え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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感想にいくつか『ムーンフィッシュやられちゃったあ……』といただきましたが、脳無の個性は似ているだけで別物です。紛らわしくて申し訳ないです。





合体するなんて卑怯だぞーッ!

 

 

 

「──【施錠(ロック)】!!」

「またテメェ……!?」

 

 ロックロックとサンイーター対、鉄砲玉『八斎衆』窃野と多部と宝生。彼らの戦いはどちらが先に脱落者を出すかの戦いだった。

 

 初撃で気を失わされた多部は数分後に復活してきたものの、入れ替わるように窃野が脱落。サンイーターの【再現】によるカニの甲殻とタコの柔軟な筋力といいとこ取りの【混成大夥キメラ・クラーケン】によって絞め落とされた。

 

 部屋中を満たすほどに伸び、うねり暴れるタコの触手を掻い潜りつつ何とか一撃を加えようとした宝生だったが、瓦礫を盾のようにして立ち塞がるロックロックに防がれた。

 咄嗟に退がろうとする宝生を逃さんと、しゃがみこむと同時に宝生の靴を【施錠】した。

 

 ロックロックの個性【施錠】は触れた物をその場に固定する能力。生物こそ対象外であるものの、物体であれば身につけていようとも固定出来てしまう。

 

 その場に縫い付けられた靴は同時に彼の足を一瞬留める。

 

「おおおおおおっ!!」

「しまっ───」

 

「ふう……幹部3人撃破、か。給料泥棒にはならずに済んだな」

「なん……し、痺れ……て」

「マダコの毒だとよ。死にはしねえから安心して寝とけ」

 

 打撃や絞め技で意識を手放した宝生と窃野、泡を吹いて倒れ伏す多部。学生のアシストに徹するというともすれば自尊心を傷つける役目をロックロックは全うした。

 

「さて、さっさと俺らも合流するか」

「はい!」

「もう終わっちまってるかもしれねえが……ここで黙って突っ立ってても何にもならねえ」

「クソ、が……」

 

 3人を縛り上げた2人は怪我や消耗具合を確認しつつ部屋を後にする。両者共にダメージは軽微。強いて言うならばサンイーターの体力が少し危ういくらいか。

 先に行った彼らの方が戦力としては強いのだが、5名中2名がインターンの学生と不安は残る。なるべく早めの合流が望ましい。

 

 先程から喧しい激突音もあちこちから聞こえてきている。先行させた者達もだが一人取り残されたIXAも危ないだろう。

 

「知らねえ所で死ぬんじゃねえぞ……!」

 

 舌打ちをしながらロックロック達は急ぐ。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「ヒ、ヒヒヒ……アンタら強いなァ……俺よかずっと強い」

「このっ……しつけェ!!」

「うぐぅっ!!は、ははは……だが、その程度だ。それじゃあオーバーホールには届かねえ……ッ」

 

 既に何発もの強烈な攻撃を与えられているのに、酒木は倒れない。巧みにヒーロー達の動きを誘導してイレイザーヘッドの視線を切っては【超再生】を発動し、あと一息のところで【泥酔】と【エアウォーク】を使用して退いていく。

 

 消耗自体は確実に蓄積しているのだが、もう一歩を詰めきれていない。敗北は無いだろうが勝利も遠い。

 生半可な攻撃は個性によって無かったことにされてしまい、強引に詰めれば改造人間の身体能力が牙を剥いて来る。どうするべきか、という所にデクが更に一歩踏み込んだ。

 

 

 SMASH!!!

