ま た せ た な
昨今の個性社会では通勤通学中にヴィラン事件に遭遇することも珍しくな……え?何?この下り前にもやっただろって?でもプロローグ的なの必要だと思うんですが……いらない?アッハイ。
「おはザー……?」
「間飛くん!君は……無事だったんだね!」*1
「クソ、アイツ思ってたよりもずっと速かった。お前よくアレ倒せたな」*2
「……気の所為でなければ俺より速かったな」*3
「来るとこ間違えました」
「間違ってないから!話聞いて!?」
【朗報】TS第2弾入りました。
◇
かつて間飛を目隠れおカッパボンキュッボンの美少女に変えた変態ヴィランの脱獄&雄英高校襲撃という大事件。それはA組の皆にも被害が起こっていた。
「……それ、色々といいんです?治安とか世論とか」
「ギャグだからな。仕方ない」*4
「じゃあしょうがないか……いやしょうがない、のか……?」
やや目つきの悪い気怠げ美女……相澤は諦めたように呟いた。大変ですね。
自らの性癖の為だけにタルタロスから逃げ出し、ついでにそこら辺のヴィランを片手間にぶちのめしながら雄英高校に突貫。それも『拙者を捕まえたあの子に罵って欲しいでござるうううう!!』という理由で。救いようが無さすぎる。
しかし実力だけは本物で、ゲリラ戦じみた戦い方で奇襲と逃走を繰り返して教師陣と生徒達のほとんどが女の子に。事件自体は世間にバレていないものの、今ここに部外者が立ち入れば『いつから雄英は女子校に?』と疑問を持つだろう。
「というかお前、よくアレを倒せたな?オールマイトさんが来るまで暴れ回ってたぞ」
「No.1投入でようやくってマジか……てか、俺ン時は目の前で惚けてたんで余裕でしたが」
「何?」
「俺を【反転】させたかと思ったら目の前で固まってたんスよ。なんだったんでしょうね?」
それ、お前がヤツの好みどストライクだったのでは……と思ったけれど、相澤はそれを口にしなかった。だって可愛そうだし。
何はともあれこの状況では訓練どころでは無い。変態クソヴィランの個性が解除されるまでは座学のみとし、午前中で下校するようにと通達された。
ちなみに正確な被害状況を話すと、ヒーロー科、サポート科が全学年女子にされている。普通科と経営科は真っ先に逃がして貰えたのでノーダメージです。下手に戦闘力があったせいで巻き込まれた学科はご愁傷さまである。
その頃教室では。
「……物の見事に女子になっとる」
「ケロ、間飛ちゃんも一度されてたわね」
「お、思ってたより感覚が違う……間飛くんは平然としてたのに」
「うむ。なんと言うか、重心や筋力が違うせいで支障が出るな」
紅一点ならぬ黒一点になった間飛以外の生徒達でザワザワと困惑を隠せないでいた。そりゃあそうもなる。
峰田がカートゥーン調のキャラみたいになっていると思えば、一部の方々に需要がありそうなムチムチとした身体になっている砂藤や口田。姉御!と呼びたくなる目つきの悪い強気美少女な爆豪や、実は一番モテるのコイツだよ的な顔になった瀬呂など……無駄にレパートリーが豊富である。
その誰もが【反転】させられた肉体に不慣れな為フラフラとしており、そこかしこでズッコケたりつまづいたりしているのだ。あ、峰田がロッカーに頭突っ込んでら。
そこに話を聞いた間飛も戻って来て雑談に加わり始める。
「はー……俺がトイレに行ってる間にそんな事にねえ」
「実質お前のハーレムじゃね?これ」
「嬉しくねえー……轟は何してんだ」
「いや……これ本当に重てえなって」
「だからって無言で自分の乳を揉みしだくな。反応に困るわ」
そう、ギャルギャルしい上鳴が言った通り、現状ヒーロー科とサポート科を含めて男子は間飛1人だ。各学年2クラス、各クラスを20人ずつとするとおおよそ1:240だ。男女比イカれてんな。*5
どこのマンガだよ、みたいな男女比だが実は結構まずかったりする。
「でもコレヤバくね?今学校にいるのって『最初から女子』と『今回の件で女子になった男子』の2パターンあるんだろ?」
「何かヤベエか?」
「いや風呂とかトイレとかどうすりゃいいんだよ。『今回の件で女子になった男子』の横でトイレやら風呂やら使えと?」
「あー……そう言われると確かに」
前回*6の時は手元が狂ったとかで羞恥心まで【反転】しておかしくなってしまっていたが、今回はそんな事はない。全員しっかりきっちり女子としての羞恥心が生まれるように【反転】させられている。無駄に丁寧な仕事である。
男子同士だし!と乳尻太ももをさらけ出せば普通に悲鳴が上がるし、さらけ出した本人も顔を真っ赤にすること間違い無しだ。
無駄に応用が聞いているだけに尚更惜しい人材だと思われるのだが、それはもう仕方ない。今日はもうこの状態で何事もなく一日を終えることに尽力するしかない。
