え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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通常攻撃が必殺技なんですがそれは

 

 

 

 強化合宿から神野区の悲劇(笑)を経てようやく戻ってきた日常。席に着いて相澤の話を聞いているこの状態に懐かしさを感じながら、昨日話された仮免取得を目標としたこれからの話に耳を傾ける。

 

 ヒーロー免許とはヴィラン退治にしろ避難誘導にしろ、公の場で個性の使用を許可されるライセンスだ。一歩間違えれば自らの手で犠牲者を増やしかねない事もあり、仮免試験の段階からかなり厳しい。

 仮免試験と甘く見ることなかれ。なんと合格率は例年五割を切るほどの難易度だ。

 

「そこで今日から君らには一人最低でも二つの「必殺技を作ってもらうわ!!」

 

「「「学校っぽくてそれでいてヒーローっぽいのキタアアア!!」」」

 

 ミッドナイトさんもうちょっと普通に入ってきてくれません?

 

 

 

 ◇

 

 

 

 『必す』と書いて必殺技。当然不殺が基本のヒーローなので本当に殺すわけではないけれども。必ず勝ちに繋げられる技と言い換えれば必要性が分かるだろうか。

 

 ゲームであればMPやゲージ何かを使って発動する大技というイメージになるが、その実態は自分の強みを押し付けて勝つテンプレートだ。

 別にかめ○め波でも螺○丸でも月○天衝でも間違ってはいないけれど、欲を言えば『当たれば勝てる・有利になる技』ではなく『確実に勝てる・有利になる技』を求められる。

 

 コスチュームに着替えたA組が向かったのは体育館γ。またの名を──……

 

(T)レーニングの(D)(L)ンド!!略して【TDL】!!」

 

(((TDLはまずいのでは!?)))*1

 

 ちょっと笑顔の素敵なネズミ様に細切れにされちゃいそうな名前をしているが大丈夫なのだろうか。お金が関係ないからセーフ?だといいね。*2

 

 エレクトリカルなパレードがありそうなここはセメントス考案の施設。彼の個性はセメントを操る能力であり、床や壁にふんだんに使われたセメントが生徒一人一人に合わせた場所や物へと変わる。

 

「しかし……必殺技が何故必要なんです?」

「まあ聞け。ヒーローってのは天災にしろ人災にしろあらゆるトラブルが起こった際に最前線で対応にあたらなければならない。取得試験じゃソレへの適性を見られる」

 

 雄英の入試を思い出してみよう。あの時求められたのは情報力、判断力、機動力、戦闘力。自分以外の全てがライバルの環境ならばそれだけでいい。

 しかしプロとして立つからにはコミュニケーション能力や統率力、時には魅力等も求められる。

 

「中でも戦闘力。これからのヒーローにとって極めて重視される項目となります。備えあれば憂いなし!技の有無は合格に大きく影響します」

「状況に左右されずに安定行動を取れるというのは、それだけでも高い戦闘力を保有していることになるんだよ」

「なるほど……」

 

 なんなら既にA組の中には必殺技と呼べる技を持つ者もいる。爆豪の【榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)】や飯田の【レシプロバースト】はまさに必殺技と呼ぶに相応しい性能だろう。

 

 惜しくも中断を余儀なくされた合宿での個性伸ばしはそこに至る為に必要なプロセスだった。生徒達が思っているよりもずっと時間を削られてしまった為、ここからは短い時間に多くのことを詰め込むしかない。

 

 セメントスが触れた箇所を起点にセメントが隆起し、エクトプラズムの口から【分身】が生み出される。円柱状の高さが疎らな足場の上に一体ずつ用意された分身、これが圧縮訓練の舞台だ。

 

「尚、個性の伸びや技の性質に合わせてコスチュームの改良も考慮しておけ。プルスウルトラの精神で乗り越えろ……準備はいいな?」

 

 力強い返事と共に必殺技の開発が始まる。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 必殺技、と来ましたか。俺から一番程遠い代物なんだがどうするべきだろうか。

 

「フム……ドウイウ意味ダ?」

「ちょっと自惚れも入りますけど、今の俺って一撃一撃が必殺技に成り得るんですよね。オールマイトはただのパンチにナントカスマッシュって名前付けてたりしますが……ちょっと躊躇うというか、その」*3

「……否定ハ出来ナイナ」*4

 

 振り返って見ると通常攻撃もトドメの一撃も殴ってるか蹴ってるかでしかない。そこに戦略性があるとすれば【瞬間移動】を噛ませているかどうかであって、結局やっている事は全部似たり寄ったりになる。

 

 故に必殺技とは言われたが俺の場合は挙動に名前を当てはめるだけになるかもしれねえ。子供がナントカパーンチ!とか言ってるのと大差ねえな。

 

「……じゃあ一個、試してみますね」

「アア」

 

 一応無いわけではないけども。

 まずは一度大きく跳躍、天井まで着いた所で今度は天井を蹴って超加速的に落下。エクトプラズム先生に激突する寸前で……ッ!!

 

 

「───ホウ、考エタナ」

「ダラッシャアァイ!!」

 

 激突する寸前で【瞬間移動】を発動。エクトプラズム先生の上から目の前へとワープし、加速や落下の勢いを上乗せした右ストレートを打ち込む。今回は実験というのもあってエクトプラズム先生は防御も回避もしなかったが、俺の個性なら回り込みも追跡も余裕。

 

 ……あ、先生の分身消えてもうた。

 

 新しく増やしてもらった分身に確認してみると十分必殺技としてカウントできるとの事。やったぜ。ただ問題は過剰火力ってところか。*5

 

 

 BOOOM!!!

