え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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何とこの度……!!
本作のUAが100万を突破しました!!
いつも読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます!!
100万という大台まで到達できたこと、大変嬉しく思います。
これからも本作を宜しくお願いします!!






神野区の喜劇

 

 

 

「これは……一体何が……!?」

 

 ヴィラン連合と間飛を奪取されたオールマイトが、構うなと言われてミルコを置き去りに脳無格納庫だった場所へと辿り着く。

 そこは既に戦場と化しており、何者かが戦っている音だけが土煙の向こう側から聞こえてくる。

 

 一際大きな音が轟いて、土煙が晴れて───

 

 

転孤(・・)ォ!!そっち行ったぞ!!」

「ああ……見えてるよ」

「育ててやった恩を忘れたか弔ァ!!」

 

「──AFO……!!それに、間飛少年と……死柄木、弔?」

 

 

 ──黒幕(フィクサー)気取りの魔王が、追い詰められていた。

 

 三人だけではない、数十秒前に酒場の中で睨み合っていたヴィラン連合の者達もまた同じ。蒼い炎を撒き散らす荼毘、人員を増やし続けるトゥワイス、【圧縮】による回避と投擲に徹するコンプレス、休む間を与えぬようにと呼吸の合間を狙うオカマ二人。

 

 何かもう既に瀕死の魔王を更に追い詰めているのは優れたヒーローでもなければ公的権力でもない。魔王の手によって掻き集められたはずの悪意が一人の子供に束ねられ、魔王を打倒せんと戦っていた。

 

「おのれ……!!おのれおのれおのれおのれおのれえええええ゙え゙え゙!!」

「どうしたァ!?テメェのやらかして来たツケが回ってきてるだけだぜェ!!?」

「ああ……俺を拾ったのもテメェだったな?」

「とどr──」

 

 無限の手札を有していたとて繰手は独り。一度に切れるカードには限界があり、一人二人への対応をしている間にたった一枚の個性(カード)が喉笛に食らいつかんと迫るのだ。

 最低限【崩壊】を食らってはならないと死柄木弔を跳ね除けるものの、がら空きの身体へと執念の焔が放たれる。総動員される防御と再生もいつかは限界が訪れるだろう。

 

 何が、起こっている?

 オールマイトの頭の中だけでは答えが出せそうにない疑問。何がどう転べば誘拐犯のヴィラン連合と誘拐被害者の間飛少年が、連携してAFOと戦うなんて事になるのだろうか。*1

 

 愕然とするオールマイトの隣にズザッ、と音を立てて何者かが着地する。そこにいたのは大きなうさ耳の目立つ褐色のバニーガール、ミルコだ。

 

「っはあ!!マジで速ええなオールマイト!!で、間飛の奴は──……?」

「ミルコ君……」

「……仲間割れか?」

 

 漲らせていたやる気も殺る気も吹っ飛びそうな謎の光景。オールマイトに尋ねるも答えは返ってこない。うん、だってその人も何でこうなってるのかなんて知らないからね。

 

 よくも可愛い生徒を攫ってくれたなと思っていたら、その攫われた生徒が攫って行ったヴィランと上手いこと連携している。荼毘を庇うわ死柄木の為に囮になるわ……八面六臂の大活躍。ただし一緒に戦ってるのはヴィランである。

 

 どうしようか?なんて思っていると間飛の目がこちらに向いた。

 

「手伝え!!」

「え、あ、うん……」

「応ッ!!あのスーツ野郎を殺せばいいんだな!?」

「ヒーローとしてそれはやめよう?」

 

 とりあえずこの場で共通の敵はAFOであることは間違いないらしい。

 即座に戦闘態勢に入るミルコとやり過ぎないでね?とまさか仇敵の命に気を配る事になって困惑しながら参戦するオールマイトだった。AFOは泣いた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 何故、という怒りが脳の半分を占めていた。

 

 何故死柄木弔が僕に牙を剥く?何故ヴィラン連合が僕に楯突く?何故間飛移がここに居る?何故自分はここまで追い詰められている?何故?何故?何故何故何故何故何故何故何故何故何故……。

 

 何よりも何故こうなったのか分からない。*2

 

 複数の個性を掛け合わせた一撃は相殺され、狡猾な罠は全て踏み潰され。己の強みと言える全てが、尽くが通用しない。

 それもそのはず、AFOと何度も戦ったオールマイトにAFO手ずからこさえた死柄木弔はAFOの手の内を理解している。かといって付け焼き刃ならば間飛や荼毘の圧倒的な高火力に押し負けてしまう。

 

 最早『詰み』だと、優秀な脳が弾き出している。

 

「惨めだなオール・フォー・ワン!!飼い犬に手を噛まれるとはこの事だろう!?」*3

「オォォルマイトォォォ゙ォ゙!!僕を見下すなァ!!?」

「「余所見してんじゃねえよ!!」」

 

 なりふり構わずオールマイトへと突貫するも、ミルコと間飛が割り込んで腕と顎を蹴り飛ばす。よろめいた所にオールマイトからのスマッシュが叩き込まれた。

 

 ボールのように転がされたAFOに増やされた(・・・・・)マグネとジャックガムが迫る。その中に本物は一人もおらず、しかして正確に再現された個性を伴う彼らはAFOの全力ですらやっと消せる耐久。【メイクラバー】による衝撃耐性が鬱陶しい。

