削除した話の中にあったネタの一部を再利用しております。
手抜きとか言ってはいけない()
今度こそ再スタートを切ったA組。今日も今日とてTDLにて必殺技開発の圧縮訓練を行っている。
どこかギクシャクしていたぎこちない雰囲気も晴れ、昨日よりもずっといい動きをしていた。今もまた一人技を確立しようとしている。
「【
『アイヨ!!』
期末テストの実技試験にてお披露目された新形態。二本の鉤爪とクチバシが特徴的なシルエットが変化していき、人間を思わせるフォルムで変化が止まる。
かの奇妙な冒険よりインスピレーションを受けて作り出した必殺技。その名も───
「【
『WRYYYYYYッッ!!!』*1
(……ドコカデ見タヨウナ絵面ダナ?)
──射程を5m程まで縮めた代わりに速度とパワーを底上げする形態……【影法師】。
鉤爪は拳に、流動的なボディは下半身を増やして人型に。細めの影が常闇と【黒影】を繋ぐのみで【黒影】は重力に縛られることも無くフワフワと常闇の傍で浮遊している。
無言で構えるエクトプラズムに対し、常闇は【黒影】を向かわせる。
『惰弱惰弱ッ!!』
「……それは何か違うぞ【黒影】」*2
「想像以上ニ速ク、強クナルモノダナ」
射程を縮める代償での強化はエクトプラズムをして感心する程。これは最近A組内で生まれた認識による物が大きい。
──リソースの振り分け?
きっかけはいつかの間飛と緑谷と八百万による個性考察。ふと緑谷が呟いた言葉は聴き逃していいものではなかった。
個性というリソースが100ある場合、そこから自分の必要としている要素に分割して振り分けるイメージで扱えばいいのではという話になった。
例えば轟の【半燃半冷】だと50:50で振り分けられている訳でもない。出力する温度の高低や攻撃範囲と言った細分化された項目がある。
オールマイトのような極まった個を相手するならば精密性を手放してでも威力や範囲に振り分けるべきだし、逆に有象無象のヴィランであれば死なない程度に威力を抑えて範囲を増やしつつ後遺症を残さない……等、考えることが増える。
では常闇の場合は?
まず【黒影】には出力というものはなく、暗闇で凶暴化したり光で弱くなったりするだけであって強弱を付けることはない。
『だったら余分を回せばいいんじゃね?』
『余分……?』
『ほら、相手との距離が近いなら射程は短くてもいいだろ?射程から差し引いた分をパワーとかスピードに回したり出来ないか?』
どうしたものかと悩む常闇に道を示したのは瀬呂。何でも某狩人×狩人マンガや某呪いマンガを見て閃いたらしい。
つまりは意図的に能力値の再分配を出来ないかという事だ。射程を縮めてパワーを上げたり、パワーを落として速度を上げたり……そうなればいくつかの型を作れるようになる。
その結果たどり着いた境地がこれだ。リーチは短くなってしまったが至近距離での
「……なあ、あれって絶対
「ソレ以上イケナイ」
インスピレーションを受けただけなのでセーフ。
一方こちら才能マン。
「ッッラアッ!!!」
「ナニ……!?」
エクトプラズムに叩きつけたラリアットが
爆豪自身も炸裂した事に驚いて固まり、何かを理解した後に獰猛に笑った。
「はっ……ハハハッ!!出来た!!」
「……マサカ、手ノヒラ以外デ【爆破】ヲ使オウトシテイタノカ?」
「ああ……俺の【爆破】はニトロみてえな汗から発生してるからなあ……!!」
ニトロのような性質を持つ汗が手のひらの汗腺から分泌され、それを起爆する事で爆豪は爆発を発生させている。
ならばその汗を手のひらに限らず全身から出せるようになるのでは?と強化合宿にて間飛から提案されたソレは爆豪に不可能ではないと判断させた。
強化合宿が中断されてからは手首までを熱湯に突っ込んだりして汗腺のニトロを広げるイメージはしていたが、本当に範囲が拡張されている事を悟って大喜び。珍しく年相応の喜色を滲ませて笑った。
「まずは腕全部だ……!!すぐに全身どこでも【爆破】出来るようになってやらァ!!」
「マッタク……二ツ目ノ必殺技ヲ作ッタバカリダトイウノニ、ストイックダナ」
回転の威力を乗せた超高火力の【
既にノルマであった二つの必殺技を開発していながら個性伸ばしを並行して行っていた事実に冷や汗すら覚える。
「やあ」
「……オールマイトさん」
「私が来た!!ってね。順調かい?」
いつもと変わらぬ表の顔、マッスルフォームでTDLにお邪魔するのは引退の意思表明をした話題のNo.1ヒーロー、オールマイト。
本来ならUSJや神野区での無茶が祟って残り火が消えるはずだった『平和の象徴』は今も尚健在。現在一日の活動時間は二時間半も残っていたりする。バタフライエフェクトがデカすぎる。
爆豪の【徹甲弾】で生まれた瓦礫などノールックで粉砕。ゴリラがゴリラのままなので緑谷が助けに来ないじゃないか。
片手間にしれっとやばい事をしたオールマイトの目が止まるのは己の後継者。そこには飯田と間飛と相談しているらしい姿があった。
「ふむ……ちょっと様子を見てもいいかな?」
「邪魔をせずにやり過ぎなければいいですよ」
「刺々しい!」
お前ならやらかしかねないんだよ、という視線をチクチクされながらオールマイトは彼らの傍に行ってみた。すると。
「違うって。ここから回して……全部の勢いを片足に乗せて……ッ!」
「えーっと……ここから回して……ッ!はあっ!!」
CRASH!!
