原作介入編の並びを移動しました。これからは挿入投稿ではなく最新話として投稿させていただきます。
途中から変更してしまい、分かりにくくなってしまったら申し訳ございません。
現No.2にして最速のヒーロー、ホークス。
現在の彼は【剛翼】が完全に復活していない事もあって万全とは程遠い状態にある。
多くの個性が存在する現代においても強い手札である飛行能力も、一枚一枚を自在に操作しての圧倒的手数も。今のホークスにはどれも不可能だ。
(だからといって今彼を逃せば本当にどうしようもなくなる。せめて片目くらいは潰しておかないと……)
間飛とトガの二人がいる民家をアパートの屋上から見下ろしながらホークスは一人覚悟を決めていた。
かつての姿に比べると頼りない翼からフワリと数枚の羽根が動き出す。それらをゆっくりと移動させ……間飛を攻撃出来る位置で待機させた。
二、三秒の間をおいて羽根を急加速させる。数える程しかない羽根による攻撃だが、その速度は並大抵ではない。
間飛の顔で交差するように放たれた羽根。仮にどちらかに反応出来たとしても切り裂かれるか貫かれるかの違いだ。致命傷を避けるなら貫きに来た方を撃ち落とすだろう。無論それも対応出来るならば、という話だが。
一方的に視認しているからこそ出来る極小数の羽根による不意打ち。気づいた時には彼の目は何も映すことは出来なくなっている……はずだった。
「───ぁ……え……?」
身を捩っただけの最小限の回避。眼球を切り裂こうと、或いは貫こうとしていた羽根全てが何も無い空間を通り抜けた。
抱き抱えられたままの渡我被身子は一瞬の困惑の後、仲間を殺した忌々しい羽根に気づくとあっという間にナイフでズタズタに引き裂いてしまった。
──気づかれていた?
だとしたらまずい。あの男がどんな個性にしろ、聞いた噂話が正しければこの距離すら安心材料にはならない。一刻も早くこの場を離れる必要がある。
「動くな」
「っっ…………!!?」
攻撃を外した瞬間に困惑することなく離脱しようとしていたら、或いはそもそも間飛を見つけても手を出さなければよかった。
だが全てが後の祭り。双眼鏡をしまい込もうとしていたその時にはホークスの後ろに彼が立っていた。
本来ホークスにとって背後を取られるということはさほど困るものではない。むしろ背中に【剛翼】が生えている以上、背中を向けた状態になるのは攻撃速度が上昇することになる。
だが、その上で全く勝てる気がしない。今の手札ではどう足掻いてもこの男に勝てる未来が見えないのだ。
「ホークス……にしちゃあ貧相な羽根だな」
「……生憎傷が癒えてなくてね。アンタに差し向けた羽根も何とか絞り出した残りカスみたいなもんだよ」
「何でその状態でこっちに手を出して来たんだか……わざわざ戦う必要もなかっただろ?」
そりゃあアンタからすればの話だろ。ホークスは胸中で吐き捨てるように呟いた。
「……今、色々あって傷心中の女の子に寄り添ってたところだったんだが。ヒーローってのは泣きっ面にハチどころか蹴りを入れるような連中だったか?」
「その女の子が凶悪な犯罪者だとしたら?」
「…………」
だがこれはチャンスかもしれない。この男は渡我被身子の正体を知らないまま距離を縮めていた可能性がある。だったらここで渡我被身子の素性を伝えてなんとか味方側に引き込めるかもしれない。縋るように彼はその可能性にたどり着いた。
渡我被身子はもう何十人も殺している。ダツゴクを率先して仕留めるような正義漢なら、決して彼女を許したりはしないだろうと……そう思っていた。
「あの子は危険なんだ。だから───」
「
「──…………それ、は……」
「生まれついての悪なんていねェ。綺麗事に聞こえるだろうが、渡我被身子が
