え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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破壊力は正義である

 

 

 

 

 仮免試験開始と同時。何名かの雄英の集団に目掛けて集中砲火が行われた。

 何らかの個性を使ったであろうボールから当てずっぽうのお祈りボールまで。如何にもお前らが狙いですと言わんばかりの数を投げ込まれる。

 

 

「はああっ!!」

「このっ!!」

『鈍イ鈍イ!!』

「おりゃあっ!」

 

「ほぼ弾くかァ……」

「こんなものでは雄英の人はやられないな」

 

 

 しかしA組、これを一蹴。

 蹴りが、影が、酸が。飛来するボールのほぼ全てを弾き飛ばす。触れなかったボールはターゲットにも当たることはなく、開幕の集中砲火を無傷で対応して見せた。

 

 

 ───【雄英潰し】

 

 例年試験の形式や人間は変わろうとも、この仮免試験において慣習とも呼べる行動だ。

 

 先着合格というシステム上同校での潰し合いより、手の内を知った仲でチームアップすべきというのは大前提。

 問題となるのは年に一度の雄英体育祭(・・・・・)だ。ほとんど学校単位での対抗戦に近い戦いの中、大々的に開かれる一大イベントは『相手の個性が分からない』というアドバンテージを失わせている。

 

 個性だけではない。戦闘や思考の癖であったり、場合によっては弱点や強みすらも分析される。

 ヒーロー科トップの学校という肩書きも相まって出る杭を打ちに来るのだ。

 

 

 それは単独行動を試みた者も同じことだ。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 高層ビルが建ち並ぶオフィス街を模したエリア。

 ここでも数多くの受験生達が戦乱に身を投じており、我先にと先着百名の中に名を連ねんと個性やボールが飛び交っているのだが。

 

 彼らの必死さを尻目に高いビルの屋上で駆け抜けながらしのぎを削る二人がいた。

 

 

「やべえ!!アンタダントツで熱いッスね!!」

「そういうアンタは随分と涼しくしてくれるじゃねえか!!」

 

「何……アレ……?」

「大怪獣バトルじゃん!?」

 

 全身から暴風を放つ夜嵐イナサ。全身が武器である間飛移。

 

 二、三年生達を差し置いてこの場で誰よりも実力を見せつけているのは二人の一年生。大砲のような音が平気で連続し、なんでもない様な顔をして特大火力をぶつけ合っている。

 

 コスチュームの各部にある噴出口から暴れる【旋風】が誰かのボールを巻き上げ、指ひとつ触れることなく膨大な威力で射出される。

 間飛の腹部に縦に並べられた三つのターゲット目掛けての攻撃。対する間飛の行動は単純。

 

「返すぜ」

「──あ痛ァ!?」

 

 デコピンによる風圧での反射。風による射出を風圧で跳ね返す……負けず嫌いな一撃。こちらもイナサの体に当たりはしたものの、ターゲットは依然無傷だ。

 

 

 ──その気になれば、いつでも仕留められる。

 

 確かに夜嵐イナサの【旋風】は強力な個性だ。しかしこのルールでは間飛に軍配が上がる。

 

 理由など考えるまでもなく【瞬間移動】が原因。イナサのターゲットはバラけて配置されているが間飛なら位置を把握出来ている。ワープして当ててを三回するだけで間飛の勝ちだ。

 

(だけど……その上で相澤先生が強い(・・)と評した男の実力を見てみたい)

 

 それをしない理由はただ一つ。あの相澤をして強いと言わしめた夜嵐イナサの実力を見てみたいという我儘。

 これを爆豪あたりにでもやれば「舐めプしてんじゃねえぞクソモブが!!」と怒鳴られてしまいそうだが、別段舐めている訳では無い。

 

 推薦入試トップ……それは轟をも凌駕する実力を有しているということ。

 

 夜嵐イナサと轟焦凍の差。それが気になった間飛は予定になかったイナサとの遭遇に、交戦するという選択をした。

 

 

(やっべぇ……!この人滅茶苦茶強い!!)