「そうそうそう。これが【
「俺がやると逆回転になってしまうな……」
「……なんかエグい技開発してない?」
オールマイトぐらいのサイズのコンクリの塊が回転を乗せた蹴りによって真っ二つに砕かれた。何かちゃんと必殺技してるし強いし、飯田は飯田でアレンジしてモノにしてるし。怖っわ。
こちらに気づくことなく試行錯誤をしているけれど二、三回やった後には「マンチェスター・スマッシュ!!」と技名をオールマイトっぽく変えて使いこなし始めた。成長が早くて何よりです。
そういや私って足はあんまり使わなかったっけな……とオールマイトも少し試してみようかとも思ったが、どこかで聞いた『足の力は腕の三倍以上ある』という話を思い出してやめた。デトロイトスマッシュの三倍とかTDLが壊れるのでやめてください。
どうやら心配は無用だったらしいと気づかれる前にオールマイトはそそくさと退散した。
「そう言えば間飛くんは何か出来たの?必殺技」
「出来たぞー。見てみるか?」
「む!間飛君の必殺技か……気になるな」
近くにNo.1ヒーローが来ていたなどと気づいていない緑谷と飯田は、実は気づいていたけどスルーしていた間飛に対して気になっていた事を尋ねた。
圧縮訓練初日に編み出した技……高速移動の最中にワープして慣性が上乗せされた追尾機能付き攻撃とは別に二つ、間飛は必殺技を開発していた。
そう言われると飯田も緑谷も気になってくる。見せてやろうかという問いにノータイムで頷いた。
「んじゃ……そこのセメントバッグから離れとけ」
「うん」
「一体どんな必殺技なんだろうか……」
緑谷達をターゲットから距離を取らせると、間飛はその場でグルグルと回り始めた。それこそ先程の【粗砕】とは違うものの、その場での回転が加速していき───
「どッッッせいッ!!」
「うひゃあ!?」
「うおっ……!!なんて威力だ!」
──瞬間、ターゲットとの距離をゼロにすると同時に回し蹴りが炸裂した。
蹴り抜かれた鈍色の塊は土台の僅かな部分を残して砕け散り、TDLに響いた音が威力の高さを物語っている。
「……っと、まあアレだ。予備動作が大きくても俺ならいつでも当てられるってんで出来た技だ」
「おおお……!!」
「そうか……!!間飛くんの個性だと射程に縛られないから読まれやすくても問題ないんだ!それどころかどこから攻撃してくるのかも分からないし分かってたとして防ぎきれない威力にしておけばいいのか。いやそれならいっそ手錠なんかを持ってワープすれば最短でなんとか……でも重量制限に引っかかる可能性も……」
「久しぶりに見た気がすんなソレ」
驚く者、感心する者、ライバル視する者……間飛の一撃を見た生徒達の反応は様々だ。
相澤とエクトプラズム、オールマイトの教師三人は過剰火力に少々眉をひそめてはいるが、威力さえ抑えれば使い勝手のいい技であることは確かだと評価している。
個性の使い方は持ち主次第とはいえ、やはりこの超パワーは性能として一歩抜きん出ているだろう。
「そこまでだA組!!」
「……まだ10分弱はあるぞブラド」
「今日は午後から我々が
「聞けよ」
……とはいえ今日はもう終わりらしい。
突然体育館γに響き渡ったブラドキングの声が終わりが近いことをお知らせした。
間飛「【黒影】って6V個体?」
常闇「何の話だ」
口田「性格は『やんちゃ』だよね」
常闇「何の話だ」
上鳴「俺ならASブッパかな」
常闇「だから何の話だ」