え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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降って湧いたボーナス

 

 

 

 オッスオラ間飛。対抗戦が終わった翌日の昼休みにいきなりオールマイトが来たかと思ったらお高いお店の焼き菓子セットみたいなの貰っておでれえたぞ!!アレ??一箱10万近くするやんけ……怖……。

 

「というわけでお裾分けだ」

「「いえーい」」

「ん」*1

 

 わあ、テンション低っく。

 

 

 

 

 

「で、これどうしたんだ?」

「何かオールマイトが『わわわ、私が独特の姿勢で来たァ!!』って直角お辞儀をしながら持ってきた」

「んん……?」*2

「俺もよく分からねえんだけど、夢枕に立った師匠から頼まれたとか……俺何かしたっけ?」

「このフィナンシェ美味しいですね!!」

 

 チャットアプリで三人に『放課後にいいもん食わしたるぞー』って送ったらちゃんと来るあたり面白いなコイツら。ポテチ持ってきた心操は褒めて遣わす。甘味の後は塩気欲しくなるよな。

 

 焼き菓子の出処はオールマイトなんだが、何故渡されたのかはほぼ不明。考えられる遠因としては緑谷の【ワン・フォー・オール】関係だろうけど、それがどう回り回って俺のところにこんな物が届くことになるんだろうか。美味しいからいいけども。

 受け取った後に値段調べてビックリしたわ。一瞬ゼロを数えるのが面倒なくらいのお値段してやがりましたよ?ンな金額の代物をPONと渡すな。

 

 ……あー、発目?美味しいのは分かったが、口元に食べカスついてんぞ。

 

「というか俺らで良かったのか?A組で食えば良かったじゃん」

「個数的にな……?多分血みどろの取り合いになるかもしれねえと思って」

「ひいふうみい……少なくとも21人で平等に行き渡ることはなさそうですね」

「ん」*3

 

 おいヒーロー志望。

 

 ……とは言ってもマジで取り合いにはなりそうだよな。寮生活だとそれなりにお菓子も貴重品になるし、ウチみたいに親がそこそこの量を郵送してくれたりしなかったら貴重品にもなる。

 だから20人……俺以外の人間に平等に配れる数になるまで食べて貰いたくて持ってきたんだよ。種類問わずに個数で数えると32個も入ってるし。あ、そっちのラングドシャ取って。そう、そっちのチョコの方。

 

「そういや間飛、知ってるか?コレ」

「ん?ああ……ソレか」

 

 心操が見せてきたのはスマホの画面。一昔前に流行ったらしい『異能解放論』とかいう思想系の書籍。

 どうも最近また流行が再熱してるらしく、一部のヴィランなんかは犯行前に『異能解放バンザイ!!』とか声を上げてるとか。

 

 これでも一応ヒーロー科、世間のニュースにはそれなりに気を配らなきゃならないので把握はしてる。具体的な中身はさておきどういう理屈でどういう思想なのかも。

 

 その上で俺から出せる結論としては。

 

「その手の事を口にする奴って大抵何かしら恵まれてる側の言葉だよな」

「……まあ、確かに」

「ん?」

「早い話が『俺の個性はサイキョーだから自由に使わせろ!!』的な内容なんだよ。個性で社会的に苦労したことの無い阿呆の机上論だわな」

 

 馬鹿じゃねーの、の一言に尽きる。

 

 詳細を語ると……個性という才能は抑圧すべきではない、生まれ持った才能を自由に行使して何が悪い。誰しもが個性によって当人の100%の能力を発揮出来る社会であるべきだ、って感じの意見だった。

 

 そういう奴は個性の能力に自信はあってもそれ以外がカスだったりするか、或いは個性の能力をひけらかしたいだけの阿呆かの二択でしかない。

 

 言いたいことは分からんでもないんだけどな。身近な人で例えるなら麗日さんは工事現場で引っ張りだこになるだろう個性だし、上鳴なんかは電気関係の仕事で引く手数多だろう。

 

「毎回結論はやり方が間違っていた、で終わるよなコレ」

「それな」

「ングっ……異能解放論ですよね。サポート科というか産業を支える立場としては勘弁願いたい話ですね」

「そうなのか?」

「はい。産業というかどこでもそうですが……“替えのきかない唯一無二”って思ったより扱いに困ることが多いんですよ」

 

 ああー……確かに。

 良くも悪くも消費社会じゃ替えがきく前提みたいなところあるもんな。それこそ麗日さんや上鳴ありきで成り立ってたとしたら、その二人が消えたら何もできませーんは困るよな。

 

 よく今の社会を『抑圧社会』なんて言い方をしているが、俺としては個性を持て余しているってのが正しい気がする。

 完全に個人の感覚でしか使いこなせない個性を社会の機構に組み込むのはリスキーなんてもんじゃない。下手すりゃたった一人の死で全部崩れかねない。

 

 ある程度は法律が緩いのもその辺の理由が絡んでるんだろうな。抑圧も何もよく分からないから基本はノータッチでいたい、的な。

 