 

 

「おわっ!?」

「爆豪カ……」

 

「エクトプラズム!!死んだ!!もう一体頼む!!」

 

 燃えてるなあアイツ。ずっと小難しい顔してたからストレスでも溜まってたんだろうか。時々こっちを睨みつけたりしてたのはいつもの事だけど、頼むから誤射を装ったりすんなよ……?

 

 向こうでは緑谷も張り切ってるし。あれで今何パーセントなのか後で聞いてみようか……あ?何かこっち来てね?

 ザシャっと音を立てて目の前に着地する緑谷。こちらもやや険しい顔をしているが何か壁にでもぶつかったのだろうか。

 

「どした?」

「ちょっと色々聞きたくて……フルカウルはなんとか25%(・・・)までは安定したんだけど」

「……随分とお早い成長で」

 

 もう四分の一オールマイトとかマジか。今じゃ常時5%をやってるらしいし、個性に対しての適応能力が高すぎないかコイツ。

 

 今悩んでるのは四分の一オールマイトまでに到達したパワーの使い方だとか。確かに今の緑谷は糖分が要らない代わりに制御能力を求められる砂藤って感じだしな。むしろ糖分さえあれば安定してる砂藤の方が強いまである。

 

 じゃあってんでエクトプラズム先生にお願いして軽く組手をする事に。お互い【瞬間移動】も【超パワー】も使わない肉弾戦だ。

 

「わかっちゃいたけど格闘技は素人か」

「逆に間飛くんは……っと!やけに手馴れてる、ねっ!?」

「あ、ワリ」

 

 どっちかが尻もちつくか良いのが一発入るまでの組手。やはりと言うべきか緑谷に武術の心得などなく、個性が絡まなければちょっと力が強いだけの一般人になる。分析力なんかは褒められるべきなんだが、それをする間もなく詰めてしまえば問題なく対処可能。

 

 というかコイツパンチばっかりしてくるんだが。足使え足。何なら頭も肘も使えよ。喧嘩の素人でもそれくらいは使うだろ。

 

「……そっか。足を使えばいいのか!!」*6

「いや閃いた!!みたいな顔してるとこ悪いけど何で思いつかなかったん?」

「イメージがどうしてもその……オールマイトに寄せちゃってて」*7

 

 ……言われてみれば確かに。オールマイトってパンチばっかりしてるな。いや確かキックも使ってたとは思うんだが大半上半身から技出てるわ。

 

 蹴りなら飯田とか参考にするといいんじゃないだろうか。もしくは尾白。俺?俺は【瞬間移動】前提で組んだりするからあまりあてにならないと思う。

 どうしても教えて欲しいってんならまずは悪○風脚(ディア○ルジャンブ)から……いい?そうか。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 むかっ腹が立つ。

 

 あの日あの時、俺はあの場所に立てなかった。

 

 どういうわけかヴィラン連合(クソども)とオールマイトが手を組んで立ち向かう相手に、ミルコにも引けを取らずに最前線を張り続けたあのクソ陰キャ。

 

 朝一番にデクから送られたメッセージは昨晩の事。早々に寝ちまったがあの日の連中で集まり、病院で集まった時の蛙吹梅雨(カエル女)の発言を謝られたらしい。俺はその場に居なかったから知らねえし、聞いてもねえ言葉を謝られても知ったこっちゃねえとしか言えない。

 

「クソが……!!」

「……マタカ。今日ハ随分ト熱ガ入ッテルナ?」

 

 エクトプラズムに八つ当たりのように【爆破】を叩き込む。必殺技の開発とは名ばかりのストレス発散に怪訝な顔をしているものの、何かあったのだろうと見逃されているのが分かる。

 

 

 登校中に【洗脳】の奴と出くわし、聞いてもねえのにあの日の事を話された。

 

『……なあ知ってるか?あの時間飛の奴、俺らが来てた事に気づいてたらしい』

『……そうかよ』

『それで、さ。言われたよ……何で来てたんだよって』

 

 陰キャの言い分は理解出来る。大方俺達が来なくてもどうにかなる云々じゃねえ、俺達が来ても何も出来ないし怒られるだけなのに何で危ないところに来てしまったんだ、とでも言いてえんだろう。

 

 つまり腹立たしい事に、アイツはあの状況下で俺達のことを心配してやがった(・・・・・・・・)

 

 屈辱だった。助けに行ったはずの俺達が心配され、助けられる側のアイツが俺達の方を守ろうとしてやがったと知って。

 オールマイトとミルコがマジになる戦いの場で何の変哲もない、俺達が隠れていた塀だけが奇跡的に無事に終わるわけがなかった。あの時は何ひとつ疑問に思わなかったが、今思えば違和感だらけだ。

 

 アイツは俺達があそこに居ると分かってて、流れ弾すら飛んでこないように守られていた。

 

「クソがァッ!!」

(ムゥ……荒レテイルガ、原因ガワカラン)

 

 最早作業になりつつある八つ当たり。それすらも個性伸ばしの成果が出ているのに、まるで足りないように思えてしまう。

 

 エクトプラズムが分身を補充するまでの僅かな間に爆豪は呟いた。

 

 

 

「……後継者、ってのは何なのか。話してもらわねぇとなあ……!!」*8

 

 

 

*1
ソウダネ!!ハハッ☆

*2
ハハッ☆

*3
ビッ○バンアタックの悪口はそこまでだ

*4
薄々思ってたんかい!!

*5
ヴィランミンチになるぞお前

*6
ブツブツの高速詠唱発動

*7
ブツブツキャンセル

*8
お ま え も か






緑谷「……」ジトッ
爆豪「……」ギロッ
心操「……」フィッ
間飛(何か見られてるし顔逸らされるのは何……?)

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