え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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悲劇……うんもう、ホント悲劇

 

 

 

「マズったな……!!」

 

 脳無という増援……打開策も絶たれた。間飛には気にするなと告げたものの、死柄木は焦っていた。黒霧に逃走の指示を出したいところだがエッジショットが睨みを利かせているのがわかっている。

 迂闊な指示は逆転の芽を潰されるだけ。かといって何もしなければこのまま監獄(タルタロス)送りになるのは当然。

 

「……想像以上の冷静さだね。この短期間に何があった?」*1

「お前らじゃない奴に目を覚まさせてもらっただけだ……救えなかった、お前らと違ってな」*2

 

 名を出さずとも死柄木の視線が雄弁に語っている。誰が原因なのか、誰に目を覚ましてもらったのか。視線の先にいるのは、オールマイトの隣で神妙な顔をしている間飛。ピザどこにやったお前。

 

 思うところがあるのかオールマイトもそれ以上は追求しない。自分には出来なかったことを子供が成し遂げていたけれど、この場にヒーローとして推参したからには無視せざるを得ない。

 

 引石健磁(マグネ)膜川粧(ジャックガム)迫圧紘(Mr.コンプレス)分倍河原仁(トゥワイス)。少ない時間と情報で警官達に素性を洗われた。最早彼らに逃げ場は無いと無慈悲に告げるグラントリノ。

 

「なァ死柄木……おまえさんのボスはどこにいる?」

「……知るかよ。アイツ(・・・)にとっちゃ俺すら手駒の一人だ」

「何?」

「この際だから言ってやるよ……俺はアイツが嫌いだ……!!そして、お前らも!!」

 

 USJの時とは何かが決定的に違う。二度目の邂逅であるオールマイトだけが死柄木弔の変化に気づいていた。あの時とは違って感情任せでは無い、何か明確に見据えるべきモノを見つけた者の……静かに燃ゆる思想犯の目に近い。

 

 気圧されるオールマイト達に向かって死柄木は声を張り上げて宣言した。

 

 

「邪魔をするな!!ヒーロー!!!」

 

 

 バシャ、と死柄木の怒りに呼応するように、何も無いところから黒く濁った液体と共に脳無が現れる。

 

 死柄木すらも困惑している増援。外からも聞こえてくる悲鳴からするとそちらにも出現しているらしい。

 不快な臭いを撒き散らしながら、次々と何も無いところに黒い水と共に現れる無数の脳無。USJの時程の個体は見られないが、それでもこの数は脅威と言わざるを得ない。

 

「お゙!!?」

「っ!!?間飛少ね───」

 

 逃がすな、とシンリンカムイに声を飛ばしていると、隣にいた間飛の口からも黒い液体が吐き出される。マズイと判断したオールマイトは即座に間飛の腕や肩を掴むけれど、液体は量を増してあっという間に間飛を飲み込み……トプン……と水音を残して消えた。

 

 そして間飛だけではない。

 

「お゙え゙っ!!?」

「マズイ!!全員持っていかれるぞ!!?」

 

 木の枝に絡め取られていたヴィラン連合の口からも黒い液体が溢れる。口の分からぬ黒霧や気を失っている荼毘すらも例に漏れず、同じように水音を残して姿を消した。

 

 拘束の役割を担っていたシンリンカムイがヴィラン連合を逃した事に謝罪するが、これを彼の手落ちと言うには無理がある。エッジショットもグラントリノも……ましてやオールマイトすらも対処出来なかったのだ。如何に実力派若手と持て囃されていたとしても、責任を負わせるのはあまりに酷というもの。

 

 おそらくは黒霧のそれとは違い【距離を無視した経路を開く】のではなく【対象を点と点で動かす】ものだ。発動時点で阻害はほぼ不可能と見るべきだろう。

 

「ッ!!オールマイ──」

「死ねよ雑魚が!!」

 

 空振ったオールマイトに数体の脳無が殺到し──跳び込んで来たミルコの一蹴りによって全員が沈黙した。

 逃した事に気落ちしていたのもあって超スピードの乱入に目を剥いて驚くものの、外の脳無の大半は既に制圧済みと聞いて納得。物足りないからと突っ込んで来たらしい。

 

「行くんだろ!?私も行くからな!!」

「ああ……行こうか!!」

 

 ジーニスト側に何かあった。そう判断したオールマイトとミルコ、そしてグラントリノはこの場を任せて脳無格納庫の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 Mt.レディ、ギャングオルカ、虎、ベストジーニスト。名だたるヒーロー達を、一蹴。塀の向こう側で何が起こったのかなんてどうでもいい。

 

(何だ……アイツ……!?)

