え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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事後処理はいつも修羅場ってる

 

 

 

 決戦から二日が経った。

 

 オール・フォー・ワンを始めとした巨悪との戦いはヒーロー達の完全勝利で終結し、戦後処理とも言える大規模な後始末を熟す日々が……日常が戻りつつある。

 

 脳無……11,009体

 ニアハイエンド……1,989体

 ハイエンド……12体

 オール・フォー・ワン

 殻木球大(ドクター)

 四ツ橋力也(リ・デストロ)

 近属友保(スケプティック)

 花畑孔腔(トランペット)

 治崎廻(オーバーホール)

 

 その他一部の脳無化を免れていた異能解放軍の構成員達を含む全てが捕縛、及び討伐された。

 

 ヴィラン連合と呼ばれていた者達もまた一時的に確保こそされたものの、オール・フォー・ワン討伐への貢献が考慮された。

 唯一マグネだけは罪がハッキリと判明しているので投獄は免れなかったが、こちらもジャックガムの時と同様に冤罪が多いようなので詳細が分かり次第釈放も有り得るだろう。

 

「一網打尽に出来たことは喜ばしいが……死ぬほどいそがしくなったな」

「ゔえ゙え゙……眠いれすぅ……」

「お前はまだ慣れてないだろうしな。寝れる時に寝ておけ」

 

 で、だ。今回の一件は世間を大いに揺るがした。

 

 伝説とすら思われていた巨悪の失墜は裏社会の者達の不安を煽ったらしく損切りの為に、或いはヤケになった多くの犯罪者が動いた。

 日本どころか世界全体に根を張りめぐらせていたオール・フォー・ワンの完全敗北は各国の犯罪組織にも大打撃だったようで、次々と大規模な組織が瓦解しているとの事。

 

 日本だけで見てもオール・フォー・ワンに加えて異能解放軍という潜在的な脅威をも排除できたことは大きい。何せ最終的には一万とちょっとしか居なかったが、泥花市の件が起こるまでは十万を超える巨大な組織だったのだから。

 

 オール・フォー・ワンの完全敗北は良くも悪くも影響が大きい。具体的にはレディ・ナガンや渡我被身子といった公安の実働部隊にも渡されてしまった山の如く積み重なっているタスクとか。

 

「デトネラット社の上層部のほとんどが異能解放軍だったから引継ぎが出来てないー……とか知ったこっちゃないんですが……」

「同感だ。中には『ヴィランでもいいから社長を返してくれ』とか言うやつもいたそうだ」

「……心中お察しします」

 

 しかし彼女達はこれでもまだマシな部類なのだ。何せ彼女達のタスクはあくまでもヒーローや極一部企業を対象としたもの。他の者達は国内どころか海外のオール・フォー・ワンの残党関係を対応する羽目になっている。

 

 元を辿れば日本で一人のヴィランが捕まった事による大騒ぎだ。他の国からすれば『お前んとこのヴィランどうなってんの???』と文句の一つくらい言いたくもなるのだろう。

 

 問題はそれよりヤベー案件が待っている事だ。

 

「それより腹立たしいのはこっちだな。分倍河原仁や志村転孤を寄越せと宣った馬鹿ども」

「あ、既に知らされちゃった?」

「げ、ホークスさん」

「人の顔見て第一声がそれ?」

「怪我したんですから寝ててくださいよ。それが嫌なら背中のソレ引っこ抜いて寝やすくしてあげますから」

「わーい……後輩が頼もしー……」

 

 今しがた戻ってきたホークスも触れたが、今回で活躍したトゥワイスとヴィランでは無くなった志村転孤を求める連中が声を上げたのだ。

 というのもトゥワイスは言うまでもなく凄まじい戦力になるとしてだ。転孤の方に来たのは研究機関からの要請だった。

 

 

 ──個性だけを壊せるようになった。

 

 

 彼のその一言にどれ程の人間が恐怖し、同時に希望を抱いたことか。

 

 生まれた時から共にあった個性を失うかもしれないという恐怖から声を上げる者もいれば、日常生活にすら支障をきたす個性を手放したい一心で声を上げた者もいた。

 

 目的がどうであれ、彼らの意見を一纏めにすると『【崩壊】について研究したいから寄越せ』になるわけだ。

 