 

 

「があああっ!!?」

「回復されてしまうなら……一撃で倒せばいい!!」

「おまッ、なんちゅう無茶しとんねん!?けどナイス!」

 

 様子見の段階から一気に上限の27%まで引き上げた【フルカウル】のスマッシュ。打撃対策を持たないと分かってしまえばそう難しい事でもなかった。

 

 これで残る幹部は玄野一人。そしてオーバーホールさえ倒してしまえば死穢八斎會の問題はほぼ解決出来たと言っていい状況まで来た。

 しかし全く気を抜けない。部下を脳無と融合させるというイレギュラーにいつ参戦するのかも分からないヴィラン連合。楽観視が許される状況ではない。

 

 じゃあそのオーバーホールは何処に?とまた全員が歩き出そうとした時だった。

 

「……何だ、お前もやられたのか」

「「「ッッッ!!?」」」

 

 獣の唸り声のように低い声。ヒタヒタと足音もなく現れたのはやはり脳無。ドーベルマンを思わせる獣の頭部と無理やり二足歩行を仕込まれた様な、獣と人間の間を取ったような身体。

 

 ──コイツが、オーバーホール!?

 

 身体のほとんどが黒い皮膚に覆われている中、辛うじて見える人間らしい皮膚は目元周辺と歪な腕のみ。それ以外は人間と呼ぶのも躊躇うおぞましさだ。

 

 皆が愕然とする一方、オーバーホールは悠然と足を進め───酒木と脳無を分離、そして脳無の腕を自分の身体に融合させた。

 

「なっ……!?」

(一瞬触れただけだぞ!?どんな練度だ!!)

「……必要とはいえ、気分は良くないな」

 

 付け足された腕の調子を確かめるように握り、放す。たったそれだけの動作にミシミシととてつもない力が込められているのが分かってしまう。

 ただそこに立っているだけの男が怖くて仕方がない。いつかに感じたステインの殺意を思い出す、重く息苦しい空気。幽鬼の如くユラりと歩くオーバーホールは手を持ち上げ───振り抜いた。

 

 

 

 

 

 地上で待機していたリューキュウ達は彼らの突入直後から小さな揺れを何度か感じていた。恐らくはIXA、そしてデクの超パワーによるものだろうと、彼女達はそう思っていた。

 

「……ッ!?何か、来ます!」

「え?」

「全員伏せて!!」

 

 味方に超パワーを持つ者が2人もいたからこそ、彼女達はギリギリまで気づかなかった。

 

 敵に同じレベルのパワーを持つ者がいる可能性に。

 

 コンクリートの地面が砕ける。外側からの力ではなく、内側から弾けるようにして。捲れ上がる道路と崩れる家屋、吹き飛ばされる警察……被害が、拡大していく。

 

「カルドル!」

「ッ───【オーロラベール】!!」

「こ、氷……!?」

 

 させるものか、とカルドルの【氷操】が巨大な氷の壁を作り出す。砕けた端から氷が補充され、それ以上の被害を許さない。

 

 ようやく破壊が収まり、改めて状況を確認する。

 

「一体中で何が……」

「痛ッてェ……!?」

「れ、烈怒頼雄斗!?何でココに!?」

「ッ!?こ、ここ外か!ぶっ飛ばされた!?」

 

 中に突入したはずの烈怒頼雄斗が氷の壁に叩きつけられていた。致命傷には程遠いようだがガチガチに防御を固めて尚、少なくないダメージを受けているようだ。

 

 何故ここに?と尋ねてみると本人も困惑しつつ状況を説明してくれた。

 

「治崎と……脳無!?」

「ねえ移は!?移は大丈夫なの!?」

「えっ……と、間飛は最初の方にはぐれてから分かんねえっス」

「落ち着いてください!間飛くんが簡単にやられるわけないです!」*1

「どこかでケロッとしてるはずよ」*2

 

 幹部はほとんど全滅。しかしどこで確保したのか脳無と幹部を融合させるという荒業と薬物によるブーストに撹乱・分断され、こちらも万全とは言えない。

 

 そしてオーバーホール自身も別格の脳無と融合し、今の破壊がただの一撃で引き起こされたという。

 

「じょ、冗談でしょ……!?本当にIXAが敵に回ったみたいな攻撃力じゃない!」

「今治崎はどこに!?」

「それは───」

 

 分からねえ、と答える寸前。もう一度道路が破られた。

 