確かに間飛は渡我被身子の存在を許さない……だがそれは彼女個人を、ではない。彼女のように個性由来の何かしらが原因で不幸になった人間の存在を許さないのだ。
超常社会ではいつどこで自分達の手に負えない未知が生まれるか分からない。対症療法では必ず限界が訪れる。根本から悲劇の輪を断ち切らなければここで渡我被身子を殺しても同じ事を繰り返すだろう。
その答えも出ていない今、間飛は渡我被身子を死なせるわけにはいかない。
「まあ、アンタらと敵対したいわけじゃない。だがな、俺とアンタらの目的は多分違うものだ。利害の一致でもしない限りは手を取る事はねェよ」
「……ちなみに何をしたいんです?」
しかしだ。ホークスは間飛の事情を何一つ知らないのだ。彼の理想やスタンスを理解することは出来ても、今この瞬間に何を望んでいるのかが分からない。故にホークスは彼を放置出来なかった。
命懸けで掴んだ千載一遇のチャンス。こっそり通話中にした通信端末の向こう側で誰かがこの情報を受け取ってくれることを信じて、今の立場も弁えずにホークスは質問した。
「そう難しいことじゃねえよ。俺が前にしてやった事と同じ事をしてやるだけだ」
「前……?同じ……?」
「オール・フォー・ワンをぶっ飛ばした後で死柄木弔にフラペチーノ流し込んでやる」
「フラペチーノどっから出てきました?」
これ後でエンデヴァーさんあたりに滅茶苦茶詰められそうだな。どこか走馬灯のような思考を最後に小さな衝撃がホークスの意識を刈り取った。
◇
ホークスを気絶させて戻ってきた時にはトガちゃんの姿はなかった。
捕まったかとも一瞬考えたが、探知範囲の中で動いていたのはホークスとトガちゃんの二人だけだったからそれはないか。
って、書き置きあったし。えーと『また会いましょう』か……また会えるといいんだが。
『ホークス!?ホークス!!反応しろ!』
「コレ、どうすっかな」
で、問題はこの通信端末。ホークスが持っていたのだが、普通のスマホとは少し違うゴツイ見た目をしている。
画面を見ると『エンデヴァー』の文字が表示されており、恐らく俺との会話をエンデヴァーに聞いてもらってたんだろう。特に情報を出した覚えもないから大丈夫だとは思う。……多分!
「……あー、エンデヴァー?だよな?画面の表示が確かなら」
『っ、貴様は誰だ!?ホークスはどうした!』
「襲われたから正当防衛しただけだっての。命に別状はないどころか最小限で気絶させてるだけだから心配すんな」
『信じられるものか!』
ええいこの頭エンデヴァー*1め。確かに信じられる要素ゼロだけど少しくらい話を聞けよ。
「というか何でホークスが俺を攻撃して来るんだよ?俺ヒーローに狙われるようなことやらかした覚えないんだが」
『奴が攻撃したのであれば貴様がヴィランである以外に理由など……!いや、まさか……貴様ダツゴクを仕留めて回っていた男か?』
「……まあ、そうだが」
なんだ認識されてたのか。特に誰にも何も言われなかったから『よく分からんけどヒーローの誰かだろ』くらいの認識だと思ってたんだが。
一応エンデヴァー達としてはそういう把握できてない戦力を調査する為に接触しようとしてたんだとか。もしかしてやたら追跡してくる奴がいたのはそれか?
エンデヴァー達から見た俺は……まだ判断しかねるってところか。敵意ギラギラだったのに探るような態度に変わった。
……これホークスと交戦したの都合よく改変出来ねえかな。ホークスが現場の判断で勝手に動いただけで俺が何かしたわけじゃない、とか。
「驚いたよ。ホークス程のヒーローが一般人に不意打ちを仕掛けてくるなんてな」
『……奴の不意打ちを退けるような者は一般人とは呼べん。もっと言うならあれ程の数のダツゴクを仕留められるはずがなかろう』
……確かに!
