとは思ってもいなかったよ」
帝国陸軍富士教導団のモニタールームには、新OS・XM2の試験運用が行われている光景が映し出されていた。
新OS・XM2を搭載した第一世代戦術機【撃震】と【瑞鶴】の小隊が、富士教導団が誇る精鋭衛士が操る第二世代機戦術機陽炎を次々と撃破認定を上げていた。
『クソ、何で弾が当たらないんだ!』
『何だあーあの動きは、本当に第一世代機なのか』
『機動力と相応性で陽炎が負けているだと!?』
『何で彼奴等の機体には硬直が無いんだ?しかもあの俊敏性は!?』
『くそおぉぉぉぉぉ、此れが新OSの力だと言うのか!』
『富士教導団の陽炎はチューンナップされた機体何だぞ、それを上回る俊敏性と即応性って』
『何処の誰かが知らないが、良くこんなOSを思い付いたもんだなあー!』
『全機態勢を立て直せ、これ以上うち減らされるな!』
富士教導団の部隊長の怒号が響くが、新OS・XM2を得た【撃震】と【陽炎】は、武の教導も加わり帝国・斯衛軍合同部隊は蝶のように舞い、蜂のように刺す言葉がぴったりと合うかの様に、富士教導団の陽炎を次々と撃破して行く。
それは何が何でも新OS・XM2を実用化させたい帝国陸軍彩峰萩閣少将の執念が実った瞬間でもある。
XMシリーズの有用性を認めた彩峰萩閣少将は、早速正月休み明けから武と頻繁に連絡を取り、武の助言を受け入れながら、自分が使える人脈をフル回転させ、帝国大学電算開発研究所、大日本電気社の協力を漕ぎ着けて、僅か2ヶ月で新OS・XM2が使えるCPUの改良に成功。部隊内での運用試験では発案者にして開発者の武を招いた程だ。その際に自宅に宿泊させてちゃっかりと、自分の娘・彩峰慧を夕飯の席で武に紹介してしまう。
「いやあ大した物だよ、君が発案し開発した新OS・XM2の性能は!」
「はああ、ありがとうございます彩峰少将」
「何しろXM2を搭載した第一世代機の撃震が、第二世代機の陽炎を圧倒しているのだから」
招待客として貴賓席に居る武は自分の隣に座る彩峰萩閣少将のテンションの高さに戸惑い気味だ。
そして彩峰萩閣少将の隣に座って居る彩峰慧は、武を好奇心一杯の目で見る。
武としては合同部隊の指揮を取る母・日向の指揮振りと奮戦を普通に楽しみたかったのだが、どうもこの一ヶ月、彩峰萩閣少将に振り回され、母・日向の奮戦を観戦する処ではなかった。
(この人もたまパパと同類だったのか……)
本来なら無関係な筈の彩峰慧が貴賓席に武と同席し、何かと娘と一緒に居させ、武に慧推しをして来るのだ。
「処で武君」
「はい……」
武は思わず身構えてしまう。
「そう遠くない将来、私の事を『お義父さん』と呼んでみる気はないかね」
2月の始めに彩峰少将本人からXM2対応型改良試作CPUが出来たと連絡を受けた武は、最初の試験運用に立ち合いを希望し彩峰少将も此れを承諾。実機を使っての運用では武の助言が必要だと考えたから。武は両親の許可を貰い護衛役の鑑明夫と一緒に京都へと向かう。
最初武は京夏家に泊まる予定だったが、京都駅で待ち構えていた彩峰少将本人に捕まり、護衛役の鑑明夫と一緒に演習場に直行する羽目に。護衛役の鑑明夫は抗議をしたが、彩峰少将はニコニコしながら「まあまあ」と鑑明夫を宥める。
着いた先の演習場ではXM2先行量産版を搭載した撃震4機と非搭載の陽炎4機との模擬戦が待っていた。
演習場では彩峰少将はXM2対応型CPUの開発に尽力して暮れた技術者達を武に紹介をした。
武の到着を待っていた帝国陸軍と大日本電気社の技術者、帝国大学電算開発研究所研究員から質問攻めに合う。
「本当に子供なんだな……」
「何処からあんな発想が生まれたんだ、是非とも教えてくれないか?」
「確か君のお父さんから、並列処理高性能のCPU開発依頼が設計図と製造データーと一緒に我が帝国大学に届いているんだが……」
「大日本電気社の者だが、設計図は兎も角としても、何故製造データー迄有るんだね?」
と、面々に半ば揉みくちゃにされ掛かったが、鑑明夫が間に割って入り、何とか武は開放された。
そして始まった模擬戦だが、即応性が2割も上昇した撃震4機1個小隊が同数の陽炎1個小隊4機を圧倒した。
