え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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開き直ってシリアス成分マシマシでいくことにしました。やっちゃったぜ。
多分そのうち我慢しきれなくなったギャグ成分が顔を出すので許してヒヤシンス。





木偶の坊

 

 

 

 間飛が雄英高校で大暴れしている頃、緑谷はナガンから伝えられた“灰堀森林”での一件を引きずっていた。

 

 オール・フォー・ワンが彼女に出した指令は『二ヶ月以内に灰堀森林の洋館にターゲットを連れてくること』だった。

 爆弾を取り除かれた後のナガンは酷く憔悴しているらしく、時折『彼らに謝りたい。会って礼がしたい』と呟いているとか。

 

 後ろ髪を引かれる思いをしながらも緑谷はエンデヴァーらと共に洋館……【異形排斥主義集団CRC】のアジト跡に突入した。

 しかし中には誰一人としておらず、オール・フォー・ワンの嘲笑と宣戦布告が記録された投影機が置いてあるばかりだった。

 

 ごちゃごちゃと能書きを垂れていたオール・フォー・ワンだったが、要約すると『次は君がターゲットだ』という事を言いたかったらしい。

 

 言うまでもなく弄ばれている。IXAというイレギュラーが存在していようとも、彼は自分の勝利を信じて疑わないから、自分こそが支配者に相応しいと思っているからこんな無駄なことを嬉々としてやっている。

 

 

 その行いはオール・フォー・ワンの想定通り、緑谷の肩にずっしりとのしかかっていた。

 

 

 

 

 

「……ナガンから更に情報を絞れたりはしないのか?」

「それが話した以上の事は知らないらしいんですよ。大方あの人も捨て駒だったって事なんでしょうけど……」

「IXAは……と、失礼。彼はこちらの事情には詳しくないんだったな」

 

 Mt.レディにエッジショット、シンリンカムイにベストジーニスト、そしてエンデヴァーとホークス……ヒーロー側の残存戦力の中でもトップクラスのメンバーが顔を突き合わせて話し合いをしている。

 

 彼らの目的はオール・フォー・ワンの情報を得る事なのだが、如何せん尻尾も何もあったものではない。霧を手で掴もうとしている気分になる。

 今積極的にダツゴクを狩っているのもオール・フォー・ワンに繋がる情報を持っていないのかを確かめる為に、という理由が大きい。

 

 しかし間飛という特大のイレギュラーによって多くのダツゴクが再び豚箱送りにされていることもあり、向こうが仕掛けたタイミングでしか遭遇できないオール・フォー・ワンの刺客を待ち続けるしか出来ていないのが現状だ。

 

 そんな状況では成果も何もあったものではない。精々がダツゴクの数を減らせた、ぐらいしか喜べる部分はないだろう。

 

「エンデヴァー、そろそろ賭けに出る必要があるのではないか?」

「……」

「一部の者だけじゃなく全ての残存ヒーローと【ワン・フォー・オール】の秘密を共有し、包括的巨大捜査網を敷くべきだ」

 

 エッジショットの提案を補強するようにMt.レディが続けた。

 先のレディ・ナガンの一件で連合捜索の負荷が緑谷に集中する可能性が明らかになった。今のオール・フォー・ワンの狙いが明確に緑谷であると宣言されてしまったのだ。

 

 あらゆる現場で慢性的な人手不足な今、警察も眼前の取り締まりに手一杯。かといって残存するヒーローもオール・フォー・ワン捜索まで手を伸ばせる余力は身体的にも精神的にも厳しいものがある。

 このまま擦り切れてしまうくらいならばいっそ……と考えるのも分からなくはない。

 

 だが、エンデヴァーはそれに否を唱える。

 

「一昨日デステゴロが退職しただろう」

「……はい」

「先の戦いでは超常解放戦線のスパイヒーロー共を率先して縛り上げた気骨のあるヒーローだったが……そんな彼ですらコスチュームを脱いだ」

 

 ただでさえ少ない人手は日を追う事に減っている。そしてヒーローという舞台から降りた人間には舞台裏を知りたがる人間が殺到する。

 

 辞めたヒーローから情報が漏れ出し、マスコミや一般人がデクに……【ワン・フォー・オール】に近づきつつあるのだ。

 

「あの男も言っていた。オールマイトという存在に縋るのが当たり前だった民衆は、そのオールマイトから受け継いだ【ワン・フォー・オール】の存在を知れば……また縋ろうとする」

