え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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本当に悪役ですかこの人たち

 

 

 

 48時間44分。自由連合とギガントマキアの戦闘時間だ。

 

 丸二日とほんの少しの戦闘を駆け抜けるように生きてみせた連合とてさすがに限界が近かった。

 壊理ちゃんによる治癒が肉体のリセットそのものとはいえ、約二日分の精神的な疲弊までリセットされているわけではない。

 

 一方でギガントマキアもまた満身創痍。最早左腕は使い物にならないほどに酷く亀裂が走り、跳ね除けられた荼毘の炎が身体のアチコチを焼いた痕が残っている。

 如何に頑丈なマキアでも二日間も全力で攻撃を受け続けてしまえば限界が来る。突破口も見えなかった皮膚からはダラダラと血が流れ出てしまっている。

 

「ぐ……」

「はぁっ……やっと、終わりが見えたな」

「……コイツどうする?確実に従わねえと思うが」

 

「…………」

「…………」

「あ、姉御達ぃ……?生きてる、よな?死んでるかもな!」

「「死にかけてるわ……」」

「オジサンにも堪えるよ本っ当に……はあ」

 

 連合もマキアも大ダメージを負っており、彼らの様子を心配そうに見つめる壊理ちゃん。さすがに戦闘に巻き込むには非力と思われたのか、マキアからもターゲットから外されていた。

 戦場から少し離れたところで潤んだ瞳のまま目を逸らさず、助けを求められる度に気力を振り絞って治癒を使用していた。

 

 長い戦いもようやく終わりが見えたことに安堵していた連合。そこに携帯の着信音が鳴り響いた。

 

「……誰のだ」

「あ、俺だ……って義爛!?」

「あ゙!?義爛ンン!?何回かけても繋がらなかったってのに……何だ今更」

 

 電話の持ち主はトゥワイス。黒霧が行方知れずになる前から何度かコンタクトを取ろうとしていたのだが、神野の事件からやけに電話に出るまでが長くなっていた。

 最近では最早電話に出ることすら無くなっていたため、これは徐々に距離を取られていたのかもなと諦めかけていたのだ。

 

 それが今になって向こうからの電話?一体なんだと言うのか。

 

「義爛!?無事だったのか!?つか今までの連絡はどうしたんだよ!」

 

 

『ああ、それは私達の所為だ。彼は悪くない』

 

 

 電話口の向こうから聞こえてきたのは聞きなれた男の声ではなく、ボイスチェンジャーを挟んだ得体の知れない何者かの声。

 

 全員の警戒度が一気に跳ね上がる。裏社会に生きる者が知らない誰かの声を聞いて呑気にしていられるはずがない。ましてや表示されていた電話番号は義爛のものだった。尚更警戒して当然だろう。

 

「義爛は!?」

『今、ニュース等チェックできる状況かい?すぐに見て欲しい!』

「俺の携帯で見る!」

 

 適当なニュースサイトを開いて見れば、そこにあったのは何者かの“指”が連日発見されているという見出し。

 

 指定ヴィラン団体死穢八斎會組長邸宅前、保須市ターミナル前、雄英高校正門前、神野区グラウンドゼロ、福岡中心部。この五箇所で同じ人間のものと思われる五指がマフラーやサングラス等の衣類と共に置かれていたそうだ。

 

 その五箇所全てが連合が現れた場所であり、特に雄英高校と死穢八斎會は連合の関係が知られているはずがない。

 独自の情報網を持っているからで済ませていい話ではない。何故それがバレている?

