え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

13 / 243

TS第2弾後編です。氷叢強化期間は一旦終了ということで……。


番外編⑩普通はそうなるんだよなぁ

 

 

 

 タルタロス級の変態ヴィランによる襲撃もあって授業は午前中で終了。昼からは不慣れな身体で下手に怪我でもされたらマズイということで、自主練まで含めてあらゆる訓練は中止。今日はもう寮内でゆっくりしていろということになった。

 

 前回の被害者である間飛は平然と訓練に参加していたが、あれは単純に【フィジカルギフト】の継承者の中に女性(母親)がいたからさほど違和感が出なかっただけである。

 そんな事を知らない教師達やA組は化け物を見るような目をしていたがきっと気の所為だろう。

 

 

 さて話は変わるのだが雄英高校の寮生活におけるルールをご存知だろうか。よくあるパターンとして消灯時間だとか外出届だとかはあるのだが*1、新設したばかりということもあってその辺のテンプレートなルールも整備が行き届いていなかったりするのだ。

 

 今回焦点が当てられるのは『異性の部屋には用事がない限り踏み入ってはならない』というルール。

 何でもない日常ならそれの何がおかしいのか?と首を傾げる真っ当なルールだが、こと今回は話が変わってくる。

 

 それでは聞いてください。

 

 

 性転換した生徒は異性の判定がどうなりますか?

 

 

 

 

 

「……返ってきてねえな」

 

 寮に戻ってきた間飛が確認したのは自分の部屋の本棚の空きスペース。全部で50冊近くの空きが生じており、その全てがA組の誰かに貸し与えられている。

 

 間飛はストイックな人間が多い雄英でも珍しい、2次元の娯楽をよく楽しむ人物だ。B組も同じくアニメ鑑賞会をしてはいるものの、数十年、下手をすれば百年も前のマンガなどの作品を書籍として所持しているほどではない。

 彼の部屋にある本達はこの雄英高校でも貴重な1人で楽しめる娯楽の一つであり、半ばA組の図書館のように多くの同級生が借りに来ている。

 

 レンタル期限を設定する程キッチリ管理してもいないので、読み終えた時に返しに来るか部屋前の回収用BOX*2に入れてもらうだけでいいのだが……さすがに返却が滞ってはないだろうか。

 

「最近は訓練もキツかったからなあ……皆寝落ちしてたんかね?」

 

 こうも隙間が目立ってはさすがに気になる。誰も彼も性転換騒動でそれどころではないのかもしれないが、コチラから尋ねれば返してもらえるだろう。そう決めた間飛は皆の部屋を回ることにした。

 

 

 

 最初は隣の部屋の轟から。軽いノックを3回重ね、ドアの向こうから小さく『開いてるから勝手に入ってくれ』と返事が来る。

 

「お邪魔しまー……上裸ッッ!?」

「?」*3

「何故許可を出したァ!?上着ろ上ェ!」

 

 と、ここまで一頻り騒いでふと気づいた。前の自分と似たような感じで羞恥心が皆無なのだろうか。それならこっちが無駄に騒ぎ立てる方がむしろ恥ずかしいか?と思い至る。

 わざとらしい咳払いで調子を戻し、用事を伝えようとして───フリーズ。

 

 間飛が見たのは。

 

「あ……いや、(わり)い。と、とりあえず、こっち見ねえでくれるか……」

「ッス──……了解」

 

 右腕で恥じらうように身体を庇う所作を見せる紅白ヘアーの上裸美少女。0.5秒間たっぷりとかけて精神統一、後に謝罪をすると明後日の方向へ顔を背けた。うーん、控えめに言ってエッッッッッ!!

