え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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地獄からの合流

 

 

 

 走る。ひたすらに前を向いたまま先を目指し、一分一秒をも惜しむように。

 

 跳ぶ。立ち止まってなんかいられないのだから、たかが壁の一つや二つ飛び越えてみせる。

 

 考える。今の自分が出来る最大限を、今の自分が超えるべき壁を。

 

 三人の少年はやる気に満ちた瞳をギラギラと輝かせながら未だに追いつけない背中を見つめている。赫い炎を身に纏った現No.1ヒーローの姿を。

 

 

「……まだ、俺より早くヴィラン確保とはいかんようだな?」

 

 ニヤリ、と不敵に笑うエンデヴァーの在り方を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 轟から誘われたエンデヴァー事務所のインターン。断るという選択肢などなく、緑谷も爆豪もすぐに参加を表明していた。

 

 来たばかりの頃は凡そ歓迎ムードとは程遠いもので、面と向かって『焦凍だけを見るつもりだったのだが……』というくらいには緑谷と爆豪に目をかけていなかった。

 正直それが大の大人が取る態度なのかと言ってやりたい酷さだったが、今のエンデヴァーにはそれが許されるだけの実力と肩書きがある。

 

 しかしそこはやはり責任ある立場故というやつか、事務所に戻ってから少し経つと三人全員に課題を尋ねた。

 

「……つまり常に綱渡りになっている個性の制御に苦労している、と」

「分かるんかい!!流石No.1ってか!!」

 

 文字にすれば1500文字はいきそうな緑谷の自己分析、及び課題を手短に纏めあげる。サイドキック筆頭のバーニンもこれには笑いながらツッコミを入れた。

 

 緑谷の課題は言うまでもなく『増えてしまった継承者達の個性の制御について』だ。事情を話すわけにもいかないので【黒鞭】だけを出している。

 何やら思うところがあったのか『君もこちら側の人間だったか……』と憐れむような、懐かしむような目で見られたことに戸惑ってしまったが。

 

 次に爆豪。彼もまた傲岸不遜で、エンデヴァーを前にして『伸ばし中のヤツはともかく、何が出来ねえのか知りたくて来た』と宣ってみせた。

 

「俺の【爆破】は何でも出来る。一つしかねえ能力でも“究極の一(・・・・)”にはなれる……でも、このままじゃNo.1を超えられねえ」

「ストイックだな。だが、それでいい」

 

 かつて間飛の言葉に気付かされた可能性。それは全身での爆破(・・・・・・)を使えるかもしれないというもの。

 現時点では既に全身での【爆破】の使用が可能となっているものの、皮膚の強度が足りないせいかあまり高い威力を出せずにいる。

 

 スタートラインには立っている。エンデヴァーは生意気な有望株に口角を微かに上げた。

 

 轟は言うまでもなく【赫灼】の習得。同時にヒーローとしてのエンデヴァーを見定めるとも宣言し、先行き不安だったインターンは高いハードルを用意されてスタートした。

 

 

 

 あれから一週間。エンデヴァーから出された『エンデヴァーよりも早くヴィランを仕留めてみろ』というミッションをクリア出来ずにいる。

 

「溜めて、放つ……溜めて、放つ……」

「……すげえ集中してんな」

「かっちゃんはタフネスもだけど集中力も凄いからね。感覚やイメージをもっと鮮明にしてるのかも」

 

 今だってそうだ。彼ら三人はエンデヴァーの後を追うのがやっと……とまでは言わずとも、機動力や判断力どころか初動で出遅れてしまっている。

 広い視野と素早い判断。膨大な経験値と磐石な基礎によって成立する圧倒的なヒーローとしての実力と言う他ない。

 

 次の騒ぎは違法に武装した集団がいるという報告があり、そこに向かっているところだ。

 

 最近増えている違法サポートアイテムによる武装ヴィラン。何かしらの尻尾が掴めないかとヒーローも警察も力を入れている案件で、近場でそれが現れたのであればエンデヴァーが出ない理由はない。

 

 あと数メートルのところまで迫った時、ソレが視界に入った。

 

「アレか……!【赫灼熱拳】───」

「ッ!!待て親父!!」

「ぬぅっ!?」

 

 背を向けたまま木刀らしき物を片手に立っているが、そのコスチュームを見間違えるはずがない。三人の同級生にして最強のライバル、間飛移がそこにいた。

 

 しかしエンデヴァーは彼のコスチュームなど把握しておらず、ヴィランの一人と判断して攻撃を放ってしまった。轟が静止の声をかけたけれど放たれた攻撃は止まらない。

 同級生が父親の手によって焼かれる……しまったと思った瞬間。

 

 

「───何?」

 

 

 トッ……と僅かに身体を動かし、最小限の動作で避けた。

 

 火の粉が一瞬だけ触れては消え、間飛のコスチュームには穴どころか焦げすら生まれることもなくエンデヴァーの【赫灼熱拳】を避けられてしまった。

 

