途中に独自解釈で勝手に生やした設定があるので違和感があるかもしれません。本編でそういう描写がこの先出てくることもないので「コイツまーたなんか言ってら」ぐらいに思っていただければ幸いです。
勝ち目薄過ぎワロタァ!!
……第五セットのB組全員の心境を雑に纏めると、大体上の一文になってしまう。
触れられたらほぼ負けに近い麗日お茶子、下手に受けると大惨事になる芦戸三奈、下手に受けると動けなくなる峰田実、そして
一応彼らの個性だけを見れば距離さえあれば何とか……!と思うだろうが、ゴリラの片割れにワープ機能が付いてるんです。生半可な距離ならむしろ見失う可能性が高いのでどっちにせよクソゲー。
じゃあ不意打ちすれば……!と思うだろうが、ゴリラ達の片割れに索敵機能も付いてるんです。下手に近づくと一人ずつ順番に落とされるクソゲーだ。
え?ゴリラの片割れが強すぎるって?大丈夫、もう片方はただのゴリラだから。*1
あ、ちなみにそのただのゴリラはもう片方と同等以上のバ火力です。やったね。
「……これさぁ!!心操君の【洗脳】以外の勝ち筋無くないかい!?」
「ウラメシい……緑谷もだけど間飛の方が本っっっっ当にウラメシい……」
「愚痴ばかり吐いても何もならないとは理解しているが……それでも一つや二つくらいは許されるのではないのだろうか」
物間、柳、庄田の三人もこの言い様。言いたいことは分からんでもないし何ならA組もほとんどが同情してくれてる。
けれど相手が決まっている以上は負けると分かっていても挑んでもらうしかない。プルスウルトラだろ?してよウルトラ。
「ん!」*2
「間飛が反応しそうなワードって何かあるかな……」
残りの二人はやる気十分。勝てなくても勝つつもりで挑むんだー!とフンスフンスしてる小大と頭を回す心操。
特にほぼ唯一と言っていい勝ち筋の心操は真剣な顔でアレか?コレか?と間飛を釣るパターンをずらりと頭の中に並べている。
もう勝てるかどうかよりも今の自分達がどこまで間飛に通じるのかを確かめよう。そんな後ろ向きなのか前向きなのか分かりにくいモチベーションを得た心操と物間の二人は、何とかならないものかと必死に策を巡らそうとしている。
その一方で柳や庄田はというと。
「ウラメシい……間飛に悪意が一切無くて何ならリスペクト精神がある人だから恨めなくて余計ウラメシい……」
「彼は褒め上手というか、基本的に相手に敬意を払うタイプだ。嫉妬もできん」
「ん」*3
せめて人間性くらい終わってろよ、と思わなくもなかったらしい。なのに嫉み難いわむしろ好感が持てるわで一周まわって腹立ってきてるし。
元は心操だけだった放課後トレーニングに時折B組のメンバーが混ざっていたのだが、その時の間飛はよく皆を褒めていたりする。
本人曰く『貶されるより褒められた方が嬉しいしテンションが保てるから』との事だが、少なくとも誰だって褒められて悪い気はしないのだ。柳なんかは度々『今のどうだった!?』的な視線を送ったりするようになってしまったが。
何にせよ避けては通れない壁だ。ならば当たって砕けろの精神で突っ走るしかない。
「どうしたお前ら、露骨に雰囲気が暗いな。まるでお通夜みたいじゃないか」
「ブラキン先生ェ……」
項垂れるB組生を見ながら咎めるように話すブラドキング。いつものような熱血な全肯定では無い言葉にまたテンションを一段落としながらも、チラリとモニターに視線をやりながら取蔭は話す。
「間飛ってヤバいじゃないですか?何かハンデ欲しくなるレベルだと思うんですけど……」
「くひひ……同感」
「情けない話ですが、同じ意見ですぞ」
「……まあ、だろうな」
彼らの言いたいことはただ一つ。アレそのまんま参加させてよかったの?だ。
確かに間飛は現時点で一年生最強どころか雄英最強、を通り越して普通にプロヒーロー上位じゃね?みたいな戦闘力を誇っている。アレと殴り合えというのは普通に怖いし何かハンデをくれよと言いたくなる。
教師としてあまり言いたくはないがブラドキングも同意見だった。もう飛び級させちまえよとプレゼントマイクが笑っていたのをよく見るがある意味では笑えないので本当にやめてほしい。
だがだ。だがその上でブラドキングは……雄英の教師達は間飛にハンデを与えないことにしている。
「雄英の校訓は“
「ぐう……デスヨネー」
「……お前ら知らないのか?俺はよく除籍することで有名だが、別に他の先生方が除籍をしないわけじゃない」
「「「そうなの!?」」」
「おい」
ブラドキングに続いて語る相澤にB組だけでなくA組の生徒達まで驚いた声をあげた。妥当。
とは言ったけれど除籍というよりは“進言”に近い。相澤が問答無用で「ハイサヨナラー」だとすれば、他の教師達は「あんまり向いてないし……別の事しない?」的なニュアンスになっている。