 飛び出してきたのは異形のオーバーホール、そして……青い炎を纏うIXAだ。

 

「は……?」

「間飛!?と、何だあの炎!」

 

「ぐうっ……!!この、ガキがァッ!!」

「アレェ!?脳無が喋った!?喋るヤツもいんのかよ!!」*3

 

 両腕に絡みつくように燃える青い炎を押し付けながら、IXAはオーバーホールを更に上へと殴り飛ばす。高層ビルを軽く凌駕する高度までかち上げてしまう。

 

 一旦余裕が出来たIXAが着地し、破られた大穴からもデク達が登ってくる。一人やせ細った見覚えのない人物がいるが、それはカロリーを使い果たして皆を守ったファットガムだ。決して構成員ではない。

 

「リューキュウ!治崎は……」

「IXAが何かを上にぶっ飛ばしてたけど、まさかアレが?」

「はい……奴が次の一撃を放とうとしていたところに割り込んでくれて……」

「危なかったんだよね!捕まえた連中を巻き込むところだった!」

「わっ、これ全部死穢八斎會の幹部?」

「マズいと思ってルミリオンに回収させた。これ以上治崎に部下を融合されては困る」

 

 担がれていたのは負傷したファットガムだけではない。それぞれで仕留められた幹部達もまた縛り上げられて連行されていた。

 脳無との融合を確認した時から想定していた。倒された部下を自身に融合し、際限なく強化するのでは、と。

 

 ヒーロー達は知る由もない事だが、ニアハイエンドと融合して現れた時点でもう一人玄野という男をも融合していた。ニアハイエンドは四足歩行の獣要素が強く、何とか人型を保つ為に使われたのだと思われる。

 

 地上と地下で分散していた戦力が再び合流したものの、依然油断は許されない。まだ肝心な男が残されている。

 

「全く……今日は厄日だ……!!」

「治崎……!」

「空中を、歩いてる……?」

「そうか!あの時脳無の個性を!」

「エリは奪われ、死穢八斎會も終わり……!やり過ぎだなヒーローォ!!」

 

 空を蹴って加速し、オーバーホールが肉薄する。一瞬のうちに距離を食い潰され、黒い豪腕が振り下ろされる。

 

 

 ズドォンッッ!!!

 

 

「……ッッッ!!?」

「ヤベエ!何だあの威力!」

 

 躊躇なく叩きつけられた拳は地面を陥没させ、瓦礫を巻き上げる。何とか直撃は避けられても余波だけで警察達、ナイトアイやイレイザーヘッドが弾かれてしまう。

 余波を耐えられたのは【透過】で回避出来るルミリオン、同じ超パワーで掻き消したIXAとデク。咄嗟に氷壁を張ったカルドルと【硬化】で皆を庇った烈怒頼雄斗と【ドラゴン】に変身して庇ったリューキュウ、そして庇われた生徒達だ。

 

 

「やり過ぎはテメェもだろうが!」

「チッ、お前が一番厄介だ!!」

 

 更に追撃を構えるオーバーホールだったが、やはりIXAのワープに割り込まれる。腕を蹴り飛ばされ追撃は叶わず、カウンター気味に伸ばした手もワープされては触れることも出来ない。

 

「デク!メイン火力は俺とお前!リューキュウは他の人達とサポートお願いします!」

「了解!行くよ!」

「「はいっ!」」

「来てみろ……!何もかも、壊してやる!」

 

 オーバーホールとの最後の戦いが幕を開ける。

 

 

*1
厚い信頼()

*2
カエルジョーク

*3
心の底からの驚き





ロックロック「何だ今の揺れ」
サンイーター「ビ、ビックリしたあ……」
ルミリオン「逃げた方がいい!」←顔だけ壁から出してる
「「うわあ!?」」

荼毘「……上にヒーローいるから出れねえ」
間飛「逃走手段は?」
荼毘「黒霧が何とかしてくれる。あ、ホラ」
黒霧「人使いが荒いですね……お久しぶりです」
間飛「お久〜」

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