「それが悪いかと言えば、まあ良くはないですよね。現実としてその結末が今なんですから」

 

 今更分かったところでどうしようもないことではあるけれど、だからこそ同じ歴史を繰り返すわけにはいかない。また一人に全てを背負わせる訳にはいかないのだ。

 

 唯一幸いと言えるのは、そのデクに並び立てる希望がいることだろうか。

 

「……最悪の場合、あの男の提案に乗ることも考えなければならん」

「『IXAに代役を担ってもらう』ってヤツですね。それをデクが呑んでくれるかは分かりませんが」

 

 本人から提案された作戦とも呼べない作戦。間飛にデクの振りをして暴れ回ってもらい、その間に体勢を整えて一気呵成に畳み掛けるというもの。

 

 しかしその作戦も結局は誰か一人に全てを背負わせている。背負う人間が緑谷から間飛になるだけだ。

 

 

 そして彼らの決断を待ってくれるほど敵も味方も猶予を与えてはくれない。

 

 

 沈んだ空気を切り裂くように電子的な通知音が響く。エンデヴァーが自分の端末に来た通知かと動くよりも早くホークスが声を上げた。

 

「え!?」

「どうした!」

「緑谷君第二の刺客と接触……!!」

 

 

 

 

「後、即勝利……!!」

 

 

「何だと……!?」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ──次は、君だ。

 

 

 脳裏に焼き付いた二人(・・)の言葉。

 

 そうだ。僕がやらなきゃ。誰も巻き込まない為に、誰も巻き込まないように。

 

 まだ動ける。まだ戦える。ヴィランに準備をさせちゃいけない。僕が戦わなきゃ、皆を守らなきゃいけないんだから。

 

 

 ──次は、君だ。

 

 

 皆が困っている。

 

 オール・フォー・ワンはどこにいる。

 死柄木弔を止めなければ。

 ヴィラン連合を止めなければ。

 

 皆に手は出させない。

 【ワン・フォー・オール】を完遂させなければならない。

 

 

 ──次は、君だ。

 

 

 皆がまた安心して過ごせるように。

 皆とまた笑って過ごせるように。

 

 

 ──次は

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドクターストップだぜ緑谷」

「…………」

 

 水溜まりを踏み抜いて現れたのはIXAだった。

 

 何でここに、とか何で僕に、とか。色々と疑問はあるけれど……今、貴方には会いたくなかった。

 

「エンデヴァーとオールマイトと──から頼まれたよ。『緑谷出久を止めてくれ』って」

「……そう、ですか」

「そ。というわけで大人しく着いて来てもらおうか」

 

 分かっていた。皆は優しいから、僕にこんな事を望んでなんかいないって。無茶をしようとしている僕を止めようとするって。

 

 ……でも、だからこそ。

 

 

 優しい皆を守りたいんだ。

 

 

 

「───な」

「まあ逃げるわな。お前のことだし」

「速……がっ!?」

「多少手荒になっても構わないと言質は取ってるんでね。ちょいと痛いかもしれんが我慢してくれよ」

 

 っ……僕より速い!?そんな……今の僕は擬似的にとはいえ100%の速度が出せるのに……ッ!!跳躍先に回り込まれて叩き落とされた!

 

「どう考えても俺の役割じゃないんだけどなコレ。こういうのはクラスメイトがやるもんだろ」

「っ……だったら見逃して欲しいんですけどね」

「見逃すと思う?」

「全然ッ……!!」

 

 何なんだこの人。隙が無さすぎる。【黒鞭】で捕まえることも【変速】で振り切ることも出来そうにない。

 

 ならば視界を遮る!【煙幕】を使えば……ッ!?

 

「見えてんだよ」

「何、で……!」

 

 これもダメなの!?本当にどんな個性なんだこの人は!何でこの【煙幕】の中で的確に僕を殴れるんだ!?