「ハァ……今日もやってくぞー」
「……プレマイ先生か!」
「おお……俺のセクスィーなヴォイスがキュートなヴォイスになっちまったんだ……」
「凹んでる理由それ!?」
なのでテンションだだ下がりのパツキンのパイオツカイデーなチャンネーが来ても動揺してはならない。そっとしておいて上げるのが正しい。
◇
「…………?」
「……何だよ」
「………………ああ、心操か!」
「分かってなかったのかよ」
「鏡見ろ」
昼飯を食うかあ、と飯を受け取って座ると当たり前のように対面に座った見慣れない女子。こんな知り合いいたっけ?と思ったが心操か。何かいい感じにダウナージト目美少女になってんな。
何で分からねえんだよという顔をしているが分かるわけねえだろ。暗めのイケメンからそうはならんやろ。*7
「……というか、俺としては隣の人が気になるんだが。誰です?」
「むぐ……僕?」
「去年の体育祭で似たような人を見た記憶はありますが……性別が変わってるなら違う人だと思うんで」
「僕は氷叢零治。3年生だよ」
「俺、心操人使です。よろしくお願いします」
そういや初対面か?多分2人とも仲良くなれるとは想うし、いい機会かもな。
「先輩も被害に?」
「実は、ね……」
「はあ!?嘘だろ!?」
「……いやいや。滅茶苦茶女子になってんじゃん?何がウソなんだよ」
「だって見た目ほとんど変わってねえし」
「…………は?いや……は?え?」
ほら写真見てみ?変わって無いだろ?他の人みたいにおっぱいズドーンとかになってりゃまだ納得できるんだが、見た目がほとんど変わってないお陰で信じられねえんだわ。
でも本人は頑なに被害を受けたと……まさか零の奴、アレが消えただけとか言うんじゃねえだろうな?
「……そうだよ」
「え?」
「そうだよちくしょう!強いて言うなら目の丸みとかお尻が大きくなったくらいしか変化しなかったよ!!」
「ええ……」
「ふふふ……あのヴィラン、言うに事欠いて『アレ?素材の良さが活かされてらっしゃる!?』とか言いやがって……」
零曰く、あの変態ヴィランに出会ったと同時に個性を受けた。が、ほとんど見た目が変わらず互いに困惑。そしてヴィランが出した結論が『元々女の子みたいな顔してるからか?』というもの。そりゃ地雷だわ。
ちなみに一応変化はしている。男子の時にはなかった微かな胸の膨らみや尻肉の厚みやらが増しているし、顔つきもほんのり可愛らしさに振られている。うーん、眼福美少女。
あ、背も低くなってんなこれ。
「え、ウソ」
「170くらいあったのが160になってら」*8
「俺もか?」
「お前は……177だっけか?今は168だな」
「くうっ……10cmも縮んだのか僕は……!」
いやあ、でもこの身長差は懐かしい。俺が中1で零が中3の頃もこんな感じだったよな。20〜30cmくらい身長差ついてた記憶があるぞ。そう考えると高校で伸びたんだな。
この身長差なら……おっ、やっぱ丁度いい。
何となくで両脇に手を入れてヒョイと持ち上げ、膝の上に乗せるとすっぽり包み込むような形になる。前一緒にゲームしたりするとこんな風にしてる時もあったなあ……。
「昔からの付き合いなんだな」
「何だかんだ幼稚園くらいからの付き合いだよ。な?……?おい、どうした?」
「…………ピエ」
「いきなりやったから驚いたか?」
「にゃう!?み、耳元で喋るのやめて……!」
「?」
どうしたんだコイツ。固まったり飛び跳ねたり落ち着きがないな。そりゃそうか。今の零は女体化させられてんだもんな。悪かった。
しかしこのサイズ差だとちょっかいが出しやすくていい。頭ワシャワシャしたり頬つついたり出来るから適度に手を出してしまう。あ、ほっぺた柔らかっ。
「……俺、戻るわ。ご馳走様でした」
「そうか?もうちょい落ち着いてから戻っても大丈夫だとは思うが」
「いや、何か変な扉開きそうだからやめとく」*9
「はあ?」
「う、移ゥ……?さっきから何ィ……?」
変な扉って……なんのこっちゃ?零をひたすらムニムニワシャワシャしてただけなんだが。食いにくい?それはすまん。手ぇ止めるわ。
……そんでさっきから視線を感じるんだがこれは何なんだろうか。
「あの人は何者なんでしょうか……」
「ん」*10
「やけに仲がいいみたいですね。膝の上に乗せてちょっかい出してますよ」
「ん」*11
「……それはどっちが、です?」
「ん?」*12
「あっはい」
間飛(コイツの髪質撫で心地いいんだよな)
氷叢「…………ピエ///」
間飛(相変わらず頬はモチモチプニプニして)
氷叢「………………アノ///」
間飛(なんと言うか……庇護欲?)←軽めに抱擁
氷叢「…………キュウ///」←オーバーヒート
←to be continued……