僕のヒーローアカデミア完結しちゃいましたね……。
堀越先生お疲れ様でした!
公安からの人員派遣という珍しい出来事もひと段落した頃。雄英に新たなイベントが迫っていた。
「文化祭があります」
「「「ガッポォオォイ!!?」」」*1
雄英体育祭がヒーロー科が主役のイベントとするなら雄英文化祭はサポート科や経営科、普通科といった他科が主役のイベントだ。
いつものようにヴィラン云々の時期にいいんですか?という疑問が出るが、現在のヒーロー科中心的な学校の動きに不満を持っている人が多いこともあって中止にはしない方がいいという判断をされている。
実の所はヴィランの勢いがさほど強くないのもある。組織的犯行が増えているとは言われているが、その大半が『一人では弱い連中が数だけ揃えた』というパターンばかりだ。
何より一番危惧されていたヴィラン連合が一切の動きを見せていない。普通なら警戒すべきだ!という話になるのだろうが、神野区でオールマイトが共闘したことで話し合いで解決出来るのでは?という意見も出てきている。
まあ身も蓋もない言い方をすれば原作より不穏な要素が少ないお陰で比較的縛りが緩いのだ。
「今年は例年と異なって一般の客は生徒の親……後は一部の関係者に限定されている」
「意外と寛容なんスね」
「オールマイトの引退宣言こそあったが、あの人が雄英にいるというだけでかなりの抑止力にもなってるからな。多少は緩和しても問題ないということになった」
相澤は続けて『決まりとして一クラス一つは出し物をしなければならない』と告げ、ひとまず出し物の候補を挙げるだけ挙げてみようという話になった。
「メイド喫茶にしようぜ!」
「ぬるいわ上鳴!!オッパ──ヘブっ!?」
「いい加減にしろよ?お前」
「おもち屋さん!」
「腕相撲大会!」
「ビックリハウス!」
「クレープ屋!」
「ダンスー!!」
…………
……
…
一通り全員からの提案が出揃い、まず不適切・実現不可……あとよく分からないものが除外される。
「……なあ、思ったんだけどさ」
「間飛君。何か意見が?」
「飲食系って難しくね?ランチラッシュの飯に慣れてるんだからさ、素人の俺らが作った所で需要があるかっていうと……な」
「むむ……一理あるな」
「では飲食系は除外しますわ」
挙げられた候補が更に削られる。その後も飯田や八百万が挙げた候補も『地味よね』や『いつもやってるし』の一言でバッサリ切り捨てられる。他にも個性や学科で差が出てしまう腕相撲大会が却下された。
そうすると残りはビックリハウス、ダンス、コント、ふれあい動物園、演舞発表会、ヒーロークイズ、かえるの歌合唱となる。
候補を挙げた者達にそれぞれPRでもしてもらおうかと言うところでタイムリミットが来てしまった。
「候補が絞れただけマシか……明日の朝までに決めておけよ」
「はいっ!」
「決まらなかった場合は公開座学にする」
ちょっとそれは……と最後の最後で全員の意見が一致した。
◇
その日の授業が終わり、寮に戻ってから再び出し物についての話し合いが行われる。何かしらヒントは無いかと動画サイトを視聴しながら飯田を中心に議論が進められていたが……。
「落ち着いて考え直してみたんだが……先生の仰っていた他科のストレスの発散の一助となる企画を出すべきではないかと思ってな」
「そうですわね……ヒーローを志す者がご迷惑をおかけしたままではいけませんもの」
少々傲慢な意見でもあるが自分達のせいでストレスが溜まっているというのなら、そのストレスを少しでも発散させなければならないのではという飯田の意見に全員が考えを改めさせられる。
自分達が楽しいだけではストレス発散には程遠いだろう。そうなると出し物も考えさせられる。
ふれあい動物園は衛生的に厳しいか?と除外。ストレス発散に繋がるかと言われると怪しいかえるの歌合唱と演舞発表会も除外。後はビックリハウスとダンス、コントにヒーロークイズが残された。
「この中だと……ダンスが一番それっぽいか?」
「まあ、そうだな。皆で楽しめるとなるとダンスになるか」
「でもよ、素人芸って結構ストレスじゃね?」
「私教えられるよ!」
「確か間飛も教えられるぞ」
