え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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属性もネタもマシマシで

 

 

 

「我が名はロミオ!アズカバンの亡霊パリス伯爵よ!ジュリエットを返してもらおう!!」

 

 剣を片手に勇ましく名乗りをあげる物間(ロミオ)。対するは漆黒のローブを纏い不敵に笑う鉄哲(パリス)

 フードの奥で怪しく輝く金属質な肌が歪み、バサリとソレを取り払う。

 

「ロミオ……オビワンから父親の事を聞いているだろう。ゴンドール王国の王であったと……」

「そうだ!だから──」

「あれは嘘だ」

「───な」

 

私がお前の父だ(I’m your father)

嘘だァァアアアア(Noooooo)!!?」

 

 ……あの、コレ本当に大丈夫な奴ですか?

 

 

 

 パロディと勢いで笑わせにくるB組の演劇に観客からはドッカンドッカンと爆笑の声があがっていた。 何か見覚え聞き覚えしかないセリフや設定ばかり出てくるのに、演者達は真剣に演じ切るものだから変なギャップにやられたらしい。

 

「まさかドラゴン討伐の決め手がエク〇カリバーになるとは……」

「最後の方のエク〇カリバーとビームサーベルの二刀流でスターバーストス〇リームはオーバーキルで笑っちまったわ!」

「アレ骨も残らねえんじゃねえかな」

 

 まあ、形はどうあれA組B組共に観客達の心をつかむことには成功した。品定めのような不躾さも最初からこき下ろす気でいた者達も声に出して謝罪する程に。

 

 そのA組はというと演出に使った氷やテープの後始末に忙しく、通りすがりの他科の生徒や保護者から褒め殺しにあっていた。

 

「響香ぁ……!父さんは嬉しいぞぉ……!!」

「わ、分かったからべそべそしないでよ!恥ずかしいじゃん!」

「でもよぉ……あっちだってあんな感じだよ?」

 

 

「イズグゥゥゥウウウ!!」

「母さん!?おち、落ち着いて!?」

 

「移ゥ……テメェ大人しくしてんじゃ〜ん?もうちょいハジケちゃってもいいんだぞう?」

「ははは口閉じてろ」

「ヒッ、怖ァ!?あたしゃ何もしてませんことよ!?」

 

「アンタ!まだドラム叩けるんじゃない!また音楽教室行ってみる?」

「ンな余裕あるかババア!」

「ババアとか言うんじゃないよ!」

 

 

「……な?」

「あんまり人様の家庭に言いたくないけどあれは多分特殊だって!」

 

 ちょっと喧しいくらい騒いでる気がしなくも無いが、文化祭の賑やかさに紛れてるはずなのでセーフだろう。きっと、恐らく、多分、Maybe。

 

 アレが凄かったココが綺麗だったと各々の保護者から褒められる中、峰田と上鳴はやけに真面目に片付けをしていた。はて、彼らの保護者はどうしたのか。

 

「なんかカリカリしてっけど、どうした?」

「あったりまえだろ!早くしねえとミスコンのいい席取れねえだろ!?」

 

 アッハイ。それどころじゃないんですね。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 所変わってミスコン会場。何とか席を取れたA組生徒達も観客に混じり、今か今かとステージ上を見つめていた。

 轟や爆豪といった一部の興味が無い者は別の所を見て回りたいと別行動を取っており、それ以外はB組から拳藤が出ていると聞いて見に来たようだ。

 

 続々とパフォーマンスを終えていく少女の中、とうとう拳藤の出番が来た。

 

『続いて1年B組ヒーロー科!拳藤一佳さんです!』

 

「……私はこういう場に慣れてないので、いつも通りの私でいかせて頂きます!」

 

 青を基調としたベアトップドレスを乱暴に引き裂く。おおよそミスコンではまずない蛮行にどよめきが起き、それを意にも介さず用意された厚い木板へと向き直る。

 

 深く息を吸って、短く息を吐くと同時に拳藤の手刀が振り抜かれた。

 

「ハッ!!」

 

「「「おおおおおっ!!?」」」

 

『お見事!華麗なドレスを裂いての演武!!強さと美しさが共存する素晴らしいパフォーマンスです!!』

 