どうしたって時が経つに連れて適性や成長速度によって限界を迎える生徒が出てきてしまうのだ。普通の学科でも起こり得る事も雄英のヒーロー科となれば手遅れに、人生の致命傷にすらなり得る。
そもそもヒーローとして適性がないのにヒーローを目指す。これ程愚かな行為もあまり無い。
何せヒーローというのは本当に命懸けの仕事だというのに、時流やその時々の運勢でまるっきり収入と評価が変わるのだ。その辺りが向いていない人間にとっては精神的にも肉体的にも金銭的にも苦痛しかなく、やめるなら早いうちがいい。
「それでもハードルを上げ続けるのはそれだけ期待されてるってことだ。さすがにアイツ基準だとハードルが高過ぎるとは思うが、何もしないよりは挑戦ぐらいはして欲しいね」
「……押忍!」
負けてられない。拳藤の返事を皮切りに全員から頼もしい返事と雰囲気が返ってきた。
◇
第五セットが始まった。
その気になれば開幕から一瞬で接敵可能な間飛だったが、今回の間飛は味方を活かす方針でいきたいのか独断専行をするような気配は無い。
「やっぱり心操君が怖いな……」
「いつ【洗脳】されるか分かんねーしな」
「あんまそこに囚われんようにね?物間くんとかも怖いし」
呑気にも見える纏まっての移動だが、間飛がいる時点で索敵が自動的に行われているのだ。全部よろしくー、とはならないが戦闘態勢に移る事だけを考えていればいいのはとても楽だ。
跳ね回るでもなく駆け回るでもなく、ただの歩行ですら索敵に転じる間飛の個性は凄まじいものだ。
現に今、彼はとある人物の存在に気づいた。
「……今は近くに一人、ちょっと離れた所に二人いるな」
「もう来たか……!」
「峰田【モギモギ】撒いとけ。芦戸さんはそこらのパイプの根元部分溶かして足場脆くしといて」
「おう」
「アイサー!」
近くにいるのは恐らく物間。遠くにいるのは小大と柳の二人だろうか。間飛は静かに二人に指示を出し、緑谷と視線を合わせてコクンと頷きあった。
全身に迸るスパーク。緑谷が【フルカウル】を発動した証拠だ。耳をすませばパリパリと電流のような音を立てるエネルギーの巡りに頼もしさを感じさせ、グッと身をかがめると勢いよく跳躍、そして走りだす。
間飛の探知範囲内にいた物間が動き出したようだがもう遅い。A組でも相当逃げにくい緑谷の速度からは逃れられない。
何かのタンクの陰に隠れていた物間の頭上に緑谷が現れた。
「まさか君の方から来るとはね……ッ!?」
「……ッ!」
間飛か緑谷のどちらかが釣れればいい。そう思っていた物間は口角を上げて話すが、緑谷の返事は無言の【エアフォース】だった。
発目お手製のガントレットで安定したデコピンによる遠距離攻撃が鉄製の足場をひしゃげさせ、その威力の高さをありありと見せつける。
背筋に冷たいものを感じつつ、物間は覚悟を決めて走り出した。
「後は頼むよ小大、柳、庄田」
「……!」
「無言で追いかけてこられると怖いんだが!?」
それでも怖いものは怖い。捕まったら足とか捩じ切られそうな気がする。普段より二割増で喧しく声を上げながら物間は駆けて行く。
緑谷に限らず彼らが警戒しているのは物間によって【洗脳】が増えているパターンだ。
物間の個性【コピー】は読んだそのままの能力なのだが、問題は本人以外は誰の個性を【コピー】しているのか分からないという事。
相手に心操がいる以上は物間の前でも安易に口を開いてはならない。故に彼らが出した結論はまず心操か物間を倒すべきだ、というものだった。
しかし緑谷が向かったからもう安心……というわけでもない。
「確実に仕留めるんなら俺が行くべきなんだが……多分向こうは緑谷釣りにいったなコレ」
「えっ?どういうこと?」
「柳と、唯だ」
どこかを睨む間飛。視線の先には小さな何かが宙に浮いてこちらに向かってきており、サイズこそ小さいけれど当たれば痛いだろうなという物が飛んできている。
推察される個性は小大の【サイズ】と柳の【ポルターガイスト】だ。小大が小さくした物を柳が遠くから操ってぶつけるつもりなのだろう。
だとすればいきなり大きさが変化する可能性が高い。間飛は駆け引きに入る前にデコピンの衝撃波で浮遊するガラクタ達を撃ち落とす。
「麗日さん!峰田!例のヤツやるぞ!」
「おっしゃあ!」
「えっもう!?早くない!?」
「じゃあそこらの建物溶かして作るね!」
面白い。ニヤリと笑った間飛は先に話し合って決めていた作戦を試すことにした。
──とある日の放課後訓練
間飛「これ柳さんと唯にプラスアルファするだけで滅茶苦茶強いな。遠距離で幾らでも叩けるじゃん」
柳「そう?」
小大「ん」
間飛「超小さくして遠距離の不意打ちとか出来るし、例えば泡瀬とか凡戸とかと組み合わせたら一気に捕獲とかできねえかな」
柳「……結構アリ、かも?」
小大「ね」
※その後一緒に色々試して全部迎撃された。なんでや。