え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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前話の【Re:パラドックス⑬】は諸事情あって一度削除した後に再投稿しています。最後の方の数行をコピペミスしていただけなので確認されていない方は最後の方を読み直して頂けると助かります。





初めましてな親友

 

 

 

 スターアンドストライプが日本に来てくれる。

 間飛はそれを聞いた時からとある可能性を考慮し、最も理解を示してくれるであろうオールマイトへと話を持って行った。

 

「オール・フォー・ワンってスターアンドストライプのこと把握してますよね」

「ああ。警戒しているだろうし、あわよくば個性を欲しがっているだろう」

「……だとしたら今回の来日で確実に狙いに来ますね」

「それは……そうだろう。しかし彼女は私と同じ一国のトップに立つヒーローだ。如何にオール・フォー・ワンでもそう簡単にはいかないだろう」

 

 それでも最初のうちは考えすぎだろうとその可能性を否定された。

 だが間飛は自分がオール・フォー・ワンの立場ならこうするんじゃないか、という意見を訴えかけた。

 

 確かに【新秩序】は強力かつ自由度の高い能力だ。だからこそオール・フォー・ワンはそれを欲すると同時に、緑谷の【ワン・フォー・オール】との協力を恐れているのではないか。

 

「奴からすればこの国に降り立った時点で難易度が一気に上がるのが【新秩序】です。それを黙って見過ごすはずがない」

「……なるほど、一理ある。しかしその話を何故私に?」

「今の話が現実になったらアイツが襲撃仕掛けそうな所ってどこになると思います?」

「そんなの、着陸地点……いや、まさか……しかし奴の個性なら……っ!!」

「仕掛けるなら【ワン・フォー・オール】と合流する前、一番確実な日本に来る前以外ない……と、思ったんですよね」

 

 だとすれば一大事だ。既にスターアンドストライプはアメリカから発っている。既にオール・フォー・ワンが動き出していてもおかしくはない。

 

 間飛がオールマイトに話を持ってきたのは、彼の口から説明してもらった方が多くの人間からの協力を得られるとの判断からだった。

 今の間飛はまだグレーゾーンの立ち位置にある。そんな男が必死にスターアンドストライプと接触しようとしていると分かれば誰かしらが口を挟むのが目に見えていた。

 

 故にこのときの間飛は想定していなかった。

 

「今すぐにでも対オール・フォー・ワンの戦力を出さなければ──」

「間飛君!」

「──はい?」

 

 

コレ(・・)を使ってくれ!」

 

 

 オールマイトが隠し球を持っていたなんて。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 日本の大地からおよそ50kmほど離れた海の上。あと数秒も経たずに世界の均衡がオール・フォー・ワンに傾こうかというその一瞬に間飛は間に合った。

 

 

『お、前……ッ!?邪魔をするなアアアア!!!?』

 

「セーフセーフ……この【エルクレス】ってのは凄いな本当に」

 

 

 如何に間飛とて50kmの海を超える手段は持っていない。仮にたどり着いたとしても着いた時には疲弊してしまっている。

 

 ではどんな手段でその壁を越えたのか。それこそ今しがた彼の足から分離し日本へと帰還して行った複数のパーツ達だ。

 

 名を【エルクレス】。本来はオールマイトが最後の戦いに使うつもりで用意していたパワードスーツなのだが、その内の【ウラビティ】や【インゲニウム】といった加速機構を貸し与えたのだ。

 

 そこに本家本元の【ウラビティ】にも協力を仰ぎ、真っ当な人間ならば耐えられるはずのない超スピードが実現された。

 

「さすがにマスク無しだとヤバいレベルの速度は初体験だ……」

「……Hey,Hero」

「ん?」

「助かった。礼を言う」

『ギリギリですんませんねホント』*1

『英語を話せるのか!最近の日本人はグローバル化が進んでるね!』*2

 

 そのお陰でアメリカのNo.1ヒーローの死は免れ、つい数秒前まで死にかけていたというのになんでもないかのようにカラカラと笑ってみせている。

 

 というか当たり前の様にスターの隣に着地したけどそこ戦闘機の上だってこと分かってます?

