雄英体育祭当日──1-A控え室
かつてのオリンピックは世界規模のスポーツ大会で、自国の代表の為に応援に駆けつけた者も少なくなかったらしい。
その点雄英体育祭の観客は日本限定……とまでは行かなくとも、9割が日本人。大抵は自宅のテレビやらパソコンやらで中継を視聴しているだろうし、観客だって国際大会の規模に比べればたかが知れてるとも言える。
それはそれとしてやはりビッグイベント。まだまだ未熟もいい所の俺達学生が舞台に立つとなればそれ相応の緊張がある。
だから少しでも気分を落ち着かせたいから、控え室でゆっくりと精神統一をしたかったんだけど……
「皆!準備は出来てるか!?もうすぐ入場だ!」
「コスチューム着たかったな」
「公平を期すために着用不可だってさ」
「なんかワクワクしてきた〜ッ!」
「全員ぶち殺晒してやらァ……!」
「うっかりパイタッチぐらいしても仕方ねぇ……そうだよなあ……?グヘヘ」
「うおお!気合い入れてくぜええ!」
死ぬほどうるせえコイツら。
いや……こんな学校のこんな学科に来る連中なんてどいつもこいつも陽キャパリピの権化だろうけどさ、こんな時くらい静かに緊張しててくれよ。止まったら死ぬの?マグロか何かなの?
皆さんもう少し轟君や障子君を見習って下さらんか。彼らはひっそりとクラスメイト達の傍に佇んでおられるだk「緑谷……それと間飛」……ハイナンデショウ。
「間飛はわからねぇけど……緑谷。客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う。でも、お前オールマイトに目をかけられてるよな?」
「……ッ!」
「俺は?」
「間飛は……言いたかねぇが、お前の方が上だろうな。他のやつから見てどうなのかは知らねぇ。でも、俺はお前の方が強いと思ってる」
そりゃどうも。
ってか、こんな戦闘向きな個性持ってるから当然と言えば当然だろ。俺と葉隠さんとか口田なら絶対俺の方が強いし。
「お前らには勝つぞ」
「おお!?クラス最強格が宣戦布告か!?」
「急に喧嘩腰でどうした?直前にやめとけよ……」
「いいんじゃね?別に」
「間飛!お前まで……」
いやいやいや。今からやるのはれっきとした勝負だよ?耳触り良く言えば勝つか負けるかの真剣勝負だけど、有り体に言えば
仲良くしよーぜの精神はわかるけど、お手て繋いで皆が1位〜が通用する世界じゃないんだから。容赦なく優劣付けに行く場所だぞ。
「……轟君が何を思って『
「緑谷もそんなネガティブになんなよ……」
「でも!皆、他の科の人だって本気でトップを狙ってるんだ……!」
だから、全力で勝ちに行く。緑谷にしては珍しく、はっきりと他人からの宣戦布告に返して見せた。
……個性の制御だとか個性抜きのフィジカルだとか、課題はいくらでもあるしな。少なくとも練度って面では間違いなく同年代でも最低クラスだろうよ。
逆に言えば現時点の拙い制御でさえ、雄英高校のヒーロー科に入学出来るだけの実力なんだ。そこまで謙遜する必要も無いだろうに。
「お前もなんか返してやれー!間飛!」
「煽ってやんなよ上鳴……」
えっ。
「でも言われっぱなしなのもアレだろ?」
「まあ、緑谷も言い返してたけど」
「ケロ。別に悪いことじゃ無いと思うわ」
えっ、えっ?
「ほらほら、なんか言ってやれー!」
……ええ?
「いやあ……ぶっちゃけ俺も緑谷と同じ感じよ?何で
「……は?」
いやだってそうでしょうよ。
このクラスの戦闘向き個性の持ち主は全員俺以上の攻撃力持っててもおかしくないんだもの。
爆豪と轟と緑谷は言わずもがなとして、飯田の【エンジン】フルスロットルの回し蹴りとか八百万さんの【創造】で出てくる武器とか。
ワープして殴る蹴るしか出来ない俺以上に強い奴なんて幾らでもいるってのに、何をわざわざ俺を選んで宣戦布告して来たのか。理解に苦しむ。
「轟だってそうだろ。まだ見てねえからアレだけど、氷結と炎を組み合わせりゃあ俺以上の攻撃力も機動力も思いのままだろ」
「……ッ、俺は
『もうすぐ入場でーす!準備お願いします!』
おっ、もうですか。口から心臓とか心臓とかまろびでませんように!
◇
『雄英体育祭!!ヒーローの卵達が我こそはと!シノギを削りに削り合う年に一度の大バトル!!』
『どうせテメーらアレだろコイツらだろう!!?ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず!!鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!』
『ヒーロー科!!1年A組だろおおお!!!?』
鼓膜どころか全身を、そして会場を揺らすプレゼントマイクの紹介。それをあっという間に飲み込んでしまう観客達の大歓声。微かに地面さえ揺れているように思える。
「わあああ……人が、すんごい……!」
「おいおいビビり過ぎだろ緑谷ややややや」
「間飛君こそ落ち着きたまえ!?ヒーローたるもの大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるのか……!これもまた素養を身につける一環だろう」
『B組に続いて普通科C・D・E組……!サポート科F・G・H組も来たぞー!そして経営科……』
「……それだけじゃねえな。扱いに差をつけて闘争心だの反骨心だのを煽りに来てやがる」
「露骨に紹介に差があったもんな」
ヒーロー科を中心とした生徒達の入場が終わると、ヒールの硬質な音を立てながら1人の教師が壇上へと現れる。
ヒュルリと空を切ってパシン!と鞭を鳴らす際どいラインを攻めたコスチューム。コイツの為にヒーローコスチュームの露出について法規制が入ったという、18禁ヒーローの肩書きに相応しい女ミッドナイトだ。
「選手代表!爆豪勝己!!」
「絶対やめた方がいいと思う」
「せんせー、今からでも違うやつにしません?」
「俺もう何言うかわかったわ」
「静かにしなさい!選手宣誓!!」
「せんせー
俺が1位になる」
「「「絶対やると思った!」」」
なんということでしょう。ルールのあるスポーツでは無いとはいえ、スポーツマンシップとは余りにも程遠い選手宣誓が気だるげに放たれたではありませんか。自重しろや。
オマケに親指で首を掻っ切るような仕草をして「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」という言葉を添えておられる。*1
最早学科の垣根などなく、なんなら同じヒーロー科であるはずのB組さえ団結してA組を睨みつけている。元凶だけが涼しい顔をして睨み返している。
凡そヒーロー志望の人間がしていい素行では無いのだが、そこに実力が伴うのであれば問題は無い。むしろ有言実行を賞賛すらされる事だろう。
「それじゃあ第1種目の発表と行こうかしら!いわゆる予選……!毎年ここで多くの者が
第1種目:障害物競走
計11クラスでの総当りレース。コースは雄英体育祭会場のスタジアム外周約4km。コースさえ守っていれば“何をしたって”構わない。
ゆっくりと開かれたゲートの前に全員が集まり、少し騒がしかった人混みもすぐさま静まり返る。ピリピリとスグそこにあるスタートの合図を待ち構え──
『スタート!!』
全生徒が一斉に飛び出した。
開会式で1話使うヒロアカ2次小説ってどう思う??
ぶっちゃけ作者的にはやらかしたと思ってる()
普通科A「バクゴーとかいうやつ何?」
普通科B「A組全員あんななの?」
A組達「「やると思ったわ!!」」
普通科A「……違うっぽい」
普通科B「……あっちはあっちで苦労してるんだな」