 

 片やイナサ。

 とある事情から轟焦凍を毛嫌いしているけれど、それ以外の雄英生には敬意を払っている為胸を借りるつもりで戦いを挑んだ。

 

 辞退こそしたが雄英の推薦入試トップという実績故に多少の傲慢さがあったことは否定できない。

 しかしそれを差し引いてもまさかこんなレベルの高い受験生がいたとは知らなかった。大抵の事を力押しで解決して来たが為に、それらを尚真っ向から潰せる間飛に目を丸くして驚いている。

 

(どういう個性なんだ!?ワープと超パワーが両立する個性……俺じゃ分かんねえ!!)*1

 

 眼下で飛び交っているボールを風で巻き上げては射出を繰り返しているけれど、一向に当たる気配がない。数を増やしたり威力を上げたりしても悠々と躱されてしまう。

 

 久しく見ない己を真正面から叩き潰せる好敵手。どこか自惚れのあった自分を恥じてイナサは更に風を加速させる。

 

「……なあ、イナサっつったか?」

「?ハイ!俺、夜嵐イナサです!」

「おう。俺は間飛移な。提案があるんだが……」

「何スか?」

 

 そこに間飛は待ったをかけた。風は未だにうねりボールを巻き上げているのだが、射出させること無く待機させている。

 唐突な自己紹介合戦にツッコミを入れる者はおらず、風の音が強いビルの屋上で間飛は言葉を続けた。

 

 

「下のやつら、どっちが多く倒せるか競わねえ?さっきからちょいちょい狙われて腹たってきた」*2

「……いいっすね!!」*3

 

 おいバカやめろ。死人が出るだろうが。

 とは言っても止める者……否、止められる者などいるはずもなく。数秒後に轟音と無数の悲鳴が響いた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 轟もまた単独行動中。

 炎と氷……左右の同時発動における制御能力に課題が残るからこそ、同じ雄英の仲間達を巻き込み兼ねないと判断していた。

 

 しかし彼の仲間への気遣いなど周りの受験生は知ったこっちゃない。おめおめと単独行動という愚行を犯した雄英生を叩こうとそれなりの人数に囲まれている。

 

「氷来るぞ!気をつけろォ!」

「あまりかたまるな!!一発で凍らされる!」

「しつけぇ……!」

 

 轟のターゲットは左胸、右腕、左脇腹につけられており、執拗にそれを狙う受験生のボールをたった一人で迎撃していた。

 

 大きな爪のような手とクワガタのような角を生やした男、背中に飛行機の羽根のようなものを付けた女、パイナップルの如き頭にサボテンを思わせる棘の男……詳細不明の個性達を右の氷で防ぎ、左の炎で跳ね除ける。

 

 工業地帯をモデルとしたエリアのど真ん中まで辿り着くと、轟は立ち止まって彼らに向き直った。

 

「止まった……?」

「今のうちだろ!叩け叩け!」

「悪ぃなお前ら……」

 

 それを好機と見た受験生達が殺到する。積極的でなかった者達も横からかっ攫おうと前に出てき始めた。

 

 

「お前らで試させてもらう……っ!!」

「お、おい……!?なんかヤバくね!?」

 

 

 故に、格好の餌となるのだ。

 

 

 右の氷と左の炎。溢れんばかりのエネルギーが迸る両手を合わせ、僅かに空いた隙間の中で混じり合う。

 膨大な熱気と絶対的な冷気。無理やりに混ぜ合わされたそれはほんの少しの衝撃で暴発しかねない爆弾に他ならず。

 

 掌底をくっ付けて指を開き、受験生達へと手のひらを向け───

 

 

極大氷炎砲撃(メドローア)ッッ!!!」

 

 BooooooM!!!!

 

 

「「「うわあああああああッッッ!!?」」」

 

 ───解き放たれたエネルギーが全てを吹き飛ばした。

 

 一直線。真正面から受けた者がいなかったにも関わらず、轟を獲物と認識した哀れな挑戦者達を纏めてノックアウト。

 

 無理やりに混ぜ合わされた熱気と冷気を意図的に炸裂させることで、現在間飛と戦りあっているイナサをも凌駕する大砲の如き風圧を放つ。

 単品ではなく掛け合わせて使えないかという試行錯誤の果てに編み出された必殺技だ。

 

 その効果は絶大。少なくとも今、彼の前で再び立ち向かおうと考える者は現れなかった。

 

「ふう……まだ無駄が多いな」

 

 汗を拭いながら作業のように近くの受験生のターゲットを発光させていく。そして六つ目のターゲットを発光させた。

 

 

 

 アナウンスが告げた合格者、3名。脱落者、242名。

 夜嵐イナサ、間飛移、轟焦凍……一次試験を突破。

 

 

*1
それはそう

*2
下の方々「「「ヘアッ!?」」」

*3
下の方々「「「ヤメロー!死にたくなーい!」」」





イナサ→原作通りに吹っ飛ばした。
間飛→回収したボールを無作為に投擲。乱反射しまくった。
倒した人数は120人ずつなので互角。

受験生A「……上は隕石、横からマシンガン。なーんだ」
受験生B「今年の仮免試験……ふざけんなちくしょう」
受験生A「真面目にやってコレだったんだが?」
受験生B「わァ……ァ……!」

間飛「いぇーい」
イナサ「いぇーい!!」
轟「……っし!」ガッツポ
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