え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

186 / 243


スムーズに進めば年内に完結するかもしれない事に気づきました。早いのう……。
完結するその時まで本作をよろしくお願いします!





間飛移:オリジン

 

 

 

 冬休み最終日。明日からはまたいつも通りの学校が始まり、長いようで短かった一年生としての時間も三ヶ月しか残されていない。

 

 なので大半の生徒は明日に備えてゆったりと過ごしており、消灯時間の後には自然と床について眠るだろう。

 

 しかし共有スペースには未だに三人の男子の姿があった。

 

「……俺の原点(オリジン)が知りたいって?」

「うん。そういえば聞いたことないなあって思って」

「俺は正直気になる。お前の実力は【フィジカルギフト】込みでも解せねえことが多い」

 

 モサモサとした緑頭の緑谷、紅白の頭髪とイケメンフェイスが輝く轟。我らがトンチキ野郎である間飛の三人だ。

 

 話題は間飛の原点……何故ヒーローを目指しているのかについて。

 言うまでもなくインターン中に轟冬美から尋ねられた時の疑問が後を引いていたからこその話題であり、同じく気になってしまった轟も緑谷と共に話を聞きに来ている。

 

 その間飛本人は困ったように頬をかいており、何か言葉を選んでいるような雰囲気だ。

 

「隠すようなもんでもねえから別にいいけどよ……そう身構えられても面白くはねえぞ?ありふれた話だし」

「……そうなの?」

「ああ。昔見た動画に映ったヒーローを見て憧れたー……くらいにはありふれてる」

 

 聞かれて困るものじゃないし、と間飛はヒーローを目指したきっかけを語り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が一番好きなヒーローと言えばリューキュウ……ってのは二人とも知ってるだろ?ああ、あの人も原点の一部なんだよ。

 ただ、あの人が俺の原点の全てってわけでもない。あの人への憧れだけじゃ俺は多分ヒーローになろうとは思わなかった。

 

 もう一つ俺をヒーローになりたいと思わせた事があってな。そう大したもんじゃねえよ。

 

 ほらこれも前に話したかもしれんが、中学入るまでは弄られ……いや父ちゃん達曰く虐めらしいけども、とにかく個性について悪口を言われることが多くてな。地味だの雑魚だのよく言われてたんだわ。

 

 で、子供の虐めって思ったよりも陰湿でなあ。俺にやってもあんまり効果がないと思ったのか零……三年の氷叢零治な?アイツに矛先を向けた馬鹿がいたんだよ。

 男なのに変なのーとか、おとこおんなー……とか。よくもまあバカバカしい事であそこまで楽しめるもんだなあと思ったね。

 

 ……零は今よりずっと引っ込み思案だったし、メンタルクソ雑魚だったからな。そんな事でもそれなりに傷ついちまって。

 

「……どう、なったの?」

「一回全員ぶん殴った」

「解決方法が力技過ぎねえか」

「大人がやれば体罰だけど子供同士なら喧嘩で済むからセーフって思考だったわ」

「間飛君は昔から間飛君なんだね……」

 

 失礼だな。真っ当だろ。

 

 小学三年生が上級生含めて五人相手に殴りかかっても普通は勝てねえよな。まあ勝ったけど。

 

 アイツらが散々馬鹿にしてくれた【瞬間移動】で一方的に殴りまくった。アイツらが散々自慢してた個性はぜーんぶ味方に当たってた。あの時ほどざまあみろと思ったことはないな。

 

 子供の喧嘩が起これば最後には大人が止めに来る。先生が来た時には五年生三人、四年生と三年生が一人ずつ泣きべそかいてたから何事!?って驚いてたよ。

 まあ最終的には皆が『アイツらがイジメてた!』って告げ口してくれてお咎めなしで済んだ。ソイツら?知らね。その後に転校してからどこ行ったのかも聞いてねえし。

 

「そん時に気づいちまってなー……」

「……何にだ?」

「そりゃお前───」

 

 

 悪い奴を殴ると、ちょっとスカッとするってな。

 

 

 どうよ?馬鹿馬鹿しいどころか『お前そんな理由でヒーロー目指したんかい!?』って話だろ?

 

 でもそれが俺の原点だ。

 

 

 ……比率で言えばリューキュウ六割で今のが四割だけどな!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんと言うか、身も蓋もない原点だね?」

「だいぶ言葉選んでくれてどうも。好きに言えよ。気にしねえし」

「ヒーローと言っていいのか反応に困る人柄だな」

「かといってストレート過ぎやしねえか紅白饅頭」

 

 間飛はその後を語らなかったが、顛末に意外性はない。

 イジメの主犯だった生徒達が転校させられ、少しでもイジメに関わった生徒達は滅茶苦茶怒られたというだけの話だ。

 

 それからはただでさえ間飛と仲の良かった氷叢が好意を隠さないようになり、小学生の時点で何人かの性癖に被害を出していたとか。

 

 

 ──うつるぅ……!!

