え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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何故か本編よりシリアスになってしまう問題。
本作に求められているのはギャグのはずなのに……不甲斐なし!穴があったら入りたい!




クリア後とクリア前は雲泥の差

 

 

 

 根津校長からそういう依頼をされるのは想定内と言えば想定内だった。一人で複数のダツゴクを倒した功績を鑑みてそういう役割を任される可能性はあるとは思っていた。

 

 しかしいざそれが現実のものになると少しばかり尻込みしてしまう。

 

 今更コミュニケーション能力に自信が無いとは言わない。プライベートで女性とかと会話する時ならさておき、ビジネス上の……ヒーロー活動なんかに必要な時は普通に対応出来る自信がある。

 

 その自信を加味した上でだ。自分が知らない(・・・・・・・)1年A組と会うことに緊張するなというのはむずかしいものがある。

 

 自分の最後の記憶にある1年A組のメンバーはとっくに成人済で見た目も変わっているけれど、かつてあの学び舎で時間を共にした頃の姿を見てしまった時の自分がどんな感情を抱くのか想像もつかない。

 

 彼らと同じように接する事が出来るだろうか。過度に彼らと同一視して傷つけてしまわないだろうか。全くの別物に見えて自分だけが傷ついてしまわないか。

 人に会うのが怖いというこの感覚は一生かかっても慣れる気配がしない。やはりどこまでいっても自分の根底は人見知りの他人嫌いなのかもしれない。

 

 それでも、任されてしまった以上は逃げない。自分のいない1年A組と向き合わなければならない。

 

 三度の深呼吸の後、扉に手をかけてゆっくりと開いていく。この向こう側の訓練場にいる皆は一体どんな顔をしているだろうか───

 

 

「オッス爆発さん太郎」

「ンだテメェゴラァ!!?」

 

 

 やっべいつものテンションで声かけちまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー……外部講師の間飛でーす。気軽にIXAって呼んでね」

「「「いやちょっと待てェ!!?」」」

 

 うんツッコミたい事はいくらでもあると思うの。さっきの爆発さん太郎発言とか。でももうちょっとだけ待ってくんない?俺は俺で内心パニックなの。ワニワニパニックくらいパニックなの。

 

 お前ら俺が知ってるお前らと違いすぎるんよ。何そのコスチュームとかサポートアイテム。俺の世界の君達そんなもの装備してなくってよ?

 

 はー……うん、ちょっと落ち着いた。ついでに空間探知で体格とか色々見てみたけどそこら辺も少しずつ違ってるっぽいな。*1やっぱ別人だわお前ら。

 

「質問は……今は三つまで受け付ける。聞きたいことは山ほどあるだろうけど、それは今すべきことじゃないからな」

「……本当に知りたいことだけ吟味して尋ねろってか」

「そゆこと。さすがは爆発さん太郎、頭の回転が早くて助かる」

「その呼び方やめろやノッポゴリラ」

 

 口悪っ。これは将来口の悪さでビルボードランキングの順位落とす面構えしてますわぁ……。

 てか向こうの爆豪と悪口が違うのは何……って、今の俺前髪上げてんのか。そりゃ陰キャ前髪呼びにはならねえよな。

 

 いや普通にノッポゴリラもどうかと思うけども。

 

「では私が一つ……よろしいですか?」

「う、うん。ヤオモモならいい……よね?皆」

「良いみたいだな。で、何を聞きたい?」

 

 こういう時に真っ先に頼られるのはヤオモモだよな。すぐに何人かが視線をやってたし。

 一応確認もしたけど文句なし、と。じゃあどんな情報をお望みで?

 

「間飛さんは何者なのですか?雄英高校の教職員ではないことは勿論、ここに残って下さっているヒーローの方々の中にも貴方のような方はいなかったと思うのですが……」

「……まずここにいるヒーロー全員覚えてるのが怖いんだけど。何の対策だよ……って、渡我被身子対策か。失礼」

 

 個性が同じならこっちのトガちゃんも他人に変装して侵入出来るからなあ。内側にいる人間を全員把握しておいて損はしないか。

 

 全員の視線が『はよ答えろ』って感じで痛いので答えます。(平行世界の)雄英高校を卒業した一般ヒーローです……って危ねェ!?爆豪さん!?

 

「ちょ、爆豪!?いきなり何してんの!?」

「テメェ……嘘つくならもっとマシな嘘をつけや」

「どこら辺を嘘だと思ってんだよ爆弾ウニ……!(全てを語ってないだけで)嘘なんか言ってねえよ!?」

「元雄英生のプロヒーローの中にテメェなんざいねえンだよ。顔写真付きで頭ん中に入ってンだよこっちは」

 

 あっ……スゥ─────………………。

 

 うん、そうだね。散々緑谷のことキショいと言ってたけど、君は君でストイックだからそんな何に使うんだよって情報も頭に入れててもおかしくないよね。

 

 それはそれとしてどうしよう。俺が平行世界から来てるのはなるべく広めないでくれと言われてるんだが。これは流石に言わざるを得ないよな?

