え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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公安なりの戦い方

 

 

 

 ナガンが間飛から目を離したのはほんの数秒。牽制程度に撃っていた【ライフル】ではやはり足止め出来るはずもなく、好機と判断した間飛の前では距離など無意味だった。

 

 こうなってはさすがにナガンとてどうしようもない。これ以上ここで粘っても結末が見えている。間飛の参戦を見た彼女は即座にスモークグレネードを使用したが、勢いよく着地した間飛によってビルの屋上が砕ける。

 セメントの床を崩しながら一つ下の階層へと落ちる。再び予備のスモークグレネードを使用し、屋上で焚いたものと合わせて広範囲に煙幕が広がる。

 

「(間飛の奴には意味がないだろうが……)爆豪には十分効果的だろ?」

「このっ……!?」

 

 この煙幕の中でも間飛ならば探知能力で探られる。だが一瞬でも爆豪を意識しなくて済むのなら、後は間飛を跳ね除けて距離を取るだけでいい。

 爆豪が落ちたであろう場所目掛けてゴム弾を撃ち放つ。当たったかどうかは分からないが、すぐに爆豪が【爆破】に踏み切らないあたり被弾したのだろう。

 

 正直な所既にナガンの負け自体は決まっているようなものだ。よりにもよって間飛と爆豪を近づかせてしまった時点でナガンに勝ち目などなく、これ以上はただの悪足掻きでしかない……が、追い詰められた狙撃手の悪足掻きというものを教えるのもいいか、と最後まで役目を果たすことにした。

 

 煙幕の中、迷うことなくナガンに近づいていく間飛。ナガンもまた間飛の気配を感じ取っており、見えてもいない彼の方を睨みつけている。

 

「…………ふっ!」

「思い切りがいいな……ッ!」

「クソ、やっぱバレてたか」

「自分で張った煙幕に乱されるものか!」

 

 煙を切り裂く回し蹴りをしゃがんで回避し、負けじとスタンバトンを振り抜いても間飛には届かなかった。たった一度の攻防は両者の背中に冷たいものを感じさせ、想定以上の威力の回し蹴りと想定以上の早いカウンターに互いの警戒心がグンと跳ね上がる。

 

 間飛は近くに爆豪がいる事でどうしても威力に制限がかかっており、もし爆豪がいなければ屋上だけでなくこのビルごと粉砕して勝っていた。

 現実は爆豪を気遣いながらなるべく最小限のダメージでナガンを取り押さえる必要がある為、一方的に位置を把握しているのに詰めきれていない。

 

(これを想定してやってんならタチ悪いな……!)

(そろそろ爆豪が動くだろう……猶予は4、いや3手が限界か)

 

「目ェ閉じろ!!」

 

「なっ……!?」

「爆豪!」

 

 

 ───閃光弾(スタングレネード)!!

 

 

 だから、最後の詰めを自分以外に託す。

 間飛だけではどうしようもないのなら味方に頼るだけだ。ゴム弾の痛みから立ち直ったばかりの手で【爆破】の光量を増幅させ、強烈な閃光を放つ爆豪の必殺技が煙幕を貫いてナガンの目を焼く。

 

 苦悶の声を上げてふらついた瞬間、煙幕の外側から人影が突っ込んで来る。咄嗟にスタンバトンを振り抜くが遅かった。

 

 蹴りあげられた手からスタンバトンが離れる。後からでは拳銃を抜いても間に合うはずもなく。

 

 

「確保ッ……!です!」

「……そうか、お前が居たんだったな」

「最後の一瞬まで警戒されるだろうなってんで、ギリギリまで待ってもらってたんですよ。その判断は正しかったみたいですが」

「ああ、正しかったよ……お陰でこのザマだ」

 

 フルカウルのスパークを全身に纏った緑谷が、確保証明のテープを巻き付けていた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「……で、トガちどこだ?」

「…………トガ、ち?」

「あだ名。知り合いなんだよ」

 

 ここまでやってようやく半分だ。後はトガちをとっ捕まえて終わり……なんだけど、何処に居るんだろうか。

 探知能力があるから近づけばすぐに分かるんだが、少なくとも半径500m内にそれらしい人物は…………?

 

 何か妙な反応があるかと思えば相澤先生?何でこんな所に来て……ああ、そういう事か。

 

「トガちの個性は【変身】っつってな?血液を摂取した対象に【変身】して個性まで扱えるって能力なんだが……」

「……狙撃手と組ませて連携を崩したところに狙撃させる、ってか」

「多分最初はそのつもりでいたんだろ。思ったより対処が早くて作戦を変えざるを得なかったか……どちらにせよあそこにいる相澤先生はトガちだろうな」

 

 というわけで。

 

 

 

 

「ト〜ガ〜ち〜……あぁそびぃましょぉ……!!」

「嫌ですゥゥゥウウウ!!?」

 

「……うわあ」

「はは……トガの奴、見たことないくらい必死に逃げてるな」

「止めてやれよ」

 

 HAHAHA☆どうせ俺の血でワープして他の奴ら潰して来たんだろ?ならオリジナルの俺とどっちが強いか試そうぜ!まずは殴り合いからだオラァン!!

 

 秒で【変身】を解除して転げ回るように逃げていくトガち。ヘイヘイヘーイ!どうしたどうしたァ!?ワープ持ちから逃げられるとでも思ってんのかァ!?

