え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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前回の後書きへの反応が多くて笑ってしまいました。
渡した側も受け取った側もそんなに深く考えていないという合体事故だったりします。




ちなみにですが鱗は顎の下辺りから取りました。対戦よろしくお願いします。


エンデヴァーさん?エンデヴァーさん!?

 

 

 

 ヴィラン連合……改め自由連合の荼毘……改め轟燈矢は頭を抱えていた。

 

 何の気なしにつけたラジオから流れてくるニュースに耳を傾けていると、不意に切り替わってしまった。緊急速報と銘打って報道されたのはエンデヴァーの記者会見。

 

『……私は自らの野望を我が子に託そうと、この時代では許されない個性婚までして……我が子を失いました』

 

「勘弁しろよマジで……」

「だいじょーぶ……?」

「ああ……多分、な」

 

 何故、という疑問で脳内を埋め尽くされた荼毘の膝の上で、エリちゃんが心配そうに顔を覗き込んでいる。取り繕って気丈に振舞う荼毘だが、当然胸の内は穏やかでは無い。

 

(あンのクソ親父ィ!?タイミング考えろやドブカス!何とか保護したエリにまた危険な目に遭わせる気かよ!!ぶち殺すぞマジで!?)

 

 ……うん、穏やかでは無いけど想定と違うね?

 

 転孤達もアチャー、という感じで顔を顰めており、荼毘に対しての視線はヴィランの仲間意識というよりは『何か大変なことになってますが大丈夫ですか?』という労いと憐れみ、後はお気の毒に……と思われているのが近い。*1

 

 何が一番マズイって、エンデヴァーは記者会見の場で随分昔に撮られた燈矢の写真を公表しているという事だ。迂闊に外を出歩けば勘のいい阿呆がちょっかいを出してくる可能性が出てきてしまった。

 万が一尾行でもされてアジトまで探られようものなら、いま膝の上で荼毘の胸にグリグリと頭を擦り付けている幼女の身が一番危ない。

 

「……お前も複雑な家庭で育ったんだな」

「お前ほどじゃねえよ」

「私達はどっちで呼べばいいのかしら?荼毘?燈矢?」

「頼むから荼毘のままにしておいてくれ。根幹が揺らぐから」*2

 

 荼毘の正体を知った連合のメンバーはというと、全員が『ふーん……大変だったんやろなあ……』で済んだ。拒絶?嘲笑?大切な仲間なのに何でそんな事しなきゃいけないんですかね。と大真面目な顔で普通に許容していた。いいヤツらだな。

 

 正直な話、今の荼毘の中でエンデヴァーが占める割合はそう大きくは無い。

 というのもエリちゃんの個性で肉体を巻き戻された事で健康的になり、常日頃から感じていた苦痛が消えたお陰で少しずつ憎悪が和らいでしまっている。

 

 絶え間のない痛みと苦しみが消えてしまえば、後は荼毘の思い出の中にある『事実』と『感情』だけがエンデヴァーへの憎しみの薪となるのだが……それも時間が経つに連れて薄まってしまうだろう。何せ焚べ続けていた『絶え間のない痛みと苦しみ』という薪が切れてしまったのだから。

 

「で、お前はこの先どうするんだ?」

「どうするって……何がだよ」

「エンデヴァーの所に行くのか、俺達と来るの「お前達と行くに決まってんだろふざけんな」……判断が早いなおい」

 

 転孤の質問にキレ気味かつ食い気味に即答。荼毘からすれば今エンデヴァーに会うなど冗談じゃない。開口一番にエリちゃんを危険に晒した事に怒ってしまいそうだ。そっちなん?

 

「それに、だ。まだあのクソ親父に吠え面かかせるには功績が足りねえ」

「功績?」

「さっき聞いたろ?あのクソ親父は俺をオールマイトを超えるヒーローにしようとしてたんだ。出来損ないの烙印を押された俺がクソ親父以上の功績を挙げりゃあ、ちったあ溜飲も下がるだろうと思ってたんだよ」

「……ああ、それでアイツの遺産をぶち壊すのに賛成してたのか」

 

 元々の荼毘の方針は『ヒーローへの信頼が地に堕ちた時、己自身を証拠にしてエンデヴァーを引きずり下ろす』というものだった。

 しかし間飛というイレギュラーの存在もあって不可能だろうと悟り、エンデヴァーが見切りをつけた出来損ないがエンデヴァーを超える功績を残した、という方面で行こうとしていた(・・・・)

 

 ……そう、それすら既に過去形だ。

 何せエンデヴァーが荼毘の、燈矢の過去を明かしてしまった事でこの先どれほどの功績を挙げようとも世間には『死んだはずの息子が立派になって帰ってきた』という吐き気のするような美談に仕立てあげられるのが目に見えているのだ。

 

 じゃあどうするのかと言うと、美談では終わらせられないほどの功績を挙げればいいという脳筋of脳筋な思考に辿り着いた。そうはならんやろ。

 

「下手な功績だと適当にあしらわれるのが分かってる……なら、美談で終わらないレベルの功績を挙げる」

「……そうするとどうなる?」

「分からねえか?俺の存在価値を示せば示すほど、それを蔑ろにしたエンデヴァーの立場は悪くなる」

 

 荼毘は底意地悪そうに笑いながら話した。転孤は「そうかな……そうかも……?」と首を傾げていた。

 

 

 ここで1つ彼の思い違いについて語らせて頂こう。

 仮に荼毘の想定通りに事が運んでエンデヴァー以上の功績を挙げたとしよう。それでも荼毘とエンデヴァーの過去は美談に仕立てあげられ、お涙頂戴の安っぽいものにされるだろう。

 

