え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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ちょ、おま……ええ……!?

 

 

 

 一年A組の生徒達がロボット相手に成果を披露していた頃、相澤はプレゼントマイクに引っ掴まれたままとある場所に連れてこられていた。

 

 話を聞いた限りでは本来オールマイトに伝えたい事なのだが、ちょっと看過できない事になってるのでちょっと二人とも来てくれない?という事態になったとか。

 

 されるがままにしていると到着したのは警察署だった。説明されていない相澤は一人不貞腐れたような顔をしているが、周囲が彼を見る目は『お気の毒に……』というこれでもかと同情の気持ちが込められていた。

 

 もう何度目かも分からない「説明しろよ」という言葉への返事が来る前に、相澤は全てを理解した。

 

 

「ああ、イレイザーヘッドですか。USJ以来でしたかね……?」

 

「「○+%‪✕‬☆!!※$!!?」」

 

 

 アイエエエ!!?シラクモ!!?シラクモナンデ!!?

 

 

 

 

 

「改めて自己紹介をば……私は志村転孤のお目付け役を任されております、黒霧と申します」

「嘘つけ」

「イレイザーステイ。気持ちは分かるけども」

 

 気を取り直して、だ。目の前にいるのがどう見ても自分の学生時代に死亡した同級生にしか見えないというバグが発生している相澤消太30歳。何が黒い霧だ白い雲の間違いだろうがと言いたくて口がムズムズしておられる。

 

 しかし当時の同級生……白雲朧の見た目そのままかと言うとそうでもない。

 特徴的な白い髪の毛は黒と混ざったのか鈍い銀色に変化しており、ターコイズブルーだった瞳は真っ黒に染まってしまっている。

 

 間飛が見れば『The☆闇堕ち形態みたいッスね』とシリアスをぶっ飛ばしてしまう表現をしていたであろう変わり具合に相澤もマイクも口を開けたまま呆けていた。

 

「……黒霧、とか言ったな」

「はい。少々こちらの方で面倒事が起きまして、USJの時から見た目が変わってしまいましたが……【ワープゲート】でも使ってみればよろしいでしょうか?」

「いや、そうじゃなくて……ああ、クソっ」

 

 一応、目の前の男の分類はヴィランだ。面構えが死んだはずの友人だからと言って遠慮する理由などどこにもないのに、相澤はソレを口にするのを躊躇われた。

 できればそうであって欲しいのに、ソレを確かめる勇気が無い。いや、既に出ているであろう結論を聞くのが怖いと言うべきか。

 

 これまでになく苛立ちが募った相澤は目の前の男も周囲の視線も忘れて荒っぽい舌打ちをした。

 

「はて……私はオールマイトに伝言を頼みたいと言ったはずですが?一向に話が進まないのは私としても困るのです」

「……単刀直入に聞くぞ」

「イレイザー!?」

「……何でしょうか?」

 

 それでも。それでも聞かなければならない。確かめなきゃいけない。覚悟を決めた相澤は真っ直ぐに目を見て尋ねた。

 

「お前は……白雲朧じゃ、ないのか……?」

 

「………………ええ」

 

 十秒程の間を空けて、黒霧は申し訳なさそうに答えた。

 

 この短時間で黒霧は悟ってしまった。今自分の物として動かしているこの身体がどこから調達されたもので、目の前のヒーローの知り合いであったことを。

 

 奇跡を期待するにはあまりにも時間が経ち過ぎた。そこに死者の意思が入り込む余地はなく、相澤の知る白は魔王の手によって黒に塗り替えられてしまった。

 壊理ちゃんの個性の暴走によって巻き戻ったのはあくまでも肉体のみであり、それも巻き戻った時点では既に黒霧として完成されてしまっていた。

 

 仮に肉体を更に巻き戻したところで、生み出されるのは物言わぬ死体のみ。例え何をしようとも白雲朧という人間が帰ってくることはない。

 

「……申し訳ありません」

「…………アンタが悪いわけじゃない。アンタは……言っちゃ悪いが、ただ作られただけだ」

「……イレイザー」

「その分は悪趣味な製作者様に償ってもらうとしよう……!!」

「イレイザー……!!」

 

 なので一番の元凶をぶっ殺しに行きますね。これでオールマイトとトゥワイスと間飛に加え、オール・フォー・ワンの天敵中の天敵が参戦決定。オール・フォー・ワンの勝ち目is何処。

 

 丁度よくイレイザーヘッドにターボエンジンがかかったので黒霧も本題を切り出した。

 

「その悪趣味な製作者様が異能解放軍の最高指導者とオーバーホール……死穢八斎會の若頭と手を組んでしまわれたのです」

「あ?オーバーホールっつったら……護送車襲撃したのお前らじゃなかったのか?」

「脳無に襲撃された為に世間には公表されなかった……でしたっけ?世間に余計な不安を与えないように、という理由でしょうが」

 

 間飛や緑谷がインターン中に討伐したネームドヴィラン、オーバーホール。公表こそされていないものの、彼は護送中に脳無からの襲撃を受けてから行方不明となっていた。

 表向きでは間違いなく終わったと思われていた脳無騒動を再燃させないようにと、ヒーロー公安委員会はこの件を黙秘させた。

 ……まあその後エンデヴァーがハイエンドと戦ったので無意味に終わったが。

 

