え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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本音を吐くには勇気がいる

 

 

 

 衝撃の真実!雄英高校にひそむ内通者は青山優雅君でしたー!

 

 はい。さすがに真面目に話します。

 

「……どういうことか説明してくれるんだろうな?」

「いや説明も何もそのまんまですよ。俺のいた世界だと青山が内通者してたんでこっちでもそうなのか確認したら自白しただけです」

「聞かなきゃいけないことが増えただけだね?」

 

 何でや。それ以上言うことないぞ俺。

 

 情報の詳細を語れって言われても、今語った事が全てなんよ。1年A組全員の個性が同じなら青山の個性を得た手段も同じだと思ったんだって。

 

 一応違ったら悪いからその時は謝り倒して気が済むまで殴られるつもりだったんだけどね。一人だけ呼び出して聞いてみたら自分から全部喋ってくれたよ。*1

 

「後で本人からも聞くとして……何故青山君が内通者になったか知っているかい?」

「えーと、確か元は無個性に生まれて差別されるのが怖いから、親御さんがオール・フォー・ワンの噂を耳にして個性を貰ったから……としか」

「あー……個性社会の悪い部分だぜ。個性が発現するまでも人種差別とか根深かったというが、別の理由でまた差別が生まれちまってる」

 

 その辺はもう個性社会の欠点というか人類の業としか。生物云々の括りならマウント合戦も生存本能のアレコレに紐付けられるんだろうけど、人間は長所の見せ合いじゃなくて相手の短所突きにいくからなあ……。

 まぢ人類愚か。もぅまぢむり……(詠唱破棄)破道の九十六『一刀火葬』。

 

 失礼。心の中の黒ギャルが死神の世界に行くところだった。これからの弁明とかその他諸々を思うと頭が痛いんよ。

 

「で、その当人は何処に?」

「今は自分の口でクラスメイトに話しに行ってます。自分の口で話すべきだと言うもんで」

「……本来なら彼の身柄を厳重に拘束し、A組の皆にも後で伝える形にするのが無難なんだろうけどね。君の心遣いに感謝する。ありがとう」

 

 いやいやそんな。世界線が違うったってクラスメイトはクラスメイトですから。むしろ寛大な処置にこっちから頭を下げたいくらいなんだけどなあ。

 

 あ、それで言うと一つ頼みたいことがあるんだった。

 

「根津校長。俺少し雄英の外に出て確認したいことがあるんですけど大丈夫ですかね」

「確認?」

「ええ。こっちの世界にも俺はいたのかなーとか思いまして。実家の辺りでも探してみようかなと」

「それなら雄英のデータベースで……失礼。こちらの君は雄英生ではなかった」

 

 気にしてないんでいいですよその辺は。

 

 

 

 ぶっちゃけただの方便なんで。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「僕はクズのヴィランなんだ……」

 

 か細く弱々しい声で、しかし自らの口でハッキリとそれを伝えた。

 USJの襲撃も強化合宿での誘拐の原因も。それどころか今だってオール・フォー・ワンからの指令を受け取っていた事も。

 

 念の為にと同伴している塚内警部以外、1-Aの誰もが絶句していた。

 相澤が痛めつけられたUSJも、負傷者が出て爆豪が誘拐された合宿も。今のこの状況に繋がってしまった事件に関わっていたと知らされれば当然だろう。

 

 今この場で殺されても文句は言えない。ひょっとしたら死ぬより辛い目にあうかもしれない。けれど彼らを裏切って笑いあってしまったのだから受け入れなければならない。

 

 だって自分は薄汚いヴィランなのだから。青山は全てを失う恐怖に身体を震わせながらそう呟いた。

 

 しかし──

 

「……青山君」

「っ……!!」

 

「すまなかった……!」

 

「……え?」

 

 ──返ってきたのは罵倒ではなく、謝罪だった。

 

「君がそんなにも苦しんでいたというのに……僕達は気づけなかった……!」

「ち、違う!悪いのは僕で……」

「けっ……どうせ脅されてたとかそんなんだろ。どうしてもってンならハウザー五発で許してやる」

「微妙に文句言いにくいのやめろ爆豪!?」

 

