え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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結果発表ォォ───ッッ!!

 

 

 

 試験で出た怪我人も手当を終え、緊張や疲労が睡魔に成り代わりつつある頃。集計が終わりいよいよ合否発表の時間が来た。

 もどかしくソワソワとしてしまう待機時間を経て、登壇する目良を全員が強ばった顔で見つめている。

 

『皆さん長いことお疲れ様でした。これより発表を行いますが……その前に一言』

 

 結果発表……の、前に。目良が語ったのは採点方式についてだ。

 

 ヒーロー公安委員会とHUCによる二重の減点方式での採点。被災現場やヴィランの襲撃に対してどれだけ間違いのない行動を取れたのかを審査していた。

 自分の役割を見極め、遂行。要救助者への対応力を見られていた。

 

 そしてモニターに合格者が五十音順で映し出される。

 

「けっこう受かってるな!!」

「あ!私あったァ!やった!!」

「神は死んだ……」

「ッシャァ!!」

「……アレェ?俺の名前どこぉ……?」

「今日は回らない寿司屋だ……!!」

 

 各々名前を探し、喜びの声を上げる者と現実逃避をする者……何か既にご褒美の事で頭がいっぱいになっている者と反応は様々。

 

 では雄英A組達はどうだろうか。

 

「み、み……み……!!あったぁ!!」

「峰田実!あったぜ!」

「あったァ……」

「あるぞ!!」

「よし……」

「コエー……」

「麗日ァ!!」

「フッ……」

「よかった……」

「……メルスィ」

「あったぜ!!」

「あった!口田甲司!」

「わー!」

「点滴穿石ですわ」

「ケロッ」

「やったー!」

「っしェーい!!」

「あった……!!」

「ッシャァ!!」

「……あった」

「キター!!」

 

 

 雄英高校一年A組……全員合格。

 

 態度から危ういかと思われた爆豪や戦闘が占める比率が大きかった間飛も問題なく合格。例年より早期の受験にして全員合格という前代未聞の成果を上げた。

 

 

 結果発表に続いて採点内容が記載されたプリントが配布された。

 ボーダーラインは50点。減点方式での採点でどの行動が何点引かれたのか等、下記にズラリと並べられている。

 

 係員から名前を呼ばれて次々と受け取っていき、学生らしく点数の見せ合いっことなる。

 

「64点……ギリギリだなあ」

「俺87!!凄くね!?地味に優秀なんだわ俺って!」

「待ってヤオモモ97点!?ほぼ満点じゃん!」*1

 

 爆豪が62点、轟が88点……間飛99点。

 

 まさかの八百万すらも超えるほぼ満点の同級生ににわかに騒がしくなる。

 

「逆に何引かれたんだよソレ!?」

「なになに……?『都市部エリアを壊し過ぎ』……無理じゃね?」

「……ミルコ相手にそれだけって、やべえなお前」

「細心の注意を払ってたからな。下手に巻き込むとシャレにならん……」

 

 実の所、間飛は探知能力による指示出しをメインに救助に参加しており、的確な位置の割り出し以上の事はしていない為にHUCからの減点がゼロだっただけである。

 もし間飛自身が救助に動いていたのなら何かしらの減点を受けたのだろうが、自身の能力を共有して指示出しに徹するというある意味では満点の動きをしていたのも大きい。

 

 そしてミルコ戦。こちらも緑谷と同じく時間稼ぎを優先しており、自ら積極的に攻撃に回らなかったものの被害を最小限に抑えるという役目を果たしている。

 建物の破壊による減点はほぼミルコと爆豪の巻き添え。減点項目としては最小限のマイナス一点……これまた類を見ない記録だ。

 

「轟ー!あったか!?」

「ああ、あったぞ」

「俺もあった!!やったな!!」

 

 士傑高校では夜嵐を筆頭にほとんどが合格。一次試験で落ちた肉倉からはそっと目を逸らしてあげよう。色々といたたまれない顔をしておられる。

 

