え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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違うお前じゃない座ってろ

 

 

 

 【ストレス】

 リ・デストロが持つ個性……本人曰く“異能”と呼ぶソレはストレスを溜め込むことでパワーに変換する能力。

 ストレスを感じている時は体表に黒い痣が発生し、かなり溜め込んでいればオールマイトにも引けを取らないという自負がある。

 

 しかしいつぞやのウォールマイトという馬鹿げた光景はさすがに論外だ。リ・デストロが一人倒すまでにその十倍のスマッシュが返ってくるだろう。

 

 ではエンデヴァーならばどうだろうか?

 

 オールマイトクラスでなくとも……【シュガードープ】を発動させた砂藤でも吹き付けられた炎を跳ね除けるくらいの事は可能だ。

 じゃあエンデヴァーが放つ【赫灼熱拳】はどうだと言われると、最低でも今のオールマイトクラスのパワーを求められるだろう。それも真っ向から【赫灼熱拳】にスマッシュを打ち付ける必要があるので度胸もいる。

 

 リ・デストロの【ストレス】は名前の通り精神の状態に酷く左右される。理性だとか本能だとかではどうしようもない、自分への干渉をどう感じとっているのかに全てがかかっている。

 

 今のリ・デストロが【赫灼熱拳】を打ち破れるほどのパワーを、ストレスを感じているのか。

 

 

「【負揺解(ふゆかい)】」

 

 

 ドパァンッッ!!!

 

 

「ぬうっ……!!」

「すまんクラスト!助かった!」

「なんという破壊力……!!まるでオールマイトじゃないか!?」

 

 そんなもの、今日この日までずっと溜め込んでいたに決まっている。

 

 泥花市というホームグラウンドを失い、数多の構成員からは見限られ、オーバーホールと殻木が解放軍の戦士を改造する様を見届けていた。

 それら全てに対し青天井に怒りと嘆きを蓄積させていたのだ。最早リ・デストロはこの戦争が終わるまで止まることはないだろう。

 

 膨れ上がった肉体によるただの裏拳。それだけでエンデヴァーが無数のヴィランを焼いてきた炎を蹴散らし、クラストの【シールド】ごと三人を吹き飛ばした。

 

 そこはやはりプロと言うべきか、リ・デストロの身体が膨れ上がった瞬間から防御を固めていたお陰でエンデヴァー達には傷一つついてはいない。

 

「……パワーは凄まじいが、速度や精度はそうでもなさそうだ。感情的になっているせいか動きに粗が目立つ」

「よもやあのデトネラット社の社長があのような咆哮を上げるとは……」

「最早獣だな」

 

「思考を止めて秩序という名の抑圧に与する者達に言われたくは無いな」

 

 オールマイトと同等のパワー、と聞けば敵味方を問わずに恐れさせるはず……なのだが、どうも脳無といい雄英生といい、挙句の果てにはウォールマイト。最近はオールマイトと同等のパワーを結構な頻度で見かけるせいで感覚が麻痺してしまっているのか微塵も動じていない。

 

 というかクラストからすれば本物のオールマイトをよく知っているのでそんなに怖くないし、エンデヴァーに至っては『あの、戦う相手そっちじゃないですよ?』とツッコミが入る程度にはオールマイトの事を分析している。エクスレス?パンピーヒーローなのでちょっとビビってます。

 

 今更『俺はオールマイトぐらい強いぞー!』と言われた所で、それがどうしたとノータイムで【赫灼熱拳】をぶち込めるのがエンデヴァーだ。

 

 こちらの手札は【ヘルフレイム】に【シールド】に【レーザーアイ】*1の三つ。少なくとも超パワーを倒しきれないというわけではない手札だろう。

 

「倒せない訳では無いが……デトネラットの社長を殺すのはマズイか」

「いけるんですか?」

「不殺に拘らなければな。生け捕りを目指すとなれば面倒なことこの上ない」

 

 しかしだ。ハイエンド脳無と比較しても面倒というのはリ・デストロが生きた人間であるということ。

 

 ヒーローはヴィランであっても殺してはならない。余程の緊急事態でもなければ命までは奪わない。

 九州ではハイエンドを殺していたエンデヴァーだが、アレは危険性や脳無が死体から作られていたから出来たこと。リ・デストロを同じように殺すのは難しいだろう。

 

「……仕方あるまい。手足を失うことは覚悟してもらおう」

「随分と余裕だな。この期に及んでまだ生け捕りにしようとするとは……!!」

 

 そうすれば生け捕りも可能、と言わんばかりの傲慢さにリ・デストロの【ストレス】が溜め込まれる。カートゥーンアニメの一コマのように右腕を膨らませると、一切の躊躇なく振り抜いた。

 

