え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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脳筋と体力テストはベストマッチなんよ

 4月。それはこれまでの友人と別れ、新たな出会いがある……かもしれない季節。

 

 残念ながらこの間飛移、自称ではありますが軽度のコミュ障でして。話しかけられたら会話に応じるけど、自分からは声をかけに行かないタイプなのです。

 これは決して陰の者ではない。受け身の姿勢でいるだけのコミュニケーション強者なのだ。多分、きっと、恐らく、Maybe.

 

 母ちゃんと父ちゃんに『早いうちから自立してけ』と言われ追い出された先は、雄英生御用達のご近所アパート。何と駅2つ分しか離れていない。

 おかげでしっかり朝ご飯を食べて登校出来る。朝はパンでも米でも、なんなら麺でもいいけど炭水化物摂取しようね。

 

 おそらく異形系個性や資材搬入もあって、バカでかいサイズの校門を通り抜ける。足元に変な装置があった気がしないでも無いけど気のせいだと思いたい。遅刻者を処刑する装置とかじゃないならセーフ。

 

 さっきからドアも窓も面白いくらいにデカいな。これ何を想定してるんだよみたいな奴まで多種多様なサイズがあって、これなら一昔か二昔くらい前に流行ったらしいポリ……ポリ何とかの方々も手放しで褒め称えるんじゃなかろうか。

 

 たどり着いた先は『1-A』とプレートが示す教室。今年はA組のみ21名になっていた。B?あっちは募集要項通りに20名だったよ。このプラスワンは何があったし。

 

 ……くっ!いつもだ!いつも初対面の人物が多いとわかっている空間に入るのに、どうしても覚悟が足りていないッ!

 よく知らん人達の視線って攻撃力100ぐらいあると思う。ちなみにオールマイトのパンチは攻撃力1000な。1/10オールマイトだと……?

 

「あっ!」

「ハい゜!?」

 

 何何何!?口から心臓とかその他諸々まろびでる所でしてよ!?

 

 って、コイツあれじゃん。入学試験の時のゼロポイントクラッシャーじゃん。お久ー。

 ……?ははぁん、さては貴様…陰の者だな?忙しない視線の移動と落ち着きのない手足、それ即ち初対面相手にパニくる3秒前と見た。

 

 ならばこちらから語りかけねば無作法というもの……喰らえ!我が自己紹介を!

 

「間飛 移だ。よろしく」*1

「みっ、みみみ、緑谷出久です!よろしく!」*2

 

 ……宜しくね。陰の者(同類君)。ひとまず教室に入ろうか───

 

 

「机に足をかけるのをやめたまえ!先輩方への失礼だとは思わないのか!?」

「思わねーよ!端役(モブ)が!!」

 

「……あれ、ここってヴィラン育成所だっけ?」

「…………幼馴染がすいません」

 

 嘘だろあれと幼馴染かよ。苦労してきただろうなあ……。今度アイツに対する愚痴でも聞いてあげよう。多分ケチャップぐらいドバドバ出てくるだろうから。

 

「あーっ!!」

 

「うひぃ!?」

「っっ!」

 

 馬鹿め!同じ手は2度は喰らわん!ギリギリ我慢してくれたわッ!

 

 …ああ、うん。貴女も実技試験でお見かけしましたね。緑谷君にビンタかましてたのは見えてたけど、あれ何だったんです?

 ホンワカ系女子は麗日お茶子と言うらしい。よろしくね麗日さん。

 

 どうやら麗日さんは実技試験の俺達がそうとう衝撃的だったらしく、物凄く褒め称えてくれる。やめやめろ。そんなにグイグイ来られると好きになっちゃうから。陰の者は異性への耐性がカスなんだから。

 いや、緑谷君に比べたらマシだけどね?何その腕。ジョ〇ョ立ちでも見かけない腕の位置だけど、ツッコミ入れた方がいい感じ?

 

「失礼、俺は聡明中学出身の飯田天哉だ。よろしく頼む」

「……今日はやけに背後から声をかけられるな。間飛移だ、よろしく」

 

 クッソ、入口でわちゃわちゃしてたせいでよけいに悪目立ちしてるじゃねえか。ヤバそうNo.1の方じゃないからいいけど、そんなグイグイ詰めてくるな。蹴飛ばすぞ。

 

 どうやら緑谷君はこの真面眼鏡君とも縁があったらしく、受験の時のやり取りについて話している。え?緑谷ってレスキューポイントに気づいてたの?……天才じゃったか!

 

 

「お友達ごっこがしたいなら他所に行け。ここは……雄英だぞ」

 

 

 母ちゃん。今日だけで背後から3回、足元から1回声をかけられました。雄英高校が育ててるのはプロヒーローじゃなくて、プロの忍者かもしれません。

 

 寝袋から出てきた小汚いオッサンの名前は相澤消太、俺達の担任だそうで……担任!?これが!?不審者って言われても納得の風貌だぞ。

 相澤先生は「体操服に着替えてグラウンドな」とだけ言うとまたどこかへ行ってしまった。ああいう妖精とか妖怪とかいるよね。

 

 何があるか知らんけど、ひとまず指示に従うことにした。新品ホヤホヤの体操服に袖を通してレッツ移動。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「んじゃ、これから個性把握テストを行う」

 

「「「個性把握テストォ!?」」」

 

 声まで揃えて仲良しかよ。既に絆が出来てて羨ましいなおい。

 

 色々と話してはくれたが、要は個性を使っての体力テストだな。ふふふ…俺の個性とフィジカルならかなりの好記録を出せるはずだ。

 

 デモンストレーションとして、実技試験1位のヴィラン予備軍がボールを受け取り、大きく振りかぶって──

 

「死ねェ!!」

 

BOOOMB!!!