 

「丁度いいや。先月緑谷にヴィラン横取りされてたし、その恨みお前で晴らさせてもらうわ」

「それ僕じゃない僕ですよね!?」

「まだツッコミを入れられる程度には元気……と。じゃあ続けますねー」

 

 ダメだ、本当に何も分からない。この人の能力も実力もまるで理解できない。切った手札の尽くが叩き潰される。

 

 【黒鞭】も【煙幕】も【変速】も【危機感知】も【発勁】も【浮遊】も……全部、通じない。

 

「……万全ならこんなもんじゃないんだろうけどなあ」

「ぐ……!この……」

「もういいや。そろそろアイツらにパスしとくぜ」

 

 アイツら……?それって───

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 間飛に蹴り飛ばされた緑谷は舗装された地面を砕きながら落下同然の着地を果たした。慢性的な疲労と短時間で受けたとは思えないダメージのせいか立ち上がる動作もどこか緩慢で、それでも数秒と経たずに戦闘態勢に戻るのは流石と言うべきか。

 

 しかし間飛からの追撃はなかった。辺りを見回しても彼の姿が現れることはなく、雨の降りしきる音がするばかり。

 

 ……否、雨の音に紛れてもう一つ。複数人の足音が聞こえていた。

 

「あの人マジでヤベエな。今の緑谷が手玉に取られてたじゃん」

「そんな方が今までどちらに居たのかは気になりますが……今はそれどころではありませんね」

 

「皆……何で……」

 

 1-A。緑谷が守ろうとした皆の中の人々。

 

 偶然などでは無いのは一目見れば分かる。自分以外の1-A全員が揃っているのだ。何をしに来たのかなんて言われるまでもなく分かってしまう。

 

「心配だからだよ」

「……僕は、大丈夫だよ」

「ハッ、そいつァよかった!さすがは【ワン・フォー・オール】継承者様だなァ!?ンで?テメェは今笑えてンのかよ?」

 

 自分を止めに来たのだ。皆にいて欲しい陽だまりのような安全な所へ連れ戻そうとしてくれている。

 

 ……しかし悲しいかな。そうした優しさを見せれば見せるほど、緑谷は意固地になっていく。

 

 だって皆を守りたいから。皆の為に戦っているから。

 

 

 言葉を交わす余裕はなかった。これ以上言葉を交わせば本当に揺らいでしまう。緑谷は無言で【煙幕】を解放した。

 

「テメェら絶対逃がすなよ!!」

「煙幕──は六代目の……!!」

 

 皆の対応も速かった。広がる【煙幕】は爆豪の【爆破】によって散らされ、離脱しようとしていた緑谷の姿を詳らかにする。

 

 

 

 

 

 

「……必要に駆られたから、だろうな」

 

 

 そんな彼らの説得をビルの上から見下ろしながら、間飛は率直な感想を零した。

 

 この世界の彼らは自分が知るこの時期の彼らよりも僅かに強い。無論全てにおいて上回っているとは言い難いものの、少なくとも実戦経験はこちらの方が上だろう。

 

 間飛の世界では早々にケリが着いた戦いが多く、その分生徒達の実戦経験はそう多くはない。差があるとすればそこが原因だ。

 

 何かを知る度に、何かを理解する度に自分の知る世界とは違うことを実感させられる。誰かと会う度に事情を説明しては敵では無い証明を求められる。

 

「そういうキャラじゃないはずなんだがなあ……」

 

 皆に囲まれてようやく足を止めることが出来た他人を見守りながら、出てくる言葉はネガティブなものばかりだ。

 

 自分が一番よく分かっていると思っていたのに、突きつけられる度に『いいや、お前はまだ分かっていない』と誰かに言われたような気分になる。そんな感覚が常時付き纏っているのだ。

 

 

 ──これはお前の物語じゃない。

 

 

「……はいはい」

 

 どこからともなく聞こえてくる幻聴を無心で受け止めながら、間飛は誰にも気づかれないようにその場を後にした。

 

 

 

 






【作者の偏見戦闘力比較】

原作緑谷…Lv.78
爆豪…Lv.77
AFO入り弔…Lv.80
AFO…Lv.82
究極完全体AFO…Lv.90

間飛…Lv.100
本編後緑谷…Lv.100
最盛期オールマイト…Lv.100

【13:27訂正版】
※最盛期オールマイトをLv.200にし、それを基準に少し変えてみました

原作緑谷…Lv.80
爆豪…Lv.75
AFO入り弔…Lv.90
AFO…Lv.93
究極完全体AFO…Lv.198

間飛…Lv.209
本編後緑谷…Lv.208
最盛期オールマイト…Lv.200



こっちの方がそれっぽくね?って思った方は感想で書いて頂けると助かります。多分今日だけで二、三回は訂正(?)すると思うので。
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