ちょっと短めになりました。申し訳ないです。
作者のリアルがゴタゴタして来たのでこの先もしかしたら同じ時間での定期更新が出来ない時があるかもしれません。
よろしくお願いします。
ようやく頂点に辿り着いた男は絶句していた。どんなに手を伸ばしても届くことのないまま勝ち逃げされた挫折の象徴……決して越えられなかった壁。
それが全身タイツの不審者の群れから突然ブワッと出現したのだから。
「ぬおっ!?な、何だこの不愉快を通り越して気味が悪い光景は!!?」
「エンデさんコレ何!!?」
「知らん!!というかホークス、貴様の方こそ何か聞いてないのか!?」
「……待って待って待って!?まさかあの報告書ってマジやったん!?」
緑谷出久。オールマイトから(あんまり参考にならない)アドバイスを貰い、それ(よりまだ有意義な間飛や爆豪から教わった技術)を体得した【ワン・フォー・オール】の正当後継者。
基本的に優しくて受け入れてくれるA組にすらドン引きされるほどのオールマイトファンな彼でもさすがにうわっ……となる光景を目にしてしまった。
「オールマイトが増えたァ!!?」
「えーと、デク!だっけ!?危ないからこっち来た方がいい!!」
「頼もしいけどさすがに怖いんですが!?」
「それは僕もだよ!!」
咄嗟に近くにいたマニュアルが首根っこを掴んで引き戻さなければ硬直したまま動けなくなっていただろう。それくらいには衝撃的な絵面だった。
「これは中々にハードな相手だな……!!」
「だが負ける気は無い!!」
「何故なら!!」
「「「私達がいるからだ!!」」」
「もう全部トゥワイスだけでよくね?」
「それ以上いけない」
押し寄せる脳無の群れ、を押し返すオールマイトの群れ。頼むから他所でやって欲しいと言いたくなる大怪獣バトルに間飛はIQを溶かしてしまう。
ニアハイエンドには二人、普通の脳無には一人ずつをあてがって対応する分身のオールマイト達。この世で一番無法な組み合わせじゃないだろうかと味方のヒーロー達ですらドン引きしている。
とりあえず病院の患者などの無関係なニンゲンは既に避難済み。ならばここから先で出てくる相手は全員ヴィランと見なすべきだろう。
「……何か色々削がれちまったが、さっさとあの腐れ顔金玉ぶん殴りに行くか」
「おっしゃあ!私に着いてきな!!」
「うわっ……ミルコ!?と、突入には足並み揃えて行くべきじゃ──」
「倒しちまえばそれで終いだろ!!」
考えるより
病院内に入ってすぐに迎えに来たのは潜入していた渡我被身子だ。
「アレェ!?何で移くんがもう突入して来るんです!?」
「変に長引かせるくらいならスピード重視で行くべきだ。既に脳無やら脳筋祭りやらで作戦は無意味になった!」
「やっぱりそうですよねえ……!分かりました、こっちです!」
間飛の姿を目視した瞬間に【変身】を解除し、ドロリと崩れる体表の奥から見慣れた顔の友人を見つけて間飛は無言のままトガの誘導に従う。
突如溢れてきた脳無にギョッと驚きながらも咄嗟に身を隠し、ドア一枚向こうで暴れんとしている脳無の気配に怯えてしまったが何とかやり過ごせていた。
どうも用意していた脳無の第一波は終わったようなので、オール・フォー・ワンを目指して進むならば今のうちだろう。
脳無の波が途絶えた僅かな隙を突いたIXAとミルコが地下へと突入した。
◇
オール・フォー・ワンの軍門に下った異能解放軍に残された真っ当な人間は極僅か。リ・デストロと幹部達に有用な能力を持った一部のみが脳無になる事を免れており、そうでないものは全員が脳無へと変えられた。
だからこそ実現した一万以上の脳無の軍勢。街一つどころか下手な小国ならば堕としてしまえるほどの戦力だ。
