え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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打撃無効?ほーん……で?

 

 

 

 想定外。

 

 オールマイトの不在、生徒達の戦闘力、黒霧が捉え損ねる……想定外、想定外、想定外想定外想定外想定外想定外。

 

 有象無象が散らされて、切り札の脳無を引っ張り出した時に黒霧の報告を受けた死柄木は苛立って仕方ない。

 誰も彼もちっとも思い通りに動きやしない。まともに仕事をしたと言えるのはイレイザーヘッドの腕を捻りあげている脳無くらいのものだろう。

 

「お前がワープゲートじゃ無かったら……殺してたよ……」

「申し訳ありません」

 

 あと数分もしないうちにプロヒーロー達が自分達を捕えに来るだろう。今から急げばイレイザーヘッドの命くらいは奪えるだろうが、生徒達は完全にチンピラ任せだ。1人でも殺せていればいいな、という希望的観測しか出来やしない。

 

 最も近い水難ゾーンにも生徒はいるようだが、タイミングを見計らっているうちに警戒されるかプロヒーローが到着するだろう。

 

 つまらない。何一つ面白くない。

 いつでも生命を投げ出す覚悟のプロを1人殺せても、生徒達を守った英雄として祭り上げられるのが目に見えている。

 

「はー……もういいや。脳無、イレイザーヘッドの手足でも潰しとけ」

「……ッ!!」

 

 なら目の前のオモチャで精一杯楽しもう。少しでも僅かでもこの瞬間を嘲笑おう。このクソッタレな世界をほんの少しでも、自分にとって愉快なものにしてやろう。

 

 物言わぬ漆黒の巨漢が再びイレイザーヘッドの腕を掴みあげると、小枝でもへし折る様にバキリと音を立てて握り締めた。

 とてつもない激痛。最早一周回って熱を感じるばかりで痛みを忘れてしまいそうな感覚の中、イレイザーは悲鳴を上げるでもなく耐えていた。

 

 生徒を不安にさせまいというここに来て尚、プロヒーローとして、子供を導く教師としての在り方に死柄木は口角を釣りあげてニタリと笑う。

 じゃあ次だ、と狂ったように声を上ずらせながら脳無に指示を飛ばす。いつまで持つかな?なんて子供っぽい思考の無慈悲な命令は、残酷なまでにイレイザーヘッドを苦しめる。

 

 

「ッやめろおおおぉぉっ!!!」

 

SMAAAAAASH!!!

 

「ぐげっ……!?」

「死柄木弔!」

 

 

 大声を上げた少年が、地獄一歩手前の光景に握り締めた拳で割り込んだ。

 水難ゾーンを突破してきた緑谷だ。

 

 個性の制御だとか打った後の反動だとかを頭から除外して、今間に合わなければ先生が危ないという一心で敵の愉悦を砕いた。

 幸か不幸か個性は未だ未熟。半端な威力故かはたまた初めて人に使ったからか、両手足が健在のまま緑谷の一撃が終わった。

 

「クソ……生徒か。殺れ──」

 

 しかし所詮は出来損ない。死柄木の意識を刈り取るには至らず、体勢を立て直した死柄木が脳無に指示を出す。

 元々名前を呼べば『肉盾』として、名前と『殺れ』の一言で個人への攻撃を可能としている。指示に割く時間は一秒前後ほどしか無い。

 

 

 0.4秒よりも遅いのなら、彼が割り込める。

 

 

「ヤラれるのはテメェだよ手首野郎!!」

「ゴオッ!?」

 

 隙だらけのボディに捩じ込むような右ストレートが突き刺さった。

 緑谷の全力には足りない、しかし他人を害するには充分過ぎる破壊力。受け継がれた技巧を上乗せされた回避防御共に不可能な一撃が再び死柄木を殴り飛ばす。

 

「───!また貴方ですか!」

 

 最初の乱入者である緑谷よりも危険度は上と判断。同じ轍は踏まないとばかりに、捉える為だけでなく自身を守る為にも黒いモヤを大きく広げる。

 こうすれば本体を捉えられないだろう、と表情を伺わせぬままモヤを広げるも───

 

「ああ、また俺だぞ」

(───ッ!背後に!?)