「芦戸!……と間飛も?マジで?」
「アイツサイリウム?とかいうの使うダンスとブレイクダンスが出来るらしい」
実はダンスを趣味としている芦戸と【フィジカルギフト】で何故かダンスの経験値を有している間飛。芦戸は青山にツーステップを教えたという実績があり、補習中でこの場にはいないが間飛も身体の動かし方について理論的に説明出来るタイプなので信頼してもいいだろう。
ではダンスにもう一つ必要なリズム……即ち音。音楽についてはどうするのか、となった瞬間全員の視線はある人物に向けられた。
「……え?何?」
「耳郎ちゃんの楽器で生演奏!」
「うぇぇ!?」
耳郎響香。自室に楽器やスピーカーを置いているほど音楽を好み、音楽関係の仕事をしている両親の影響からロックを演奏・歌唱出来るほどだ。
これ以上なくうってつけの人材に出し物がダンスで決定される。
「いや……でも、芦戸とか砂藤とかさ。ヒーロー活動に根ざした趣味じゃん?ウチのは本当にただの趣味だし……正直表立って自慢できるものじゃないっていうか」
「ええ!?あんなに楽器できるとかめっちゃカッケーじゃん!」
「そ、そうだよ。人を笑顔に出来るかもしれない技だよ。十分ヒーロー活動に根ざしてると思うよ」
照れくさそうに、自虐的に語る彼女を上鳴と口田は真っ向から賞賛する。
彼女が思い出すのは両親に進路を相談していた時のこと。
ヒーローを目指したいけれど、教えてもらった音楽が無駄になってしまうと、自分も音楽が好きだからこそ中々言い出せなかった夢。
涙をこぼすほど悩み続けた彼女に父親がかけた言葉は『好きにやっていい』だった。
『好き』『かっこいい』『上手くできた』から始まり、些細な切っ掛けはいつの間にか『自分の仕事で他人に何をもたらせるか』という考えに行き着いた。
そういう意味じゃ、ヒーローも音楽も同じね。と語る母親の表情はとても優しいものだった。
「そこまで言われてやらないのも……ロックじゃないよね」
「おお……!」
「じゃあA組の出し物は生演奏とダンス!パリピ空間の提供だあ!!」
あなた達に教えてもらった音楽は自分の中に生きていると伝えよう。耳郎はグッと拳を握ってやってみせると宣言した。
◇
雄英高校が来たる文化祭に向けて準備を進めている中、警察を振り回すとあるヴィランがいた。
誰もが簡単に利用出来る動画サイトに投稿された一つの動画。コンビニ強盗を行う一人の男性を撮影したそれはふざけているのか真面目なのか、面白おかしく編集されているのに確かな実力を映していた。
プロヒーロー4名を一方的に返り討ちにし、悠々と立ち去っていく彼の名はジェントル・クリミナル。
「さて……今日の撮影に行こうじゃないか!」
「ええ!今日も素敵よジェントル!」
自称“義賊”。彼は紳士的でない者に制裁を与えている(つもりで迷惑行為を繰り返している)のだ。先のコンビニ強盗ではプリンのラベル偽装が行われていたという疑惑が浮上していた為にターゲットとされたらしい。
しかしだ。既に6年もの間続けてきた
「私はめげたりしないのだラブラバ!!それは何故か!?次の企画はそれすら凌駕してしまうからさ!」
「素敵!聞かせてジェントル!次の企画は何なのよ!?」
「ふふ……偉業とは常に時代への問いかけだ。彼らを話の中心たらしめた始まりの地さ」
悪どい笑みを浮かべ、ジェントルはターゲットを告げる。
「一ヶ月後、例年通りなら文化祭がある。一度襲撃に遭いセキュリティを強化した学校……ヒーローの今を象徴するあの学校」
「……!それって!」
「ああ。この私が雄英高校に侵入してみたら……それはもうすごい大事になるだろうねェ」
偉業への渇望が小悪党をヴィランへと変えてしまう。
「……でも最近の学生って怖いよねえ」
「体育祭凄かったものね……」
「いいや!私は怯むものか!学生に怯えて何が偉業か……!」
「強がる姿も素敵よ!ジェントル!」
……やっぱり小悪党かもしれない。
芦戸「間飛ってどんなダンス出来るの?」
間飛「オタ芸とかブレイクダンスとかかな」
耳郎「オタ芸……?」
間飛パパ「オタ芸いけます」
間飛ママ「ブレイクダンスいけます」
間飛祖父「社交ダンスいけます」