 

『初めましてヴィラン連合!!異能解放軍最高指導者……リ・デストロだ』

「……ヤクザの次は解放軍かよ。レトロブームでも来てんのか?」

『ハッハッハッ押さえてるね!だが違うよ……流行りを作った側だ』

 

 義爛はどうした、と怒鳴るように尋ねてみれば生きているとだけ帰ってきた。

 

 リ・デストロとやらが言うには異能の解放が目的であり、人が人らしく能力を100%発揮出来る世の中にしたいのだと。既存の枠を壊し再建することだと宣う。

 しかしそれならば連合と対立する事にはならないのではないか?それこそ死穢八斎會の時のような名前を貸せというなら話は別だが、この行動は明らかに対立しようとしている。

 

「ブローカーを解放して掛け直せ……今は忙しい。用事が済んだら聞いてやるよ革命サークル」

「……それ自分達に返ってこねえか?」

『ならばブレイクタイムがてら聞いてくれ。まず彼は解放しない。一応人質さ』

 

 ヴィラン連合は結束が固いんだろう?と誉めそやすように語る。

 

 義爛は闇に生きるブローカーにしては仕事に対する意識が高く、律儀に仁義を貫いて生きてきた。常に警察やヒーローの目を警戒し、闇の中に身を潜めていた。

 

 故に同じ闇からの追求には遅れを取った。

 

 追求される中で顧客リストを完璧に消去し、指を削がれても情報どころかうめき声の一つも漏らすことはなかった。

 

『無意味な抵抗を讃えよう!我々解放戦士達は来る日に向け準備を整えてきた!何代もかけて!』

「コイツ……マジでイカレてんな」

 

 全国に根を張らせた11万6516人。日本で市として定義される人口のおよそ二倍の人数を傘下に収めた組織。それが異能解放軍だ。

 

 全員が呆然としている中、ふと思いついたように電話口から声が聞こえた。

 

『新潟か。随分山奥にいるんだね?』

「……!?チッ!」

 

 ハッキングか。トゥワイスは咄嗟に携帯を投げ捨てるがもう遅い。ハッキングどころか衛星カメラでロックオンされてしまったらしく、どこにいても居場所は筒抜けだと告げられる。

 もし彼が通報すればエンデヴァーやホークス、エッジショットにミルコにクラスト……あらゆるトッププロが総力を上げて連合を捕らえようとするだろう。

 

 しかし目的が分からない。それが出来るならすればいいものを、わざわざ予告してまで猶予を持たせて何がしたいのか。

 

『解放の先導者は“デストロ”でなければならない……君達は名を上げ過ぎた』

「はっ……くっだらねえな」

 

 要は『自分達と同じ目的だけど自分達より名前が売れてるから潰す』ということらしい。巫山戯た事をよくもまあペラペラと語れるものだと転孤は鼻で笑った。

 

『戦おう、異能を解放して!愛知の泥花(でいか)市へ来るといい』

 

『来れば義爛は解放しよう!そして選ぶといい!!』

 

『私達と戦って潰えるか、ヒーローに捕まるか!!死柄木弔!!』

 

 

 巨悪がぶつかる時が来た。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

『……そういう訳だ。力を貸してもらおうか』

「それはまたなんと言うか……本当にいきなりですね」

 

 雄英高校のとある一室。画面を見て慌てて職員室から出ていった彼女は事情を聞いてため息をついた。

 

 彼女の名は渡我被身子。一度は潜入任務の為にヴィラン連合に加入したヒーロー公安委員会の一人だ。

 

「……その、どう支援したらいいんですかね。裏切った事実があるので下手に動くとまた疑いが強まると思うんですが」

『そうだな。どういう事情でどういう結末になったにしろ、お前が他所のスパイだった事実に変わりは無い』

「うぐ……まあ、はい……」

 

 トガは気まずそうに、それでも電話の向こうからの指摘を受け止める。

 

 

 

 

 神野区の戦いから一週間ほど経った頃、転孤にとある人物から電話がかかって来た。

 義爛かドクターか、何にせよ魔王を潰した事への抗議の電話だろうと思ってみればそこに表示された名前は渡我被身子のもの。

 

 てっきり雄英の合宿襲撃で脱落しているとばかり思っていたトゥワイスやコンプレス、マグネ達は大いに喜んだ。よかった、まだ捕まってなかった……と。

 