いや待って欲しい!ダツゴクってアレだろ?仰々しい名乗りを上げてた【ギャシュリー】とか【KUNIEDA】とかのネームド(?)ヴィランだろ?アレそんなにヤバい奴らだったん?ワープ&デストロイですぐ終わったんだが。
なーるほど?向こうからしたらダツゴクを仕留めてくれてるから多分味方……と思っていたところにホークスを倒したから本当に味方なのか分からなくなってる感じか。
しかもホークス視点だとそこにトガちゃん……ヴィランと一緒にいたもんだから尚更疑わしく感じたのか。そりゃあ不意打ちもしてくるわな。
で、それを返り討ちにしていたからエンデヴァー視点では俺がとんでもねえ化け物に見えてる……と。
「あー……とりあえずアンタらと敵対したいわけじゃないんだ。今回は正当防衛だと思って欲しい」
『ならば渡我被身子と共にいた理由はどう説明する』
「……聞いてたのか」
どうすっかな。こっちのトガちゃんはもう人を殺しちゃってるらしいし俺一人が言葉を尽くしてどうにかなる話でもなさそうだ。
相手がヒーローだから綺麗事でも並べてどうにか……とはいかねえよな。被害者が出てる以上ヒーローに容赦するという選択肢はない。
かといって身の安全が保証されるとしても自首させるべきとも思えない。というかトガちゃんがそれを受け入れないだろう。
……ダメだな。結局この世界においての俺はどこまでいっても部外者でしかない。何を言っても何をしても確実に俺を味方だと断言してくれる誰かがいない。このままじゃジリ貧になる未来しかみえねえ。
仕方ない。もうちょっと隠しておきたかったが平行世界の人間であることを話すしかないか。
◇
『……俺、平行世界から来てるんだよ』
突拍子もない事を男は口走った。数秒前の詰問を誤魔化そうとしているのかとも考えたが、それにしてはやけに嘘の気配がしない。
「何を言っている?」
『この世界と違って何もかもが三流のハッピーエンドで終わった世界。オール・フォー・ワンの一人負けに終わった世界から……よく分からんけどこの世界に送り込まれてんだわ』
「……馬鹿げている。超常社会ならばどんな荒唐無稽でも信じられるとでも思っているのか」
しかし、それを信用できるかと言われればそんなことは無い。平行世界論など個性特異点よりもずっと眉唾物のオカルト……理論上は有り得たとしてもソレを移動する存在などいるはずがない。
既に殉職したサー・ナイトアイの【予知】のように未来を知る個性を持つ人間はそれなりにいるが、誰もが同じ世界線の未来を見る。故に個性であっても平行世界を超えて干渉、観測する事は不可能だと言われているはずだ。
俺からすればそもそも平行世界とやらが存在するのかも怪しい。ましてや全てが円満に解決しているなど。
こちらの警戒心は伝わっているだろうに、それでも男は言葉を撤回しない。それどころか信じ難い事を言い始めた。
『そうは言われてもね……ああ、じゃあ証拠を見せれば納得するか?』
「証拠だと……?」
『えーとカメラは……これか。切り替えるぞ』
平行世界を証明する証拠?そんなもの一体何があるというのか。
男の言葉通り通話中の画面がテレビ電話へと切り替わる。丁寧なことにインカメラではなく外側についたカメラに切り替えられており、男の顔は全く映らない。どこかの屋上の床と足元だけが見えている。
何かをゴソゴソと弄っていたかと思うと、画面の中にとあるものが飛び込んできた。これは……男のスマートフォンか。
『……先に言っておくが、これからアンタに見せるのはそれなりにショッキングな写真だ。覚悟は出来てるか?』
「構わん。さっさと見せろ」
……くだらん。写真など幾らでも加工が出来る代物だ。ましてや電話越しの粗い映像の中で見せられても信頼など出来るものか。
それでも自信満々で見せようとしているのはそれほどの写真だと言うのか。どちらにせよ今は証拠とやらを見るしかない。
俺はこの時の選択をずっと後悔している。あんなもの、見なければよかった。
『んじゃ……アンタなら一発で分かるだろ。これが嘘か本当か、なんて』
「燈、矢…………?」
間飛(え、遅くね?これ本当にホークス?俺が知ってるホークスはもうちょっと速いと思うんだけど)
原作ホ(何だこの化け物!?)
本編ホ「うーん……」
常闇「どうされた?」
本編ホ「いやね?IXA……間飛君と組手するようになってから俺も成長したなーって」
常闇「……何?」
本編ホ「前より羽根のパワーと速度が上がってるのよ。彼に対抗しようとしてるうちに強くなったっぽい」
常闇「間飛は相変わらず規格外だな……」
※本編ホークスは原作ホークスの1.3倍くらい速くなってます。