 同級生を何度も仕留めてきた鋭い手刀が厚い木板を真っ二つにへし折った。力強く実直な一撃は美しさを競うミスコンの場には似つかわしく無いはずなのに、ドレスアップされた彼女の美しさは微塵も損なわれていなかった。

 

 ステージでフフン!と笑う彼女を盛大な拍手が賞賛し、ゆっくりと戻って行った。

 

「ハアッハッハァ!!これはウチの拳藤の勝ちだね!!」

「いやあ……どうだろうな」

「んん?負け惜しみかなぁ〜!?ああそもそもA組からは出場してなかったっけェ!」

「違ェよ。零……3年生3人でトップ争いしまくってるらしいから食い込めるか怪しいって話だ」

「……へ?」

 

 どうだと言わんばかりの物間。しかし忘れてはならない。これまでの2年間を3人で独占していた3年生達の事を。

 

 次いで現在2連覇中のサポート科3年生、絢爛崎美々美の番だ。

 

「何も分かっていないようですね……その程度でこの私と張り合おうなんて!」

 

 豪華絢爛こそが“美”の終着点!!

 

 それが全ての彼女がやる事は一つ。己の持つ高い技術力と美しさを元にド派手にアピールする事だ。

 

『高い技術力で顔面力のアピール!!これは圧巻のパフォーマンスだァ!!』

 

「……アンパ〇マン号?」

「きかんしゃトー〇スだろ」

「シアーハートア〇ックみてえ」

 

 でも自分の顔面を全面に押し出したトランスフォームするキャタピラ車両は違うと思うの。ほらもう好き勝手に言われてるじゃん。

 それはそれとしてパフォーマンスとしては素晴らしいと言わざるを得ないのも酷い。何だその無駄な技術力は。

 

 どの辺が?と聞きたくなる高得点を叩き出した絢爛崎に物間も顔色が悪い。さすがは3年生とでも言うべきか。

 キュラキュラと軽快にキャタピラを駆動させて戻って行く絢爛崎の背中は想像よりもずっと高い壁だったらしい。本当にそうか?

 

 今年も絢爛崎かという空気になりかけた会場だが、まだ後に2人も残っている。結論を出すには早いだろう。

 

 

 

 

 

(……今年で最後か)

 

 ミスコン参加者の舞台裏。今更もう『自分は男ですよ!?』と苦言を呈するつもりはちょっとしかない。無いわけではない。

 今年で最後だと思うと少しくらいセンチメンタルな気分になってしまうのは仕方だろう。

 

 普段着にもヒーローコスチュームにも程遠い、某夢の国作品の雪の女王を参考にしたというロングドレスに身を包む自分はどう見られるだろうか?

 

「…………うん、行こうか」

 

 泣いても笑ってもこれが最後。せめて心残りがないようにと氷叢は静かに一歩目を踏み出した。

 

 

 

 

『ヒーロー科3年生!男にしてミスコンのビッグ3に数えられた一人の登場──……!?』

 

 アナウンスを担当していた者の声が途切れる。ゆっくりと姿を現した彼を見て、観客達はアナウンス担当への疑問が霧散した。

 

 薄らと青みがかった白銀のドレスを身にまとい、静かに佇むその姿は超一流の彫刻を思わせる。触れれば溶けてしまいそうな儚さと、それでも触れてみたい美しさは観客の言葉を失わせるには十分過ぎた。

 

 大勢の観客がいる中、彼の足音だけが響く。

 そしてもうひとつ、ピキ、パキ、と冷たい調べが届く。

 

「わあ……!」

「おおっ……!?」

 

 それは彼のヒールに仕込まれた氷を起点に発動した【氷操】の音。小さな氷を中心に足元から氷が広がっていく。

 一歩一歩踏み締める度に氷が広がり、雪の結晶を思わせる領域が伸びていく。氷の華を咲かせ、氷で出来た小鳥を羽ばたかせる。

 

 ステージの真ん中へと到達すると、どこか無邪気で子供っぽい普段を知る者達ほど驚かされていた。正反対な儚い雰囲気を纏うだけでここまで変わるものか、と。

 