 夜嵐の点数は72点。所々で雑な部分が見られたらしく、細々とした面での減点が多かった。主に救助での減点ばかりなので課題はハッキリしているだろう。

 

 

 プリントの配布が終わると目良の話が再開される。

 

 合格した者は緊急時のみ、という制限があるがヒーローと同等の権利を行使できる立場となる。ヴィランとの戦闘や事件事故からの救助等……ヒーローの指示無しでは出来なかった事を自分の判断で出来るようになる。

 

 その分行動には責任が伴う。権利に責任が付き纏うのは世の常だ。

 

 オールマイトという偉大なヒーローの引退宣言。今すぐでなくとも、犯罪の抑制になるほどの存在が第一線を退くというのは余りにも影響が大きい。

 たった一人の引退で何を、とはならない。犯罪率を比較した時、日本が6%なのに対して海外では20%超が当たり前。これがオールマイトの威光によるものとも言われているのだ。

 

 オールマイトの出現の前と後で時代が区切られる程のヒーローの引退。それは今まで抑圧されていたヴィラン未満の者達のブレーキを消し去り、均衡が崩れてしまうのは目に見えている。

 

『次は皆さんがヒーローとして、規範となり抑制出来るような存在とならねばなりません』

 

「次代の英雄……か」

 

 ポツリと間飛は零す。神野区での戦いを経験して思うところがあるのだろうか、彼にしては本当に……単発ガチャでピックアップを一本釣りするレベルで珍しく真面目な顔をしていた。*2

 

 緑谷に視線をやれば、彼もまた何かを決意したような強い眼差しでそう遠くない未来を見据えている。

 同じ誰かの力を継ぐ者としてシンパシーを感じたのか、パチリと視線がかち合い、頷きあった。

 

 まだまだ未熟、半人前……それでもまた一歩、ヒーローへと近づいた。

 

 

 

 

 

「後で表出ろお前ら」

 

 

「デクの個性についての話だ」

 

 ……そして、目を逸らしてはならない時が来る。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 神野区の戦いから半月程が経過した。

 

 静かに開けた窓から外を眺めれば何の憂いも無いような顔で歩いている人々ばかり。誰も彼もが満ち足りた顔で日常に勤めている。

 

 ひとたびネットやテレビに目を向ければネガティブな話を垂れ流しており、その癖何一つ建設的な意見を述べることはなくダラダラと僕は、私は、と芸能人やタレントが訳知り顔で宣う。博識だよな。

 

 エンデヴァー。オールマイトの引退宣言で繰り上げのNo.1になると言われているヒーロー。

 俺みたいなはみ出し者にゃ理解できない話だが、自分の存在一つで時代を区切れるような奴と比較されるなんて可哀想だよな。

 

『エンデヴァーも別にダメってワケじゃないと思うんですけどぉ……どうしてもオールマイトと比べちゃいますよね』

 

 カメラを向けられた何の変哲もないサラリーマンでさえこのザマだ。そもそも守られる側でよくもまあそこまで偉そうに語れるよな。

 俺らは守られるどころか俺らから市民を守る、って立ち位置だが……そんな身から言わせて貰えりゃ随分と贅沢な事を言ってくれるじゃねえかという話だ。

 

 角を生やしたキャスターの解説をリモコンひとつで打ち切って黙らせる。いい事を言っているとは思うが、俺にもやらなきゃならねえ事の一つや二つくらいある。暇だ。

 

 黒い上着に袖を通し、街へと繰り出す。頭の中で時折響く声を無視しながら。

 

 

 小さなコンビニのガラスを突き破り、中から出てきたのは異形系の男。奴の手にはカウンターごとむしり取られたレジが抱えられており、悪いことをしている事に興奮しているのか笑いながら走って行く。

 

 名前も知らねえゴロツキが顔も見たことないヒーローを退け、ドヤ顔でチーム名を宣言して逃げていく。レザボアドッグス……如何にも小物、って感じだなありゃ。

 