(一瞬で全部、掻き消された!!)

(クソクソクソッ……!!ンだありゃあ!?)

(この圧迫感……あの時の……!!?)

(逃げなくては……!!分かっているのに……)

 

(((恐怖で、身体が動かない……!?)))

 

 全員が恐怖していた。背を預けた石壁の一枚向こう側、そこに佇んでいるだけのたった一人があまりにも恐ろしい。

 足が竦み喉が張り付いたように声を止めた。悲鳴を上げてはならないという生存本能故か、純粋な恐怖故か。

 

 バシャ……ッ。

 

 次に届いたのは水の音。バケツの水でもぶちまけたような……そして。

 

「げほっ……ドブみてぇな臭いしやがって……」

「おや……?爆豪君ではなく君だったか」

「あ?」

 

 助けに来た友人(間飛)の声。続いて複数の水音とヴィラン連合の物と思われるえづき。何かしらの個性でコッチに持ってきたというのか。

 

 AFOは静かに話す。まるで出来の悪い教え子に言って聞かせるように。

 

「また失敗したね、弔……でも決してめげてはいけないよ。またやり直せばいい」

「……」

「こうして仲間も取り返した!いくらでもやり直せ……その為に僕がいるんだ」

 

「全ては君の為にある」

 

 一言一言が神経を逆撫でるような不快感。ヴィラン連合の親玉の声だけで、緑谷達は固まってしまったまま動けない。

 

(とにかく……動かなきゃ……!!)

(待て緑谷ッ……!?)

 

 それでもどうにかしなければと、震えるだけの身体に喝を入れてゆっくりと腕を持ち上げる。何をするつもりだ、と心操が緑谷を止めに入ったその時。

 

 

 

 SMAAAASH!!!!

 

 

 

「がはっ……!!?」

 

「久しぶりだよなぁアア!!?オォルフォオワァァァァンン!!!」

 

 

 緑谷でも心操でも、爆豪でもましてや死柄木でも無く。真っ先に爆発したのは間飛だった。

 

 魔王の威圧をも撥ね除け、真っ向からAFOの土手っ腹を殴りつけ、かち上げた。正真正銘【フィジカルギフト】の100%(・・・・)

 オールマイトと同等以上の一撃。防御が間に合わなかった魔王の身体を宙空へと跳ね上げ、開いた距離を【瞬間移動】が食い潰し魔王の上に立つ。

 

 

「今のはァ!!テメェが人生を弄んだアイツ(・・・)の分だ!!!」

 

「図に、乗るなァ!!」

 

 見下される事を何よりも嫌うAFO。数秒前の余裕をかなぐり捨てて片腕を肥大化させる。複数の個性を掛け合わせた醜悪な剛腕を強引に振り回しても、両者の上下は揺らがない。魔王が下、継承者が上だ。

 

 横長の衝撃波をするりと躱し、その身から溢れんばかりの激情を全て二つの拳に乗せる。ギチギチと破裂寸前の如き音を立てて硬く、硬く握り締められた手がブレた。

 

「コイツはテメェに合宿を無駄にされた皆の分!!!」

 

「ぐっ……おおおおおおっ!!?」

 

 一撃一撃に丹念に込められた憤怒。防御も反撃も挟み込む余地のない暴虐の嵐。腕が増えたのではと錯覚する程の連打がAFOの全身を叩く。

 

 マスクが砕け血が吹き出し、邪悪な魔王の身体に傷を残していく。回収した個性による再生能力を上回るダメージが蓄積し、肉体への負荷が超過する。

 

「そんで……コレが……!!」

「馬鹿な……!?オールマイトよりも既に(・・)──!!」

 

 

「えーと……特に思い浮かばなかったけど何かの分だあああああ!!!」

 

「せめて何の分かぐらい決めておきたまえ───!!?」

 

 

 一応……クライマックス、ですよ?

*1
ピザ食ってたっぽい状況に困惑中

*2
ピザだったものに目をやりつつ





死柄木(何かの分……かあ)
緑谷(……思いつかなかったのかな)
間飛(ぶっちゃけただの口実だし何でもいいや)

AFO「……僕これにやられなきゃいけない感じ?」
作者「はい」
AFO「」
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