 もしそこからエンデヴァーに非難の目が向かうとすれば、それは荼毘の身体が可哀想なくらいボロボロ(・・・・・・・・・・・)だった時だけだ。そうでないのならヒーロー公安委員会がヒーロー全体の信頼を保つ為にカバーストーリーを広めるだけである。

 

 要はエリちゃんに治療された時点で荼毘の復讐はほとんど成功しなくなってしまったのだ。哀れ荼毘。

 

 

 で、そこまで想像がついている転孤達は荼毘の計画を疑問視しているわけだが。当の本人はやたらいい笑顔を浮かべているから温かい目で見守る事にした。

 

「そしたら今度こそ……おい何だその目は」

「いや……何も?」

「ええ。何も無いわよ?」

「おにーちゃんなにかするの?」

「ちょっと頑張らなきゃいけないだけだ。心配するな」

「うん……」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 雄英高校1年A組が1人、轟焦凍は頭を抱えていた。

 

 間飛と並んでソファに腰かけ、ぼんやりと共用スペースでテレビを見ているとニュース速報で流れてきた内容が無視できない内容だったからだ。

 

「相談くらいしろよクソ親父……!?」

「なんつーか……ドンマイ?」

「いや、もうなんっ……クソッ。お母さん達には許可取ってやがる……!こっちは無視か!」

「ハブられてんのか巻き込まないようにしてんのか……下っ手くそな気遣いなのか」*3

 

 自分のあずかり知らぬところで話が進んでおり、あまつさえ一言も連絡がないまま世間と同じタイミングで記者会見を知るという蚊帳の外な扱い。

 

 ちなみにエンデヴァー曰く『焦凍は仮免取ったばかりで忙しいだろうし……俺の責任だから巻き込んだら悪いな』との事。手遅れだぞ。

 

 つい昨日もエンデヴァーの元でインターンをしていただけにその時に教えてくれよ、と轟にはキレるだけの権利がある。というか今更巻き込まないようにとかどの口が言ってんだ。幼少期からバリバリ中心人物だわ。

 分かってはいたが轟炎司という人間は人の心が分からない……というか気の遣い方が下手くそだ。こうも間違いばかり踏み抜いているとかえって感心する。

 

「……ん?じゃあアイツって燈矢だったのか?」

「ッ……そうだ。お前、どこで燈矢(にぃ)……さんを見たんだ」

「え、連合の荼毘がそうだったんだけど」

「……………………はあ!!?」

「耳がっ!?」

 

 ……そういやコイツも間違える奴でしたね。

 

 ヌルッと明かされた事実に思わず大音量のリアクションが出てしまう。隣にいた間飛にはこうかはばつぐんだ!

 

 荼毘。強化合宿訓練に襲撃をかけてきたヴィランの1人で、轟と彼の接触自体はそう長くはない。

 しかし自分以上の火力の青い炎や酷い火傷痕が印象に残っており、あの人物と幼い頃の記憶の中にある燈矢を同じ存在とは認め難いのだ。

 

 嘘だ、とダダをこねる子供のように拒絶する。

 

「つってもなあ……治った荼毘はちょっとお前に似てたんだよ」

「な……」

「そういや零にも似てたな。美形な顔の作りが割と近かったような」

「……」

「ぶっちゃけ兄弟ですってなると納得なんだよ。個性といい見た目といい」

「個性……炎か?」

「いやそれもだけど」

 

 間飛が知る限り荼毘の炎耐性は思っていたよりも低いはずだ。それが轟の持つ“氷結”の部分に関係している可能性があり高いと睨んでいる。

 

「氷が炎に負けるってのは当たり前だろ?自傷に繋がるくらい炎耐性が低い理由として『氷結の能力が体質に出た』とかありそうだなーって」

「……!有り得そうな話だ……!」

「いや実際のところは知らねえよ?火力ばっかり上げすぎてあんななったとかも有り得るし」

 

 実際の所はその両方だったりするのだが、轟に納得させるだけの説得力がある根拠だった。探せば日本の中にも両親の個性が炎熱系と氷結である家庭はあるだろうが、空気を破裂させるような超火力となればエンデヴァークラスでもなければ難しいだろう。

 

 どちらにせよ轟家の不祥事を公表した今、轟燈矢という人間がまだどこかにいるのならば会わなければならないだろう。

 

「んじゃ、俺は自室に戻──……何?」

 

 一頻り語り終わった間飛はよっこいしょとソファから立ち上がり、自室に戻ろうとして……轟に服の裾を掴まれて留まった。

 何事かと轟の方に振り返ると真剣な顔で目を合わせて一言。

 

「もうちょっと居てくれねえか……?」

「何故?」

「……多分、皆もこれ見てるよな?」

「恐らくは」

「俺がエンデヴァーの息子だって知られてるよな」

「知られてるねえ」

「……この後俺の所に来るよな?」

「……来るねえ」

「1人で上手く話せる自信がねえ……!一緒に話してくれ……!!」

「ワタクシ無関係でしてよ!?大人しく質問責めされてろォ!」

 

 ……コミュニケーションに不安があるのでヘルプ要請をしていたらしい。

 

 ところで轟よ、ソイツ自称とはいえコミュ障陰キャらしいがそれでいいのか……?

 

 

 

「轟くん!!このニュースって……!」

「轟ィ!これヤバイんじゃねえか!?」

「何かエンデヴァーが話してたんだけど!!」

「やべえもう来た……!」

「ほな頑張ってもろて」

「待て!死なば諸共だ……!」

「死ぬと思ってらっしゃる?」

 

 

*1
転孤が一番優しい目をしていた模様。

*2
結構必死

*3
下っ手くそな気遣いでした





エンデ「俺のせいですまない……」

荼毘「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」
轟「人の心とか無いんか?」


予約投稿が上手くいって無かったみたいで少し遅れてしまいました。申し訳ありません。
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