ガンダムSEEDFREEDOM~混沌の黒銀海神が駆ける 作:カオスサイン
Sideショーヤ
「宇宙に上がるのは良いんですけど一体どうするんです?」
俺が所有しているスペースシャトルの中でアキラが疑問を問う。
「自国を平気な顔して自らの手で焼き払い、クライン総裁をドサクサ紛れに誘拐するような輩だ…恐らく他にも仕掛けて来る筈だ…自らの行いを正当化したいが為の報復という名の何かとんでもなくロクでもない事を行おうとしているだろう…。
時間があまりない…これから俺が個人的に所有している母艦を格納してある場所に向かいある人物と合流して奴等の不届きな行いの証拠を入手する。
それから君達には新たな機体を与えるから乗り換えてもらうよ」
「何時の間に?…」
「フィリン達の件もあって初めから怪しんではいたからな。
熱いジャーナリズム魂の彼を潜入させておいて正解だったようだ」
「お母様は何故あの様な非道を?…」
「本人に会って聞いた方が良いんじゃないか…」
「…」
レーファさんは今迄慕っていた母親があんな暴挙を行ったなんて信じられないのだろう。
「…姉さん、あれは姉さんが思っていた様な人間じゃない…」
「どういう事?…」
そこでトラシアちゃんがそう言ってくる。
あれ呼ばわりまでされるとは…レーファさんは驚きながらも彼女に聞く。
「あれの裏の顔こそが私が剣を捨てた理由だから…」
そう言ってトラシアちゃんは語り出す。
Sideトラシア
二年前のある日
「ふええ…」
「僕どうしたの?」
「母ちゃん達とはぐれちゃったんだ…」
街を散歩していたら迷子になっている幼い男の子に遭遇した。
「だったらお姉ちゃんが一緒に探してあげる!
何処から此処迄来たのかは覚えているかな?」
私は放っておけずに一緒に男の子の母親を探してあげる事にした。
「えっと…あっちから…」
「分かった、じゃあ行こうか」
私は男の子と手を繋いで一緒に彼の両親を探し歩いた。
「?こんな所に騎士軍?珍しい…何か事件でも…!?」
少し歩いた裏路地から何時もは居ない筈の王国の精鋭騎士軍が居た。
何か起きたのだろうかと思い覗くと其処には明らかに一般人であろう数人の若い男女が縄で縛られて連行されていた。
「あ!母ちゃん、父ちゃん!」
「あ!?…」
なんとその中に男の子の両親も居たようで発見した男の子は私から手を離して駆け寄ろうとする。
「なっ!?ケイ、こっちには来ては駄目だ!」
男の子、ケイ君の父親が叫ぶ。
「誰が止まって良いと言った?!」
「がっ!?…」
父親が騎士に殴られる。
「ちょっと!?貴方達、一体何を!?」
「これはこれはトラシア様、いえねこの者達は我が国の理想を否定し反逆を行おうとした者達で連行しようとしていた所なんですよ」
私が騎士に問い質すと一人がそう答える。
「それはお前達の方だろう!国を私物化して甘い汁を啜り続けているだけの奴等が!女王が施行したデスティニープランで格差がなくなるなんて嘘っぱちだ!
我々を単に切り捨てているだけじゃないか!」
「我等が女王に逆らうか!」
父親がそう叫ぶと騎士の一人、私達に剣術指南をしていた団長であるサガハ・ヨドハミが剣を抜いて父親へ振り下ろそうとしていた。
「何をしているんですかサガハ団長!?」
それを見て私も剣を抜きサガハ団長の凶剣を防いだのだが…
「これはこれはトラシア様は大分御乱心なされているようだ…大人しくしていてもらいましょうか」
「しまっ!?…」
「お姉ちゃん!?」
剣の師に今の私の実力では到底敵わずに弾き飛ばされてしまう。
「おもわぬ邪魔が入りましたが民衆のみせしめに一人此処で断罪しておきましょう」
「だ、駄目えー!」
「がっ!?……」
「あなたぁー!」
団長の凶剣が再び父親へと無情にも振り下ろされてしまい私と母親の絶叫も虚しく彼は斬られてしまう。
「残りの者達はとっとと連れていけ!」
「「はっ!」」
サガハ団長は他の騎士に指示し母親と他の者達は結局連行されていってしまった。
団長は私を見る事無く立ち去っていった。
「父ちゃん!?起きてよ!目を開けてよ!…わあああん!」
「そんな…」
コレが現実なの?!…今迄母さんの理想の国を信じて生きてきたのにこんなの酷いよ!…
父親を目の前で失ったケイ君の泣き叫ぶ声を耳にしながら私は己の無力さに項垂れなるしかなかった。
Sideショーヤ
「…」
「そんな酷い!…」
「真逆サガハ団長までもが…」
トラシアちゃんの話を聞いて俺達は絶句した。
それにしてもDPか…彼女の話を聞く限りこれはギルバート・デュランダル前議長が思い描いていた物とは全く違っている事に気が付く。
表向きには繁栄している国だと見せかけて裏では弱者を弾圧し切り捨てているだけの愚行…あの世で議長も物凄い顔をしている事だろう。
自分達に都合の良い解釈で利用したのか。
「おっと到着だ」
「此処ってとっくの昔に放棄されていたのを改造したコロニーですよね」
アキラが何処なのか言い当てる。
「御名答だ、アキラの言った通りかなり昔に放棄されていた場所だからあまり把握されていない」
「お?来たな、待ちくたびれたぜ」
「貴方は確か戦場カメラマンの…」
改造コロニーの奥へ向かうとそこで待ち人と会う。
「そ、MS戦場カメラマンとは俺の事よ!」
そう、アストレイアウトフレームDを駆り世界のありのままを暴く戦場カメラマンであるジェス・リブルだ。
俺は彼に戦地での撮影を依頼していた。
「ジェスさん、例の物は?」
「ああ、バッチリ撮れているぜ!ほらよ…正直こんな特大スクープが撮れるなんて予想はしていなかったけどな…」
ジェスはそう言いながらも悲しい顔をしながら数枚の写真を差し出してくる。
「こいつは!…やはりか!…君達も心して見てみろ」
「こ、これは!?…リューとダニエルに間違いありません!本当にお母様は…」
ジェスから彼が撮影した写真を受け取り見てみるとそれにはやはりブラックナイツの内の二名がブルコス基地へと侵入し人員を殺害して核ミサイルの制御システムを乗っ取って発射準備をしている瞬間までもが映されていた。
レーファさんはかつての仲間が躊躇いも無く禁忌の兵器で自国を焼き払った事実に驚きを隠せないようだ。
「コレで偽りの女王によるイカレた自作自演を叩く材料は確保出来た…だがあまり時間は無いだろう…MS操縦は短時間で覚えてもらうからな」
「は、はい!」
「…」
ひとまず証拠を確保し俺達は更に奥へと歩を進めた。