え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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アンケートの残りの一つの間飛別学科ルートです。
もし間飛がサポート科に入っていたら、の日常回的な話なので体育祭も神野の話も出てきませんがよろしくお願いします。





番外編⑭お前のようなサポート科がいるかっ!?

 

 

 

 蝶の羽ばたきがどこかで竜巻をも生み出すかもしれない。そんな荒唐無稽ながらも案外バカにできない考えから作り出された“バタフライエフェクト”という言葉がある。

 これは先の例え話のように小さな出来事は未来により大きな影響を与えた原因になるかもしれない、というどこか杞憂にも思える言葉だ。

 

 しかし物語の表現にはよく『ボタンの掛け違い』などの比喩を使って僅かに違えばこんなことになっていたかもしれない、何て語ることもある。

 

 この話も例に漏れず、ほんの少しボタンを掛け違えた間飛がどんな道を辿っているのかをお伝えしよう。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 今年の入試は荒れに荒れていた。

 ヒーロー科の入試では久しぶりに0ポイントがぶっ飛ばされただのレスキューポイント0で1位になったやつがいた、なんて教師達の間で話題になっていた。

 

 そしてもうひとつ。サポート科の入試でも話題になっていた人物がいた。

 

「間飛さん!聞きましたよ!!あなたのお父さんはあの(・・)『K&U』の社長さんだったんですね!?」

「社長……ってか自営業の小さい工房持ってるだけだぞ?」

 

 ヒーロー科にいれば敵味方全部まとめてしっちゃかめっちゃかにしてくれる男、間飛移。どういうわけかヒーロー科ではなくサポート科を受けたようだ。

 

 彼の父親は『K&U』という工房を構えており、小さいながらもプロヒーローの間ではそれなりに名が通っている。一足先にプロの世界を知っているであろう間飛を見て発目が声をかけるのは当然だった。

 とはいえ間飛本人からすればそんなことを聞かれても『いやあ、父ちゃんそんなに凄いかと言われると……ねえ……?』的なリアクションしかできない。

 

「つか今更かよ。もう文化祭も近いってのに」

「文化祭が近くなったから聞けたんです!企業の方々も見に来られるので!」

「いや一応体育祭にもいたんだが……まあいいか。で?それがどうしたよ」

「いえ別に?ただあなたの作るアイテムにどこか既視感があったので。ようやく理由がわかってスッキリしました!」

「そうか。それはそれとして口の周りくらい拭いてこいよ……ケチャップ残ってんぞ」

 

 いつものテンションでハキハキと自分の感想を伝える発目。それよりも昼食の痕跡が気になって仕方ない間飛はいつものように世話を焼いてしまう。口元をゴシゴシとティッシュで拭い、ゴスっと脳天にチョップを落とした。

 その光景を見ていた周囲はそれに何を感じることもなく、ああ、いつも通りのやり取りだなあとしか見られていない。

 

 

 入学したばかりの当時、間飛と発目の間には何の関係もなくて初対面の同級生のうちの一人という認識でしかなかった。

 それが一ヶ月も経たないうちにだ。気がついた時には間飛は発目の世話係という認識になっており、発目は発目でお世話されるのが当たり前になってしまっていた。

 

 生来の気質なのかそれ以上に発目がヤバいと思われたのか、二人セットで扱われる頃にはすっかり世話が板についてきた間飛と世話されるのに慣れてきた発目の姿があった。

 

 今となっては『リア充が……』とか『夫婦乙ですわー』とか反応されることもなくなってしまい、むしろ二人でいないと珍しいとすら思われてしまう。

 

「パワロ先生。このパーツってまだどっかにあります?」

「んー?ああ、それなら向こうの作業場にあると思うぞ。場所は……言わなくてもいいか」

「すぐに分かるんで大丈夫です」

 

 パワーローダーの返事を聞いて間飛はその場から忽然と消える。彼の個性【瞬間移動】によるものだ。

 

 彼の個性は【フィジカルギフト】と【瞬間移動】の二つ。しかし【フィジカルギフト】は継承途中(・・・・)ということもあって未だ不完全。その分研ぎ澄まされた【瞬間移動】は半径700mの探知能力とワープ能力を獲得していた。

 今も離れた位置にある作業場にワープしており、ワープ先で探知能力を使って目当てのパーツを確保するとすぐに戻ってきている。

 