 

 

 ……今、死ねって言わなかった?アイツ。情緒どうなってんだよ。

 

 記録は705.2m。個性不使用の体力テストではまず見かけない数値だけど、アイツ何気に繊細なコントロールしてたな。爆風でぶっ飛ばすのはいいとして、下手すりゃ明後日の方向に飛んでいくってのに。

 

「個性思いっきり使えるんだ!さすがヒーロー科!」

「何だこれ!すっげぇ面白そう!!」

 

「……面白そう、か。君達はヒーローになる為の3年間をそんな腹積もりで過ごす気か?」

 

 おん?先生に何やら変なスイッチが入ってはおられません?雰囲気というかオーラというか、表現が難しいけど『ニヤリ』って感じになった気がする。

 

「よし、それじゃあこうしよう。トータル成績最下位の者は見込みが無いと判断し、除籍処分といこうか」

 

「「「はああああ!?」」」

 

 ウッソだろおい。何がどうなればそうなるんだよ。よーいドンがつまづいたら切り捨てられるとか初めての経験だわ。ニヤニヤしやがってコノヤロウ。

 何より多分だけど、この人はやると言ったらやる凄み的な何かがある。口だけでしょ〜なんて甘い見積もりはしない方がいいかもしれない。

 

「生徒の如何は先生の自由……これが雄英高校ヒーロー科だ」

 

 ……さすがに限度はあると思うんですよ先生。

 

 

 

 

 ◇

 

 

【第1種目:50m走】

 

「よーい…ドン」

 

 ほい、っと。

 

「0.2秒」

「はっや!?ワープか!カッケェ!」

 

 50mは余裕で射程内だぜ。余裕すぎて奇妙な冒険のラスボス吸血鬼みたいなポーズまで取ってるからな。

 ストップウォッチを押す人によるから実際はほぼゼロなんだけど、0.2秒ならまあいいや。

 

 

【第2種目:握力】

 

「540kg……」

「530kg……クソっ、負けた!」

「いやどっちもゴリラかよ」

 

 もうちょっと出てもいいはずなんだが、握るのが下手なのか600kgより上にいかない。何でだくそぅ……。

 

 

【第3種目:立ち幅跳び】

 

「アイキャン……フラーイッ!」

「うおおっ!?すげえ跳ん、そっからワープ連打!?」

「……面倒だから∞でいい。降りてこい」

「「「∞!?」」」

 

 ∞ではないよ?連打し過ぎると車酔いみたいになって吐きそうになるし。ただそうなるまでは20分ぐらいかかるかな。

 

 

【第4種目:反復横跳び】

 

「……」

「わかってはいたけどヤベーなアイツ……」

「なんかアレだ、コマ撮り映像を早回ししてる感じ」

 

 左右真ん中にワープを繰り返すだけのカンタンなお仕事です。

 

 

【第5種目:ボール投げ】

 

「せぇ……のっ!!」

 

SMAASH!!

 

「すっげえええ!大砲かよ!」

「チイッ!!」

 

 906.5m……まあ妥当か。それはさておき最初から俺の記録を見ては舌打ちして睨みつけてくる爆発さん太郎を何とかしてくれませんかね?

 

 次は緑谷か。今んところ全体的に冴えない記録だけど何かあったのか?入試の時のパワーがあれば俺の記録超えててもおかしくなかったんだけどなあ……。

 

「何か知ってる?」

「緑谷君の個性についてか?残念ながら僕もよく知らないんだ。ただ、入試の時は動けなくなる程の怪我を負っていたらしい」

「怪我…?いや、まさか……」

 

 まさかアイツ、身体が個性のパワーに耐えられないのか?俺も受け取ってすぐは良くあることだったけど、ひと月もすれば慣れたぞ。

 それでも俺の負傷はたかが知れていた。動けなくなる程の負傷って、どんだけヤバいパワーしてんだよ。

 

「最小限で……最大を……!」

 

SMASH!!

 

 おお。それだよそれ。実技試験の時のパワー。てか指大丈夫か?どす黒く変色してるけど。

 しかし負傷前提となれば、やっぱり使いどころが限られてくるのか。そりゃあおいそれと使う訳にもいかないな。立ち幅跳びで下半身動かなくなりましたとかシャレにならん。

 

「どーいうことだコラ!ワケを言いやがれデクテメェ!」

「待て待て爆発さん太郎!」

「誰が爆発さん太郎だ!ぶち殺すぞ!」

「アレ怪我人、今(一応)授業中、先生監視中、OK?」

「……クソが!」

 

 お前も急にスイッチ入るタイプかよ爆発さん太郎。慌ててワープして割り込んだけど、場合によってはお前が除籍処分ワンチャンあったからな。

 

 

 その後持久走や上体起こし、長座体前屈も恙無く終わった。フィジカルがものを言うなら俺の個性が輝くぜ。

 トータル成績はギリギリで1位。∞と反復横跳びで辛うじて八百万さんに勝利した。あの人はあの人でおかしいだろ……万力作ったり大砲作ったり、ワクワクさんかよ。

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

「は?」

「えっ?」

「「「はああああああっ!?」」」

 

 あれ、そうなの?マジでやるかと思ったけど。全体的にレベル高くて惜しくなった感じ?だとしたら嬉しいね。特に緑谷はよかったな。

 

*1
早いし小さい

*2
デカいし震えてるし







現時点での印象

間飛→緑谷
パワーはコイツの方が強い。完全に使いこなせるようになったら負ける可能性が高い。何でそんなに調整下手くそなの?

緑谷→間飛
何かシンパシーを感じる。なんでやろな。今のところ自分の上位互換なので自尊心がゴリゴリ削れてる。ワープとフィジカルが両立する個性ってなによ?
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