 しかし荼毘や転孤は渋い顔をしており、嫌そうに電話に出ると開口一番にこう告げていた。

 

「何の用だ裏切り者」

『あっ……スッ────…………』

「裏切りがバレて無いことを祈ってかけてきたか?だったら生憎だな。合宿襲撃ン時、監視用の小型の脳無がいたらしいぜ」

 

 知らされていなかった事実に全員が押し黙った。まさか一番心配されていた人物が寄りにもよってスパイだなんて、と。

 

 思えば彼女の装備はやけに充実していた。連絡がつかなくなる前の義爛に尋ねても『はあ?何だそれ?知らねえぞ?』という装備を持っていたりもしていた。

 トガの裏切りを転孤と荼毘は確信し、他の者達は半信半疑……いや、やや確信してるに近い。

 

 別にスパイが潜り込む分にはどうでもいい。そんな手を取られる様な立場にいる自覚はあるし、スパイを見抜けなかった自分達が悪い。

 しかしそれをおちょくるようにスパイがスパイとバレた上で電話をかけて来たとなれば話は別だ。舐められているのならば殺すしかないだろう。

 

 スピーカー越しに殺意を感じたのかトガのか細い震えた声が返ってくる。

 

『ちちち、違うんです……!あ、貴方達にとある提案をしたくてですね……!?』

「……マジで舐めくさってんなおい。この期に及んで俺らと手を組みたいってか?」

『……はい。ですが公安と、ではなく私と、です』

「何……?」

 

 トガ曰く、あの邪智暴虐の魔王が完全に終わったとは思えないというのだ。例え魔王本人が敗れ去ったとしても、その意志を誰かが引き継げる……或いは魔王を助けられる戦力がどこかにいるのではないか、と。

 神野の戦いに参戦こそしなかったものの、同じ場所にいてやり取りを耳にしていた彼女の独断での行動。

 

 何故公安に知らせなかった?と聞けば、公安に知らせれば連合を利用するだけ利用して切り捨てる可能性があるから、と返ってくる。抑圧社会ならば有り得そうな嫌な話だ。

 

「……それを信じろと?一度俺達を裏切ったお前を?」

『無理があるのは分かってます。なので誓います』

「何にだ」

『貴方達の友人であり、私の友人でもある移くん……間飛移(・・・)に誓って嘘はつきません』

「…………へえ?」

 

 それでも彼らがトガの手を取ったのは共通の友人がいたからに他ならない。アイツの知り合いなら信用してやってもいい、と。

 

 ここに公安の人間と連合の協力関係が結ばれた。

 

 

 

 

「それで、私は何を用意すればいいんですか?」

『必要なのは潤沢な武器と食糧、医療品。それと愛知県の泥花市までの移動手段だ』

 

 現在トガと連合の繋がりを知るのは間飛とレディ・ナガン、そして根津校長とオールマイトの四名。こうして時折向こうからかかってくる支援要求になるべく応じられるように体制を整えている。

 

 ちなみに上の四名に対し自分から話したのは二名……レディ・ナガンと根津校長だ。残り二人はそれぞれナガンと校長から聞かされたらしい。勝手に増やすなバカ。

 

 必要な物資をサラサラと纏め、ふと疑問が湧いた。

 

「……?何でそこで泥花市が出てくるんです?」

『泥花市は解放軍の最高指導者とやらがいるらしいぞ』

「ちょっと待ってくださいね??」

 

 あ、ダメだこれ。私一人の手に負えない。

 トガは秒で諦めて校長室へと駆け込んで行った。

 

 

 






荼毘「マキアどうする?」
転孤「寝てるしほっとけ」
マグネ「これ味方なら頼もしいのにねえ……」
壊理「おっきい……!」
荼毘「だあっ!?不用意に近づくなって!!」
壊理「ごっ、ごめんなさい……」

マキア「( ˘ω˘)スヤァ…」

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