え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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ランキングに納得できない時ってあるよね

 

 

 

 ヒーロービルボードチャート。

 長年トップ2の名前が変わることはなく、しかし3位から下の名前も大体固定されている。15位から上の顔ぶれはあまり変わらず、集計期間の活躍で左右されてしまう。

 ヒーローとしての実力と活躍と人気が目に見えて分かるランキングだが、今年の下半期特集からはこれまでとは違った結果になる事が予想されている。

 

 その理由は不動のNo.1だったオールマイトの引退宣言。これまでは3位決定戦とすら言われていたビルボードチャートの1位の座が空いたことで、とうとう頂点が変わる。

 また近年の若手ヒーローは粒揃いとも言われており、シンリンカムイを筆頭に急激に伸びてきたヒーローも多い。

 

 そんな状況でのヒーロービルボードチャート、下半期の発表。荒れに荒れるのは最早決定事項と言っても差し支えないだろう。

 

 日本国民達の注目が集まる中、華々しくランキングの発表が始まった。

 

 

『神野以降初めてのビルボードチャート!!その意味の大きさは誰もが知るところであります!!』

 

 多くのメディアのカメラや記者が少しでも情報を得たい、いい画が欲しいと殺到する発表会場。ざわめきも不安も過去一番の今日、ひとつの時代が終わりを迎える。

 

 これまで発表の場にヒーロー本人が来ることはなく、もっと小さな規模で行われていた。しかし【平和の象徴】とも呼ばれた男が不在となった今、世間を安心させる為にはその姿を見せるべきだという判断が下された。

 

『No.10!前回からダウン!しかし未だ衰え知らず!具足ヒーローヨロイムシャ!!』

 

「ふん……上位三名を除けば斯様な番付、全て時運による誤差よ」

 

 

『No.9!“キレイにツルツル”のCMでお馴染み!洗濯ヒーローウォッシュ!!』

 

「ワシャシャシャシャシャ!!」

 

 甲冑に身を包んだ老齢の達人、洗濯機をすっぽり被ったようなマスコットじみたナニカ。この場では下位に見えても数多のヒーローの中では頂点に近しい実力者だ。

 

 続いて第8位……先日の死穢八斎會の事件で活躍した彼女だ。

 

 

『No.8!前回9位からワンランクアップ!ドラグーンヒーローリューキュウ!!』

 

「アハハ……正直見合ってない気もするけど、ありがとうね」

 

 

『No.7!大躍進!成長止まらぬ期待の男!!シンリンカムイ!!』

 

 

 短く「光栄」の一言でコメントを済ませるシンリンカムイ。舞台の外ではMt.レディが取材陣に囲まれ、同じチームとしてどう思うか、熱愛報道が出てるけどどう?と質問攻めにあっている。

 ちなみにそのMt.レディの順位は23位。何でシンリンカムイだけー!と悔しそうにしているが、彼女とて賞賛すべき位置にいることに気づいてはいないらしい。

 

 

『No.6!The・正統派の男は堅実に順位をキープ!シールドヒーロークラスト!!』

 

「オールマイト……!」

 

 

『No.5!ミステリアスな忍は解決数も支持率もうなぎ上り!忍者ヒーローエッジショット!!』

『No.4!勝ち気なバニーはランクアップ!ラビットヒーローミルコ!!』

 

「チーム組んだんだってな?弱虫め!」

「黙らっしゃい。公の場だぞ」

 

 ヒーローの中でも神野区の事件に関わった者はランクアップした者が多く、そうでなくとも順位を上げたリューキュウは地道な活動が実を結んだと言っていいだろう。

 特に上がったのは支持率で、皮肉な事に大事件や大災害があった時ほどヒーローへの信頼は厚いものになっていくのだ。

 

 

『活動休止中にも拘わらずNo.3!支持率は今期No.1のファイバーヒーロー!ベストジーニスト!!一刻も早い復帰が望まれています!』

 

『No.2!マイペースに!しかし猛々しく!破竹の勢いで2番手へ!ウイングヒーローホークス!!』

 

「んな大袈裟な……てか1位と僅差ってマジ?」

 

 

『そして!暫定の1位から今日!改めて正真正銘のNo.1の座へ!!』

 

『長かった!フレイムヒーローエンデヴァー!!』

 

 

 会場に歓声とざわめきが轟いた。

 

「……引退してるのに殿堂枠で来いってのも変な話だと思うけどねえ」

 

 あと一応オールマイトさんも居たりする。気まずそうですね。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

『──それではお一人ずつコメントを!』

 

 ヒーロー公安委員会の会長さんの挨拶も終わり、ヨロイムシャにマイクが向けられた。あの人戦闘中は近寄り難いけど普段は物腰柔らかなおじいちゃんって感じなのよね。いつまでヒーローを続けられるのかしら。

 

 ガシャリと甲冑を鳴らしてマイクに放ったコメントは「これからもやるべき事は変わらん」という簡素なもの。ストイックというか愚直というか、ある意味信頼出来るタイプだよねえ……。

 ウォッシュのコメントに至っては……その、何?「ワッシャ!」で済ませていいの?あ、いいんだ。

 

 順位の並び的に次は私。うっかり大喜利的な雰囲気になったらどうしようかとも思ってたけど、どうやら杞憂だったみたい。

 