 当時はやっぱりヴィラン連合ヤバい奴らじゃね?と再認識されかけていた一方で、アイツらはもう脳無持ってないんじゃね?という声も上がっていた。

 公安でも意見は二分化。あの時の脳無は連合だと言う者と、いいやオール・フォー・ワンの残党だと言う者に分かれた。

 

 そこに黒霧がダイレクトメッセージをぶち込んだものだからてんやわんや。オール・フォー・ワン生きとるやんけ!?グラントリノから言われてたでしょーが!?と大惨事である。

 

「……そして考えたくはない事ですが、オーバーホールが加わったことでより円滑に脳無を量産している可能性があります」

「なっ……いや、そうか。奴の能力は【分解】と【再構築】……!!」

「だ、だがよぉ……そんなに作れねえだろ?あんまり言いたかねェが材料……少ないんじゃねェのか?」

「異能解放軍という分かりやすい材料がありまして。我々もそちらを懸念しているのです」

「……クソ野郎だな」

 

 転孤がオールマイトへの連絡を躊躇わなかった理由。それがオール・フォー・ワンとオーバーホールによる異能解放軍全ての脳無化だ。

 さすがに残る六万弱の異能解放軍を全て脳無に出来るとは思わないが、それでも数千体は覚悟しておくべきだろう。相澤はオーバーホールの個性の速度をその目で見たのだから。

 

 恐らくトゥワイスによるオールマイトの増殖もそちらに割くか、或いは全投入せざるを得ないだろう。一体一体が最低でもUSJの時の脳無クラスだと想定すべきだ。

 

「なのでヒーローの方々の手をお借りしようと思いまして。どうでしょうか」

 

 なるほど、それだけの戦力を想定するならばヒーローの手を借りようと言うのはわかる。今の連合はジャックガムが自首してただでさえメンバーが少ないのだ。

 

 しかし一つ解せないことがある。

 

 

「…………一つ、聞かせろ」

「はい?」

「お前達はオール・フォー・ワンを倒した後、どうするつもりだ」

 

 それは連合の目的。ヒーローとオール・フォー・ワンを潰し合わせたいだけならば匿名の通報でもなんでも利用すればいいし、信用されないと思うのなら実名を出して手紙なり電話なりすればよかった。

 

 なのにこうして連合の要であろう移動手段を持つ黒霧を寄越している。まるでお前達などどうでもいいと言わんばかりの態度で。

 

「ふむ……そう言えば私達の目的を話していませんでしたね」

「裏切る可能性のある連中と手を組むことは出来ない。ましてや相手はオール・フォー・ワンと異能解放軍なんだろ」

「私は志村転孤に着いていくのみですが……その志村はオール・フォー・ワンへの復讐をしたいと考えております」

 

 事実連合の者のほとんどがヒーローなんてどうでもよかった。唯一荼毘だけがエンデヴァーへの執着を見せているが、マグネもトゥワイスもコンプレスも……志村転孤でさえも現代社会の革命をどうでもいいと言った。

 

「……何故」

「簡単な事です。彼らは良き同胞と理解者を得た。同じ苦しみを分かち合うだけならば憎しみが募ったのでしょうが、苦しみに理解を示し……受け入れてくれた者がいた。それだけで彼らは報われたのです」

「その、理解者ってのは誰だ」

「はて?貴方は自分の教え子の事を忘れたのですか?」

「………………まさか」

 

 そのまさかですよ。黒霧は能面のような表情を崩して小さく微笑んだ。

 

 

「苦しみに同情を持つことなく共感し、溜め込んだ怒りを肯定してくれた」

 

「異端だった為に排斥された者に手を伸ばし、それもまた“個性”だと言ってくれた」

 

「かつて誰も伸ばしてくれなかった手を、敵である自分にさえ伸ばしてくれた」

 

「だから我々はそれでいい(・・・・・)と思いました。故に、彼に会えたからいい(・・・・・・・・・)と答えましょう」

 

 

「そう……か…………」

 

 

 本当に、今までで一番の問題児だよお前は。

 胸中で呟く相澤はどこか嬉しそうに、そして悔しそうに口角を上げた。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「さすがに壮観だね……これほどの脳無を用意出来るとは思わなかったよ」

「……脱退したとはいえ、さすがに心にくるものだ。あまり気分がいいものではないな」

「だが戦力としてはこれ以上ない。一度弄ったからというのもあるが、このペースで増やすことが出来れば軍隊クラスは作れそうだ」

 

「これだけの数の脳無、如何にトゥワイス君でも難しいだろう?一体一体がニアハイエンドとでも言うべき性能だ」

 

「無限のオールマイトには絶望しかけたが……トゥワイス君さえ仕留めてしまえばどうとでもなる」

 

「覚悟しておくといい……裏切り者達よ」

 

 

 

 






黒霧「どうしたのですか……?」
相澤「!!!?!!?!?」←エ〇ル顔
マイク「!!!?!!?!?」←エ〇ル顔
黒霧「あのー……」
相澤「」←燃え尽きたよ……
マイク「」←真っ白に……
黒霧「すいません誰か水を持ってきてくれません?」
塚内「ああ、うん……お気の毒に……」

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