 

 

(……しかし、まあ……まさかあそこまで泣かれるとは思わなかったが)

 

 今でもまだちゃんと理解してるとは言えないけれど、間飛は教えられてしまった。自分自身はどうでもよくても、自分が傷つくと悲しむ誰かがいるかもしれない……と。

 

 じゃあ、誰にも心配されないくらいに強くなってやろう……誰が見ても安心出来るぐらいに強くなってやると、子供ながらに決意していた。

 

 原点の割合としては一割にも満たない小さな決意だけど、今の間飛を作るのに欠かせない原点だった。

 

「納得してくれたんなら部屋に戻っていいか?耳郎さんから勧められた曲とか聴きたいし……」

「あっ、うん!ありがとう!」

「悪いな。引き留めた」

「いーよ別に。お休みー」

 

 それもとっくに通り過ぎた消えない“だけ”の過去だ。今更深く考えなきゃならない事でもない。

 

 欠伸を噛み殺しながら間飛は自室へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 異能解放軍という邪魔者が根こそぎ消え去った泥花市のとある民家。元の持ち主は豚箱に叩き込まれたまま戻ってくることはなく、主を失っていた。

 

 そこにズカズカとふてぶてしく踏み入ったのはおおよそカタギには見えない物々しい一団。どこかホームレスにすら見えていた格好は民家を漁ったことで多少整えられ、却って彼らの異質さを際立たせている。

 

「……よく生きて帰ってこれたな。黒霧」

「どうもそれどころじゃなくなったようでして……幸いドクターの監視も緩まっていたのでなんとか逃げ出せました」

 

 彼らの名は自由連合。思うがままに己の歩みを阻むものを打ち砕き、胸に抱いた想いを誰よりも尊重する。

 

 そんな彼らの元にほぼ一ヶ月ぶりに仲間の一人が帰ってこれた。

 

 黒霧という名を与えられた“脳無”はオール・フォー・ワンの目が消えたうちに【ワープゲート】を使って逃げてきたのだ。

 

「しかし……荼毘の次はお前が巻き込まれたか」

「黒霧の中身ってそんなイケメンだったのねえ……」

「ううん……反応に困りますね。まさか私までもが巻き戻される(・・・・・・)とは……」

 

 ……しかし、だ。そこにいるのは見慣れた黒いモヤを纏った何者かではなく、見慣れない幼さを残した男性の顔だった。

 

 黒いモヤはどこへやら、元々白かったらしい髪の毛に収まったのか鈍い銀色の髪の毛をふんわりと逆立てており、鼻筋にテープを貼ったその素顔は完全に人間のソレだ。*1

 

 何故こうなったのかというと、命からがらで逃げ出してきた黒霧を見てしまった壊理ちゃんが久しぶりに個性を暴走させた。

 あっという間に傷口が塞がっていき、もう大丈夫ですよーと言ったのも束の間。

 

 ……アレ?止まってなくね?

 

 ヤバイヤバイせっかく帰ってきたのに黒霧が消えちまう!と自由連合大慌て。何とかして壊理ちゃんを止めねばと荼毘がわざと火傷したりトゥワイスが消してもいい分身を生み出したり……てんやわんやしてしまった。

 

 そうして収まった時には『お前誰だよ』な面構えの黒霧(?)が残っていたわけだ。

 

「……話を戻しますよ。オール・フォー・ワンが何をしようとしているのか、分かりました」

「何……?」

「オール・フォー・ワンは志村転孤を……いえ、死柄木弔の“器”を欲しがっていたようです」

 

 落ち着いた黒霧が語ったのはオール・フォー・ワンの目的。何故こんなガキ一人に手をかけたのかと思っていたが、どうやら奴は奴でそれなりの理由があったらしい。

 

 事情を聞いて全員が顔を顰めて怒りと殺意を滲ませており、静かに黒霧に続きを促す。

 

「その計画が破綻したので、今はギガントマキアを器に選ぶつもりのようでした」

「マキア……そういや結局取られちまったな」

「あんな奴どうとでもなるだろ。もうダメだぁ……お終いだぁ……!!」

「でも今更マキア程度(・・)でどうする気だ?」

 

 死柄木弔の次に目をつけたのはギガントマキア。移植する個性をかなり絞る代わりに最低限の戦闘力が保証されるからだろうか。

 

 しかし荼毘が言ったように今更ギガントマキア程度で盤面をひっくり返せるとは思えない。何せ間飛やオールマイトと手を組める上に、それをトゥワイスが増やせるのだから当然だろう。

 

「そこで彼ら(・・)と手を組んだ、というわけです」

「……リ・デストロとオーバーホールと、か?」

「はい」

 

 オール・フォー・ワンが選んだのは手っ取り早い人員の確保と改造手段を持つ人材の確保だった。

 

 リ・デストロの部下によるコネとオーバーホールの個性によってギガントマキアの改造を行っている最中だと言うのだ。

 

 ハイエンド脳無を超える怪物の器を生み出し、その器に己を注いで全てを破壊する算段なのだろう。それでもまだ足りないと思ってしまうのは気の所為だろうか。

 

「どちらにせよ何体いるかも分からない脳無とリ・デストロについてくる異能解放軍にオーバーホール……そこにオール・フォー・ワンまで加わればさすがに余裕の勝利を確信はできません」

「ちっ……面倒なことしやがって。生き汚ねえというか、潔く死んどけって話だな」

「……志村転孤、どうします?」

「あ?俺達の手に余るってんだろ?だったらやる事は一つだろうが」

 

 

 

 

「オールマイトだろうがなんだろうが使っちまえ。あのクソ野郎に今度こそ引導を渡すぞ」

「承知しました」

 

 

 

*1
誰がどう見てもあの人です本当にありがとうございます。






【間飛と結構仲が良い生徒達】

・緑谷…ほぼ一方的にオタトーク
・轟…天然ボケと保護者
・心操…言うまでもなく仲良し
・上鳴…ボケとツッコミ
・瀬呂…ボケとツッコミ
・砂藤…キッチン組

・発目…お転婆ちゃんと保護者
・小大…不思議ちゃんと理解のある人
・氷叢…堕とされてるし堕ちてるし
・葉隠…唯一目が合うので嬉しい
・耳郎…アニソンとロックで意気投合
・柳…負けず嫌いで連敗中

※ここにいないからって仲が悪いわけではない。二人きりでも普通に遊べたりする、という条件。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。