え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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◇←以降の彼の顔はずっとスンッ…となっています。
それをイメージしてご覧下さい。





緑谷出久は逃げられない

 

 

 

 対抗戦が終わった後、制服に着替えた緑谷、爆豪、間飛はいつもの仮眠室でオールマイトと向かい合っていた。話題は言うまでもなく対抗戦で見たあの黒いナニカである。

 

 元々は緑谷と間飛がよく来ていたこの仮眠室に新しく加わった爆豪だが、渋い顔をしたままあまり口を開いていない。

 幼馴染の珍しい姿に困惑する緑谷と爆豪が思っていることに同意しかない間飛もまた押し黙ったまま。やたら威圧感のある三人の生徒を前にオールマイトは少しビビっている。

 

 せめて誰かしら口を開いてくれないか、と冷や汗をかき始めた頃にようやく爆豪が口を開いた。

 

「アンタの個性だったんだからアンタも何かしら知っとけや!!」

「すいませんっ……!!」

 

 だいぶ真っ当な怒りでした。

 

 

 

 彼らが話題にしていた黒いナニカ自体は先代の継承者の一人の個性でファイナルアンサー、じゃあ何でそんなものがいきなり出てきたのかという話になっていた。

 

 緑谷が一瞬目にしたというスキンヘッドの継承者はオールマイトの先代の先代でもなく、何代も前の継承者の個性が出てきたという事になる。

 そしてオールマイトの師匠……七代目にあたる人物も歴代継承者の個性が備わっているなど口にしたことがなく、恐らくとついてしまうが七代目も知らなかったのだろう。

 

 つまり歴代継承者の個性が出てくるのは緑谷が初。元は無関係な間飛も先代の継承者であるオールマイトも何かを教えることは出来ない。

 

「ちょっとこれは……難しいな」

「やっぱり?」

「つかテメェが出久の訓練手伝ってたんか」

「後付けの超パワーってところが似てたからな。理論派の緑谷に教えるのは割と簡単だった」

 

 まずそこから知らない爆豪から尋ねられるが、間飛から見た緑谷は教え甲斐のある相手だった。

 

 感覚派と理論派なんて言葉を使いがちだが、その違いは自分の中の感覚を正確に言語化して話せるかどうかでしかない。極論どちらも感覚派とすら言える。

 その点で言えば間飛は言語化出来る側であり、言語化された感覚を自分に適用させることが出来るので教える立場に立てばそれなりに頼もしい存在だったのだが。

 

「……お前が初ってことは何かしらトリガーになるモンがあるンじゃねえのか」

「いや、それらしいことは何もしてないよ?出力が何%を越えたからとかだったらオールマイトでも知ってるはずだし」

「オール・フォー・ワン……は、タルタロスでオギャバブしてるから無関係だろうし」

「おう今なんつった」*1

 

 これまで【ワン・フォー・オール】の出力制御を手伝っていた間飛でも、急に複数の個性が出てきてしまってはさすがに手に余る。かといってオールマイトは感覚派の上にフィジカル一辺倒なのであてにできない。

 

 それにあの黒いナニカをもう一度出そうとしてみた緑谷だったが、どれだけ力んでもイメージの仕方を変えてもウンともスンとも言わない。今ここでどれだけ話し合っても机上論にしかならない。

 

 結局それ以上に何かがわかることもなく、その日は解散の流れとなった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

『……おっ?坊主が来た!坊主が来たさァー!!』

『え?もうですか?』

『ふむ、予想よりもずっと早いな』

 

 不思議な空間。辺り一面が真っ白な場所に八つの椅子が置かれていて、そこには三人の人が座っていた。

 

 昼間の対抗戦で一瞬だけ見えたスキンヘッドの男性と顔に二筋のヒビのような紋様がある男性、ハイネックコートで口元を隠した穏やかな男性。恐らく彼らは歴代継承者(・・・・・)なんだろう。

 

 彼らは僕の姿を視認するとパアッと表情を明るくさせて他にいる誰かに呼びかけるように声を張り上げた。

 

『昼間はいきなり出てきて驚いたか?まあ驚くさー……何せ完全に未知のモンが出てきてたからな』

『アレは私も驚いた。いきなり引っ張り出されたかと思えば歴代継承者の方々と顔を合わせる事になるとは』

『厳密には顔じゃないんですけどね。あくまでも因子ですし』

 

 和やかな雰囲気で語ってるけど……何もかも初耳な情報ばかりでどれから尋ねればいいのか。せめて一つずつしっかり教えてくれませんか。

 

 って、遠くから別の人も来てる……!?まさか歴代継承者が全員出てくるってことですか!?

 

『皆が揃う前に少し説明するさー。まずあの黒いのについてだな』

 

 黒いのって言うと、対抗戦のヤツですか?

