短めになってしまいました。
その日は朝早くからヒーロー側の要人達が集まっていた。
本来なら雄英関係者でもない限り踏み入ることは無い会議室にエンデヴァーやスターアンドストライプを始めとしたトッププロ達が揃っていた。
その中には未だ守られるべき子供であるはずの緑谷出久や通形ミリオ、リタイアしたいと言われても誰も文句を言えない有様のミルコやリモート参加の相澤もいた。
勿論、そこには間飛の姿もあった。ようやくミルコと直接会えたと言っていたものの、その後すぐにフリーズしていたようだが。
「……では改めて現状を整理したいと思う」
錚々たる面子の中、根津校長は真剣な眼差しで全員を見渡しながらそう告げた。
まず雄英……ヒーロー側から。
緑谷出久が雄英に帰還し万全の状態へ。更にイレギュラーな間飛の存在もあって生徒達を中心に戦力の底上げが叶っている。
またダツゴクの減少が著しいお陰でヒーロー達にも僅かに余裕が生まれていた。疲弊こそしたものの損傷は無く、休養を取ればまた今まで通りに闘えるだろう。
特に嬉しい誤算はスターアンドストライプとIXAの二人だろう。計算に入れるなんて出来るはずがない援軍は完全に盤面をひっくりかえしてくれた。
「君には本当に感謝しているんだ。君が来てくれなければ我々の闘いはもっと苦しいものになっていた」
「……だったら時々俺の所に来て発狂するのやめてくれませんかね?」
「そりゃ無理って話さIXA。Brosも私も命を救われた。嫉妬と感謝でおかしくなりそうなんだよ」
「夜中にト〇とジ〇リーみたいな絶叫されるのも普通なんですか」
「校長アンタ何してんだ」
日付変わる時間帯にカートゥーンな絶叫は勘弁して欲しい。間飛の訴えに全員は静かに目を逸らした。だって聞こえてたもんね。
話を戻して。次はオール・フォー・ワン側について。
脅威になりかねないダツゴクは突出したネームドヴィランの大半が再逮捕された。もう残っているのは誰の記憶にも留まっていない名も無きチンピラ崩れか、真のヒーローから与えられる終わりを待つ狂信者しかいないだろう。
ニアハイエンドの脳無も間飛によって二体を失っており、スターとの戦いでも一体失った。残るは三体。
そして渡我被身子の出頭。荼毘よりも危惧されていた『トゥワイスへの【変身】』の可能性が消えたことはとても大きく、加えて【変身】による潜入を警戒せずに済むようになった。
死柄木弔もスターと間飛によって同化をリセットされており、今の彼は満足に【オール・フォー・ワン】とそれに連なる複数の個性を扱えないだろう。
「ダツゴクだと……やはり【ギャシュリー】や【KUNIEDA】の討伐は大きいな」
「【ムーンフィッシュ】や【ディクテイター】もIXAだったか?【レディ・ナガン】と【血狂いマスキュラー】はデクだったと思うが」
「いや、ナガンもIXAだ」
「……本当に一人で挙げていい功績じゃなさ過ぎますねコレ」
ざっくり一言で言うと『超弱体化してる』になる。主戦力となりそうなのはオール・フォー・ワンと荼毘、スピナーとニアハイエンド三体だけだ。
各々の事情や個性の相性を考慮し、誰に誰をぶつけるべきかを決める必要がある。
その中で言えば一人、確実に決まっているマッチアップがある。
「荼毘は、俺がやろう」
「……エンデヴァー、これは戦争だ。最悪の場合、貴方は荼毘を……轟燈矢を殺せるのか?」
「ちょ、ジーニストさん……!ギスりそうな方に持ってかなくても……」
「俺がやる」
エンデヴァーと荼毘。【ワン・フォー・オール】と【オール・フォー・ワン】の衝突に次いで避けようのない因縁。
しかしエンデヴァーも人の親だ。止められないと分かった時にエンデヴァーは……轟炎司は轟燈矢を殺せるのか。あえて厳しい口調でジーニストは問うた。
が、その上で彼は断言した。それでも……否、だからこそ自分がやると。