 

『そうか……お前がIXAか!』

「そういうテメェはオール・フォー・ワンだろ?逃げ回るしか脳のない魔王気取りの臆病者」

『あと一歩だった!お前があと一秒遅ければ勝っていた!』

「その一歩を詰められなかったのがお前だし、その一秒に間に合ったのが俺だ。負けたテメェが悪いのにグダグダ文句言ってんじゃねえよハゲ」

 

 その上ラスボスを目の前にしてこの不遜っぷり。触れられたら死ぬ敵を真顔で煽り散らかす様は一周まわって頼もしさすら感じてしまう。

 

 尚、しっかり日本語を学んでいるスターは二人の会話に『日本人にしてはトラッシュトーク*3の切れ味がいいな』と謎に感心していた。止めようよヒーロー。

 

 とはいえだ。死柄木弔の怒りはとてつもなく膨れ上がっている。最大にして最後のチャンスと言ってもいい瞬間にドンピシャで横槍を入れられたのだから無理もない。

 

『お前だけは今殺す……!!』

『……スター』

「日本語でいい。何か考えがあるんだろう?」

「あ、こっちのスターもいけるのか。じゃあ一つだけ……」

 

 

 ──俺が足止めするんで試してみてください。

 

 

 間飛は何かをスターに伝えると死柄木弔の目の前に【瞬間移動】し、怒りに歪んだ顔面を思い切り殴り飛ばした。

 

「Bros!彼に協力してやってくれ!」

『そりゃいいけどよ!アイツ何者だ!?オールマイトみてえなパワーしてんじゃねえか!』

「さてね……とりあえず味方であることは確かだ!」

 

 戦闘機が動き出す。迂闊にレーザー砲を放てば巻き込むかもしれないので、彼らが間飛に提供できるのは空中での足場のみ。適当に周囲を飛行しつつ何かあれば即座に対応してやれるように全員が気を張りつめた。

 

『クソがっ……!鬱陶しい小バエ共め!!』

「……あの人達が小バエなら集ってるのお前だからお前排泄物か生ゴミって事にならねえ?」

『殺す!!』

 

 しかし当の本人はこの軽さ。万人が死神の鎌を幻視する殺戮の手を前にして煽ってんだか天然なんだかいまいち分かりにくい返事をしていた。

 更に言えば死柄木弔は足場代わりにしていた脳無から【翼】の個性を奪っており、間飛よりずっと自由な空中機動力を有している。

 

 増援として来てくれたのは有難いが、最悪の場合はスターを優先させてもらおうと思っていた。だが……。

 

「おっと惜しい。あと数センチが足りてねえなあ」

『こンのッ……!?』

「あ、一発腹パン入れとくわ」

『ボエッ!?』

「オマケに回し蹴りはいかがー、っと」

 

 予想に反して間飛はヒラヒラと攻撃を躱し、何ならいいもんみっけとばかりにがら空きのボディーを殴りつけたり側頭部を蹴り飛ばしたりしている。

 ならば少し距離を置いて遠距離攻撃を、なんて動きを見せれば【瞬間移動】が距離を食いつぶして回避反撃共に不可能なヒットアンドアウェイで削っていく。

 

 何故こうも差があるのかと言うと、単純に元いた世界で散々その手の相手対策をして来たからだ。

 

 目の前の死柄木弔もそうだが、麗日やオーバーホールのように【接触=致命傷】となる個性などいくらでも存在するのが超常社会だ。

 そこで間飛は緑谷は勿論、ミルコやグラントリノ等の機動力に優れた近接型のヒーローとの組手の中で『手のひらで二秒以上触れられたらアウト』というルールを付け加えたりしていた。

 

 何ならそこに悪ノリした他のヒーローや公安の方々も参加して一つの訓練形態を作り上げた……というのは別の話。

 