 赤信号じゃねえが大勢でいれば多少の悪事へのハードルも下がるんだろう。徒党を組み計画的に行動する奴らが目立ち始めてきた。

 

「……何だよ義爛、元気でやってるか?」

『久しぶりだな!そっちこそどうなんだ?』

「さあな。少なくとも弱ってはねえが」

 

 不意に鳴るスマホに出てみれば、電話の主は闇の仲介人の義爛。俺も随分と世話になっている。

 

 義爛は元気どころか忙し過ぎて嬉しい悲鳴を上げてるらしい。ここ最近でスーツやアイテムの闇市場が一気に活性化して需要が倍増しているとか。羨ましいね。

 

『ヴィラン連合……ああいや、自由連合(・・・・)だったか?今じゃ馬鹿共のカリスマだぜ』

「そりゃ良かった良くねえ!……チッ、喧しくなってきたな。何の用だ?俺も忙しいんだ」

『ん……荼毘と連絡がつかないんだが、お前知らないか?』

 

 荼毘か……アイツは連合の中でもボスに次いで狂気的な奴だからな。どこかで自分の中の基準に満たないチンピラ崩れでも焼き殺し回っているんだろう。

 

 生憎こちらも荼毘の情報は無い。そろそろ発作(・・)も起こりそうなので電話を切らせてもらった。

 

 ヴィラン連合改め『自由連合』は今、捜査の目を眩ます為にも各地に分散している。ついでに俺達と一緒にやっていける同志を集めるという目的もある。

 

「…………間飛(アイツ)どうしてっかなあ」

 

 いつものマスクを被りながら思い出すのは、加害者の俺達と仲良くなってしまったいつかの被害者。いっそ不気味なくらいに普通に接してくれた少年。

 ヒーローとヴィランという立場から肩を並べる日はもう二度と来ないだろうが、俺達の中ではアイツも立派な仲間の一人だ。たった数日で絆されちまったなあ……。

 

 イカレちまった人間に居場所はねえし、ヒーローが救けるのはいつだって善良な人間だけなのにだ。アイツは俺達と対等な目で話してくれた。ヒーロー志望なのにだぜ?何て良い奴だよ。

 

 今の俺が探してるのは同じようにイカレちまった……居場所を求めて彷徨う同胞。そういう奴らの居場所になって、そういう奴らを生み出さないような社会を作るってのが俺の……俺達の目的。

 

 ちょいと荼毘は怪しいが……まあ、根っこのところには同じ意思があると思いたい。

 

 特大の爆発の音におびき寄せられるように向かってみれば、煙と炎が立ち上る現場に辿り着いた。建物の角から顔だけを出して見てみると……。

 

 

「大の大人が何人も揃って……小さなコンビニのレジを盗むだけ?」

 

 腕だけが異様に肥大している男、黒いマントとシルクハットにペストマスクを合わせた男……手ぶらでファーの付いた上着に同じくペストマスクを着用している男。

 

「変だと思う……普通、これだけ集まればもう少し大きな目的を持つと思う……」

 

「病気だよお前ら。病気は治さなきゃあ……な」

 

 『オーバーホール』と呼ばれた男は吐き捨てるように言った。

 

 ……しかし、だ。どうやらイカレ野郎共は自分達で居場所を作り始めたらしい。

 

「よぉし……どうしよっ……っかな!?」

 

 志村に伝えとくか。なんかヤバそうな奴ら見つけたぞって。

 

 

*1
ヤオモモ「それほどでもありませんわ!!」プリプリ

*2
確率にして0.8%程度。そんなに高いわけあるか(ブチ切れ)





ミルコ「よう!受かってたか?」
間飛「99点でバッチリ合格でした」
ミルコ「やるじゃねえか!……てか何のマイナス1だ?」
間飛「……周りを壊し過ぎ、とか」
ミルコ「あー……うん、そうだな」
ミルコ(ちょっと前にデビューしたマウントレディ?とかも散々やらかしてるとか言われてたっけか……?)

Mt.レディ「何か噂されている気が……!!」

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