 空気の壁を打ち破る速度と障害物ごと吹き飛ばすパワー。ヴィランネームに恥じないその破壊力もクラストの【シールド】ならば受け止められる。

 

「重いな……っ!!」

「よく受け止めた!」

「ちっ……邪魔を……!!」

「我々の邪魔をしているのは貴様の方だ!!」

 

 ガゴンッ!!と轟音を響かせながらも防御しきったクラストの後ろからエンデヴァーが飛び出した。全身に炎を纏い、既に【赫灼熱拳】を構えている。

 

 如何に【ストレス】でパワーが上がっていても、その身体強度は人間の範疇を出ない。当たりさえすれば銃弾一つで死ぬのだ。全力の【赫灼熱拳】など受けてしまえば脳無のような再生力を持たないリ・デストロでは一瞬で死ぬ。

 

 リ・デストロにとってのこの場での天敵はエンデヴァーだ。最も超パワーをその目で見てきた上に、リ・デストロを殺さなければならなくなった時微塵も躊躇わないだろう。

 

「【負荷塊】!!」

「【赫灼熱拳:ジェットバーン】!!」

 

 ストレスエネルギーを物質化し、放出するリ・デストロ。対するエンデヴァーはその衝撃を潜り抜けながらの炎を纏った右ストレートをリ・デストロの土手っ腹へと叩き込んだ。

 

「がっ……!?」

「まだだ……!!」

 

 ジェットエンジンの如き推進力の拳を受けて身体をくの字に折られる。胃の内容物をぶちまけてしまいそうな重い打撃に怯んだところをエンデヴァーは更に追撃を入れる。

 下がった顎を膝蹴りでかち上げ、そのまま足裏を鳩尾へと押し付けて蹴り飛ばした。

 

「……ふん、やはりか」

「ば、馬鹿な……!?」

「貴様、実戦経験が全く足りていないな。或いは自分と同等以上の相手と戦ったことがない……違うか?」

「っ……!」

 

 エンデヴァーの指摘は図星だった。

 リ・デストロと同等以上の実力者など異能解放軍にはおらず、いたとしても異能解放思想の最高指導者である彼と戦わせようとは誰も考えない。

 皮肉な事に異能解放を謳う組織の長こそ、実戦での異能の扱い方に慣れていないのだ。

 

「オールマイトが頂点で在り続けられたのは超パワーだけが理由では無い。あの超パワーを最高効率で扱っていたからだ」

「…………ッ!!」

「貴様のパワーがどれだけ凄まじくとも、何の捻りもなく振るわれるだけでは話にならん」

「ならば避けてみ───があっ!?」

 

「やっと当たった……悪いな。手足じゃなくて目から奪ってしまった」

「さすがエクスレス!素晴らしい狙いだ!!」

「あ、ああ」

 

 悠然とするエンデヴァーを殴ろうとした時、リ・デストロの片目をレーザーが焼いた。下手人はエクスレス。目から放たれたレーザーが解放思想のフィルターが付いたリ・デストロの片目を完全に潰した。

 

 不意打ちで目を焼かれた痛みに悲鳴を上げるも何とか立ち上がる。このままではエンデヴァーにやられると理性が鳴らしたアラートに従って拳で薙ぎ払うが、エンデヴァーには当たらない。

 

「片目になって距離感覚も損なわれたか」

「ぬぅ……!!」

「いい加減貴様一人に時間をかけてはおられん。悪いがこれで終わらせてもらう」

 

 膨大な火力と繊細なコントロールによって実現されたエンデヴァーの必殺技。【赫灼熱拳:ヘルスパイダー】が放たれる。

 空中でビルすらも微塵切りにしてみせたソレがリ・デストロの右腕と右足に絡みつき、一瞬で焼き切った。

 

「がああああああ!!?」

 

「傷口は焼いてある。死にはせん」

「お、おのれ……!」

「次に貴様が目を覚ました時には───全てが片付いているだろう。寝ていろ」

 

 いっそヒーローとは思えないほどに無慈悲な攻撃。右腕と右足を7割ずつ焼き切られたリ・デストロに抵抗する術などあるはずもなく。

 

 鈍い打撃音がリ・デストロの意識に届いた最後となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「想定外……と言わざるを得ないね。まさかここまでしてまだ僕達が押されているとは」

 

「でもそれもここまでだよ。散々好き勝手してくれたね……」

 

 

「全て終わらせようか……!!」

 

 

 

 

*1
名前の通り目からレーザー撃てる。名前は捏造。






エンデ「オールマイトなら出来たぞ?オールマイトなら出来たぞ?オールマイトなら出来たぞ?」
リ.デストロ「ヒエッ」
クラスト(事実だから困る)
エクスレス(オールマイトなら多分効いてない……というか当たらないよなアレ)
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