 悪いのは自分だ、と伝えたはずなのに。飯田はそれに気づいてやれなかったとこちらに頭を下げ、爆豪は乱暴ながらも青山に責任は無いと言った。

 

 どうして?何で?意味がわからない。加害者の立場である自分がどうして被害者のように扱われるのか。青山はひたすらに困惑していた。

 

「皆は……僕が憎くないのかい……?」

「……まあ思うところはあるよね。私とヤオモモとか合宿で被害にあってたし」

「ちょっ……!?」

「でも、悪いのはヴィランだし」

 

 A組は分かっている。青山が本当に性根が腐ったヴィランなのか。本当にオール・フォー・ワンに与したクズのヴィランなのかを。

 

 断じて否だ。青山はヴィランなどではない。ここにいるA組の誰もがそう断言するだろう。

 

「……悪いが今はそこまでだ」

「塚内さん……!」

「今すぐ何かをするわけじゃない。ただ、レディ・ナガンのような仕込みがないのかだけ調べなければならない」

 

 しかし今はそこ止まりだ。相手はオール・フォー・ワン。本人にその気がなくとも遠隔で何かを仕掛けてくる可能性は十分にある。

 せめて安全性だけでも先に確保しておくべきだと、青山は拘束されたまま塚内に連れていかれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 何をしたらいいのか分からない。

 自分の頭の中を埋め尽くす無数のハテナはいつまで経っても消えてはくれず、それどころか日を追う事にその数を増やしている。

 

 あんなに怒りに満ちていたのに。荼毘に家を燃やしてもらって迷いは無くなったと思ったのに。自分の……渡我被身子という一人の少女の心には未だモヤがかかっていた。

 

 原因は明白。少し前に遭遇した間飛との接触だろう。

 

 あの時は何かを感知した間飛がどこかへ行って、ヒーローの気配を感じてしまい書き置きを遺して去ることしか出来なかった。

 間飛ならこの感情の答えを知っているんじゃないか……藁にも縋る思いでもう一度間飛と会えないかと願っていた。

 

 不思議な事に彼なら来てくれるはず、という妙な信頼があった。

 

「……で、本当に来るんですね」

「え、何が?」

「いえ……なんでもないです」

 

 そして本当に来てくれるのだからもっと不思議だ。

 

 なんでもない様な顔をして自分の前に現れ、お互いのヒーローとヴィランという立場も無視して飲み物を渡してくれる。それを何の疑問も持たずに口をつけた自分も変と言えば変なのだろうけど。

 

「……甘いです」

「何気に今は貴重な甘いヤツ貰えてな。お裾分けしてやろうと思って」

「むぅ、雄英だけズルいです。私達はカロリーバーとかがほとんどなのに」

「……サンドイッチあるけど食う?」

「いただきます!」

 

 ほら、今も。

 オール・フォー・ワンと死柄木弔のせいで荒れ果てた日本の中で、ここだけがそんな事起こらなかったみたいな穏やかな空気が流れてしまっている。

 毒や薬を疑うべき物を何の躊躇いもなく口に入れ、久しぶりのまともな食事に喜色を浮かべてしまう。

 

 いつぶりかの真っ当な満足感は想像よりも幸せというものを教えてくれる。作業も同然のソレとは違う、味や食感からポジティブな感情が出てくる食事など本当に久しぶりだった。

 

 いや、違う。

 ほんの少し前にもチョコだったりパンだったりは食べたはずだ。人の消えた民家から見つけたりして食べたことを覚えている。

 

 じゃあアレと今のコレは何が違うんだろうか。

 

「……血。血も……いいですか?」

「いいよー。また首でいいか?」

「ありがとうございます」

 

 思い出したように頼んでみても間飛は顔色ひとつ変えずに了承する。どれだけ強くても自分の匙加減一つで生死が変わる場所を簡単に曝け出す。

 

 ……もし。もし、今ここでナイフを突き立てようとすれば。きっとこの人は死ぬ。いや避ける方が早いか?