 

 思い出したような反応に間飛の脳内も大パニック。とりあえず脳内フォルダにしっかり焼き付けた事はさておき、普通の女子のような恥じらい方は予想外が過ぎる。これはどういう事か。

 

 上着を着て少々顔を赤らめた轟から4冊の本を受け取り、そそくさと部屋を後にする。部屋前の回収用BOXに放り込んで一言。

 

 

「何事……!?」

 

 

 これはマズイ。野郎共が可愛い女子になっておられる。しかもちゃんとノックした上で部屋に上がってこれなので、許可を得たからと迂闊に踏み入るのも難しくなってしまった。

 恥じらいがどうこうとかそういう話じゃねえ!とノックに加えて状況を確認することを決めた。どうぞ、が即死トラップになった今、これぐらいのことをしても臆病と笑えるものはいないだろう。

 

 幸いにも同じ階の残りのメンバーはそういう事にはならなかったので良しとしよう。

 

 

 次はワンフロア降りて4階。障子と爆豪と切島の3名の部屋があり、おそらくだが障子は問題ないとして、だ。

 

(爆豪も多分大丈夫……問題は切島か。アイツ絶対筋トレか何かしてて暑くなって上脱いでるだろ)

 

 自室にサンドバッグやダンベルを置いている切島。彼だけは警戒せねばならない。如何に性転換で慣れない身体に変化しているとはいえ、切島がただ部屋でじっと大人しくしているとは思えない。

 意を決してドアを叩くと、返事がない。ただのしかばね……じゃないがドアの向こうからは何も聞こえない。

 

 はて、今日に限って外出するなんてこともないだろうし、室内にいないというのは考えにくいが……と考えたところで1階の共有スペースにいる可能性に気づいた。

 

 じゃあ後で来るかと先に爆豪の所へ行くかとすると、急にドアが開いた。

 

「すまん!ちょっと片付けしてて気づかなかった!」

「うおっ!?びび、ビックリしたぁ……!!」

「え?あ、悪い……」

 

 開いたドアの向こうからやや汗ばんだ顔を覗かせる切島。探知能力を切っている間飛にはとんだ不意打ちもいいところ。これがコミックならデフォルメされた心臓が口からスポーンと飛び出している描写がなされていただろう。

 

 ギギギ、と錆び付いたように緩慢な動作で振り返ると、額に汗が見えて赤らんだ顔をした快活なお姉さんが。ああ切島はこうなってたっけ、と脳内を落ち着かせながら疑問が湧き上がる。

 

「片付けしてた……か?」

「え?」

「いや……俺耳もそこそこいいからさ、何の音もしなかったし」

「えーっと……いや、その……」

 

 詰問してる訳では無いけれど、気になったので尋ねてみると分かりやすく動揺し始めた。

 

 というか間飛も今気づいたようだが、さっきからやけにモジモジとしている。ちょっとずつ顔も赤みが増している。よもやいやらしい事でもしてたのか!?

 

「なあ……誰にも言わねえでくれよ?」

「おう。お前がむっつりスケベだって事は黙っといてやるよ」

「ちげえから!?……お、女ってトイレどうやるんだ……?」

「………………ああ」

 

 前言撤回。深刻な問題なので女子の皆さんか教師のどなたか助けてあげてください。切島君が可愛そうです。

 

 スンッ……と顔が死んだ間飛はスマホを取り出し連絡先から1つを選ぶととある所に電話をかける。突然の行いに切島もキョトンとした顔で困惑している。

 かけた先は雄英高校職員室。2コール目の半ば程で電話が取られ、出てくれた相手はミッドナイト。最も望んでいた人物が最初から来てくれた事に思わずガッツポーズをする間飛。

 

「すんません、ミッドナイト先生ですよね?1年A組の間飛です」

『ええミッドナイトよ。どうしたの?』

「今寮にいるんですけど……性転換してるせいで男子がトイレがちょっと、その……」

『ああ……うん、言いたいことは伝わったわ』

 

 今からそっち行くから待ってなさい、と頼もしい援軍に一安心。切島にも今からミッドナイト先生が来てくれるからと告げると本を受け取った。

 

「……やっぱ今日返してもらうの、やめとくか」

 

 これ以上面倒事に巻き込まれるのは御免こうむる。死んだ目で間飛は己の部屋にノソノソと戻って行った。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 雄英高校、3年生用ハイツアライアンスにて。

