え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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番外編についてのアンケートを実施しております。
出来れば御協力宜しくお願いいたします。


アサシンにワープは渡しちゃいけない

 

 

 

 障子達が氷壁から外に出て数分が経っていた。

 轟の氷結による壁を少しずつ広げ、八百万の【創造】で防弾チョッキを手に入れたことで彼らにはほんの少しだけ心に余裕が生まれている。

 

「……飛んで来なくなったか?」

「倒したんかな」

「気は抜くなよ。的確に氷の薄いところを抜いてきたんだ」

 

 初撃の氷壁を貫通された事に酷く狼狽していたが、改めて撃ち抜かれた部分を確認すると比較的氷が薄い箇所を狙っていたらしい。それがたまたまなのか狙って放ったものなのかでレディ・ナガンの脅威度は大きく変わる。*1

 

 全体を確認して薄い箇所を補強しつつ、峰田や瀬呂のような事前に個性で構えていられるメンバーが準備を整える。

 

 間飛達が接敵すれば確実に戦闘音が響くはずだ。彼らの役目はナガンに接近出来た時、八百万が【創造】した大砲を使って支援砲撃をする事。

 もうひとつの彼らの役目はヴィラン役を担っているもう1人、渡我被身子の確保だ。

 

 レディ・ナガンにはヒーローとしての知名度故に個性を知っていたけれど、あの少女については何一つ情報が無い。手の内が分からない以上は人数をこちらに偏らせる必要がある。

 

 ……たられば論でしかないが、間飛に尋ねればすぐに手の内が分かっていたのは言うまでもない。2人の関係を知らないのに聞くはずがないだろうって?それはそう。

 

 戦闘はまだ始まらないのかと気を張りつめて待機する彼らの元に、一人の来訪者が現れる。

 

 

「は───やべえ変な所にワープしたァ!?」

「えっ?間飛くん!?」

「うわわ!?危ねぇ!」

 

 氷壁の向こう側から音もなくA組の真上に間飛がワープして来た。余程焦っていたのか落下地点を確認するなりギョッと目を見開いて避けるように声を荒げた。

 

 ドシン、とあまり格好のつかない形で地面に落ちると困った顔で口を開いた。

 

「痛ゥ……すまん!緑谷と爆豪が負けた!」

「はあ!?マジかよ!?」

「ナガンさんに捕縛テープは付けられたんだが……俺もガントレットぶっ壊されちまった。ヤベぇよあの人」

 

 腰をさすりながら立ち上がる彼の片手はコスチュームのガントレットを失っており、手持ち無沙汰故かナガンから奪ったであろう武器を手に持っている。

 

 しかし緑谷と爆豪を失ったのは痛い。間飛が残ったとはいえ彼ら2人がA組でもトップクラスの戦闘能力を持っていたのだから、渡我被身子の個性が割れていない今2人が居ないと切れる手札は大幅に減ってしまう。

 

 今は何をしてるのかと聞かれ、氷壁の補修中だと轟が答える。今の彼らにとっての命綱に等しいのだから穴は塞ぎたいのだ。

 補修に勤しむ轟に向かって近づき、間飛は彼の背中に声をかけ……。

 

「ふーん……あ、轟。ちょっといいか?」

「何だ?少し待ってく───」

 

 

「隙だらけにも程があるな?」

 

 

「がっ……!!?」

「え……」

 

 

 ガントレットを失った手に持っていたスタンバトンを押し付けた。瞬間、バチィッ!と空気が弾けるような音が響いて轟の身体から力が抜け落ちる。

 突然の蛮行にそれを目撃した峰田が言葉を失い、あっという間に頭の中をはてなマークに埋め尽くされる。

 

 轟が地面に伏せ落ちると、今度はスタンバトンを峰田に接触させる。再びスパーク音を響かせると今度こそ全員の視線が間飛に集まった。

 

「な、何してんだよ!?」

「……この期に及んで何を言ってんだか」

「とにかくアイツから逃げねえと……!?」

「いやいや……ワープ持ちから逃げられるとでも?」

 

 異変に気づいた時にはもう遅い。自分達を守っていたはずの氷壁は自分達を閉じ込める堅牢な牢獄へと変わる。ワープに一撃昏倒のスタンバトンを合わされただけで手も足も出せずに一人ずつ無力化されていく。

 

 瀬呂が咄嗟に地面に張り巡らせたテープの罠も、芦戸が振りまいた酸の雨も。間飛らしき誰かに当たることはなくとうとう最後に残った葉隠が倒れた。

 

 冷たい目で倒れ伏すA組を見下ろし、鼻を鳴らしてこんなものかと吐き捨てるように言った。*2

 

「クソッ……!」

「……ッ」*3

「あーあ、張り切り過ぎましたかねえ……」

 

 ナガン討伐に向かった3人とトガの捜索に向かった3人を除いたA組15人。彼らを難なく仕留めた間飛の身体がどろりと崩れていく。

 

 どういう原理で生み出されたのか分からない泥が消えると、そこには一人の少女……渡我被身子が立っていた。

 

「変装してたのか……!?」

「そういう個性です。移くんは何も関わってないですよ?」

「……下の名前呼び?」

「それは後でお話しするのでスルーしてください」

 

 電源を切ったスタンバトンを手で弄びながら、遠い目で語る。

 

 

