いつの間にかお気に入り登録が一万件を突破してました。
何で尽く節目の数字に気づけないんだろうね……?
皆さんいつもありがとうございます!
これからも本作をよろしくお願いします!
緑谷がインターンに参加するのに必死になっている一方で、我らが頭のいい馬鹿筆頭の間飛はあっけらかんとしていた。
「間飛お前どこ行くんだ?」
「お、轟。どした?興味あるか?」
「いや親父が一応誘ってこいって……俺はやめた方がいいと思うが」
「なーる?まあもう行先決めちゃってんだけども」
こうしてNo.2、というかオールマイトが引退宣言を出しているので実質No.1となったエンデヴァーのお誘いを蹴るくらいには余裕があった。
そんな彼のインターン先は当然ミルコ──
「ミルコか」
「いやリューキュウ」*1
違ったわ。修羅場の匂いしかしないけど大丈夫かそれ。
何でも氷叢がインターンでお世話になっており紹介出来るからという事でダメ元で頼んでみた所、あっさりと許可が出た。
では何故ミルコでは無いのかと言うと今回の条件に引っかかってしまったのだ。職場体験で自宅に連れ込んだからね仕方ないね。*2
それに間飛はリューキュウの大ファン。憧れのヒーローの下でインターンをしたいと思うのは当たり前の思考だろう。
「じゃあ親父の誘いは断っておく」
「おう、すいませんって言っといてくれ」
「……おい」
「?爆豪か。どうした」
「だったら、俺を参加させろ」
では、空いた席を寄越せと間飛と入れ替わるように爆豪がエントリー。轟、これを深く考えずに了承。
後日エンデヴァーから盛大に「友人は選べ焦凍おおおお!!」と嘆かれたとか。
間飛はというとリューキュウの下でのインターンに心を躍らせていた。大ファンであるヒーローと会えることもそうだが、幼馴染である氷叢との共闘を楽しみにしている。
雄英高校に来てから心操や小大、発目と親しい友人も増えてきたけれど、彼にとってもっとも親しい友人……親友として挙げるならば氷叢の名を挙げる。何だかんだで先日の模擬戦もかなりテンションが上がっていたのだ。
そこへ爆豪を紹介する約束をした轟がふと、何かを思い出して間飛の方へ向き直る。
「……あ、間飛。聞きたいことがあるんだがいいか?」
「ん?何?」
「この前会ったビッグ4の人……氷叢零治って人なんだが、もしかしたら俺のお母さんの親戚かもしれねえんだ」
「……え、マジ?」
轟が尋ねたのはその幼馴染の氷叢について。名前を聞いた時からもしやと思っていたが、エンデヴァーにも確認したところ『氷叢』という苗字は轟の母親である轟冷の旧姓だったらしい。
それを聞いた間飛は露骨に顔を顰めた。幼馴染から聞いた“氷叢家のイザコザ”を知る身としては嫌な予感しかないからだ。
「……今度会ったら聞いてみるわ」
「わかった。ありがとな」
「ああ」
───氷叢の血は濃い。
元々は古くから存続する庄屋の一族であり、農地改革後も分家を増やすなどして財産とプライドを守り続けて来た。
零治曰く『頭の硬い馬鹿ばっかり。私腹を肥やすかふんぞり返るしか能がない人がほとんど』との事。
超常黎明期という変化についてこれず、急速に零落。血が混ざる事を嫌って遠縁の分家同士での結婚が相次いだことで、同じ一族の血が濃くなった結果個性も同じく因子として濃いものとなった。
最終的には縮小の一途を辿り、本家すらも身売りを始めたことで終焉。零治と冷はそのうちの一人だ。
「エンデヴァー……アンタ、
浮かれていた頭が冷える程、おぞましい可能性に行き着いた間飛は厳しい顔をしていた。
◇
雄英高校を出てから電車で1時間。オフィス街の一角に建つシンプルなビルこそがサー・ナイトアイの事務所だ。
ミリオの案内でここにたどり着いた緑谷は緊張から……ではなく、諸々の事情からカチコチとぎこちない動作となっていた。
それではいけないとミリオが活を入れてはくれるけれど、本人のメンタルによるものではない為ほとんど効果は見られない。だって胃痛とかそっち方面のアレだし。
「言いそびれてたけどサーはとても厳しいんだよね」
「あ、いえ……そっちもですがそうではなくてですね」
「?」
無論ヒーローオタクの緑谷とてサー・ナイトアイの情報は仕入れている。自他共に厳しいストイックな仕事が有名であり、人によってはモニター越しの視線にさえ背筋を伸ばしてしまうとか。
しかしそういう問題ではない。ミリオには知らされていない【ワン・フォー・オール】と【オール・フォー・ワン】を巡る因縁の中生まれてしまったすれ違い。それを自分の手で釈明するという事が怖くて怖くて仕方ない。
自分の未熟さなんて嫌という程理解してるし、間飛と比べればそりゃ間飛を継承者と勘違いされるのもわかるけれど。
「何で僕が説明しなきゃいけないんだ……!?」*3
「うーん……その辺は俺と無関係なんだよね。よく分からないけど、頑張れ!」
「ううっ……恨みますよオールマイト……」
それに加えてだ。ミリオから事前に聞かされた話ではサー・ナイトアイを一度笑わせなければならないとか。すいません目指してるのは
パッと見ではサラリーマンにしか見えないが、だからこそユーモアを最も尊重しているらしい。
言いたいことは分かる。皆を安心させるにはまず笑顔にさせる事が大事だというのはオールマイトに憧れた身として赤べこ*4をも上回るくらいに首を縦にブンブン振る。
でもそれはお笑い芸人の真似事をしろという話ではないのではないだろうか……?