 

「だんまりか?それなら……」

「いやいやいや。待って?躊躇ってもんはないの?」

「敵の疑いがある奴を前にしてあると思ってンのか?」

「お前はそういう奴だよちくしょう!!」

 

 アカンその前に死ぬゥ!?

 

 

 

 爆豪が死ぬゥ!!

 

 

 

 

「───は?」

「やっべ、加減ミスったかも……!」

「ば、くごう……?」

 

 おもわずカウンターで腹パンしてもうた。初手でA.Pショットしてきた爆豪が悪い!と言い張れたら楽なんだけど……まあ絶対そうはならねえよな!皆臨戦態勢に入ってるもん!

 

「ッ、テメェ!?」

「よーし!決めた!一回ちょっと大人しくしてもらう!」*2

 

 覚悟しやがれオラァン!?

 

 

 

 

 〜Now Loading(しばらくお待ちください)……

 

 

 

 

 皆さんが静かになるまで三分もかかりました。*3

 

 ちょっと話聞いてくれるだけでいいんだよ?そんなラスボス戦で勇者のパワーを貯める時間を稼ぐ為に死ぬまで食らいつくみたいな事しなくてよかったんだよ?

 

「クソ、が……!」

「全滅かよ……ッ」

「うう……つ、強くね……?」

 

 最後まで悲壮感たっぷりな顔してるところ悪いけど俺味方なのよ。そうならないように鍛えてあげようとしてたところなのよ。

 

 何でこんなに死屍累々なんですかね。

 

 ほら、マンガとかアニメにあるじゃん?強敵の足にしがみついて『死んでも離さねえ……!』ってシーン。アレをリアルで見るどころかされる側になるとは誰も思わないよね。振り払うだけなのに罪悪感が凄かったよ。

 

 何度も言うけど俺味方。君達盛大に味方に殴りかかって返り討ちにあったのよ。酷くない?

 

「……あのね?もう一回言うけど、俺君達を鍛えて欲しいって根津校長から言われてここに来たんだよ」

「そ、それマジだったんですかぁ……!?」

「当たり前でしょうが。じゃなかったら倒れてる君達を念入りにトドメ刺して回ってるからね?」

 

 超暴論だけど『今殺せるのに殺さなかったよね?だから俺はお前の味方だよ!』って話です。頼むから信用してください。

 

 いやもうだいぶボコボコにしたから今日はこれで終わりだけども。早いとこリカバリーガールに治してもらってこい。

 

「……おい」

「何?言っておくがまた同じことしてきたら同じことすんぞ」

「違う。お前……デ、緑谷がどこでどうしてるか、知ってんのか」

 

 …………これ話していいやつ?*4

 あ、いいやつなんだ。じゃあ教えてやるか。

 

「何処で、ってのは移動して回ってるから何とも言えない。ただアチコチでダツゴクを仕留めて回ってるのと、オール・フォー・ワンに繋がる情報を探してるって感じだったな」

「……そうか」

「一応ここに戻ってこいよとは言っておいた。後は緑谷次第だろ」

 

 あの感じだとまだまだ戻ってきそうにないけどな。最悪俺が無理やり連れ戻すのもアリか?

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ある日突然俺達の前に現れた『外部講師』を名乗る男。そいつは想像よりもずっと強かった。

 

 自惚れていないと思っていたが、その思考自体がうぬぼれだったかもしれない。油断はしていないという油断、とでも言うべきか。

 

 爆豪が仕掛けた最初の戦いは何をされていたのかさっぱり分からなかった。前に通形先輩と戦った時のように、気がついたら負けてたって感覚に近い。

 

 それにどういうわけか俺達の手の内が知られている。飯田の【レシプロエクステンド】や爆豪の【A.Pショット】もアッサリと対処されてしまっていた。俺の【赫灼熱拳・燐】さえも。

 

「あの人何者なんだろうな?」

「滅茶苦茶強いし、攻撃は当たらないし……バケモノかよ」

「何かオイラすっげぇ警戒されてんだよな。毎回最初の方に狙われる」

 

 皆も同じように思っているらしく、訓練という名の蹂躙の後にはこうして反省会とも言えない反省会が行われている。その大半はあの人への愚痴になっているが。

 

 これは本当に強化に繋がっているのかという疑問もあった。しかし実際にあの人との戦いを繰り返すうちに強くなっている実感が湧いてしまったので誰もそれ以上文句を言わなくなった。