 

「ひぃん……!絶対私がワープ使ったこと根に持ってますよねぇ!?」

「いや、どっちかって言うとよく使えたなと感心してる。酔ったりしなかったんかなぁって」

「酔いましたし吐きそうなんですよ!ゔっ……やば…………」

「お、チャンス」

「人の心とかないんですか?」

「訓練に忖度を求めておられる?」

 

 いやこれは本当に予想外なんよ。俺の【瞬間移動】って他の人が体験すると滅茶苦茶気持ち悪くなるらしい。1回発目に頼まれてカメラを付けてやってみたんだが、VRゴーグル使ってから3回目くらいのワープで撃沈してた。

 

 試しに物間にも使わせてみたらその場に座り込むぐらい気持ち悪くなってたし、何かヤバいのかもしれん。ラグドールも戻したって言ってたしな。

 

 とりあえず確保証明のテープでリボン結びにしてトガちを確保。オシャレにしてあげたけどどう?

 

「控えめに言ってぴえん越えてクソです」

「女の子の言葉使いじゃなさ過ぎるな」

「訓練中にこれやったら煽り以外の何物でもないですよね??言葉も少しくらい乱暴になりますよ」

 

 んなこと言われましても……あ、相澤先生。今度は本物だ。後ろにはやられてたっぽい皆もいる。

 

「そっちに怪我人は?」

「全員軽傷です。骨折までいった人はいません」

「ならいい。講評に移るぞ」

 

 先生の全体の評価は『後手後手に回りすぎの一言に尽きる』だった。

 あの氷壁も爆豪に言われて作ったものだし、俺達が向かった後もトガちを倒しに出たのは数分後。万全に整えた装備が役に立つことはなくトガち1人に18人がやられている。

 

 個人個人の動きはそう悪くは無いが判断が遅く、また防御の内側にいるからと気を抜きすぎていたのも悪いとのこと。

 実際トガちは何度か倒す機会があったそうだが、それら全てをスルーしてしまったとか。マジかよ。

 

「お2人が鍛えて下さるのは『現場での判断力』だ。ナガンさんと直接戦ったお前らはどうだ、何か感じるものはなかったか?」

「……切り替えが早かった。狙撃が使えないと分かった瞬間から殴りに変えてきやがった」

「最後の方で2回もスモークグレネード使われましたね。足場ぶっ壊したのに冷静過ぎて怖かったっス」

「僕は最後の一瞬くらいだけだったんですが……あの状況下でスタンバトンを使ってきたので驚かされました」

 

 判断力、か。言われて見りゃ俺達は迷ってること多いんだよなあ。それこそ仮免試験では初見の個性相手にどうしても一瞬のローディングが挟まってたし、どんな状況でも自分の強みを押し付けようという判断に至るまでが遅い気はする。

 

 ……そういやトガち、やけにこのミニゲームだけ強いなってのよくあるけど、そういう事か?トランプのスピードとかえらい速かったりするんだが。

 

「まあ今回は難易度がかなり高い訓練だった。むしろ3人もクリアしてて驚いてるよ」

「……ほとんどコイツ頼りだったけどな」

「探知能力はやっぱ無法な強さしてんな」

 

 

「それより聞きたいんだけどよォ……」

 

 

 お、峰田どうした。言っとくが俺からナガンに接触した回数は相当少ないし、何ならずっと狙い撃ちされまくってて結構痛いんだが?

 

「間飛よォ……あのカァイイ美少女様とどういう関係だァ……?」

「どういうって、零と同じで中学校の先輩後輩だったし」

「は?」

「うわ怖っわ」

 

 あれ……言ってなかったっけ?零と同じ中学校の同級生がトガちで、幼馴染ではないけど中学の時に知り合って仲良くなっただけだぞ。

 高校に行かずに就職したとは聞いていたが、まさか公安に所属してるとはな。なるほどそりゃ定期的に愚痴吐きをしたがる訳だ。

 

「移くんに【変身】してなかったら頭パンクしてますよあんなの……どういう頭の造りしてるんですか」

「んー……イマイチ分からん。俺はこの探知能力に悩んだことないし」

「見せつけてくれてんじゃねえええええ!!?」

 

 うわっ、飛びかかってくんなよ。トガちもノーモーションでスタンバトン使うの怖いな?何の躊躇いもなく叩き落としよった……!?

 

 で、ナガンさんは期間限定だがトガちは公安の広報担当として雄英の教官を兼任する事になるとか。それは嬉しいな。何だかんだ雄英に入学してからトガちと会うこと減ってたし。

 

「今公安では単なる戦闘能力以外に何かしら秀でた人材を求めているのです。私とナガンさんとしては……梅雨ちゃんさんと麗日さんは見所があると思ってますよ」

「ケロ……一方的に負けたのだけれど」

「戦闘能力は鍛えればどうとでもなるので気にしませんよ?」

 

 興味のある方は私かナガンさんまで!と可愛く締め括られ、訓練は終了。揉め事を嫌った相澤先生が強制的に解散させると問答無用でエロブドウを縛り上げていた。うおっ……速っや。

 

 

 

 

 

「もう既に波乱になりそうですね……」

「そうか?でもまあ、トガちといつでも会えるのはいいな」

「そ、そうですか?」

「当たり前だろ?トガちといると楽しいし……ちょっと落ち着くというか安心するんだよ」

「………………ピエ」

(噛まれるのがクセになったとは言えねえよなあ……)

 

 

 






氷叢「詳しく」
氷叢「説明してください」
氷叢「今、僕は冷静さを欠こうとしています」

発目「初めまして!貴女がトガチさんですね!?」
小大「ん(よろしく〜)」
心操「ああ、間飛が言ってた人ですね」

トガ「しらないひといっぱいだあ(思考放棄)」

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