シュミレーターでは散々やって来たが、実機ではどうなるかは未知数で、不安が無ければ嘘になるだろう。
前評判通りにXM2は性能を発揮し、XMシリーズを搭載した第一世代機は、最新鋭の第二世代機に勝てるのを証明したのだ。三回にも及ぶXM2運用試験が無事に終了し、武は新OSの開発者として、帝国軍の衛士達と顔を合わせる。その中には、狭霧尚弥少尉の姿も。
それから一ヶ月程が経ち斯衛軍機甲戦術機部隊第16大隊でもXM2の試験運用が始まり、富士教導団の演習場富士裾野での運用試験に至る。
彩峰少将は独断専行越権行為なのは承知の上で、大日本電気にXM2対応型CPUの先行量産を依頼を出していた。
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さて、彩峰少将の『お義父さん』発言にいち早く反応したのは斯衛軍鑑明夫大尉だった。
一応彼は招待客席には入れないが、武の監視役?である以上は武には盗聴器を持たせてある。
その盗聴器を通じて『お義父さん』発言が聞こえたので、斯衛軍待機室の椅子から立ち上がり同僚達が止める間もなく待機室を飛び出した。
鑑明夫にしても打算は有った。京夏家当主京夏亜真音は生まれ乍らして病弱の身で亜真音は形だけの当主で、将来性は誰からも期待されていない。その亜真音が五摂家に次ぐ親藩武家当主失格の烙印を押されて失脚するか、若くして不慮の死を至れば、次の京夏家当主の座は亜真音の義従兄弟の武の物になる可能性が高く、純夏が京夏家の当主夫人に成れる可能性も。そんな打算が有ればこそ、監視とは名ばかりの世話役をしても来た。それなのに彩峰萩閣少将にトンビに油揚げをさらわれるなんて持っての他だ。
それでなくても年始での斑鳩家派の挨拶の席で武は斑鳩家次期当主斑鳩崇継と顔合わせを行い、斑鳩崇継本人の口から将来の近侍としての期待を寄せられる言葉を頂いた身。その事が武家社会に少なくない波紋を引き起こし、そして今度の新OS・XMシリーズの発案者兼開発者としての名声。衛士としての極めて高い適性水準、未だ身体が小さく体力的な問題から実機は無理だが、シュミレーターでは現役の帝国軍・斯衛軍衛士達に負けていない技量を持つ。
「流石は京夏日向大尉のご子息だ、将来が末恐ろしい」
「まさに時代の申し子にして現代の麒麟児だ、何処まで伸びるのか計り知る事は不可能だ」
「これは京夏家当主交代もあり得るぞ」
「おい、滅多な事を言うな、不謹慎だぞ」
「病弱で戦えない武家の頭領に何の意味があるだよ」
「それはそうだが……」
「崇継様本人から十年後には、崇継様の近侍に成る事を望まれている身だぞあの少年は」
城内省や武家社会の保守派、伝統派、復古主義者、血統主義者等はその声を聞く度に煮え湯を飲まされた顔をするが、実際問題としてユ゙ーラシア大陸の戦況が日々激化や悪化をして行くに連れて、親藩武家の筆頭とも言える京夏家の不甲斐なさに憤る者もいない訳ではなく、男子が10人も居る京夏家と月詠家と並ぶ真壁家から京夏家へと養子を出すべき声や案も有るが、真壁家当主真壁零慈郎にはその気は全くない。
「我が家からは、他家に養子を出すつもりはない。京夏家内の問題は、京夏家内だけで解決すべきだ。真壁家は京夏家内の問題に手をださない」
と言い切った上で、
「私は大量の孫や曾孫に囲まれながらくたばる予定いる、私のくたばる予定を小煩い連中は邪魔をするな!」
と一刀両断してしまう。
武家社会内では御家存続の為の養子縁組は珍しくはない。実は譜代武家から上は、何等かの形で血縁や縁故関係を持っているのが普通。だが其れを嫌った真壁家当主真壁零慈郎は武家社会の外から三姉妹を嫁として、迎えた変わり者だ。
これに対して立場を問わず反対の声が上がったが、当の真壁零慈郎は何処吹く風だった。真壁零慈郎が嫁として迎えた三姉妹は元日本帝国空軍の戦闘機パイロット(長女)乃至その候補生(次女、三女)で、旧日本空軍が日本帝国陸軍に吸収合併された後、日本帝国陸軍に移籍し、日本帝国軍の戦術機開発黎明期に携わり、その時に真壁零慈郎の目に留まり真壁家へと嫁(正室は長女、次女・三女は側室だったが、真壁零慈郎は三姉妹を平等に正妻として愛した)入りを。