 氷叢は無言のまま個性を使うと、再び氷が動き出す。キャット・ウォークを彩っていた氷が解けるように形を失い、氷叢の元へと集められる。

 キラキラとダイヤモンドダストの如き輝きを放つ氷の欠片達が集め、束ねられる。白銀のドレスに降り立った氷は徐々にリボンのように変わっていく。

 

「……すげえ」

 

 誰かがポツリと言葉を零した。息を飲む美しさとはこの事だろう。

 

 やがて全ての氷が彼の美しさを引き立てるリボンやベールを作り上げ、ロングドレスからウェディングドレスへと変化した。

 

 

 そしてひとつ、彼にとっても観客達にとっても予想外の出来事が起こった。

 

(…………あ、いた)

 

 見てくれるかなあ、と少し期待していた年下の幼馴染をステージの上から見つけることが出来たのだ。

 不自然にならない程度に視線を動かして探していた少年。一番見て欲しいなと思っていた相手を見つけた彼は思わず───

 

 

「……ふふっ」

 

 

 ───微笑んだ。

 

 今度こそ観客達は言葉を失った。冷たさと儚さを併せ持っていたはずの彼が、突如聖母の如き後光が差すような微笑みを浮かべたのだ。

 突然の『美しい』から一転して『可愛い』を叩きつけられた観客達は口をパッカーンと開けたままフリーズ。どこぞの僕最強だからな方の領域くらい完結しない情報を受け取りきれず、脳内CPUがオーバーヒートでも起こしたのだろうか。

 

 また静かに戻って行く氷叢を見送って数分後、ようやく再起動したアナウンスが口を開くまで会場は静まり返っていた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ミスコン控え室。全員のパフォーマンスが終わってから投票が始まり、結果発表は夕方の5時から。それまでは自由にしてていいとは言われているけれど……。

 

「…………」

「……零治?」

「……へ?」

「……ぼんやりしているが、大丈夫か」

「うん」

 

 なんと言うか、頭がぽやぽやしてる気がする。熱があるとか眠たいとかじゃなくて、変な高揚感に後押しされてるテンションが高い時みたいな感じだ。

 

 お父さんも見に来てくれていたらしく、控え室に入ってくるなりべた褒めしてくれた。見た目のせいで3回くらい警備員に止められたって聞いたけど……まあ、うん。妥当じゃないかな。

 

 緊張から解き放たれたというのもあるんだろうけど、今の僕は少し変な感じだ。何かこう、身が入らないというか。

 

「……やはりそう、か」

「ん?何が?」

「……お前は間飛さんの所の子が──」

「それ以上いけない」

 

 やめて。分かってるから言わないで。明確に言語化したら取り返しがつかなそうだから敢えて言わないようにしてるんだから。特に今の状態で口にしたらとんでもない事になりそうだもの。

 

 ……何かたまに『キタ━(゚∀゚)━!』って幻聴が聞こえてくるのは何なんだろうか。

 

 確かにステージ上で探してたし目が合ったら嬉しくてちょっと笑っちゃった気もするけど。それでも認めるには覚悟がいる事なので軽々しく言葉にしちゃいけないと思うんだ。

 

 だから出来れば僕の覚悟が決まるまでは言葉にしたくない。

 

「よぉ零、めっちゃ綺麗だったな」

「あっ好き♡」

「ええ……」*1

 

 僕が勝てるわけないでしょうが。タイミングが良過ぎるし悪過ぎるって。

 

 ああもう!もう!普通なら照れくさくて言わないような褒め言葉をしっかり目を見て言ってくるのはズルいと思います!やり直し!やり直しを要求する!

 

「普段は可愛い系にするのに綺麗系でもいいじゃんか。今度服見に行くか?」

「うんっ♡」

「ダメみたいですね」*2

 

 ……まあいっか!

 

 

 

*1
困惑する大総統顔のお父さん

*2
思考放棄した大総統顔のお父さん






間飛「やっぱ零は……」
氷叢「えへへ……」

氷叢父(それで違うは無理があるぞ……)
間飛父「控えめに言って草」
間飛母「あらあらまあまあ」

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