 

 あの人との訓練では個性よりも基礎的な身体能力を始めとした才能に頼らない部分を鍛えられる。

 パワーもスピードも頭脳も上を行くあの人を相手していると、自然と研ぎ澄まされていくというか……言葉にするのが難しい。最適化、とでも言えばいいのだろうか。とにかく無駄が少なくなっている気がする。

 

 

 あの人が来てからまだ五日目。一日二回の組手が終わった後はふらりとどこかに立ち去ってしまうあの人を何となく追いかけてみることにした。

 

 特に用事があるわけでも監視をしているわけでもなく、ただ何となく気になったから。それ以上の理由は思い浮かばない。

 

 あの人はどこに行くでもなくぶらぶらと歩き回り、ストンとベンチに腰掛けるとスマホを取り出して眺め出した。誰かと通話している……いや違うか。あの人は何も喋っていないし。

 

 

「……何か用か?轟」

 

 

 かと思えば見えていないはずの俺に気づいていた。本当にどんな個性を持っているんだ?

 

 覗き見のような真似をしていた身としてはバツが悪い。躊躇いがちに姿を見せたがなんてことは無いように俺に手招きをしていた。

 呼ばれた通りに近寄っていくとスマホには沢山の写真が写っていた。どうやら写真を見返していただけらしい。

 

 これは友達と撮った写真なんだ、と話しながら見せてくれた写真は……正直信じ難い光景ばかりだった。

 

 ヴィラン連合の死柄木弔や渡我被身子、トゥワイスやコンプレスと共に撮ったらしい写真。そこには俺でも知ってるようなヒーローの姿や警察の人達もいて、思わず睨みつけてしまった。

 

「いやヴィランじゃないって。悪質な合成写真でもないから」

「……じゃあ、これは何なんですか」

「えーっと…………他の奴らにはまだ言わないで欲しいんだけど、俺平行世界の人間なんだわ」

 

 ……これは信じられないのも無理はないな。この前校長室で会った親父が悩んでたのも分かる。

 

 でも、見せられた写真の中には荼毘が……燈矢兄もいた。だから多分本当に平行世界から来たんだと思う。

 

 だってこんなにも幸せそうな燈矢兄、俺は見たこともないから。

 

「……どうやって助けられたんですか?」

「助けた、のかなあ……?ぶっちゃけ何がきっかけでアイツが助かったのかよく分かんねえんだよな」

「ええ……?」

 

 間飛さん曰く、会ったばかりの頃はこっちの荼毘とそう変わらない復讐に取り憑かれた死体のような状態だったらしい。

 

 それがいつの間にか酷い火傷痕も何もかもが治った状態になっていたらしく、四六時中燈矢兄を苦しめていた激痛が跡形もなく消え去ったのだとか。

 

「アイツは言ってたよ。今の苦痛全てがエンデヴァーのせいだと思えば憎しみも続いた、ってな」

「苦痛……」

「ただ、苦痛が綺麗さっぱりなくなると途端に憎しみが続かなくなった、とも言ってたな」

 

 確かに荼毘には……燈矢兄には酷い火傷の痕と縫合痕があった。あれら全てが絶え間のない激痛を生み出しているのなら憎悪も続くだろう。

 

 間飛さんは少し遠くを見つめながら話を続けた。

 

「もしかしたらだけど……大抵のヴィランなんてそんなもんなのかもな」

「そんなもん?」

「そ。誰かを憎む原因が消えちまったら、案外普通に生きてられるんじゃねえのかなって」

「……」

 

 そんな簡単な話じゃないけどな、と苦笑を浮かべながら間飛さんは話を締めくくった。

 

 ……人がヴィランになるには理由があるとはよく言うが、そんな事考えたこともなかった。人からヴィランになる理由があるなら、その理由が消えてしまえばヴィランではなくなるんじゃないか、なんて。

 

 この人がいたという平行世界はどうなっているんだろうか。一度でいいからほんの少しだけでも確かめたいと、そう思ってしまった。

 

 

 

 ……ところであの人が呟いた『零』とは誰のことだろう?

 

 

*1
Q.セクハラでは?A.至って真剣&探知し過ぎててその程度で興奮しないのでセーフ

*2
ヤケクソ

*3
青ざめ&ヤケクソ

*4
離れたところにいる根津「おk」






Q.間飛強すぎじゃない?3分て。

A.この間飛は分かりやすく言うと『最終決戦後にちゃんとヒーローとして経験を積み重ねた究極完全体OFA継承者』みたいなものだから妥当。
原作キャラで言うならオールマイトとかスターアンドストライプ相手にしてるようなもん。

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