長女は男子4人、次女・三女は共に男子3人を出産、画して真壁零慈郎は男子10人の子宝に恵まれた。だからこそ武家社会の古い体質が原因での、息子達の養子縁組を頑なに固辞していると言っていい。
真壁零慈郎は新OSを開発し、衛士としても高い才能を有する武を『文武両道の英才』『戦術機時代の申し子』として高く評価し、斑鳩崇継の近侍入りを推してもいる。
そんな訳だから、武が母・日向の生家を風祭家の家督を継ぐのは勿論の事、武と亜真音を婚約案を日向と雛子の2人に持ち掛けた。雛子には前からその考えは有ったが、亜真音の母・黎子が賛成するはずもないので口にした事はない。
「何処の家も油断がならない、絶対に阻止して見せる!」
「ま、待て、鑑ー!。今は不味い、落ち着けえー!」
同僚数人が慌てて追い掛ける。同僚達は鑑明夫が一人娘純夏を行く行くは武と玉の輿結婚させたがっているのに当然の事ながら気付いていた。だから全力疾走で追い掛ける。
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『こちらCP(=コマンド・ポスト)よりウイスキー1へ模擬戦終了です、模擬戦開始地点へと撤収をして下さい』
「こちらウイスキー1了解、開始地点へと撤収する」
斯衛軍少佐としての昇進を内示されていた日向は、CPからの模擬戦終了の報せを受け、敵味方の状況をモニターで確認をする。日向の赤の瑞鶴には試験的だが、液晶モニター画面が幾つも追加されており、衛士の網膜投影の負担を減らす措置が取られている。
「これも武の発案と技術なのよね……」
この模擬戦に合わせる形で試験的に日向の赤の瑞鶴のコクピットの改修作業が行われ、改良型CPUのみならず液晶モニター画面が追加され、網膜投影を減らして衛士の目への負担を減らし、全体の戦況把握が各段にしやすくなる。
「味方24機中、損害は小破8機のみで、富士教導団24機全機撃墜か。武が言った通りXMシリーズは集団戦、近接戦闘でこそ本来の性能を発揮するのね……」
この結果を踏まえて日向は武を抱き締めて上げたかったのだが、内心何処か複雑だった。複雑なのは武の年齢を考えたら異常の一言になるから。武の異常が今の日本帝国と人類全体に必要だと分かり理解はしても、自分の子にはやはり年相応の子で合って欲しかった。
「……駄目ね、此れでは母親失格ね。せめて、武の目の前では笑顔で褒めてあげないと」
周囲が武を褒めれば誉める程、日向の不安は増える。このままでは武が普通の生き方を送れなくなるのではの不安が。
模擬戦開始地点に戻ると、斯衛・帝国軍合同部隊衛士達の雑談が起きる。
富士教導団の精鋭部隊の戦術機陽炎24機相手に、ほぼ完勝と言って言い勝ち方をしたのだから、誰もが興奮を抑えられないでいる。
「やはりすげえよ、この新OS・XM2はよ、第一世代機で富士教導団の第二世代機相手に完勝だぜ」
「ええそうね、しかも富士教導団の陽炎は、近接戦闘重視に特化された機体も有ったしね」
「これで上の連中も、XM2の正式採用を認めるだろう」
「当然よ、少なくとも、大陸派兵軍部隊の戦術機にはXM2を搭載して欲しいわ」
「・・・・・・・・」
日本帝国政府は昨年度末から国連の要請に基づき、中国戦線と東南アジア戦線への大規模派兵の準備を進め、ほぼ完了に近い状態に。今は国連を通じて最終調整に入っている。
インド戦線ではインド政府が年内にも、ボパール・ハイヴ攻略の準備を進めていて、日本帝国にもボパール・ハイヴ攻略の為の日本帝国軍の派兵要請が出ている。
国連を始め彼方此方で反対意見が噴出しているが、インド政府はこのまま座して消耗し続ける位なら、一か八かの賭けに出ようとしていた。
帝国政府と軍内では中国戦線と東南アジア戦線への派兵が精一杯で限界である以上、インド政府が進めるボパール・ハイヴ攻略は物資支援に留める意見が大勢を占める。
斯衛軍で在る日向は派兵軍には参加をしないが、その変わりりでしかないが派兵軍の無事を祈るしかない。