「こういう事言っちゃう人って倫理観どこにやっちゃったんでしょうね」

「意見書にすらソレが無いやつは最初から持ってないんだろ。公安にすらそういうヤツらがいたらしいし」

「やー、まさか裏社会どころか公安の膿まで絞り出す羽目になるとは……」

 

 同じような意見で転孤の人権をガン無視するような阿呆は問答無用で切られた。勿論クビを。

 お陰で人員が三分の一くらい減って彼女達がタスクをこなす事になったのだが、後悔しているかというとそんなことは無い。

 

 これを機に公安委員会やヒーロー達にある腐敗をどうにかしようという話にもなっている。これから更に忙しくなるし、日本はクリーンになっていくことだろう。

 

 

「パイセーン。エナドリお願いします。箱で。最速ですしすぐ行けますよね」

「後輩、カロリーバーとかゼリーも頼む。最速だから早く終わるだろ?」

「こんなに嬉しくない最速の称号の使われ方ある??」

 

 だって事実だし。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 雄英高校敷地内。ハイツアライアンスにて。

 

 

「野郎ぶっ殺してやる!!!」

 

「誰かこのエロブドウ何とかしてくんね?そろそろ鬱陶しいんだが」

「残念でもないし当然」

「妥当なリアクションだ。諦めろ間飛」

「やべえ頼みの綱の瀬呂と上鳴に拒否られた。轟ー……はダメか。氷が残る」

 

 共有スペースでは血涙を流す峰田が間飛の襟を掴んでガクガクと揺さぶっていた。【モギモギ】?あんなもん室内で使ったら後処理が大変だから使ってませんが。というか身長差考慮するとかなり器用だな峰田。

 

 

 エロブドウが発狂するのも割と見慣れた光景になりつつあるA組だが、今回ばかりは他の男子も『言いたいことは分からんでもない』と止めずにいた。

 

 理由は言うまでもなく先日の戦いで味方になったハイエンド脳無のステラ。現在は間飛に説得されてちゃんとした機関で検査を受けているところだ。

 

 しかしステラはこれを『引き剥がされる!?』と捨てられた子犬のような目でどうにかならないのかと懇願。なるべく早く終わらせるからと言っても泣きそうな顔をするので朝昼夜とテレビ電話をする事に。

 昨日の間飛は昼になると何も考えずに皆の前で電話をしたものだから、映像を覗き込んだ峰田が発狂。つまり昨日の昼からずっとこんな感じなのだ。

 

「な゙ん゙で゙……!な゙ん゙で゙お゙前゙ば゙っ゙が゙り゙……!!」

「おい身に覚えのない前科を足すな。何の話だ」

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(クソボケが)ー!!?!?」

「うるっせ!?」

「おお……とうとう言語能力すら……」

 

 ちなみにスマホの画面に映っていたステラは入院着とでも言えばいいのか、真っ白で簡素な衣服一枚を身につけているだけだった。胸部装甲の戦闘力が遺憾無く発揮されていたのである。

 

 

 ああいう態度をとってはいるが、その実彼は間飛の活躍を素直に賞賛している。羨望と言ってもいいくらいに。

 

 雄英生の大半……というか緑谷や間飛のように最前線に出ていた者や上鳴や心操のように特定の役目を持たされていた者以外は避難誘導に当たっていた。爆豪や轟どころか二、三年生達も例外では無い。

 

 雄英生の中で戦闘に参加したのは間飛と緑谷に上鳴、心操、BIG4の八名だけ。

 緑谷は【ワン・フォー・オール】の関係で遠くに配置するくらいなら目の届く場所に配置したいとオールマイトが提案し、間飛とBIG4は純然たる戦闘力で。

 上鳴は異能解放軍に強い電気系個性がいる事が分かっていたのと、デトネラット社謹製のサポートアイテムの破壊に適していると思われていたからだ。

 心操は……言うまでもないだろう。トランペットとキュリオスを素体とした脳無の撃破に貢献していた。

 

 それ以外の候補としては捕縛に特化した峰田や瀬呂、B組から骨抜に塩崎等も挙げられていたが……【モギモギ】や【テープ】は味方にまで影響が及びかねないということで却下。骨抜と塩崎は一応前線の近くに配置こそされたけれど、終ぞ交戦することはなかった。