 

「まだまだ行くぜー!!そろそろ帰りてえ!?」

「オカマも集まれば無敵なのよ!!」

「うふふ……鬱陶しいでしょう?私の【メイクラバー】は」

「っ……!!この、チンピラ風情がァ!!」

 

 供給され続ける分身に苛立ちを隠せない魔王に影が降りる。感知系個性が示す影の原因は大量の瓦礫。一瞬前まで存在していなかったはずのソレが重力に従い、AFOへと降り注ぐ。

 

「えー、今夜は雲の少ない月夜空。所により瓦礫が降るでしょう、ってな?」

「こんな石ころで僕がどうにかなるとでも!?」

「──じゃあ、俺が何しても効かねえんだよなァ?」

 

 上から落ちてくる瓦礫に混じり、後ろからAFOに向けてサッカーボール程の大きさの瓦礫が投擲された。【フィジカルギフト】による超人的な筋力によって。

 石ころ如きと舐めてかかった男の身体へと突き刺さり、鈍く重い一撃は耐え難い激痛を与えた。それがほんの一瞬だけ、彼の思考を真っ白に染め上げる。

 

「DETROIT……!!」

「───ッ!!!黒霧ィィ!!?」

「申し訳ありませんAFO……私への命令権は弔へと譲渡されております」

「わあ。取り付く島がない」

 

 白濁した思考の中でおのれの忠実な手駒だったはずの男へと呼びかけるも、それこそ自らの意思で死柄木弔へと与えてしまっていた。この場に魔王の物などひとつもない。可哀想なくらい何も無い。

 

 

「SMAAAASH!!!」

 

 

 残り火を賭けた一撃。いやまだそれなりに余裕はあるけど。

 目も鼻も失って尚、意識を手放すまいと奪ってきた個性を総動員してでも耐えようとした。

 

 しかしだ。彼の敵はオールマイトだけではない。

 

 

「オクラホマァッ!!」

 

「ぐぅ……ッ……!?」

 

 殴り飛ばされた先で間飛の手がAFOを捉える。ラリアットから回転で絡め取られ、加速する回転の果てに高く打ち上げた。

 

 風を切り裂いて高く高く投げられた邪悪の王。そこには黒いモヤから姿を現した憤怒れる兎(ヴォーパルバニー)が待ち構えている。

 草食動物である【兎】の個性の持ち主が、獰猛に笑い肉食獣の如き様相で動き出す。

 

 

踵半月輪(ルナアーク)ッッ!!!」

 

「がああああッッ!!?」

 

 回転、パワー、技術……そして怒り。溜め込んだ全てを乗せたかかと落としが魔王を地面へと墜落させる。玉座から転げ落ちた男の終着点は小汚い小さなクレーターだったらしい。

 

 意識を保つので精一杯の魔王へと、何もかもを崩す手が触れた。

 

「……殺しはしねえ。だが」

「何……を……」

「色々持ってるようだが……元々お前の物じゃないんだろう?」

 

 AFOの身体は何一つ崩れやしない。指ひとつ動かすのでさえやっとの死に体から何を壊すのかと思ったのも束の間。彼の体にとてつもない喪失感が発生する。

 音もなく何かが崩れていく感覚。またひとつ、ふたつと自分の中から何かが消えていく。まさか。

 

「まさかっ……!?」

「……何だ、気づくのが早いな先生(・・)

「弔ッ……個性(・・)を……!!?」

「アンタから奪うならこれが一番だろう?」

 

 どうやって、いつの間にそんな事が、この期に及んでAFOは死柄木弔の変化に気づけなかった。

 顔に貼り付けていた手のひらを捨て、弧を描く口に気づけていなかった。視線に宿るドロドロとした怒りに気づけなかった。

 

「他人の個性だけを【崩壊】させる……感覚を掴むには時間も数もかけ過ぎたけどな。お陰で脳無が結構な数ダメになった」

「妙に脳無の数が減っていたのは……ッ!!」

「ああ。個性どころか身体まで壊しちまってな」

 

 オールマイトに向けさせるつもりだった悪意が、己に向けられている事にも。時間をかけてでも己の嫌がる事がしたいと思っていた事も。

 

 命乞いは無意味。丹念に育てた悪意は矛先だけが思い通りにならなかった。抗う事も拒む事も許されない。指先ひとつで勝てる手札はとうに崩れた。口先だけで覆せる武器は無い。

 

「やめろっ……!!やめろおおおおおお!!?」

「死にはしねえよ……最低限、残してやる。そっちの方が堪えるだろ?」

 

 他人を騙して陥れて踏みにじって。長い年月をかけて奪い取ってきた無数の個性が崩れていく。武器も防御も策略さえも、この短い一瞬で取り上げられていく。

 

 やがて死柄木が手を離した頃には───ただ見えるだけ、聞こえるだけ、話せるだけ。それ以上のことは何も出来ない哀れな肉袋だけが残された。

 

 

 

*1
本当に何でだろうね……?

*2
モニター塞がってたからね……

*3
噛むように嗾けた奴がそこにいますよ?





間飛「死ねやオラァ!!」
死柄木「スッゾコラー!!」
ミルコ「ブッコロブッコロ」

AFO「……ヒーローの姿か?これが」
オールマイト「相手がお前だからしゃーない」
AFO「理不尽!!」

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