「なので私としては反対ですね。既存の仕事を効率よく進められるか負担を軽減させる程度でも危ういと思いますし」

「……ん」*4

「だよなあ……」

 

 結局のところ異能解放論ってのは個人主義を推し進めたい連中がお題目として掲げるのに都合がいい考え方、くらいに考えとくのがいいだろうな。

 

 ……しっかし無駄に歴史長いよなこの思想。変に感化された阿呆が増えてるのも気になるし、面倒事になりそうだから本の出版の差し止めぐらいはして欲しいもんだが。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「……ちっ、ダメだ。コイツらも無関係だ」

 

 荼毘が掴んでいた襟首を手放すとベシャリ、と地面に崩れ落ちる男。一目見て不審者と分かる怪しい服装は端々が焦げてしまい、周囲に倒れている者達も似たりよったりな状態だ。

 

「金はあったが金以外は何もねえ……収穫ナシと同じだな」

「あの魔王様の手って広いんだか狭いんだか。もう何個怪しい連中を潰したかわかんないわよ」

「そう言うな。そもそもパッと見で分かるほど怪しい連中がオール・フォー・ワンに繋がってる確率はかなり低いんだ。むしろ怪しくないが影響力が強い奴……に繋がる奴を探すしかねえだろ」

 

 コンプレスにマグネ、そして転孤が戻ってくるが彼らの手には金品や現金があるばかりでそれ以外には何も無い。

 

 現在の彼らの目的はオール・フォー・ワンの残した勢力や脳無がいないかを探しており、黒霧とは別行動を取っていた。

 何やら黒霧は心当たりがあるような口ぶりだったが、それも一ヶ月近く離れられてしまっては確認のしようもない。せめて無事でいてくれと祈ることしか出来ない。

 

 成果らしい成果と言えば死穢八斎會のように神野区の事件で逃げ出した脳無を確保していた連中を潰して回れたくらいだろうか。今彼らの足元に倒れ伏している者達にも脳無確保の疑いがあった為に襲撃をかけたのだが、どうやら無関係だったらしい。

 

「……そろそろ物資補給もしたいんだが」

「それな!知るか!黒霧か義爛に頼みてえのに連絡つかねえもんなあ」

「私のナイフも刃こぼれし過ぎてボロボロよ。ンもう……」

「連絡が取れない以上はどうしようもないだろ。戻ってくるまでは大人しくするしかねえな」

 

 普通に使用していればそう消耗するはずもない武器や装備も、ひと月の間に暴れ回った彼らの手にかかれば限界寸前のオンボロに早変わりだ。矛先は悪意に向けられているものの、彼らの手は人の血が染み付く程に汚れきっている。

 

 もう一つ避けられないのは『ドクター』という存在について。

 オール・フォー・ワンと共に死柄木弔を育て上げた人物であり、脳無作成を任されていたマッドサイエンティスト。ドクターが今の連合に対して怒りや憎しみを抱いていてもおかしくはない。

 

「あの泥ワープでいきなり引き摺り込まれる可能性もある。出来れば常に万全の状態にしておきたいが……」

「……ん?」

「マグ姉?どした?」

「何か……」

 

 

 揺れてない?という言葉が続けられるよりも早く、ソレは現れた。

 

 

 

「やっと見つけた……」

 

 ボゴッと音を立てて隆起する地面。蜘蛛の巣状に走った亀裂はすぐにバキリと割れ切って土の下にいた何者かが姿を現す。

 

 ただの人間というにはあらゆる点で異形と言う他ないその姿は凄まじいプレッシャーを感じさせ、個性の範疇に収めるにはファンタジーに傾倒し過ぎている。

 まさに巨人。一糸まとわぬその肉体は皮膚の下にある筋肉や骨格の強さをこれでもかと見せつけ、獣が唸るようなおどろおどろしい声が放たれた。

 

「ッッ……!?」

「ナンっ……だコイツは!!?」

 

「そうか……コイツが黒霧の言っていた“マキア”か!」

 

 その姿を見た連合は驚きこそすれども怯えることはしない。自分達は一度魔王を討ち取ったのだ、今更魔王の部下に怯える理由は無い。

 

 やっと奴に繋がるヒントが来た、と転孤は獰猛に笑って見せた。

 

 

「お前がそうか……」

「どれの事か知らねえが俺に用があるんだろ?来いよ」

 

 魔王の手を振り払った少年の物語が加速していく。

 

 

 

*1
「いえーい」

*2
「直角……お辞儀で?」

*3
「甘味は正義。奪い合いも起こって当然」

*4
「現にオールマイトが引退宣言を出しただけで社会が揺らいでるしね」






間飛「あ」
心操「どうした?」
間飛「食いすぎて足りなくなってる」
小大「……あ」
心操「え。俺そんなに食ってないぞ」
小大「ね(同じく)」
間飛「……て、ことは」

発目「その、すいません……今日は特に頭を使ったので糖分に飢えてまして……」←ガッツリ食べててちょっと赤面

間飛「……まあ、いいか」
心操「じゃあ俺も貰うぞ」
小大「ん(私もー)」

※結局四人で全部食べた
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