 

 だが、遅い。

 黒霧の様に他者を遠くまで運ぶことは出来なくとも、自分自身をノーモーションかつインターバル無しで転移させるのだ。モヤを介さない間飛に追いつける道理は無い。

 

 背後への対応よりも早く、間飛の振り向きざまの肘が黒霧の背中を打ち抜く。無視できないダメージに怯んだところに追撃の回し蹴り。最初の不意打ちとは反対側のプロテクターをひしゃげさせながら吹っ飛ばす。

 

 次はアイツを……間飛の標的が黒霧から脳無に移されるその時。

 

 

「殺れ!脳無ゥ!!」

 

 

 死柄木の執念が脳無を突き動かした。

 叫ばれた指示に対し、脳無は弾かれるように動き出す。イレイザーヘッドを痛めつけた身体能力を遺憾なく発揮、間飛との距離を一息に食いつぶした。

 

 ()った。死柄木は少なくともそう確信した。

 

ズドン!!と、重機を思わせる轟音が響く。コンクリートの床にクモの巣状に亀裂が走り、勢いよく砂煙が巻き上げられる。

 

 視界が遮られるまでの極わずかな間に、死柄木には見えた。脳無の剛腕が間飛に間に合わず、その場から忽然と消えるクソガキの姿が。

 

(何処に──!?)

 

 また不意打ちが来る。そう思った死柄木は慌てて周囲を見回すも、何処にもそれらしい影は見当たらない。ただでさえ砂煙で視界が悪いというのに、気配さえ感じられやしない。

 

 いつ、何処から、どうやって。今この瞬間に何が出来るわけでもなく、間飛の次の行動に少しでも対処しなければ。死柄木の焦りは増していく。

 

 そうして時間が経ち、徐々に砂煙も収まってきた。どうやら砂煙に乗じて何かをするつもりは無かったのか、未だに間飛の追撃は無い。

 ならば脳無を戻して少しでもダメージを抑えなければ。砂煙を手で払い除けながら脳無を呼ぼうと息を吸い込み──

 

「あ……?」

 

 ──何処にも脳無がいないことに気づいた。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「……何とかなった、か?」

 

 相澤先生がヤバそうだったから思わず考え無しに突っ込んじゃったけど、とりあえずノーダメで離脱できたので良しとしよう。

 幸いヘイトはこっちに向いていたし、緑谷が相澤先生抱えて逃げてくれたしで後は時間を稼げば何とかなるだろう。

 

 ……で、脳無(コイツ)どうしようか。

 

 少しでも距離を取ろうと思って持ち上げて連れてきたのはいいんだけど、その辺のロープで縛り上げただけなのにピクリとも動かねぇんだけど。死んだ?

 さっきの身体能力的にこの程度のロープくらいふーんっ!ってすりゃ引きちぎれるだろうに、抵抗どころか項垂れたまま動かないんですが。

 

 ちなみに今俺がいるのは山岳ゾーン付近の森の中。あの黒いモヤならすぐにたどり着ける距離だけど、探し当てるには時間がかかるはず。

 

「お前何なのマジで……せめて言語ぐらい解してくれない?」

「……」

「ダメか……お?」

 

 ダンマリを貫く敵に何度目かのコミュニケーションを図っていると、出入口の方から物凄い音が聞こえた。ゴリラっぽい何かが来たか?

 

 放っておくのも怖いけど、一瞬山岳ゾーンの方に転移して確認するとどうやらオールマイトが到着したらしい。勝ち確キター!

 って、逃げるんかい。判断が早い。鱗滝左近次もビックリして腹を切っちゃうよ……このネタ通じる人少ないんだよなあ。

 

 ……あれ?アイツら脳無どうすんのよ。あれも一応仲間なんでしょ?まさか放置とかしない……よね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マジで置いて行ったのかよアイツら……脳無さん、その、ドンマイ……?

 

 

 






オールマイト「私が来た」
死柄木「アカン。逃げろ」
黒霧「りょ。脳無は?」
死柄木「諦めてもろて」

脳無「わァ……ァ……!」
間飛「泣いちゃった!」

※脳無の運び方は持ち上げてダッシュしただけなのでワープ関係ないです。
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