「ありがとうございます。私が解決した近い大きな事件と言えば死穢八斎會……指定ヴィラン団体の一件ですね」

『インターンの学生を抱えた上での大活躍でしたね!』

 

 大活躍……活躍にカウントしていいのかな?最後の方はほとんどその学生が戦ってたから私の功績とは言い難いんだけど。

 変に否定しても空気が悪くなるのが目に見えてるし、否定も肯定もしないでおこう。

 

「ですが私のやる事は変わりません。目の前で困ってる、助けを求める人がいるなら動くだけですから」

「分かるぞリューキュウ!オールマイトの不在に対する皆様の不安の為に!我らが立たねばならぬと決意したのだろう!!」

「わっ、ビックリした」

 

 く、クラストさん……順番もだけど急に大声を出さないで欲しいなあ。ほら、ミルコさんなんか耳がいいから飛び退いてるじゃん。

 

 シンリンカムイさんは、エッジショットさんとMt.レディさんとチームを組んでたんだっけ?ラーカーズ……どんな意味の名前かは知らないけど、トップ10二人と23位のチームアップは凄く頼もしいね。

 

 クラストさんはやっぱり大声で神野の事件に関われなかったことを嘆き、割り込んだミルコさんはシンプルな宣戦布告。あの人なら本当にぶっ飛ばしに行くから割と本気で覚悟しておいた方がいいよ〜。

 

 そしてエッジショットさん。この人も相変わらずストイックというか質実剛健な人だよね。忍って言う割には全然忍んでない気もするけど……まあそういう人って結構いるから今更な話だよn「それ聞いて誰が喜びます?」……うん?

 

「えーと?支持率だけでいうとベストジーニストさんが休止による応援ブーストがかかって1位……2位が俺3位エッジショットさん4位にミルコさん……で、5位がエンデヴァーさん以下略」

 

 ……まあ癖の強い人達が集まったことだし、こういう事をする人が一人や二人くらいいるんじゃないかなあとは思ってたけども。まさかNo.2がやるとはね。

 

 エンデヴァーさんの支持率減少は例の記者会見もあるから一概には言えないけど、ホークスさんが言うように支持率は大事な数字だとは思う。要はどれだけこのヒーローが信頼されているかって目安でもあるから。

 

「象徴はもういないんスよ?」

「一応いるよー?」

「多分口挟んじゃダメなやつです。静かにしときましょう」

 

 …………そういえば殿堂入りですよ!って言われてオールマイトさんも来てたんだっけ。何かステージの端っこの方でスタッフに止められてるけど。

 

「俺より成果の出てない人達がなァにを安牌切ってンですか!もっとヒーローらしいこと言って下さいよ!」

 

 ホークスさんねえ……正直苦手なんだよね。事務所立ち上げてすぐにトップ10入りしたらしいし凄いとは思うけど、マイペースっていうか傲岸不遜なところはちょっと勘弁して欲しいかなあ。

 誰が言ったか『速すぎる男』と呼ばれてるけど、私としてはあんまり近寄りたくない。

 

「さぁお次どうぞ?支持率俺以下のNo.1」

「……」

 

 だけどホークスさんの言うことにも一理ある。オールマイトさんの引退はそれだけ人々を不安にさせてるし、私達でその不安を埋められるとも思えない。どうしたってこれからの世間の目はより厳しいものになる。

 なのに分かりきったこと、これまでと大して変わらないコメントを口にして何の慰めになるというのか。

 

 ……と、ここまで御託を並べても私のやる事は結局変わらない。私に象徴は務まらないし皆を安心させられるだけの力は無い。こういうところが無難に落ち着いてしまう原因なのかも?

 

 それにしてもエンデヴァーさん喋りにくいんじゃないかな。ホークスさんが的はずれなことを言ってたならさておき、否定できない指摘だったのはそうだし。

 

「……先の記者会見もあって本当にエンデヴァーを信頼していいのか、という声も数多く見かけた」

「……」

「今しがた若輩に煽られたように、象徴の不在を不安視するものも多いだろう……多くは語らん」

 

 

 

 

───俺を見ていてくれ。

 

 

 

 ……そう悲観する必要もなさそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、結局私何で呼ばれたの?」

「この後エンデヴァーさんにNo.1の座を受け継いでもらう、っていうのをやるらしいですよ?」

「不快だ」

「デスヨネー……」

「……エンデヴァー君がそう言うのは分かってたんじゃない?」

 

 この後すっごいしかめっ面で後継式的なのをやった。エンデヴァーさん滅茶苦茶イライラしてるじゃん。やめとけば良かったのに。

 

「……これ煽り過ぎましたかね」

「最後の後継云々はホークスさんには無関係だし、気に病まなくていいんじゃない?」

「はっはっは!……この後炙られそうですね、どうしましょ」

 

 自業自得だから諦めて。

 

 

 






ホークス「……なんスか?」
リューキュウ「いや別に何でもないよ?」
ミルコ「いや何も?」

リューキュウ(あの子、同じようにすぐさまトップ10入りしそうだよね……何ならホークスさんの記録塗り替えるんじゃないかな?)
ミルコ(象徴……にはならねえだろうけどそれっぽい奴はいるんだよな)

IXA「ブヘックショイ!……風邪?」

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