「アイツに向き合わなかった俺の責任だ。最期くらい……いや、最期こそ他人に任せる訳にはいかん」
「……失礼なことを言った。貴方の覚悟を侮ったことを許して欲しい」
強く悲しい覚悟を示したエンデヴァーに対し、それ以上は何も言えなかった。
この場にいる者達は知る由もない話だが、間飛が来ていない世界線においてのエンデヴァーは対オール・フォー・ワンの戦力に回されていた。
決着にこそ間に合ったものの、それまでの大半を轟焦凍に任せてしまっていたのだ。
しかしスターアンドストライプとIXAという二大戦力を得た今、エンデヴァーを荼毘の元へ回す事が出来る。
それに何度も繰り返すがヴィランの戦力も相当削られている。オール・フォー・ワンと死柄木弔、荼毘以外は三体のニアハイエンドしか特筆すべき相手はいない。
「オール・フォー・ワンと死柄木弔……問題はこの二人へ差し向ける戦力だ。どちらか片方でも突破されてしまえば敗北に繋がってしまう」
「まず死柄木弔にデクをぶつけるのは確定として、スターとIXAはどうする?両方ともオール・フォー・ワンでいいのか?」
「どっちでも構わないが、私が向かう方では巻き込まれないヒーローを選んでくれよ?それなりに気を遣うつもりだが……何が起こるか分からないからな」
会議そのものはスムーズに進んだ。戦力の分配という普通ならもう少し揉めそうな議題も『とりあえずコイツらを中心に据えるとして』でアッサリと解決していた。
それでも全ての配置が決まるのに数時間が経過した。それだけの人数と資源を動かすのだから当然と言えば当然だろう。
主戦力の分配だけをまとめると、オール・フォー・ワンにはスターとIXAを。死柄木弔にはデクを、荼毘にはエンデヴァーをぶつける事で決定。それ以外の戦力は個性の相性等を考慮しての配置になった。
またニアハイエンド含む他の残存勢力にはギャングオルカを始めとしたトッププロ数名とヒーロー達に任せる事に。
後はオール・フォー・ワンを釣り出す方法についてだが。
「そこは問題ない。青山君と心操君が協力してくれる」
「……例の内通者か。信用していいんだな?」
「ああ」
オール・フォー・ワンが送り込んだ内通者の裏切りがバレていないことを利用し、青山優雅と彼の両親を利用して釣り出す。
万が一オール・フォー・ワンに【それが嘘かどうかわかる個性】を持っていた場合に備えて心操の【洗脳】をかけた上で行う。
しかしオール・フォー・ワンに警戒されない為に全員で待ち伏せはできない。なので物間に黒霧の【ワープゲート】を【コピー】してもらい、離れた位置から強襲を仕掛ける必要もある。
「考えれば考えるほど無限の手札とは厄介なものだな……」
「百年以上を生きる化け物だ、仕方あるまい。むしろ今が最も弱っているんじゃないか?」
「……オールマイトはその化け物が一番強い時に勝利を収めたのか」
改めて考えると本当におかしいだろ、という空気が流れた。おっと、シリアスが死ぬ気配がしてきたぞ。
そこから何故かオール・フォー・ワンへの対処法ではなく全盛期オールマイトのイカレっぷりを語り始めるようになってしまった。
特に彼に憧れていたスターと彼を超えたがっていたエンデヴァーの二人がよく口を開き、それを聞いた全員がオールマイトにドン引きするという永久機関だ。イグノーベルは貴方達のものだ。
「噂じゃオールマイトから五秒を奪った事にオール・フォー・ワンが喜んだ、なんて話もあるとか」
「アイツは五秒あれば事件を解決出来るからな。当然だろう」
「やっぱフィジカル最強が一番なんですかねー……」
「何かマイト
……尚、この場にそのオールマイト本人が居たことを教える。
スター「オールマイトは……」
エンデ「オールマイトなら……」
オールマイト「シテ…コロシテ……」
間飛(お労しや八木上)