 今の間飛はとにかく触れようとするだけのヴィランなど苦もなく相手取ることができる。ましてや不完全なまま多くのことを試そうとしている死柄木弔など格好のサンドバッグでしかない。

 

『本当に何なんだテメェは!!?』

「客だよ、客」

『誰のだよ!どこのだよ!?』

「知るかよ。つかギャーギャー喚くなその面で」

 

 ただでさえスターとの戦いで一方的に叩かれていたというのに。乱入してきた顔も名前も知らない男にまた一方的にボコボコにされるなど苛立って苛立ってしょうがない。

 こちらの攻撃は軒並み外れるわ防がれるわ……このまま憤死するのではというくらいに死柄木弔は怒り狂っていた。

 

 故に、冷静さを欠いてしまったのだ。

 

 

 

「【オール・フォー・ワン】はシムラテンコ(・・・・・・)に手を出せない!!」

 

 

 

「───は?」

 

 

 己の背中に突き立てられた致命の()に気づいた時には遅かった。誰も知らない、知っているはずがない名前を口にしたスターへの疑問よりも早く、彼の中にいた魔王が悲鳴を上げた。

 

 

『ギィアアアアアアアアッ!!!?』

 

「うわっ!?本当に効いた……!」

「ぐうっ……何だこの耳障りな悲鳴は!?何が起こった!?」

 

 効果は劇的だった。一瞬惚けたかと思えば激しく頭を掻きむしり始め、つんざくような悲鳴をあげて苦しみ始めた。

 

 彼の身体の内側で何かがバキリ、と砕けたような音が聞こえた。

 致命的な何かに手をかけていたらしい、と他人事のように思った。

 

 狂ったように何かを呟きながら自分の首を締めたり、もう片手でその手を止めようとしたりと明らかに尋常ではない何かが彼の中で起こっている。

 スターが視線だけで間飛に問うものの、間飛も首を横に振るだけ。詳しいことまでは分からないようだ。

 

「ぁ、がァッ……!?あ、たまが……わ、割れそうだ……!!」

『っ……!?に、逃げ出したぞ!』

 

 死柄木弔にとってこの状況で戦闘を継続することは難しかったらしい。背を向けるのも構わずに個性をフル動員してその場から離脱を図った。

 

 戦闘機の中から追いかけるかどうかの質問が飛ぶが、一歩間違えれば死んでいたという事実はスター本人よりも周囲のパイロットの方がショックは大きかったらしく、その声には『出来れば追いかけないでくれ』という感情が見え隠れしていた。

 

「……今は日本に向かおう。顔を合わせる間もなく死ぬくらいなら情報を持ち帰るべきだ」

『わかった。聞いたな?お前ら』

 

 さすがのスターもあの結果には堪えるものがあったらしく、苦虫を噛み潰したような顔で日本へ向かうことに賛成した。

 

 そうなれば残る問題はイレギュラー過ぎる増援の間飛の扱いなのだが。

 

「いやあ本当に助かったよ……こっちに乗りな。凱旋と行こう」

「凱旋……と呼ぶには成果ゼロですけどね」

「なあに!あれ程のヴィランなら生きて帰れることが成果だ!」

 

 ……スターが気に入っちゃったのでとりあえず一緒に行くことにした。何だかんだ言って彼女には甘いパイロットだった。

 

 

 

*1
クイーンズイングリッシュ

*2
アメリカンイングリッシュ

*3
スポーツの試合前の記者会見や試合中に汚い言葉や挑発を利用して相手に精神的な揺さぶりをかける作戦のこと。間飛の場合はただの煽りカス。






オールマイト「多少は無茶しても大丈夫!」
間飛「ほーん」
AI「それではいってきますねマスター」

間飛「ぶっ飛ばすぜベイベ!!」
AI「らめええええ!?身体壊れりゅううううう!?」
間飛「【瞬間移動】も使ってもっと速く!」
AI「んほおおおお!?計算(あたま)バカになりゅううう!!」

AI「後で覚えとけよアイツ」←オーバーヒート寸前
オールマイト「エルクレスがグレた!?」



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