 でも、どんな結果になるとしてもそんな事は出来ない……いや、することは無いだろう。

 

 鋭い犬歯部分で皮膚を軽く裂く。ブチリ、と生々しい音の後に口の中に鉄臭い独特の味が広がった。

 

 いつもならもっと欲しい、もっと吸いたいという欲求に突き動かされて刃物を手に取っていた。

 しかし今の自分は刃物を取る気にならない。それどころか体に手を回して抱きつくようにしている。攻撃なんかされれば抵抗も出来ないというのに。

 

 きっと自分の中で安心しているのかもしれない。この人にはそんな事をしなくても、自分が望めば血をくれるのだと。

 

「……ぷぁ」

「ん?もういいのか?」

「はい」

 

 分からない。何故この人はそんな事をしてくれるのか。何故こんなにも信頼してしまうのか。

 

 何故……何故もっと早く私と会ってくれなかったのか。

 

「貴方は私をどうしたい?」

「……トガちゃん?」

 

 思わず口をついて出た、前回は聞くことが出来なかった質問。お茶子ちゃんにも梅雨ちゃんにも……多分、出久くんにもわかって貰えない。

 

 血の香りがしてボロボロな人が好きで、私は好きな人みたいになりたくて。服も髪もアクセサリーも何もかもを真似したくて、でもそれだけじゃ足りないの。好きな人みたくなりたくなって……最後は切り刻んでしまう。

 

 普通の人は好きな人と手を繋ぎたいとか抱きしめて欲しいとか、そういう事をしたがるらしい。私にとってのソレが同じになる事(コレ)なんだ。

 

 貴方は私をどうしたい?手を繋ぎたい?抱き締めたい?それとも同じになりたい?

 

「……そういう話か」

「…………うん」

 

 私は多分、この人の事も好きになる。好きになったら、同じになりたくなる。同じになりたくなったら……貴方は受け入れてくれる?

 

 

 

「まあ死なない程度にして欲しい、としか」

「……ぇ」

 

 

 いい、の?

 

「さすがに死にたくはないしなあ……あ、四肢もいだりとか後遺症残りそうなのも出来ればちょっと」

「そこまではしませんよ!?いやそうじゃなくて……」

「あれ?そういう話じゃない?」

「いえ、そういう話ですけど……その、いい……んですか?」

 

 私のコレは『普通』じゃないのに?

 

「向こうのトガちゃんにも言ったんだけどな、そんなもん割と普通だろ」

「ふ、つう……?」

「おう。普通も普通。好きな人の真似をしたいとかよく聞く話だし……トガちゃんの場合はそこに【変身】の性質も混ざっただけでしょ」

「…………ぁ」

 

 ………………そっかぁ。

 

 

「それが愛情表現なんですって伝わってりゃ──タコスッ!?」

 

 あーあ。ほんと、もっと早くに会いたかったです。そしたらこんなにも悩まずに済んだのに。

 

「いつつ……いきなりタックルするのはやめて欲しいんですが」

 

 仁くんが殺されちゃって、お茶子ちゃんにも拒絶されて。もう私には何にも残ってないと思ってたのに。

 私も結構現金なヤツなのです。こうしてちょっと理解してくれる人が出てきただけでこんなにも嬉しくなっちゃって。

 

 きっと貴方のいた世界の私は幸せなんでしょうね。もっと早くに出会えたんですから。

 

 ……でも、私はもう手遅れ。

 今の私は渡我被身子で、ヴィラン連合の一人で、超常解放戦線の幹部。貴方の手は取れない。

 

「……トガちゃん?んっ」

 

 けど、それでいい。

 

 貴方に会えた思い出があれば今はそれでいいのです。

 

 

 

「さよならです。間飛くん」

 

 

 好きに生きたのなら、好きに生きた責任は取らなきゃ……ね?

 

 

 

 

*1
青山「殺されるかと思った」





【原作トガちゃんを見た本編トガちゃん】
トガ「まあそうなりますよねェ……」
トガ「向こうの私細いですね。ちゃんと食べれてないからですかね?おしりもおっぱいもちょっと小さいですね」
トガ「緑谷君に惚れるの?何で?」
トガ「わあ、いつぞやに演じた覚えのあるステインファンだあ(白目)」
トガ「」
トガ「移くん……ちょっとだけベッド貸してください……」


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