どもども。アイアム間飛。何か連合の皆さんが大変なことになったとお聞きしてすっ飛んできました。
「で?何があったの?」
「いや、あの……間飛少年?君、授業はどうしたの?」
「え。ナガンさんに『今からインターンな』って言われて引っ張り出されたんですが」
「あの人なにしてんの!?」
いやナガンさんもだけど先生も大概でしたよ?何それ聞いてないんですが、的な視線を相澤先生に向けたらすっげー棒読みで『インターンなら仕方ないな』とか言い出したし。演技力5ってところか……大根め……。
小テスト?全問解き終わって見直してたところだったから問題ないよ?
それで何がどうしたのさ。今の連合ならよっぽどヤベー奴らじゃないとピンチにもならないと思うんだが。
「……異能解放軍ってのに喧嘩を売られた」
「異能解放……っていうとアレか?デストロのシンパか?」
「よく知ってるな。だが電話口の向こうの奴はリ・デストロと名乗っていた」
リ・デストロ……単純に考えればデストロの後継者とかまるでデストロが蘇ってきたようだ、的な意味合いでつけられてそうな名前だが。
単なるシンパの阿呆共ってよりはあの腐れ顔金玉と同じように準備していたパターンかもしれねえな。
……11万?何が?敵の人数?マジで?
「面倒くせえ……」
「普通は面倒くせえとかじゃなくて絶望すると思うんだが?」
「オールマイトと転孤とトゥワイスいる時点で人数差は意味ねえだろ」
自惚れでもなんでもなく、俺とオールマイトだけでも多分どうにかならなくもない。そこに基本即死攻撃の転孤と
問題はそのトゥワイスが
「トラウマの事か?それなら解決してるぜ!!」
「マジ?アレ結構根深かったと思うんだが、無理したのか?」
「ちょっとはな。アレを相手に無茶するなというのは難しい」
何したのお前ら……。
ギカントマキアとの戦闘中。連合の誰もが死力を尽くして戦っており、それはトゥワイスとて例外では無い。遠くから荼毘を増やして攻撃させたりジャックガムを増やして庇わせたりと、使い捨てが出来る分身だからこそ許される支援を行っていた。
しかし最初から最後まで無事でいられるはずもなく、マキアの攻撃の矛先こそ向けられずとも余波で吹き飛ばされたりしていた。
何回も吹き飛ばされていれば一度や二度は深刻なダメージになりかねないものでして。
「っぐぁ……!?」
「トゥワイス!?クソっ、壊理ちゃん!トゥワイスがやべえ!!」
「は、はい!!」
地表を引っ剥がすような一撃に巻き込まれ、高く宙を舞った挙句に着地に失敗。即死とまではいかずとも骨の一、二本は折れただろう。コンプレスは壊理ちゃんに治癒を頼んでカバーに入ろうとしていた。
早く治さなきゃ、と小さな歩幅でトゥワイスに近寄る壊理ちゃん。怪我の具合が一目でわかるわけもなく、とにかく身体の状態が無事な時まで巻き戻そう……としていた時。
「い……痛ぇ……痛い、のに……!!」
「トゥワイスさん……?」
「痛ぇのに消えねぇよ俺!!」
「ひっ……」
痛みに悶えながらも、涙や鼻水と泥でぐちゃぐちゃになった顔でトゥワイスは笑っていた。
壊理ちゃんが知るはずもない話だが、トゥワイスには過去の経験からとあるトラウマを抱えていた。
彼の過去を語るならばなんてことは無い、たった一度の躓きを人の悪意によって致命的な失敗にされただけだ。
両親を中学の頃に亡くし、親戚付き合いもなかったかつての分倍河原仁は現代社会であらゆる人との繋がりを失った。
孤独への対策は【二倍】で増やした自分と共にいる事。愚痴る時も悪事を働く時も自分を理解してくれる自分がいてくれるだけで心強かった。
……最後の最後で、自分に裏切られるまでは。
本物がリーダーをするのが当然だろうと分身達を率いていたのに、俺がリーダーだと宣う分身達の反乱が起こった。
縛り付けられた状態で自分が自分を殺し、自分が自分に殺される姿を見た。
そりゃあ自分が本物なのか分身なのかも分からなくなるだろう。
「っはあ……!!今、なら……やれる!!」
「そ、その前に治す……」
「あ、ごめん」
骨折程度のダメージで消えるのが分身。ならば骨折している今の自分が消えていないのは自分が本物だからだ。
いつも心のどこかで自分は分身ではないか、という疑念が漂っていた彼はようやく霧が晴れた。