それを前にした日本のヒーロー達はというと。
「チッ……いつまでもこんな肉壁に構っていられるか!クラスト!エクスレス!着いてこい!」
「え、あ、分かった!」
「脳無は……いや、オールマイト達に任せていいか」
「よ、ヨロイムシャ……?殺しちゃっていいんですか……?」
「……斯様な姿に成り果ててしまえば戻れぬと聞いている。この場で楽にしてやるのがせめてもの情けというものよ」
「胸糞悪いがそれが正しい……!躊躇うな!こっちが死ぬぞ!」
「イレイザー!マイク!お前らは病院内へ行ってこい!」
「だが……!」
「思い知らせてやるんだろ?同僚として背中押してやるから行け!」
「スナイプ……サンキュー!行くぞイレイザー!」
まるで折れる気配は見られない。無限に増やされているオールマイトによって多少の余裕があるのは当然として、それを差し引いてもこの絶望的な状況に微塵も臆していない。
それもそのはず、学徒動員までしてこれ以上情けない姿を見せてなるものかと奮起し、偉大なる同胞であるオールマイトの背中に憧れたヒーローがそう簡単に折れるはずがなかった。
そんな意志の強いヒーローの奮戦をスルリと抜けて病院へと近づいた人物が、二人。
「ぶっ壊れろォ!!」
「な────!!?」
一瞬の出来事だった。空になった病院に大量の亀裂が走って一拍の間を置いた後、瓦礫どころか砂粒すら残さずに病院が【崩壊】した。
突如包囲していたエリアの建築物が消えるという事態に驚愕し、同時に突入しやすくなった事実に気付かされる。
それを成した人間は──志村転孤。この場で誰よりもオール・フォー・ワンへの怒りを募らせている男だ。
「……よし。行くぞ荼毘」
「えげつねえな……まあ邪魔にしかなってなかったしいいか」
ヒーロー達の驚愕を他所に二人の復讐鬼が地下へと突入する。
その一方で。
「し、死ぬかと思ったァ……」
病院内部で待機していたトガはガクガクブルブルと子鹿のように震えていた。そりゃ急に建物がまっさらにされればそうもなる。
一応人命に配慮はしてくれていたらしく、転孤の【崩壊】がトガに影響を与えることはなかったけれども。何の伝達もないままそんな事をされては腰が抜けてしまうのも当然だろう。
どちらにせよ病院という蓋を失った以上、剥き出しとなった地下への通路からヒーローはなだれ込むだろう。既に案内役としての役割は終わった。
少しすればホークスの羽根がトガを確保して後方に下がらせてくれるだろう。
だがその前にまた別の者達がこちらへと向かってきた。
「公安の!少しいいか!」
「ひゃいっ!?え、エンデヴァー!?」
「先程ここを燈矢……白い髪の青い炎を使う男が通らなかったか!?」
「え、あ、荼毘と呼ばれてた人なら……」
「荼毘……やはりか!感謝する!」
その正体はクラストとエクスレスを連れたエンデヴァー。転孤が病院を【崩壊】させる前から地下への突入を実行しようとしていた為に他のヒーローの誰よりも早く地下室への道に到着していた。
それだけを尋ねると地下への道……かつては霊安室とされていた場所から入れる通路へと入っていった。
「……荼毘って燈矢って名前なんだ」
トガは彼らの背中を見送りながら至極どうでもいい情報をリフレインしていた。とりあえずホークスさん回収お願いします。
※病院は一階の床を残して全部ぶっ壊れました。
IXA「殴り込みじゃい!」
ミルコ「蹴り込みじゃい!」
転孤「ブッコロブッコロブッコロ」
荼毘「野郎オブクラッシャー☆」
エンデ「とぉぉやあああああ!!」
クラスト「ええ……」
エクスレス「ええ……」
イレイザー「血祭りに上げてやる……」
マイク「今からそっち行ってぶっ○してやる!」
AFO「٩( ~Д~ )۶ファ~」