え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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・ヒロアカ42巻を買う
・心操のヒーローネームを見つけてしまう
・勝手につけたヒーローネームを見る
・頭を抱える←今ここ

決めちゃったものは仕方ないので本作本編の心操君はヒーローネーム【ペルソナオーダー】のままでいきます。何気に気に入ってるんですよねこの名前……。





届いた手

 

 

 

 

『向こうのお前はそれを完全にものにしていたぞ』

 

 

 俺の訓練を見ていたあの人はそう言っていた。

 

 揺らめく二色の炎を見つめながら、懐かしむような顔で。

 

 

『【赫灼熱拳“燐”】だろ?ソレ』

『……はい。でもまだ不安定で』

『だと思った。向こうと違ってお前力み過ぎてるし』

 

 向こうの俺はもっと自然体でコレを使っていたらしい。でも、それはこの人と同じように大人になっているんだから俺より上手く使えるのは当然だろう。

 そんな子供の言い訳みたいな思考を知ってか知らずか、間飛さんは俺の心臓の辺りに指をさしながらアドバイスをくれた。

 

 曰く、俺は極端に考えすぎているのだと。

 

『心臓を中心にするって発想は合ってると思う。問題は炎と氷の熱源の位置だな』

『熱源……の、位置?』

『そ。お前の炎はどこで生まれているのか、お前の氷はどこから作られるのか……考えたことあるか?』

 

 言われてみればそこまで厳密な線引きをした事はなかった。漠然と体の左右で分けてこっちから炎、こっちから氷……という風に処理していた。

 かといって俺の体が左右で熱への耐性が異なるかというとそうでもない。厳密にはあるんだろうが誤差程度のものしかない。

 

 ある時、向こうの俺は【左右どちらからも炎も氷も出せるんじゃないか?】という疑問にたどり着いたらしい。

 

『そこからはずっと苦労してたな。今まで別物扱いしてた二つを合体させなきゃいけなくなったとか言ってたし』

『そこは……今の俺と同じなんですね』

『そんでアイツが出した結論が「一回混ぜてみるか」だった』

『…………えっ?』

 

 難しい理屈は分からないが、体内でどうこうする前に体外に放出した炎と氷を混ぜるところから始めたそうだ。

 どちらも感覚頼りな部分はあるものの、自分の目で確認できる体外でのテストは思ったよりも効果があったらしい。

 

 やってみ、と言われて実際にやってみると……なるほど結構難しい。けど、体の中を感覚で弄るより分かりやすい気がする。

 

 その後は炎と氷の融合に夢中になってしまい、間飛さんが居なくなった事にも気づかずに練習をし続けていた。

 

 練習の甲斐あってか【赫灼熱拳“燐”】の安定感が増した。

 

 

 そしてもう一つ、やれることが増えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 変化は劇的だった。

 

 心臓の辺りを中心にクロス状に形成された二色の炎。嵐のように吹き荒れる膨大なエネルギーが、焦凍の身体から生み出されている。

 

 原理はそう難しいものでもない。

 鍛え上げ研ぎ澄まされたエンデヴァーの【ヘルフレイム】と世代を重ねて強く濃くなっていた【氷叢の氷】を同時に発露させ、温度が変化した血液を循環させる事で相互に安定を齎す。

 

 それはエンデヴァーが求めて止まなかった継続戦闘能力を得る焦凍だけの力であり、同時にもう一つの力を彼に与えた。

 

 それは──

 

 

「全部!俺たちにぶつけろ!!」

「っ───!!?」

「そうすりゃ……少しは頭ァ冷えるだろ!!」

 

 

 ──出力上限を大きく超過した個性の放出。

 

 一度放てばクールダウン必須の超高熱の炎も、一度放てば低体温症待ったなしの超低温も。胸に灯した炎が続く限り途絶えることはない。

 

 

 氷……ではない。定まった形などない、風に散らされてしまう炎の形を取った【超低温】が燈矢を捉えた。蒼炎をも貫いて屍同然の肉体を冷やし(焼い)ていく。

 

 人生すらも焚べた灼熱に耐え得る身体を持ち、その上で冷却を実現出来る唯一無二の人材。それが轟焦凍だ。

 

 命懸けの炎にさえ食らいつく弟を見る目は酷く澱み、心の底から溢れ出る醜い感情に塗れた視線が父親を射抜いた。

 ズシャリ、と音を立てて地面に這い蹲る。限界などではない、拒絶の一手を打つ為の構えだ。

 

「は……!やっぱな!同じ血を分けた兄弟ですら、こうも“型”が違う!!」

「──畳み掛けろ!」

「歪んだレールが正道に交わることはない……!超人社会の限界だ!俺たちが、そうなんだよォ!!」

 

 ヒーロー達が抱える制約を何一つ持たぬが故の破壊力。敷き詰められたタイルを穿ち抜いて地面をも融解させる超高熱の放出。

 膨大な熱と赤熱した地面の一部を跳ね上げてそこら中を焼き尽くす。立ち上る炎の柱は人の命を奪うには十分すぎる威力だ。

 

 高熱耐性を持つ者でさえ踏み入ることを躊躇う死の領域。それを何の躊躇いもなく駆け抜けていく男がいた。

 

 

「燈矢ァアアア!!」

「平行線だ!灼けて死ねエンデヴァァアアアア!!」

 

 

 上限こそあるものの、現状誰よりも強い高熱耐性を持つ父親が息子の前に立ちはだかった。

 

 先手を取ったのはエンデヴァー。灼熱を纏った拳が振り抜かれる寸前の燈矢の右腕を叩いた。

 拳から伝わる骨が、肉体が砕けていく感触。ただのヴィラン相手ならば何も感じないはずの生々しい感触がエンデヴァーの心に影を落とす。

 

 その感情は今の荼毘にはない。

 

「──バカが」

「っ…………!」

 

 一手遅れた上で尚、荼毘の炎がエンデヴァーを灼いた。折れかけた精神で何とか立っているだけの男を吹き飛ばすなど造作もないことだった。

 

 一切の躊躇なく放たれた蒼炎はエンデヴァーを紙くずのように吹き飛ばし、自身の右手すらも木っ端微塵にしてしまう。

 

 

 殺った。恐らく。

 

 殺った。とうとう。

 

 ついに、ついに!ついについに!!