 天喰やミリオですら性転換に困惑し対処しきれずにいる中、1人別の意味で落ち着かない人物がいた。

 

「うにゃあああ…………」

 

 ベッドの上で右に左にと忙しなくローリング。頭を抱えてグルグルお目目で絶賛悶絶中の氷叢零治。猫のような情けない悲鳴をあげて落ち着かない感情のまま顔がどんどん赤く染まっていく。

 

 それを複雑な感情が込められた視線で見つめるもう1人……渡我被身子。腕を組んだままため息をついてとりあえず落ち着かせる事にした。

 

「……急に呼ばれたと思ったら何なんです?」

「ちょ、ちょっと待って……!整理しきれない……っ!」

「今は雄英とも繋がりがあるからいいんですが、普通なら来れないところを来てるんです。早く用件をお願いします」

 

 諸事情により雄英高校への立ち入りを許可されているトガを泣きそうな声で呼びつけ、いざ来てみれば部屋の中でローリングしてるのだからそりゃあ呆れもする。一体なんだと言うのだ。

 

「あの変態ヴィランについては聞いてる……?」

「……よりによってその話を持ち出します?お陰でてんやわんやしてるところなんですが」

「それで僕も被害にあってさ……その、朝から性転換させられてるんだけど……ね?」

「はあ」

「昼休みに……ぅぅ……移に抱えられて膝の上に乗せられちゃって……ぇ」

「は?」

「ヒエッ」

 

 自慢かテメェ、とでも続きそうな『は?』に戦慄。確かに自慢したいけどそういう意図は無いので威圧しないで欲しい。氷叢は涙目で『違うから!?』と命乞いをする。

 

 話を戻して、あれからやけに身体が火照ってしまうのだとか。心臓はやかましいわ顔は熱いわで正直何が起こっているのか分かっているけど言語化したくないという、はっきり言ってちょっと面倒臭い事になっている、とのこと。

 トガの反応は『でしょうね』の一言でバッサリ切り捨てており、そんだけメス顔晒して今更何をとしか思えない。

 

「……鏡見ました?」

「まだだけど」

「恋する乙女みたいになってますよ」

「うにゃああ……」

「……ハァ」

 

 同じ相手を好きになってこの差は何なんだろうか。そりゃ自分も同じことをされれば冷静では居られないだろうが、ここまで面倒臭いことにはならない……よね?トガはひっそり自信をなくしつつもため息を零した。

 

「じゃあ私はもう行きますね」

「待って!?お、落ち着かないからもうちょっと……」

「いえ、移くんに会いに行こうと思ったので行きますね」

「は?」

「真似っ子やめてもらえません?」

 

 結局元に戻るその時までひたすらに悶える氷叢だった。

 

 

 

 

 

 

「雄英生のヒーロー科とサポート科、教師陣が被害にあったと聞きましたからね……」

 

「つまりは移くんも女の子になってるはずです!」

 

「というわけで……移くん!こんにち──……?」

「ん?トガち?何でここに?」

「……あれぇ?」

 

 

*1
捏造設定

*2
発目お手製。傷つけず汚すことも無く回収してくれる。

*3
着替え途中だった





【TS時の属性(妄想)】

間飛…正実モブちゃんをデカくした目隠れ
緑谷…公式でお出しされた例のヤツ
爆豪…爆ママを若くした頃そのまま
轟…紅白ヘアーの母親似
飯田…典型的なお堅い眼鏡っ娘
切島…骨太の快活お姉さん
峰田…カートゥーン調のツンデレ系
常闇…目元と嘴(?)が丸みを帯びた
上鳴…オタクに優しいギャル
障子…タッパとケツのでかい美女
瀬呂…親しみやすい幼馴染枠
口田…ムチムチのモン娘枠
砂藤…筋肉フェチ垂涎の世話焼き人
尾白…地味だけど人気のある子
青山…『恐ろしい子…!!』的な見た目
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。