 

『アレは俺の個性【黒鞭】……最初が俺で良かったさ。他の人の個性だと大惨事になりかねなかった』

 

 スキンヘッドの人……五代目はニカッと笑って話を続ける。

 

 【ワン・フォー・オール】には歴代継承者の因子が混ざりこんでおり、これまでの継承者達の中でもずうっと【ワン・フォー・オール】の核に混ざっていたらしい。

 それが今になって大きく膨れ上がり、変化し始めた。炎で言う揺らぎ、水面で言う波……それが大きくなったのは【ワン・フォー・オール】が成長している証拠だと5代目は語る。

 

 最初に出たのが【黒鞭】だったのは、僕自身が『捕らえる』とか『掴む』という事に意識を傾けたから、という可能性が高いとのこと。

 

『──それだけじゃないけどね』

『まったくだ。ただの甘い希望を抱く小僧かと思ってみれば……発現したばかりの【黒鞭】をああも使いこなすなんてな』

『…………』

『リーダーにしてはやけに褒めるな……アンタがバカ笑いしてる所なんて初めて見たぞ』

 

『おっ、与一さん!と、結局皆来たみたいさー』

 

 ……何となく、だけど分かる。あの人が【ワン・フォー・オール】の初代、オール・フォー・ワンに抗う始まりの人物だ。

 隣の男性は……な、なんかかっちゃんに似てる気がしなくもないなあ……?ちょっと怖いけどあの人の目が真っ直ぐにこっちを見てるから背ける訳にもいかないし。

 

 で、三人目の女性の人は多分オールマイトのお師匠さんだと思う。確かオールマイトがお師匠さんは女性だって言ってたし。

 四人目の男性は、リーダー?って呼んでたからかっちゃん似の人と別の繋がりがあったんだろうか。この人の方が怖いかもしれない。

 

『さて……色々と予想外なことばかりだけど、何から話そうか』

『……というか小僧、喋れるか?』

『…………あ』

 

 気づきました?今の僕って身体の半分くらいモヤみたいになってて全然喋れないんですよ。出来れば喋れるようになる方法とか教えて欲しいかなー……。

 

 え、強く念じれば多分イケル?そんな軽いノリで本当に?…………あ、イケルんだぁ……。

 

(……すいません。何とかしゃべれるようになりました)

『ごめんねいきなり。既に五代目から話は聞いてるだろうから補完する形で続けさせてもらうよ』

『ならばまず私が話そう』

 

 えっと……あ、四代目ですか。では四代目と呼ばせて頂きます。

 

 四代目はいきなり僕に質問をしてきた。その内容は『四代目の享年と死因を知っているか』というもの。

 

 訓練後に聞いた話の中にはそんな情報は無かったから知りません、と答えると目を細めて教えてくれた。

 

 四代目の死因は老衰。享年は40歳だそうだ。

 

(老衰……40歳で……!?)

『断定は出来ないが八木くん……ああ、ソコの不鮮明なモヤが教えてくれたから言えることだ。結論から言うと──』

 

 

 【ワン・フォー・オール】は普通の人間には扱えない。

 

 淡々と語る四代目。オールマイトに次いで保持期間が長いらしい四代目は【ワン・フォー・オール】を継承した時点で奴には勝てないと悟り、力を貯めるターンと割り切って十八年間もの間鍛錬を重ねたらしい。

 

 晩年には身体にヒビが入り、何らかの病気を抱えていたわけでもなく40歳で人生に幕を下ろした。

 

『【ワン・フォー・オール】の所持に伴う負荷とも考えたけど……八木くんはもっと長い間ソレを持っていた』

『では私にあって彼に無いモノ、或いは私に無くて彼にあったモノを考えた。そして……辿り着いた答えは無個性だった』

(……!!そういうこと、ですか)

 

 つまり、生まれ持った個性と【ワン・フォー・オール】は同居出来ない(・・・・・・)。オールマイトが元無個性であるように、僕もまた無個性だった。

 長い時を経て強くなった力は生まれ持った力に加わることで身体に負荷をかけ、寿命すら縮めてしまう代物に…………?

 

 

 アレ?ちょっと待って?

 

 

(……あの、質問いいですか?)

『なんだい?』

(僕の友人に個性を二つ持ってる人がいるんですが……?)

『『『えっ』』』

 

 その理屈でいくと間飛くん死んじゃうんですが。僕と同じくらいのパワーをとんでもない個性と両立させてるんですが。

 

『ちょ、待っ……ええ……?』

『……ソイツはオール・フォー・ワンの刺客とかじゃないんだな?』

(はい。無関係でした(・・・)

『過去形……?』

 

 ええ、過去形です。何でか過去形です。何ででしょうね……。

 

『……ずっと不思議だったんだが、君は何故そんなに落ち着き払っている?』

『志村さん』

『【黒鞭】が出た時はもっと慌てふためいていたのに、それ以上に突飛な空間で信じ難い光景を目の当たりにして……何故動揺していない?』

 

 …………。

 

 ……オールマイト、これもうゴールしてもいいですよね?

 

 

(…………先に言っておきます。これから僕が語る内容に嘘偽りは無い、と)

『……ああ』

 

 じゃあ、ちょっと情報の洪水が来ますが頑張ってくださいね。

 

 

 

*1
何気に初耳のかっちゃん






初代「やあ」
二代目「……」ニヤニヤ
三代目「ふん」
四代目(……?何故【危機感知】が働く?)
五代目「とりあえず一安心さー……」
六代目「初めまして」
七代目「……」グスッ
八代目[ミュート中…]
(八代目が薄すぎて伝わった情報が滅茶苦茶少なかった模様)

緑谷「あっ……」(この後の惨状を大体察した)

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