「……俺が出来るのは紹介までで、君を使うかどうかはサーが決める。ここからは君一人でサーに認めてもらうしかない」
「ありがとうございます!……今更ですが、何故こんなに良くしていただけるんですか?」
「困ってる人がいたらお節介やいちゃうのはヒーローの基本だろ!……って言えたら良かったんだけどね。どうもサーはサーで君に会ってみたいって言ってたんだよね」
それはどういう……?と尋ねる前に、サー・ナイトアイのいる部屋の前まで来てしまった。
このドア一枚向こう側にいるヒーローに、己の価値を認めさせなければ────
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!やめてー!!許してくだヒャヒャヒャ!!」
「まったく……大きな声出るじゃないか」
「何事!!?」
「サイドキックのバブルガール……ユーモアが足りなかったようだね!」
───すいません来るとこ間違えました。
喉元まで来たその言葉を飲み込んだ自分を褒めてやりたいと緑谷は思った。
部屋に入ると同時に目に入ったのは拘束された女性。明るい水色の肌にローライズなピッチリとしたパンツとへそ出しを通り越して控えめな南半球*5まで丸出しな服装も相まって名状しがたい危うさしかない。
しかし全てを台無しにしているのが、猫じゃらしのようなもので擽られているせいで止まらない大笑い。いや別にそれはそれで需要があるのだろうが、緑谷とミリオには早過ぎる世界だ。普通に同情してるし困惑している。*6
「───」
「うっ……!?」
2人の入室に気づいたサーがギロリと鋭い眼光で緑谷を睨みつける。バブルガールの大笑いと妙な機械の駆動音をBGMに一瞬硬直。
(……っ、でも!強くなりたいんだ!自分のわがままでここまで導いてもらっておきながら、まだ甘える気か緑谷出久!?)
ここに来てようやく自覚した緊張や恐怖を飲み込み、緑谷は己の顔をいじり始め……。
「緑谷出久です!!」*7
「うわお!?」
己の画風を変えた。何故そうなる。
クワッ!と効果音がつきそうな勢いで作られたオールマイトフェイス。最早特殊メイクの領域に片足どころか肩まで浸かって30秒数えたのかな?というレベルの変顔。予想外の隠し球にミリオはたまげた。
では肝心のサーの反応は……
「オールマイトをバカにしているのか?」
愚地独p……じゃねえや、サー、キレた!!
ただでさえ迫力のある眼光をしていたサーの目つきが更に悪くなる。凄みを感じさせながら緑谷へと向かってコツコツと足音を鳴らし、早歩きで近づいていく。
何かまずいことになったら最悪庇おう、と思っていたミリオもこれには仰天。滅多に見ないブチ切れナイトアイを見て【Now Loading……】の輪っかがグルグル。再起動はよ。
2人の距離がゼロになり、ゆっくりと持ち上げた手を。
「オールマイトにこんなシワは無い!!」
「!?」
緑谷の顔を引っ張って文句を言った。あ、そこ?
サーは怒りのままに言葉を続ける。
「目元のシワは通常フェイスにて約0.6cm、シルバーエイジからは約0.8cm」
「ちょっ……待っ……!?」
「今時ノンライセンスグッズでも何時代のオールマイトか識別出来るように作られる。それを何だ?貴様の顔はノンライセンスグッズ以下か?」
……ここでサー・ナイトアイの事務所について少し語るとしよう。
一見彼の事務所は堅苦しいオフィスにしか見えない。が、その実オールマイト関連アイテムで満たされていたりする。
小難しい哲学書やビジネス書でも並んでいるのかと思えば、そのタイトルは『オールマイトの軌跡上・下』や『オールマイト写真集1th・2nd 』に『オールマイト流筋肉トレーニング』等等……全てがオールマイト関連の書籍である。
壁に飾られている普通のタペストリーかと思われたソレも、10周年記念で作られた非売品というオタク垂涎の一品だったり。
自他共にオールマイトオタクと認めている緑谷だからこそ、目の前のヒーローが重度のオールマイトファンであると見抜けた。
ならば彼が怒る理由も自ずと絞られてくる。
「……“ビネガースーサイド事件”知りませんか?」
「…………!」
「え?ビネ……何?」
背中を向けて出ていくように言うサーに対し、緑谷は返事をするでもなくとある事件の名前を出した。
ビネガースーサイド事件。水質を変えられる個性の中学生が川で溺れ、それをオールマイトが救助したという一件。
溺れた中学生はパニックからか個性が暴発。川の水をお酢へと変化させてしまい、そこに飛び込んだオールマイトはもちろん目をやられた。
「救出直後のインタビューで見せた目をすぼめた笑顔……!僕はそこをチョイスしたつもりだったんです!!」
「……もちろん知っている。私が組む以前の事件。テレビ番組で過去を振り返る企画でも少し触れていた」
「それですそれです!ヴィランもいないし他の活躍に比べて地味なんで、ファンサイトでも滅多に挙がらないんですけど僕、好きでして……!」
「ミリオくん……あの子……何?」
「後輩ですよね」
何か笑わせるよりハードル高いことしてない?ミリオはバブルガールを介抱しつつ、そんな感想をそっと胸の奥にしまい込んだ。
──【くすぐり】って、どう思います?
峰田「やられてる人による。基本エロいとは思う」
上鳴「くすぐり……?よくわかんね」
間飛「笑い過ぎて呼吸が出来ずに苦しくなって涙まで出てるのにやめてもらえず、笑顔のまま泣きながら『やめて!』って懇願されてる光景は股間に来ます」
アンケートを実地しようと思います。
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