 

 

 あのクソ親父を──

 

 

「交わるよ。無理にでも」

「は……」

 

 

 クソ親父、の最高傑作が届いた。

 

 

「だから、止まってくれ」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「あー……?なんだよ、荼毘の奴やられちまったのか?」

 

 ヒーロー達の間を駆け巡ったニュース。死すら恐れなかった狂執を抱えたあの男をどうやって、という疑問と同時に歓喜が湧き上がっていた。

 

 各戦場でヒーロー達の士気が上がる中、ここ天空の棺においては何一つ変化はなかった。

 

「死柄木ィイイイイ!!」

「デケェ声出さなくても聞こえてるよ!!」

 

 【ワン・フォー・オール】のエネルギーが音を立てて迸る。八人の後継者を経てオールマイトをも超えるパワーに到達した緑谷の一撃が振り抜かれる。

 空気が爆ぜる程の速度とパワー。数ミリ先の空間を吹き飛ばす拳を避けながらクロスカウンターの拳が緑谷を殴り飛ばす。

 

 【オール・フォー・ワン】による個性の奪取は機能していない。ただでさえ先のスターとの戦いで因子に傷をつけられている上に、少し離れた位置でイレイザーの【抹消】を【コピー】した物間に個性を縛られている。

 

 その上でだ。ベストジーニストや義肢を装備したミルコらプロヒーローに、雄英BIG3の三人と爆豪……そして緑谷が集まっても押し切れずにいる。

 

「出久!一人で突っ込んでんじゃねェ!」

「……ごめん!」

「個性抜きでこれか……!肉体改造にも限度ってものがあるだろう!?」

 

 その理由はただ一つ。想像以上に死柄木弔と緑谷のパワーが強すぎるのだ。

 

 二人のパワーを比較した時、【ワン・フォー・オール】の方が改造手術を上回っているのは当然。

 しかし死柄木は緑谷と違って巻き込まないように意識する必要のある味方がこの場に存在しない。自分以外の全員を殺せば勝ちという分かりやすい勝利条件がある。

 

 緑谷の強すぎるパワーと共に戦う事が出来るのはミリオかベストジーニストくらいで、爆豪やミルコは超パワーの衝突の隙間を狙うようなタイミングでしか手を出せずにいるのだ。

 

「窮屈そうだな?そいつらに言ってやれよ、お前ら邪魔すんなって」

「っ、違う!」

「違わねェだろ。あと一歩のところで何かを躊躇って押し切れない。そりゃあオールマイトもサイドキックを取らねェわけだ……自分以外が邪魔でしかないんだろうな」

 

 自由を謳い、何者にも縛られることの無い最悪のヴィラン。困っている人を助けたい一心で今日この時まで歩んできたヒーロー。

 

 皮肉な事に何者にも縛られないヴィランが仲間に縛られたヒーローを超えている。あと一歩を詰めきれない。

 

 ミリオが、ジーニストが、天喰が……その場の誰もが敗北の可能性を視野に入れ始めた。

 

 

 たった二人を除いて。

 

 

「かっちゃん!」

「あ゙!?てめ、アレは全然形になってな──」

「お願い!!」

「──チッ!テメェ後で覚悟しとけ!?」

「……?何を」

 

 

 

 KABOOOOOM!!!

 

 

 

 

「っ…………!!?はぁ!!?」

 

 

 跳躍した爆豪を緑谷が足の甲で捉えると、そのまま力任せに思い切りぶん投げた。

 

 射出された爆豪は死柄木に到達するまでの極僅かな時間で身体を捻り、遠心力と推進力を全て乗せた【爆破】を叩きつけた。

 

 スピードもパワーも凄まじいが、それ以上に完全に不意を突かれた。何をするつもりだと疑問に思った瞬間には目の前に爆豪の手のひらが迫っていた。

 

「イカれてんのか……!?」

 

 一歩間違えれば……いや、間違えなくても相当に危険かつ不安定な技だ。それも先程爆豪が言いかけていたことを考慮するなら未完成のはずなのに。

 

 致命傷には程遠くとも、無視できない大ダメージを与えられた。爆発の煙がなければ【超再生】による回復もままならなかった。晴れていく煙の向こう側に立つ二人のヒーローを前に、死柄木が初めて狼狽を見せる。

 

「誰かを重荷に感じた事なんてない……!」

「っ……」

「誰かの想いを邪魔だと思ったことなんて、ない!!」

 

 真っ直ぐに死柄木を見つめながら、緑谷は吼えた。

 

 

 

「だから……!君の中にいたあの子も、無視なんてしない!」

「……そうかよ。やってみろ、ヒーロー!!」

 

 

 






間飛「だから、こうやって足で保持して……そのままぶん投げる。簡単だろ?」
切島「緑谷!これできたら俺とお前滅茶苦茶強くなんぞ!!」
緑谷「え、えーっと……」

──この後滅茶苦茶練習した。


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