「……うおっ、エンデヴァーだ。ってことは……緑谷達もいるか」

「…………はっ」

「え、今……どう、やって?」

 

 振り返った間飛はエンデヴァーの姿を見てギョッとしており、その後ろにいた緑谷達を見て安心したように息を吐いた。

 

 対照的に緑谷達の心境は穏やかでは無い。

 

 たった一瞬。あの極短い時間の中で、ましてや目で見てもいない攻撃を最小限の動作で回避した光景。それを目にして何も思わずにいられないほど鈍感ではない。

 

「君は……間飛、移だったか?」

「うっす。ヒーローネーム【IXA】です」

「インターンならばインターン先のヒーローがいるはずだが……どこに?」

「ビルの中ッス」

「……ビル?」

 

 彼の足元に倒れ伏している何人かの人間は例の武装ヴィランの仲間らしく、指差したビルの中に更に多くのヴィランが潜んでいたというのだ。

 視線をやると窓の向こうに吹っ飛ばされる人影があることに気づき、既に大半をノックアウトしていたのか数秒後には沈黙してしまった。

 

 やがて三階の窓が開けられ、そこから兎のシルエットのヒーローが跳び降りてきた。

 

「ツッッッッマンネー!!雑魚どもめ!!」

「ミルコだったか」

「あ?……何だ、エンデヴァーか」

「の割には手こずってましたね」

「逃げ隠れしやがるから無駄に時間かかったんだよ!武装してんなら戦えって話だろ!?」

 

 いやミルコ相手なら多少の武装してても逃げるわ、とか言ってはいけない。屋外に逃げようものならもっとヤベーのが待ち受けてたし。

 

 No.4ヒーローとNo.1ヒーローの合流というヴィランにとって絶望的な光景。まあ我が強いこの二人が何でもない時に手を組むかと言われるとそうでもないのだが。

 

 そこでふと、ミルコがいいこと思いついたという顔でエンデヴァーに提案した。

 

「なあエンデヴァー」

「……何だ」

「コイツ連れてってくんね?」

「は……?」

 

 インターンの放棄……というわけではない。ミルコ曰く『私()以外から見たら別の意見が出るかもしれねえ』とのこと。

 

 一週間の地獄を超えて実戦に出てきたIXAだが、長く共に居すぎたせいかミルコやグラントリノでは次の課題を探すのに苦労しているらしい。

 まっさらな視点から見られるエンデヴァーなら何かしら新たな改善点や課題が見つかるのでは、と。

 

 エンデヴァーとしてはぶっちゃけ『嫌だが?』と断りたい。だってIXAの奴、エンデヴァーが嫌いな脳筋に近い雰囲気があるし。

 そうでなくとも三人の指導に力を入れているので、これ以上人を増やして疎かになるような真似はしたくないのだ。

 

 感情的にもキャパシティ的にも無理、がエンデヴァーの答えだ。

 

「ふーん……まあ無理なもんは無理か。No.1が子供三人に手一杯たァ笑えるな!!」

「待て。今なんと言った」

「安い挑発に乗るなよ」

「チョロくて草」

「べっつにぃ〜?オールマイトの後釜に入った奴が子供一人増えただけで指導出来ねえとは思わなかったーってだけだぜ?」

 

 ニヤニヤと笑いその言動が意図的であったとアピールされ、煽られていると分かりながらそれでもエンデヴァーのプライドを刺激するには十分過ぎた。

 

 ……尚、そのオールマイトは四人どころか弟子一人すら苦労させまくってたので、比較対象として挙げるには少し適していないかもしれない。

 

「……いいだろう。安い挑発に乗ってやる……!!ついて来い!!IXA!!」

「アイアイ。んじゃ行ってきますね」

「おう、見せつけてやれ!」

 

 あーあ、No.4よりヤベー化け物がエンデヴァーの元に来ました。ミルコのせいです。ヴィラン達は震えて眠れ。

 

 

 

 

 

「ねえ……ミルコが言ってた“達”ってどういう事……?複数人いたの?」

「んー?ワイプシとかナイトアイとか、プロヒーロー10人相手に組手し続けてただけだが」

「よく無事だったな」

「……手足が取れなきゃ治るからな」

((何があった……!?))

「ちっ!!負けねえ……!!」

 

 

 






間飛「エンデさんやっぱつえー」
エンデ「何を今更」
間飛「威力も形状も範囲も精密にコントロールしててマジでヤベエ。エネルギー操作系の奴全員が参考にすべきだろコレ」
エンデ「よく見ているじゃないか」フフン
間飛「ぶっちゃけオールマイトと同等以上に評価されるべきだと思うんですが」
エンデ「そうだろうそうだろう!!」←ご機嫌

轟「親父……チョロすぎねえか……」
緑谷「わあ、分かりやすく喜んでる」
爆豪「何してんだアレ」

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