 

「最初は学徒動員かよ!って思ったけどさ、大半は避難誘導だったし単に人手が欲しかったーって感じだったね」

「あっ、それで思い出した。今回の件もインターンの延長戦にあるって扱いらしくてさ、給与にボーナスつくらしいよ」

「「「マジでっ!?」」」

「マジマジ。シャチョー……ギャングオルカが言ってた」

 

 終わってみれば『俺達いらなかったんじゃね?』という意見も出てきたけれど、それが結果論に過ぎないことは誰もが分かっている。

 もしかしたら……を考慮するとキリがないが、ギガントマキアに入ったオール・フォー・ワンにはそう思わせるだけのポテンシャルがあったのだ。

 

 ヒーロー達からすれば避難誘導にしたって学徒動員をしてしまったと心苦しいものがあるらしく、せめてものお詫びとして給与を増やそうということになったそうだ。

 

「まあ事務所によって対応が違うだろうし断言しない方がいいんだろうけど……」

「……そういや俺らインターンであの場にいたんだったな」

「ケロ。必死になってたから忘れちゃってたわね」

「皆!少ししたら相澤先生が来られるとの事!共有スペースにて待機していて欲しいそうだ!」

「りょーかい」

 

 話があっちこっちに転がっていく中、飯田が少し大きいよく通る声で全員に指示を出した。昨日一日は休息にあてられ、今日は朝に色々話をしてから決めるとの事だったのできっとソレだろう。

 

 やがてきっちり九時に相澤がのっそりと現れ、全員の顔を一通り見た後に気だるげに『おはよう』と挨拶をした。

 

 イレイザーヘッドもまたあの日最前線にいた人物であり、オール・フォー・ワンと交戦こそしなかったけれどハイエンド脳無四体を仕留める大活躍をしていた。

 勿論A組はその事など知らないが、最前線にいたらしいとは聞いていたので傷一つなく帰ってきた相澤を揉みくちゃにしていた。

 

「想定していたと思うが、しばらくインターンは休止。どこの事務所も後始末でてんやわんやしているからな」

「だよなあ……」

「大変そう」

「おいまだ途中……で、雄英は明日から通常通りに授業と訓練を行う。こちらの都合で悪いが、雄英も後処理の対応に追われているんだ」

 

 ちなみに先程からよく出てくる後始末や後処理という単語だが、そのほとんどが脳無関係の報告書だったりする。どんな個性だったのか、等を始めとした情報を纏めて報告しなければならないそうだ。

 

 それとは別に討伐……と言葉を濁してはいるが、オブラートをひっぺがせばその場で殺処分していたのだ。どんなヴィランであれ殺処分した場合はまた別の報告書が必要だとか。*1

 

 で、あの戦いでは皆脳無と交戦してるし殺処分している人もいたし。提出しなければならない書類の量も確認しなければならない書類の量も膨大になっているのだ。

 

「そういう訳で今日までは休みになった」

「訓練場とかは使えますか?」

「申請すれば使える。本来は担任の俺に申請書類の提出をしなきゃならんが……対応出来るか分からん。今日に限っては他の先生でも申請出来るから俺がいない時はそうしてくれ」

「はーい!」

「はいは伸ばすなと……まあいい」

 

 ああ、それと……と相澤は思い出したようにとある二人に目を向けた。

 

 

 

「緑谷と間飛は呼び出しかかってるからついてこい」

「嫌な予感しかしねえ……」

「と、とりあえず行こうか」

 

 どうやら面倒事が待ってるようです。

 

 

 

*1
尚、どちらの報告書も捏造設定。






トガ「うつるくんすいたい」
ナガン「うわ本当に限界じゃねえか」
ホークス「連れてこようか?」
トガ「いえだいじょうぶです……」
ナガン「大丈夫じゃなさそうなんだが??」

マイク「わァ……!ぁ……!」
相澤「泣くな鬱陶しい」
マイク「この書類の山見ろよイレイザー……」
相澤「俺はその1.5倍あるが?」
マイク「……」
相澤「……」
マイク「……頑張ろっか」
相澤「……おう」


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