 ……ちなみにだが、彼女がヴィランであればこの時の彼女は変装が溶けて裸になっていた。

 しかし彼女は公安委員会の貴重な人員。個性に合わせた装備を得たことで装備ごと見た目が変化しているので、変装が溶けたところで全裸になったりはしない。残念だったなエロブドウ。

 

 

「貴方達は脱落扱いなのでお伝えしますが、もう残ってるのは移くん達3人だけですよ?」

「……嘘だろう?」

「スタンバトンは上鳴ちゃんに効かなくて、索敵に耳郎ちゃんと障子ちゃんもいたはずよ」

「ええ。なので上鳴さんを倒してから他のお2人も倒させていただきました」

 

 飯田の傍に行ったトガが憐れむように伝えると当然だが信じられないようだ。それに同調するように梅雨ちゃんが3人の能力を話しても、トガはあっさりと倒す順番を決めて制圧しましたと口にする。

 

 絶句する彼らに語られたのは正に狡猾と言うべき手腕だった。

 

 まず近接戦闘の障害となる上鳴、障子のどちらかを脱落させる必要があると判断したトガは隠密ではなく待ち伏せを選択。下手に動けばどうしたってバレてしまう。ならいっそ最高の位置に来るまで待てばいい。

 索敵役の聴力がどこまで優れているのか分からなかったトガはとあるビルの2階で待機し、3人が建物の近くを通った時に上から強襲をしかけた。

 

「真っ先に反応したのが障子さんで、一番反応が遅かったのは上鳴さんでしたね。スタンバトンを投げつけて気絶させちゃいました」

「それ結構痛いのでは……」

「いい音しました」*4

 

 スコーン!といい音を立てて命中し跳ね返ったスタンバトンをキャッチ。怯んで倒れかけたところにライダーキックをぶちかますと今度は障子に襲いかかった。

 

 自分よりも小さい相手ということで一瞬の躊躇が生まれてしまった学生ではトガの相手になるはずもなく。障子とは対照的に躊躇いのない電流が彼の意識を刈り取った。

 そうなれば後は消化試合。近接戦闘でトガに遠く及ばない耳郎では電流を甘んじて受けるしかなかった。

 

「まあ問題はナガンさんの方ですが……ん?」

 

 A組の本隊を制圧した事を連絡しようと無線をつけるけれど、一向に繋がる気配がない。もしや壊れたか?

 

 しょうがないのでテクテクと歩いて見晴らしのいい場所に出ると、ここら辺に居るぞと伝えられていた方を確認してみる。

 しかし戦闘らしき音どころか戦ってるような煙も何も見えることはなく、既に戦闘が終わってしまったのか?とトガは顔を顰めた。

 

「……仕方ないです。出来れば移くんと戦いたくないんですがねえ」

 

 それは皆の総意だと思うけど諦めて?

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 少し遡ってトガが3人を襲撃する少し前。

 

 やっとレディ・ナガンの元に辿り着いた爆豪が交戦を開始。景気よく派手に【爆破】を振り撒こうとして……ナガンに止められていた。

 

「ぐっ、クソッ……!?」

「いい反応だな。正直、舐めてたよ」

「舐めんなや!」

 

 ナガンの近接戦闘のスタンスは単純明快。ひたすら先読みで相手の行動を潰し続ける。

 

 要は近くで戦うとやりたい事が出来ないと思わせ、少しでも距離が空いた瞬間に【ライフル】での狙撃を放つという戦法。

 スタンバトンとゴム弾入の拳銃を交えたCQC*5で相手の手札を潰し続け、焦ったところに自分の一番強い武器を叩き込む。最も合理的で最も難しいことを彼女はあっさりとやってのけてみせた。

 

(滅茶苦茶やりづれェ……!?何だコレ!?)

「随分嫌そうじゃないか!」

「ッ!!」

 

 読まれている。同級生なら緑谷と間飛、教師なら相澤やオールマイト。爆豪にとってそう経験がない、かつ不愉快極まりない感覚に苛立ちが募る。

 かといってここから離脱すればまた一からやり直しも同然。今度こそナガンは間飛ではなく爆豪を撃ち落とすだろう。

 

 舌打ちをすると爆豪は深く息を吸い、覚悟を決めた。

 

「なぁ……一人、忘れちゃいねえか?」

「緑谷出久だろう?どこかで奇襲でも狙っているんじゃないかと警戒してるさ」

「だろうな……だが、そっちじゃねえ」

「……何?」

 

 

「来ちゃった♪」

 

 

「ッ……!間飛か!」

 

 自分一人では勝てない。受け入れ難い現実を直視し、爆豪はもう一度ナガンへと立ち向かう。

 

 

 

*1
「たまたまだから過大評価はやめてくれ……」

*2
なれないワープに吐きそうなのを堪えた結果冷たい印象になった。

*3
そっと顔を逸らす葉隠

*4
アァ~!スタンバトンノオトォ~!!

*5
Close Quarters Combat。ナイフや拳銃などの武器を持った状況下で合理性を突き詰めた格闘術。






トガ(……酔いそう)
トガ(え、移くん今こんな感じなんです?探知能力便利ー!とか思ってたのに頭グワングワンするんですが)
トガ(今絶対酷い顔してますコレ)

間飛(トガ)「……」←酔いを堪えてる滅茶苦茶怖い顔
耳郎(いや怖っわ)
上鳴(爆豪より怖い……!)
轟(間飛が絶対しない顔してんな……)
峰田(オイラちびるかと思った……!?)
葉隠(何かゾクゾクする……何で?)


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