 それじゃあ作業に戻るか、としたところで同級生から声をかけられた。

 

「おっ、いたいた。間飛に客来てるぞ」

「客?」

「ヒーロー科の生徒だよ」

「またかよ……こっちも忙しいんだが」

 

 気だるげな顔で仕方なしに作業を止め、入口の方へと向かう。これでも文化祭に向けてやる事が多いんだが、なんて愚痴りながらも客の前ではそれを出すことはしない。

 

 そこに居たのは三人の男子。ボサボサとした緑がかった髪、髪の毛が赤と白の火傷跡が目立つ男子、メガネをかけ背筋を伸ばしている男子……緑谷、轟、飯田の三人だ。

 

「へいらっしゃい。忙しいから帰れ」

「にべもない!?」

「悪い。でも早めに解決してえんだ」

「せめて話だけでも聞いてはくれないか!」

 

 あの、客の前では出さないとは……?

 

 いや出来れば出したくはないのだけれども。間飛にとってこの三人は良くも悪くも常連とも言えるくらいに顔を合わせているので面倒だしやり甲斐があるのだ。

 それはそれとして、タスクが積み重なっている今来られても対応に困るのである。

 

 要件は聞くまでもなくコスチュームの改良。何度も改良を重ねられた事で初期とは比べ物にならない使い勝手の良さを誇っている。

 

「で?今度はどこだ?背中にロケットでもつけてやりゃいいのか?」

「毎回変な改造案を提案するのやめて?」

「この前作ってもらった『ヒエン弐式』が壊れちまって……修理頼めるか」

「あいよ。それは俺の仕事だからしゃーねえか」

 

 ヒエン弐式。間飛によって作られた轟専用のサポートアイテムにつけられた名前だ。彼の左右から放たれる炎と氷を圧縮し、弾丸のようにして放つことで着弾地点に強烈な爆炎や氷塊を発生させるガントレット型の装備。

 繰り返し使われ続けたガントレットは激しい温度変化や反動を受けて歪んでおり、このまま使用を継続すれば危ないというのは素人目に見ても分かるだろう。

 

 ガントレットを受け取り、次は何だ、と視線だけで問いかける。

 

「僕はブースターの一部が破損してしまったんだ。何故こうなったのか分からなくて……その、すまない」

「うわぁおバナナの皮みてえになってら。本当に何したお前」

「それがさっぱりなんだ。皆に指摘されて気づいたくらいで」

 

 エンジンの排気筒を思わせるブースターが物の見事にぶっ壊れている。内側からの膨大なエネルギーに耐えられなかったのか、バナナの皮のようにベロンと裂けてしまっている。

 

 原因の把握は出来ていないらしく、戦闘で破損したのか耐久力が不足していたのか。どちらにせよより頑丈な物にしなければならないのは確実だろう。

 

「……で、お前は何だ緑谷」

「この前の【エアフォース】のガントレットなんだけど」

「発目ンとこ持っていけバカタレ」

 

 ハハッ、論外。間飛はバッサリと切り捨てて作業に戻ろうと振り返る。それを緑谷は縋り付くように引き止めた。

 

「待って待って!?発目さんを探したんだけどなかなか会えないから君に持ってきたんだって!」

「だからって俺に持ってくんなよ!?何回も言うがプロならさておき学生のうちは他人の作品に手ェ出すのよろしくねえんだよ!!」

 

 サポート科での暗黙の了解とでも言うべき話だが、他の生徒が作った物は弄ってはならないと言われている。他人が何を考えて何を目指して作ったのかを完璧に把握出来ないうちは手を出さない方がいいから、と。

 無論、絶対にダメ!というわけではない。必要ならば誰かが作ったアイテムのメンテナンスも行うし、頼まれれば改造だって行う。

 要は『あんまりオススメしないけど頼まれたらしょうがないからやっていいよ』ということだ。

 

 けれど間飛としては発目作のアイテムはなるべく触れたくなかったりする。

 

「アイツ怒るんだよ。勝手に触ると」

「ええ……そうなの?」

「怒るってか拗ねる?のが正しいか。弄ったのがバレると少しの間目を合わせなくなるんだよ」

「そっか……ごめんね。無理言って」

 

 一応渡しといてはやる、と【エアフォース】を補助する篭手を受け取って三人を帰らせた。彼の手元にはヒエン弐式と壊れたブースター、緑谷の篭手が。

 