克服というには少々荒療治だったが、トゥワイスは【二倍】の個性を全力で扱えるようになったのだ。
「マキア!?マキアと言ったのか!?」
「お、おう」
ちょっとオールマイトさんや。一応友人がトラウマを克服して立派に戦えるようになった感動的なお話なんですが。
「マキアは……ギガントマキアはオール・フォー・ワンの直属の部下だ……!!まさかオール・フォー・ワンが差し向けたのか!?」
「……いやいや。アイツはタルタロスで職員にガラガラであやされてんでしょ?」
「想像したくねえな」
たとえ個性の中にタルタロスから指示を飛ばせるような能力があったとしてもあの状態じゃ使えないだろうし、使えたとしてもタルタロスのセキュリティに引っかかって指示を伝え終える前に射殺されるだけだし。
あるとしたらオール・フォー・ワンが自分のクローンでも作ってなきゃ無理でしょ。
「それが……グラントリノがオール・フォー・ワンはもう一人いる、と」
「頼むからそういうことは教えてくださいよ!?」
「ち、違うんだ!?グラントリノもつい先日まで入院してたくらいで……!私も詳細を把握出来てなかったんだ!ついさっき聞いたくらいなんだよ!!」
ああもう、このポンコツ脳筋師弟め。そういうことは早めに教えて頂けませんかね?
で、オール・フォー・ワンのクローン?マジでいるの?だとしたらよくもまあ戦えるな。俺なら心折れて大人しくしてるくらいには酷い目にあったと思うんだが。
てかそのオール・フォー・ワンのクローンがマキア?を差し向けたってンなら尚更ヤバいんじゃ……待てよ?
「……これ、オール・フォー・ワンの指示じゃない説ありません?」
「何?」
「あのド腐れが連合を回収しようとしてたならマキア一体に任せると思えないんですが。むしろ確実に回収する為に脳無とかも投げてくると思うんですよね」
「……確かに。あの男は用心深く、少しでも不確定な要素があると困る事には万全を期すはずだ」
そうでないのならマキア以外の戦力が無い事になる。それか現状でマキア以外に動かせる戦力がないか。
おそらくマキアの襲撃にオール・フォー・ワンは無関係で、勝手に動かれたからオール・フォー・ワンもマキアの襲撃に援護を出せなかった可能性が高い。
もしかしたらオール・フォー・ワンのクローンはまだ体勢が整ってないのかもしれない。考えてみれば世間には捕らえられたと公表されてんだからクローンが出てきたとしても信用されるわけねえか。
「じゃあオール・フォー・ワンの横槍は無いと考えていいとして……その異能解放軍のところに殴り込みかけるだけか?」
「それだけじゃない。俺達の仲間が捕まっている」
「……まさか黒霧が?」
「いやそっちじゃねえ。黒霧は……俺らもどこにいるかわからん」
ええ……?黒霧がいるかどうかで話だいぶ変わるのに。いないもんはしょうがないけど。
泥花市に来いとしか聞いてないんだっけ。誰が敵とか分かってないのか。向こうについた途端に戦闘開始、とはならなそうだ。
「……よし、トゥワイス!」
「おう?」
「俺とオールマイト測っとけ」
「…………おう!」
考えるの面倒くせえ!!もう全部薙ぎ払うか!!
「測ってどうするの……?」
「トゥワイスさんの個性でオールマイトと移くん増やせるようになります」
「……彼疲れてる?全部ぶち壊そうとしてない?」
「……まあ、小テストが終わって突然連れ出された先で考えること増やされたらそうもなりますよね」
「ごめんっ……!!本っ当にごめんね……!?今度焼肉奢るからね!!」
【〜間飛が合流するまでの流れ〜】
緑谷個性増えたから特訓メニュー変えなきゃ……まず歴代継承者の個性から参考にできそうなヒーロー探して……
↓
あっ、明日小テストやんけ!?今のうちに少しくらい復習しとかなきゃマズイって!
↓
そ、そろそろ寝なきゃ……現在時刻深夜2時半……???
↓
起きたから日課のランニングと筋トレしなきゃ
↓
小テスト終わった……後はちょっと身体の調子と相談して抑え目にしとこうかなあ
↓
は?インターン?何のはな、ちょ、いきなり何事!?
↓
どうにでもなーれ☆
間飛「」
トガ「可哀想に……」(哀れみの目&膝枕)
脳筋「本っっっ当にごめんなさい……!!」
転孤「大丈夫か……?」