「……一日でも早く新OS・XMシリーズと、XMシリーズ搭載機を実用化しないと……、はぁああ、結局は武の計画通りに進めないと、この国も他国の二の舞になるのね……」
でもそれは武の異常性を認めるしかないのを意味する。
『狭霧少尉は陽炎4機撃墜か、トップスコアを持って行かれたな。流石は彩峰少将の部下だけの事はあるのか』
斯衛軍の衛士の一人が悔しそうに話す。
『いいえ、新OS・XM2の性能と白銀君の教導の賜物ですよ』
『いやいや、謙遜しなくてもいいよ。純粋に君の才能だよ』
「・・・・・・・・・・・・』
日向が見た所、合同部隊衛士達の中で、衛士として一番将来性が高いのは帝国陸軍所属衛士狭霧直也だろうと。才能は勿論だが、性格も謙虚で息子・武の指導や教導も素直にいち早く受け入れたし、周囲への気配りが出来る。
だがその一方で狭霧少尉の視野の狭さが気になった。
なんと言うべきか、最上官で有る彩峰少将を盲目的に心酔する傾向が強く、軍国主義的思想が時折垣間見るのが気になる。それさえ無いか是正出来れば、息子・武の上官として武を預けても良いと思うのだが……。
日向は其処で思考を停止し首を左右に振る。
(武の斯衛軍入りはもう既に既定路線で決まっている)
そう日向は結論を出す。今更斑鳩家と斯衛軍が武を手放すとは思えない。武本人は第三世代機戦術機【不知火】と【吹雪】の開発に深く関わり違っているが、恐らくは斯衛軍から帝国陸軍技術廠への出向で落ち着く。この結果を踏まえて斯衛軍に任官させてから、帝国陸軍技術廠に出向の形に。間違っても武が未成年の間は、帝国本土が戦場にならない限りは戦場に出る事はない。
(大丈夫、武の計画通りに進めば、BETAの東進は朝鮮半島と東シベリアとミャンマーで食い止められるはず)
だが武が不知火とXM3の実戦運用を名目に、93年度末から94年春と中国戦線と95年には東南アジア戦線行きの許可を榊外務大臣と彩峰少将に申し入れいたのを日向は知らない。
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「ふう〜ん、じゃあ改良型CPUを搭載したXM2の運用試験は上手く行ったと言う訳ね」
帝都大学の一室で香月夕呼は鎧左近から前日の演習報告を受けていた。
帝都大学を中心に開発された改良型CPUは、サイズは1.3倍のサイズになったが、情報処理能力は十倍に拡大。XM2にも余裕で対処出来た。
「ええまあ、見事と言っていい程でしたね」
香月夕呼の白銀武に興味津々と言った具合だ。
「やはり普通の子供ではないわね白銀武は」
「やはり普通の子供ではありませんか彼は」
そう言う香月夕呼も未だ17歳で未成年に過ぎないが、帝都大学に特待生として在籍している。本来なら高校生に過ぎないはずなのだが。
「普通の子供な訳ないでしょう。何処の世界に8歳の子供が帝都大学の研究所に、重力制御式量子コンピューターやレーザー推進核融合炉の基礎理論と設計図を送って来るのよ、しかも電算開発研究所の方にも並列処理高性能CPUの設計図と製造データーも送られて来たし、おかげで此方は夜遅くまでてんてこ舞いよ」
香月夕呼は両手を組んで憤懣遣る瀬無い顔をする。
基礎理論と設計図が送られて来た以上は、研究開発を急がなくてはならない。8歳の子供に
「此処までして上げたのに、未だ出来ないんですか?」
と言われるのだけは我慢がならなかった。それは帝都大学の総意も当然で、次々と持ち込まれる基礎理論、設計図、製造データー、此れで何かしら開発出来ず、駄目なら無能の烙印を押されても文句を言えない。だからこそ、帝都大学総長自ら号令を掛けて取り組む。
「で、貴女はあの少年をどう見ているのですかな?」
「はっきり言って異常よ、そう、まるで未来から持って来たかの様に感じるわね」
「とてもではありませんが、科学者や研究者の言葉とは思えませんな」
「私だってそう思いたくはないわよ。だけどそうでしか説明出来ないのだからしょうがないじゃない」
「それで戦術機用の並列処理高性能CPUの開発状況はどうなっていますかな?」