 一人で抱えるには少し面倒なサイズと量に辟易しながらも作業場まで運んで行った。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 入学したばかりの頃の私は『これで思う存分機械弄りが出来る!』と期待に満ち溢れていました。

 溢れんばかりのアイデアやインスピレーションを形にできる日が来たのだと、それはもう踊りたくなるくらいには楽しみで楽しみで仕方なかったんです。

 

 しかしいざ入学してみれば結構色んな縛りがありました。当然と言えば当然なんですが、ライセンス等の関係でいくつかのアイデアは秘蔵のままにしておくしかなさそうでした。

 

 それじゃあ許される範囲で思いっきりやろう!と張り切っていたのですが、やたら私に待ったをかけてくる人が一人。

 

『せめて人間として必要最低限度の休息はとろうか!?飯食って風呂入って服着替えてちゃんと寝ろ!!』

『えー……そんなことをしてる暇があったら機械を触ってたいんですが』

『機械より先にお前の身体が壊れるっての。機械もだがお前自身のメンテナンスも欠かすんじゃねえよ……マジで早死にすんぞ』

 

 ちょっと徹夜したり食事を抜く度に脳天にチョップを落とされ、時には担ぎあげられて運ばれたりもしました。結構容赦ないんですよね間飛さん。

 

 それならバレないように、と慣れない化粧やらで目の下のクマを隠そうとしたり香水なりで体臭を誤魔化そうとしてもすぐにバレました。

 じゃあまず見つからないようにと隠れたり逃げたりもしましたが、彼の探知能力から逃げられるはずもなく。

 

 一ヶ月もしないうちに私も彼も色々と諦めました。彼は私の世話を焼いて、私は彼に世話を焼かれる。こうすることで互いに変に時間を取ることもなくなり、スムーズに作業に戻れるようになりました。

 

 

 ……なったのはいいんですけどね?

 

「私、子供か何かに思われてますよね……」

「え、今更?」

「発目ちゃんを異性として見てるか怪しいよね~。アタシが男なら襲ってるかも」

「わざわざお風呂上がりの発目を待ってドライヤーかけてるんだもんね。発目もされるがままだし」

 

 ええ、はい……寮生活になってから尚更距離も近づいたのに何一つ意識されてないんですよね。これでも一応女子なんですが。

 

 別に何をどうして欲しいというのがあるわけじゃないんですけどね?ただ何のリアクションもないままだとさすがにショックといいますか……その、照れたり恥ずかしがったりくらいはして欲しいといいますか!

 完全に異性として見られてないのもどうかと思うんですよ。何で眉ひとつ動かさずに人の髪の毛を梳く事が出来るんですかね……。

 

「もういっそ押し倒した方が早いと思うよ?アンタのその立派なモノを使えばいいじゃん」

「……?どれの事です?というか何の話です?」

「え?発目ちゃんって間飛くん好きでしょ?」

「…………はい!!?」

 

 ななな、何故そうなるんです!?私は別に、別に……別に…………。

 

「……多分そうです」

(可愛いなこの子)

(さっさとくっつけ間飛)

 

 うう……どうしたらいいんですかコレ。こんなの考えたことないですよぅ……。

 

 

 

 

 

 

「間飛さん!こんなのどうですか!?」

「馬鹿じゃねえの?…………作るか!!」

「間飛さんならそう言ってくれると思いました!!やりましょう!!」

「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らなきゃ損だからなァ!!」

 

「……お似合いだと思うんだけどなあ」

「それな」

 

 

 






・この√の間飛について
そこまで個性で弄られなかった結果【フィジカルギフト】の受け取りが遅延した。それまでは【瞬間移動】を磨いていたので探知範囲が本編より広い。
特にヒーローを目指すことも無く父親の跡を継ぐかあ、くらいの感じでサポート科に。現在の【フィジカルギフト】の継承率は50%程なので砂藤と同等以上くらい。

・内通者疑惑はどうなったか
そもそも【フィジカルギフト】の真価が伝わってないのでちょっと裏を洗ったあとは無関係だと認められて放置。

・強くね?
この√だと秩序崩壊が起こるが一年後には戦力カウントされてB組よりも最前線に出ずっぱりしてる。AFOは増えた化け物に泣いた。


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