「問題ないわよ、設計図と製造データーが纏めて送られてきたんだから、後半年で試作品が出来上がるわよ。来年の年明けにはOS込みで先行量産が開始されるわ。OSの方は彼へのサービスよ、私の方の研究も一気に進んだから……」
「それは朗報ですな、白銀武は、不知火の実用化を半年前倒しでの開発を急いでいますからな」
「……穏やかではないわね、その白銀武って子から見て、大陸の戦況は危ういと見ているのね」
「私も会ったのは一度だけですので、その辺りは何とも言えないですな。ですが焦っているからならこそ、軍や大学、開発企業に発破を掛けているのでしょう」
「だけど武家社会はかなり面倒ね、一度その子供の両親の結婚を認めていながら、状況が変わったから離婚させるなんてねぇ~」
やや皮肉ぽい笑顔を浮かべる香月夕呼。
「白銀武は両親の復縁再婚を根強く望んでいますな、その為には反対勢力を黙らせる功績を立てる必要が有ると考えています」
「例えば?」
「ハイヴ攻略成功……」
「はっ、確かにそれなら、反対勢力も黙るしなないわね。ハイヴ攻略成功の実績を盾にさせられたら、どんなに口煩いやからも黙る。だけどその両親もとんだ親孝行息子を持ったものね。健気の一言よ。だけどその子の両親はそんな事を望んでいるの?」
「望んではいないでしょうな、だけど白銀武は両親の為にハイヴ攻略を遣り遂げる気でいるのは確かです」
「その子がそこ迄命懸けの危険な橋を渡らなければ、口煩い連中を黙らせられないの?」
「最早この問題は、武家社会を二分する既得権益化していますからな、再婚反対派は、武家社会に外から新しい風と血が入るのを心底毛嫌いしています。最悪保守派の影響が強い武家と斯衛軍が反乱を起こしかねないかと」
「何だか気の毒になるわね、子供の身でありながら両親を復縁再婚させる為に、ハイヴ内に突入する危険な橋を渡らなければならないなんて」
「で、香月女史はどうなさるおつもりですかな?」
「まあ、付け入る隙はあるわね、その様子だと、その親子3人を手に入れられるのも可能と見たわ」
「ほう、それはそれは。ですが、どの様にですかな?」
「今は話せないわ、でも私の計画に、その親子3人は必要だってことよ」
たける「みちるさん、一つ聞いていいですか?」
みちる「なんだ白銀」
たける「相変わらず四姉妹で一人の男の奪い合いをしているんですか?」
みちる「!??煩いぞ白銀!別にいいだろう」
たける「え〜、でも気になるじゃないですか」
みちる「……それなら白銀、お前はお前で京都で随分と宜しくやっているそうじゃないか」
たける「え〜、やっていないですよ(汗」
みちる「ほ〜お、正月の初詣では譜代武家の篁家の御令嬢を押し倒したてキスしたと御剣から聞いているぞ」
たける「違いますよ、あれは事故です事故。あの時はあの子が石畳で躓いたのを助けようとしたのをですね~etsetora」
みちる「ほ〜、榊外務大臣の娘と見合いした件は?」
たける「それも違いますよ、榊外務大臣に呼ばれた庭園で偶々出会っただけです」
みちる「それこそ見合いと言わないか?」
たける「言いませんよ!」
みちる「なら外様武家の蓮川翠とはどうなんだ?仲良く手を繋いでデートしていたそうじゃないか」
たける「あれは彼女が迷子になっていたから、家まで送っていっただけですよ、て言うか、何でそんなに詳しいんだ!」
みづき「ほー白銀余裕じゃないか、こっちは私達が毎日特訓でヒイヒイ言っているのに」
ガシッと頭を掴まれるたける。
たける「ゲッ、水月さん!!!!!」
みづき「何よアンタ、ここ暫く横浜と京都を忙しく往復していると思って至ら、京都で忙しくナンパしていたの!?」
たける「ち、違います(アー厶ロックでギリギリと頭を締め付けられる武)」
みづき「何がどう違うのか説明しなさい、3·2·1はい!」
たける「そんなみづきさんに朗報ですよ、春休みになったら横浜衛士訓練校で衛士適性検査を受けられますよ」
みづき「それ、本当なの!?」
たける「本当ですって、その時は冥夜も一緒ですよ」
みづき「それならもっと早く言いなさいよね、たくぅ」